
私は高濃度ビタミンC点滴療法学会の理事をしているのですが、事務局に時々このような質問が時々来ることがあります。
もちろん、学会が決めることではないので、直接のご返答は行っていませんが、そのように質問してくる方はどうも、患者さんに「高い」といわれるのを恐れているような、そんな感じがあります。
しかし、このブログをご覧になって頂いている方はクリニックの院長の先生方が多いので、今日は私が考える値段の決め方についてお話します。
東京にはにんにく注射500円のクリニックがあります。
500円でやっていけるなんてすごい!!と思い、一度中に入ってみたことがあります。
そのクリニック受付には常に十数人の人が並んで待って、何十分待ちですというモニターが置かれていました。
私は待つのが嫌いなので、結局受けませんでした。
さすがに高濃度ビタミンCは500円ではできませんが、25gで5000円くらいでやっているクリニックは最近多いようです。
私が知っている限り1回あたりのビタミンC点滴で高いところは25gで35000円です。
5000円と35000円
7倍の差です。
しかし、35000円のクリニックで点滴を受ける患者さんも確実に存在します。
人は価値のあるものにお金を払う
ですから、そのクリニックで受ける点滴に35000円以上の価値があると思えば、喜んでお金を支払ってくれます。
50000円にしてもよいと思います。
5000円のクリニックでも35000円のクリニックでも、支払うお金の価値以上に点滴に価値を見出してくれれば、患者さんはきてくれます。
「物の価格というのは相対的なもの」なのですね。
患者さんに「高い」と言われたら、それは絶対的な価格が高いのではなく、患者さんが得られる価値に対して相対的に値段が高いということを意味しています。
同じ点滴でも5000円でも高いと感じられる場合もあれば、35000円でも安いと感じられる場合もあるということです。
日本人は特に、お金をもらうことに対しての罪悪感があると思います。
値上げは暴利、値下げする事が正義。
でも、私は違うと思います。
値段は相対的なものなので、得られるものに対して値段が不釣合いに高いことが問題なのです。
絶対的な値段が高くても、得られるものがそれ以上に高ければ、それは「安い」ということになります。
クリニックにとって利益とは血液の様なものです。循環する血液がなければクリニックはやっていけません。
私は十分に利益を取り、いかにその利益でよいサービスを提供するかを考えます。
自分の提供できる価値以上の値段はつけられません。
だから、いかに値上げできるかを考えることは、いかにいい価値やサービスを提供できるかを考えることです。
「高いですね」と言われたら、値引きをするのではなく、自分の提供しているものの価値をあげるように努力しなくてはなりません。