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臨床分子栄養医学研究会

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食事

トランス脂肪酸の危険性

tomita · 2019年2月26日 ·

フィッシュオイルは魚からとれる良質の不飽和脂肪酸です。

細胞膜に取り込まれ、抗動脈硬化作用や、抗炎症作用をもつ優れた栄養素として認知されています。

最近、新薬も出て、その効果が医療関係者にも広く知られるようになりました。

ω-3脂肪酸は細胞膜に入り込み、細胞膜の脂肪酸組成を変化させ、炎症性プロスタグランジンの遊離を抑制します。

これによって副作用のない、すぐれた抗炎症効果を発揮します。

また、脳は乾燥重量の60%が脂でできています。

(脳は電気信号を伝達するために、絶縁体が多く含まれることが必要です)

ですから、特に脳神経細胞のメンテナンスにはよい脂が必要です。

このようなフィッシュオイルの治療は、効果的がある人とない人に分かれますが、効果がない人に共通することはなんでしょうか?

それは、「食事が悪い事」です。

前述の通り、フィッシュオイルは細胞膜の脂肪の割合を変えることで、作用を発揮します。

ですから、いくらフィッシュオイルに含まれるEPAやDHAを多くとったとしても、炎症を引き起こすアラキドン酸を含む肉の脂を多く摂っていると効果は出ません。

同じように、飽和脂肪酸、そして最悪なトランス脂肪酸を摂っていると、細胞膜の流動性は格段に落ち、神経の伝達はうまくいかなくなります。

おすすめの書籍

決め手は油! 頭がよくなる脳内デトックス
山田 豊文

なぜ、マーガリンは体に悪いのか?
山田 豊文

トランス脂肪酸を中心とした多くの毒物から身を守る
「引き算の栄養学」について解説してある本。

本当は危ない植物油 その毒性と環境ホルモン作用
奥山 治美

トランス脂肪酸から子どもを守る――脳を壊す「油」、育てる「油」
山田豊文

究極の食事とは何か?

tomita · 2019年2月20日 ·

臨床分子栄養医学研究会では、定期的に分子栄養学実践講座の有料版を開催しています。

分子栄養学を中心にした栄養学、疾患の根本原因を見つけ出す方法などをテーマにして、みんなでディスカッションを行う会です。

多くの方が自分の検査結果を持ち寄って、意見をぶつけ合うので、かなり白熱した会になっています。

その中で、私は定期的にテキストを作って受講者の方にお送りしています。

今回、食事をどうするべきかについて、「食事編」を刊行しました。

内容は、主に分子栄養学とその対極?にあるナチュラルハイジーンの考え方を比較検討するものです。分子栄養学では「タンパク質摂取に重点」がおかれ、糖質はどちらかというと制限する方向です。ナチュラルは「タンパク質の過剰摂取に注意せよ」という考え方です。

お読みいただいた受講者の方からこのようなお便りをいただきました。

今月の講座テキストに『食事編』がありますが、まさに私はナチュラルハイジーンとローフードに興味本位から一年ほど実行し、結果関節炎を発症しました。(家族は普通食でした)

出産と授乳で栄養を根こそぎ失った身体であったにもかかわらず、当時無知だった私は動物性タンパク質を極力減らし、植物性タンパク質(大豆製品)と野菜、果物、分つき米を食事としていました。

朝はグリーンスムージーと果物のみ。起床して空腹なところへガンガン糖質で血糖値を上げていたというわけです。肉魚は週に数回口にするだけで、子供の卵アレルギーを心配して自分も卵を食べない菜食生活でした。

そうこうして1年が経とうとした頃、突然右膝関節がパキパキ鳴り出し、水が溜まり、激痛で動くのも辛いという状態へ。
総コレステロールは低く、中性脂肪は上がりました。当然ですが。

