「分子栄養学」という言葉が最近になり、にわかに認知されてきました。
今月(2014年5月号)の日経ヘルスはなんと、「分子栄養学の最新検査ガイド」という特集が組まれています!
10年前に冷たい視線を感じながらやっていたあの頃とは明らかに空気が違いますね。
テレビなどでも何度か取り上げられたようで、「副腎疲労」という言葉の認知度もかなりあがったようです。
数年前には月に1回だった、副腎疲労のお問い合わせ、今では毎日頂くようになりました。
私も栄養外来で忙しくさせて頂く様になり、複雑な気分です。
もくじ
お問い合わせパターン
さて、お問い合わせを頂く方のうち、ほとんどの方は自分でサプリメント治療をはじめているか、他の栄養療法クリニックにかかっています。
問い合わせの内容は様々ですが、最近多いのは次の2つです。
問い合わせパターンA
ずっとうつで悩んでおり、病院に通っても改善しなかった。
最近、「副腎疲労」(低血糖の場合もあり)という言葉を知ったが、自分の症状に全くあてはまっており、これだ!と思った。
問い合わせパターンB
副腎疲労を知って、サプリをあれこれ試したり、いろいろなクリニックにいって足りない栄養素を調べて処方を受けたりしているが、治りが今一つです。
問い合わせ後に、一部の方は当院で治療を受けることになります。
様々な方法を試した結果、まだ正確に統計をとっていないのですが、今は効果を実感できる方が9割位まで上がってきていると思います。
良くなっていく人のパターン
もちろん、治療効果も差があり、原疾患の重症度にもよるのですが、
「よくなっていく人のパターン」というのがあることに最近気づきました。
軽快する人のパターン1
効果を実感できる方。
当然のことながら、治療のモチベーションが続きます。
軽快する人のパターン2
勉強熱心な方です。
自分の症状と検査結果をリンクさせて理解し、多くの情報を処理し、自分がどうするべきかをわかっています。
当初、効果が実感できなくとも、自分が向かうべき道をわかっているので治療のモチベーションが続きます。
重症でも、勉強熱心なら改善しやすい
問い合わせパターンBの人は、比較的様々な要因が重なり合った、重症の方が多いです。
それでも、よくなっていく人は、軽快パターン2に当てはまる人です。
栄養療法は、重症で、複雑な要因が重なり合っている人ほど軽快に時間がかかります。
(特に隠れた感染症と重金属の蓄積の治療には半年~数年かかることがあります。)
それでも、知識に裏付けられた自信がある人は、わずかな光を頼りに、細い道を進んでいけるんですね。
「栄養療法でよくなる人を多くするために必要なのは、比較的複雑な病態を抱える問い合わせパターンBの人が軽快パターン2の状態になっていくことである」
今回も非常に理屈っぽい結論になりましたが、わからない人は読み返してみてください。
p.s.
栄養不良、ホルモンバランス、カンジタ感染、重金属蓄積など重なり合う複雑な根本原因をどうと
らえて、どう治療するかをテーマに勉強会やっています。
もともとは治療家の方を対象にしていたのですが、今は多くの「勉強したい患者さん」にもご参加頂いています。
上記のことを踏まえても、うれしい限りでして、今後も、重症度に負けず、「軽快パターン2」の方を増やす活動を続けていきたいと思います。
勉強会はテキスト・ビデオ配信版も作りましたので、「疾患の根本をとらえて、そこにアプローチする方法」に興味がある人はぜひご覧ください。
[btn href=”https://orthomolecularsociety.teachable.com/p/jissen/” class=”flat2″]分子栄養学実践講座web版実践編[/btn]
p.p.s.
今日いらっしゃった副腎疲労の患者さんも改善までに1年半かかりましたが、
「初めて来た時とは雲泥の差です!その時はこの病院にくるのもやっとのことでした。来週からヨーロッパ旅行に行きます!」
と言われて、元気になり、この記事を書きました。
[box class=”box17″]モチベーションを支えるのは正しい知識と知恵である[/box]