かかりつけの病院で検査の結果異常なし。医師からは簡単な膝のリハビリとサポーターの装着を勧められただけ。外出もしたくないほどの激痛に納得がいかず、あれこれネット上を彷徨っていたところ、ローカーボ&高タンパク食を提唱している医療関係者の方と出会いました。

即日食生活を改め、家から甘い物、果物、料理で使っていたソース類やチキンスープ等の出汁の素、酒、みりんなどすべて廃棄。

糖質を徐々に減らすのではなく断糖したことで、甘い物依存から抜け出すのは比較的楽でした。

ローカーボ&高タンパク食と同時に週1回カイロプラクティックで血のめぐりを良くしていただいたところ、数ヶ月でみるみる激痛が緩和。
炎症の頻度も徐々に開いていきました。

自己流の糖質制限&高タンパク食を半年続けた後、栄養療法の専門医を受診し、現在も栄養療法と食事療法を継続しています。

当時ナチュラルハイジーンやローフードの書籍も色々と読みあさりました。
皮肉にもその頃身につけた調理法や食材の組み合わせはアレンジして一部活用できたりします。
果物やアガベなどの糖類、ココアなどのカフェインなどを省いて、低糖質で高タンパクな食材と合わせてアレンジする感じです。

当時は、便通も体調も良くなると期待して始めたナチュラルハイジーンとローフードでしたが、毎日あった便通はなくなり、体調が良くなるどころか感情の起伏が激しくなり、とにかくお腹が空いて甘い物が欲しくなる。

ある日鏡を見上げると、そこには一気に老けた自分がいました。皺、たるみ、頬はこけ、生気を吸い取られたような顔にショックを受けました。
分子栄養学を知れば、至極当然な結果です。

ナチュラルハイジーンやローフードを全面否定するつもりはありません。ただ、いかなる食事療法であってもそれだけにこだわるのは高リスクであること、自分の消化力や糖代謝、タンパク質をはじめとする栄養素の吸収力などを知らずして食事療法に傾倒することはナンセンスであると身を持って知りました。

この2年間、低糖質&高タンパク食を継続してきましたが、本講座を受講したことにより現在の食生活を今一度見直す余地があると気付かされました。
正直なところ受講を決めた時は、私にとって、我が家にとってバランスの良い食事というものがなんなのか、次第にわからなくなりそうになっていました。

今も試行錯誤しています。

糖質ばかりに目がいき、食物繊維やその他の栄養素を見ずに食材を選んでいました。いまは葉野菜ばかりでなく、ごぼうなどの根菜も少しずつ料理に取り入れている状況です。

栄養が偏らないように、また同じ食材を続けて摂ることでまねく食物アレルギーを考慮して、食材はストイックにならない程度に回しています。しかし、今の食生活も本当のところどこまで適しているのか…。

宮澤先生の『食事編』に目をとおした時、一方だけでなくその対極にある考え方も知った上で検討する先生のお考えに感銘を受け、この経緯を話さずにはいられなくなりました。

いかがでしたか?

この方は低糖質、高タンパクの食事にすることで、成功しています。

非常に素晴らしいのですが、ただ問題があって、それは 「なぜ、自分の調子が良くなったかがわからない」ことです。

「どのような食事がよいのか?」

非常に多くの方からこの質問をいただいています。

永遠のテーマのようなこの質問ですが、私の答えはやはり決まっています。

「適切な問診と検査をしないとわからない」です。

分子栄養学の食事から、ナチュラルハイジーンの食事法にして調子がよくなった方もいます。

その方は、検査をしたら、

・ 卵、乳製品などに対する過剰なアレルギー
・ ヘリコバクタピロリ菌の感染
・ 消化酵素の低下

がみられました。

例えば、

タンパク質の初期消化は胃で行われます。タンパク質の消化酵素ペプシンは胃酸により活性化されます。ヘリコバクターピロリ感染は胃酸分泌量を低下させます。

この方は、卵、乳製品を中止し、タンパク摂取量を減らし、消化酵素を摂取するようにしたら、腹部のぼう満感、関節痛が消失しました。

大事なことは、「今の食事の何が病気を引き起こしていているのかを検証すること」です。

つまり、根本原因を知ることですね!

食事の場合、もう一つ大事なのは「俯瞰力を養う」ことです。

最近、ずっと同じことを言っていますが、大切だからもう一度言います。「反対側から見てみる」ということでです。

例えば、分子栄養学の考え方に固執すると

「 なんでベジタリアンの人はタンパク不足にならないのか? 」

という質問に答えることができません。

なるべく対極の話を理解することです。対極であればあるほど、考え方の幅が広がり、物事を俯瞰視する力が強まるからです。

タンパク質は摂取しなくてはならないのだが、摂取の仕方、し過ぎによっては体に害を及ぼす。この考えを理解することで、タンパク質の使い方が飛躍的に向上します。

「どちらが正しいか」ではなく、多くのバラエティに富んだ考え方を学んで、そこから自分の考えを導き出せるようになるになってくださいね!

次回は、糖尿病に対する究極の食事法との評価もある「糖質制限食」について、お話しします。

糖質制限てどうなのですか?

うつ病=低血糖=糖質制限という罠

tomita · 2019年2月20日 ·

今日は私の犯した痛恨のミスについてお話しします。

10年以上の話だと思います。栄養療法クリニックを始めて間もない頃です。

28歳の女性にうつ病の相談を受けました。

・なにをするにも億劫
・出産後でストレスが強い
・つわりがひどく、あまり食べられない
・朝が起きられない

といった症状です。

原因は低血糖症によるものではないか、ということでクリニックに来院したのです。

低血糖症とは、血糖値の調節異常がある病態のことです。
ブドウ糖は脳のエネルギーの大部分を請け負っています。ですから、血液中のブドウ糖の値が低くなると脳の機能が低下します。

眠くなったり、イライラしたりすることが多く、中にはキレやすくなったり、うつ症状がでたりする人もいます。

来院した女性は、ご自分のことを「低血糖のせいでうつ病の症状が出ているのではないか」と考えていたのです。

血液検査をすると、空腹時の血糖値は68でした。これはあきらかに低血糖症ですね、ということで、私は糖質制限食を指導しました。

食事記録をしてもらい、それをみながら細かく指導を行いました。

その女性は一時的には良くなったが、いまひとつ元気が出ないということで、私は糖質制限の指導を強化しました。

指導に当たって、当時はまだあまり糖質制限ダイエットの本がなかったため、市販の本をいろいろさがしました。

そこで、ある先生の糖質制限ダイエットの本を見て飛びつきました。食事の指導内容が細かく乗っていたからです。その内容に従ってほとんどそのまま食事内容を指導しました。

今思えば、当時は栄養療法を本格的にはじめて2年目で、毎日の様にいろいろな人の相談を受けるようになり、かなり調子に乗っていました。

当時、私は低血糖症というものがあることを知り、勉強をしはじめたばかりでした。

うつ病=低血糖という勘違い

ある本には低血糖症が精神症状を引き起こすと書いてありました。うつ病には「糖質のとりすぎ」がいけないとありました。

また、2005年にマイケルレッサー医師が「脳に効く栄養」の日本語版を出版した記念に来日、講演会を聴講しました。

彼は、この著作の中で、「全ての精神疾患の原因は、低血糖症の海に浮かんでいる」と発表しています。

このような話を聞いているうちに、私の頭の中では、うつ病=低血糖症=糖質制限食が効果的という誤った、しかし初心者が陥りやすい思い込みができてしまっていたのです。

糖質制限を行った結果

1ヶ月後、その女性は体調がかなり悪くなって来院しました。体重が減少し、明らかに飢餓状態です。

血液検査では、180ほどあった総コレステロールの数値が140台に落ちていました。分子栄養医として、初歩的なミスですが、最初なぜ悪化したのかわかりませんでした。

血中のコレステロールは動脈硬化の指標としての意義が知られています。コレステロールの7割は肝臓で合成されますが、その量は体内の自動調節機構で、厳重に管理されています。

卵を10個食べても、血中コレステロールは上昇しないし、逆に少しくらい減量しようとしてダイエットしても簡単には落ちません。(だから、多くの人がコレステロールを下げる薬を投与されているのです)

それなのに、これほど数値が下がるということは、体が飢餓状態を察知して防御体勢に入ったことを意味します。

体は減速モードに入ってエネルギー産生のために筋組織を壊し始めます。この女性は線維筋痛症状がでたり、集中力低下や不眠がでたりしていました。

当時は気がつかなかったのですが、副腎疲労症候群の3期です。

低血糖にも2種類ある

私は治療方針が誤っていたことを伝え、治療方針を転換しました。多くの先生に意見を聞きながら慎重にことをすすめ、事なきを得ましたが、回復するまでにかなりの時間を要してしまいました。。。。

それから、私は数百件の糖負荷試験、副腎皮質ホルモンの試験を行い、低血糖と一言に言っても様々なパターンがあることを学びました。

低血糖症は単に血糖が低いという病気ではありません。血糖値が保てずに乱高下する病気です。

低血糖症には大きく分けて2つのパターンがあります。

1.血糖値を下げる要因が大きいパターン(インスリン過剰分泌)
2.血糖値を保つことができないパターン(肝機能低下、コルチゾール低下など)

原因が違うのですから、当然1と2に対しての治療方針は全く違います。
その見極めをすることが低血糖症治療のポイントです。

現在は、低血糖症についての知識を得られるサイトや書籍もかなり豊富にあります。

しかし、それでも、間違った糖質制限で私の所にくる患者さんはあとを絶ちませんし、栄養療法をやっている先生の中にも、10年前の私と同じ間違いをしている人も少なからずお見受けします。

このような間違いを防ぐコツは、

うつ病 = 低血糖症 = 糖質制限食


と、一律に考えることを捨て、一人ひとりの疾患の根本原因を丁寧に見ていくしかないかな、と思います。

個別の対応が望まれる

確かに、低血糖症ではうつ病の症状を起こすことがある。そういった意味で うつ病=低血糖症 は正しいことが多いです。

また、一部の低血糖症に対して糖質制限食が有効なことも確かです。

「低血糖症が糖質制限食で改善」という内容の事もインターネットではよく見ます。

そういう意味では 低血糖症=糖質制限食 も場合によっては正しい。

しかし、「うつ病=低血糖症」、「低血糖症=糖質制限食」の表面上の意味だけを解釈して、
「うつ病 = 低血糖症 = 糖質制限食」という考えを持っている人が多いのです。

これが、うつ病に対して糖質制限食を行い、悪化している人が多い原因ではないかと考えています。

低血糖症は奥が深いです。糖質制限食の解析の結果、総死亡リスクが優位に増加したという報告もありました。糖質制限食は特に個人別の指導が大切だと思います。

グルテン・フリーにした方がよいですか?

tomita · 2019年2月20日 ·

世間を席巻するグルテンフリー

分子栄養学実践講座をやっていて、食事の質問を非常に多く頂きます。
特に最近多いのは、「グルテン」についてです。

食物アレルギー検査で、グルテンは反応が出なかったし、セリアック病の検査をしたけど、異常なかったそれでも、グルテン・フリーにした方がよいですか?

このような、感じです。

女性誌などでも最近特集されていることが多い「グルテン・フリー」は、小麦に含まれるタンパク成分のグルテンを抜く食事療法のことです。

欧米ではグルテン・フリーが大ブームです。

ドミノ・ピザのメニューにもグルテン・フリーメニューが登場しているし、フィンランドのマクドナルドのバンズにも採用されています。

美と健康にこだわるセレブもグルテンフリーに夢中です。

グルテン・フリーが流行っている理由のひとつは、ダイエットに効果的だからのようです。

「普通に食べていてもグルテンを止めるだけでやせていく!」という内容の記事を多く目にします。

多くの雑誌では、グルテンの問題点として

・腸内で消化不良、炎症を起こす可能性があること、
・麻薬のような中毒性があり、食欲がさらに刺激されること

が挙げられています。

だから、グルテンフリーで無理なく痩せられ、みんな快調!!

素晴らしい話ですが、なんかおかしいです。ちょっと前までは健康にいいとか言って、みんなが喜んでパスタを食べてたような?

パンもパスタもビールも大好きな私としては、なんか納得がいかないのです。
もちろん、グルテン・アレルギーというのもありますが、それだけでは説明しきれません。

そこで、今回は、このグルテンについて、分子栄養学的に考えてみます。

はたして、グルテンを食べてもいいのか、悪いのか?典型的なグルテン不耐症であるセリアック病を通して考察しました。

1.セリアック病、3つの因子

セリアック病は小麦に含まれるグルテンに対する免疫反応が引き金になって起こる自己免疫疾患です。

この患者さんがグルテンを食べ続けると、腸のじゅう毛組織に炎症が生じて、破壊されます。症状としては、激しい腹痛、下痢をおこし、体が痩せ細っていきます。

セリアック病の歴史は大きく3ステップに分けられます。
それぞれのステップがこの病を引き起こす要因を構成しています。

それぞれをご紹介します。

①セリアックの原因がパンと特定された

この病気の原因発見のきっかけは戦争でした。

第二次大戦中にオランダが穀物不足に陥ったときにセリアック病の子供の死亡率が劇的に下がりました。

それでパンがセリアック病の原因と特定されたのです。

その後、小麦に含まれるタンパク質のグルテンに焦点が絞られるようになりました。

②抗体、遺伝子が発見された

セリアック病の患者さんには、抗トランスグルタミナーゼ抗体ができやすく、HLAの遺伝子異常があることがわかりました。
この2つがあると、免疫異常をおこして自分を攻撃するリンパ球を作りやすくなります。

抗体と遺伝子の発見により、セリアック病は血液検査で診断できるようになりました。それを使った大規模な検査が行われた結果、セリアック病の有病率は世界的に130人に1人ということがわかったのです。

また、全員が激しい下痢をするのではなく、腸の吸収不良が起きて貧血や骨粗鬆症のような症状が出ている人が多いことがわかりました。

え?そんなに少ないんだと思った方もいらっしゃるでしょう。

しかし実際、私の周囲では、グルテン・フリーにした人の3人に1人は調子がよくなっています。

これはどういうことなのでしょうか。
おそらく、セリアック病の3番目の原因が関係しているのではないかと考えられます。

③タイトジャンクションを開くタンパクが発見された

腸の粘膜上皮の細胞と細胞の間はタイトジャンクションという強固なたんぱく質が隙間を埋めており、これが不必要な有害菌、抗原となるタンパク質などが体内に入るのを防いでいます。

しかし、メリーランド大学のファサーノ教授らが、このタイトジャンクションを開いて、腸粘膜細胞の間を物がすり抜けられるようにしてしまうタンパク質を発見しました。

これを「ゾヌリン」といいます。

セリアック病では遺伝的にグルテンが「ゾヌリン」タンパクの分泌を促すことがわかっています。

現在、セリアック病は、①食事 ②炎症を起こしやすい遺伝子 ③腸の粘膜透過性の3つがそろって初めて発症するとされています。

2.他の自己免疫疾患も同様の機序がある

セリアック病は、グルテンによって自己の免疫が活性化され、腸の粘膜を破壊してしまう病気です。
このような自己の免疫が自分を攻撃する病気を自己免疫疾患といいます。

セリアック病の研究が進むにつれ、ほかの自己免疫疾患にも重大な発見がありました。

それは、「1型糖尿病」も「多発性硬化症」も「関節リウマチ」も「クローン病」も腸管粘膜透過性亢進が見られるという共通点があったのです。

つまり、セリアック病同様、「ゾヌリン」たんぱくの濃度が上昇していたのです。

さらに、一部の疾患(1型糖尿病、橋本病患者など)に対してグルテンフリーダイエット治療に対する反応性がよいことも報告されています。Curr Allergy Asthma Rep (2013) 13:347–353

つまり、これらを総合してみると、
「グルテン ⇒ ゾヌリン ⇒ 腸のバリア破壊」は、セリアックに限らない多くの自己免疫疾患に共通したメカニズムである可能性があります。

3.グルテンの重要性

セリアック病のは病態の発生に関して、グルテンが「タイト・ジャンクションを開く」「免疫を活性化する」という2つの異なる役割を果たしています。

1で出てきた、1食事 2炎症を起こしやすい遺伝子 3腸の粘膜透過性のうち、1と3にかかわっています。

だから、セリアック病かどうかにかかわらず、自己免疫の要素がある人は、グルテンを止めることで大きな効果を得ることができるのです。

やはり、グルテン・フリーは王道なのでしょうか。

4.セリアック病の疑問

ここで、一つ疑問があります。

食物と遺伝的要因、体質が原因だとしたら、なぜ、子供の時からパンを食べていても発病せず、大人になってからセリアック病を発病する人がいるのか?

どうやら、腸内細菌が発病を抑えているのではないかというのが、前出のファサーノ教授の考えです。

腸内細菌バランスが、遺伝子の活性化のタイミングに影響を及ぼしている可能性があります。

腸内環境が変わることによって免疫関連遺伝子が活性化し、ある時期からグルテンに過敏反応を示すようになるのかもしれません。

5.腸内細菌の重要性

腸内細菌は遺伝子を左右し、腸のタイト・ジャンクションを保護します。

腸内細菌は、3つの要因(1食事 2炎症を起こしやすい遺伝子 3腸の粘膜透過性)のうち、1と3にかかわっています。

3つの要因のどれか一つでもなくなれば発症を抑制できるなら、グルテンをなくすか、腸内細菌を変えるかの2つの選択肢がありそうです。

グルテンを完全に除去できる人は問題ないですが、私の周囲の人を見ているとそうでもないような気がします。

個人的には、腸内環境検査を行い、その状況に応じてケアを行うことで、食べられるものの自由度を上げたいところです。

さらに言えば、これは、自己免疫疾患を診断された人だけにはとどまりません。

ストレスや、環境ホルモン、重金属や農薬をはじめとする化学物質で、免疫がかく乱され、免疫過剰反応状態にある人が非常に増えています。

これが、多くの人がグルテン・フリーにすると調子が良い原因だと思われます。

これらに対処するには、単に食物を制限するだけでなく、免疫過剰状態、腸内環境の悪化の根本原因をさぐり、それに対してのアプローチがかかせません。

糖質制限に対するご意見、頂きました

tomita · 2019年2月20日 ·

前回の糖質制限の回ですが、様々なご感想を頂きました。

https://orthomolecularmedicine.tokyo/basic/lowcarb1

本当にありがとうございます。一部をご紹介させて頂きます。

今日の内容、ぜひとも感想をと思い、メールさせて頂きます。

私は糖質制限を知る前に、高炭水化物(白米中心)のことを知っていて、10年くらいその生活で体調もよかった経験があります。

ところがその後、パンのお取り寄せにはまり、食事は崩れて行きました。
それで残念ながら体調を崩し、糖質制限を知り、今に至ります。

糖質制限をする直前の血糖値測定では、白米200gで食後1時間180くらいでした。

ところが、糖質制限をしばらく続けた後、血糖値はとても上がりやすくなりました。
白菜やキャベツをたっぷりたべただけで、150くらいまで上がるようになったの
です。
糖質1gに大して6mg/dlほど上がるのです。

そして糖質制限をしてから、走ったり階段を上がったりする時に、筋肉がうまく
動かないことを感じました。
カロリー摂取はむしろ以前よりたくさん摂っているにもかかわらず。なぜか頭~肩~背中が凝るようにもなりました。
眠気はなくても一日中だるい感じ。
栄養療法を開始しても問題は解消しませんでした。

米から得られるエネルギーはとても大切なものだったのかと改めて思っています。
以前のようにしっかり白米を食べようかと、今迷っています。

今回の糖質制限と以前のビタミンCの回は(他の回も自分の考えに自信をつけさせてくれる内容です)大変参考になりました。自分自身が糖質制限を言い出して実践したのは去年の1月くらいからでした。某大手サプリメント会社のセミナーの影響もあってこれが正しいと思い込んでいました。

転機が訪れたのは去年の9月、日曜朝にやっている三宅裕司の健康番組で香川県民は糖尿病ワースト3に入っている・・・うどんのせい、早食い、野菜を摂らない、自動車での移動が多くなった。ここではっと思ったのが自動車での移動だったのです。

江戸時代からうどんは食べ続けていただろうし、変わったと言えば移動手段、油、肉、砂糖の方だろうと。

米だったら運動して筋肉つけてうまく消化してグリコーゲンとして貯めればそんなに問題ないんじゃないかと思っていました。

しかし当時は自分の考えに自信がなくて糖質制限しか頭をよぎりませんでした。

某大手サプリメント会社はカボチャ、ニンジンまで否定していてここでこの会社への不信感が出始めたのですが・・・

と同時にアマルガムを始めとする重金属、腸内環境、フードアレルギーの重要さを実感しました。

より確信に近づいたのがブログでも書いたのですが最近NHKで放送された生命誕生以来糖は利用されていたという内容。

そして今回の宮澤先生のメルマガの内容で20000%の自信を持って患者へ説明できます。
1に運動2に食事34がなくて5にサプリ(点滴も)

その裏で足を引っ張っているのが重金属であり腸内環境であり、フードアレルギーであると。つるっつるの白米はあまりお勧めできないけど出来れば7分付を食べて運動してね。と言えるようになりました。

これからも目から鱗の発信を期待しております。(サプリメントを売ろうとするなみたいな内容など自分の栄養療法に対する悩みに対してしっかり発信しているところがすごいと思います)

ありがとうございました。

以上、お二人の方をご紹介させていただきました。

いろいろなご意見を頂きますが、思うのは、「答えは一つではない」ということですね。

人というものが、こんなにも個体差を持つものなのだという事を、今更ながらに思い知らされます。

炭水化物、特に米は非常にエネルギー効率のよいサプリメントのような存在です。
白米は絶対悪だという考えもあるようですが、要は使い方だと思います。

食事直後に運動しなくてはならない場合、エネルギー転換が早く、糖質をすばやく筋肉に補給してくれる白米は非常に重宝されるはずです。

たんぱく質と同じく、エネルギー量もINとOUTが同じになることが健康だとすれば、糖質の摂取するべき量は筋肉量x運動量で決まるのでしょう。

そのルールを守らないと糖尿病というわけです。

再度の繰り返しになりますが、人の許容範囲は広いです。

糖新生が保たれている状況では、脳を含む全身の代謝をケトンエネルギーでまかなうこともできるし、一方で過酷なトレーニングを効率のよいエネルギー源を用いてまわしていく事もできます。

我々栄養処方のプロフェッショナルは、その多様性、個体差を理解して、極端な意見の押し付けにならないような栄養指導をしていかなくてはなりませんね。

この講座は皆様のご意見で成り立っています。
引き続き、ご意見、ご批判、ご質問などお待ちしております。

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