
こんな質問を頂きましたので、今回は毛髪からの排泄量と水銀中毒の関係について考えてみます。
国立水俣病総合研究センターでは、このような資料を出して、多くの人に毛髪検査を呼びかけています。

この図では、日本人男性の平均値が2.5ppm、女性が1.6ppm、胎児影響が疑われる母親の最小値が11ppm、成人で神経症状が疑われる最小値が50ppmになっています。
これで見ると、毛髪中の水銀量が高いほど重症という印象を受けますね。
「毛髪中の水銀量が高いほど、水銀中毒も重症である」
一元的にこのように考えてよいのでしょうか?
毛髪から水銀を排泄できない子供こそ重症
自閉症と毛髪中の水銀蓄積量の関係を調べた論文があります。自閉症とそうでない子供の毛髪中の水銀レベルを見たものです。
それによると、結果はなんと、自閉症の子供の毛髪からの排泄はそうでない子供に比べて明らかに少なかったのです。
しかも、毛髪の水銀レベルが低いほど、自閉症が重症だとわかりました。
これからわかることは、毛髪は水銀の排泄器官だということです。排泄が出来ない子供ほど、水銀がたまって症状が出ているわけです。
ですから、毛髪検査では、2つの事を読み取らなければなりません。
1 水銀の排泄能力
2 水銀の蓄積量
1が正常でも大量の水銀が体内に入ってきている場合は2が増えて水銀中毒になります。(水俣病パターン)
1に異常があれば、、水銀の暴露が決して多くなくとも2が多くなり、水銀中毒になります。(発達障害に多く見られるパターン)
水銀関係の事故が起きない限り、圧倒的に多いのは後者のパターンです。
水銀の排泄能力がない人が水銀中毒に苦しんでいるのです。
〈毛髪から水銀がたくさん出ている人〉
毛髪から水銀がたくさん出ている人は、排泄量が多いほど暴露量も多いということです。
暴露源をみつけて、侵入経路をシャットアウトしてください。
症状により、デトックス治療を検討してください。
〈毛髪から水銀が出ていない人〉
毛髪から水銀が出ていない人は、水銀排泄障害の可能性があります。
症状とあわせて考え、デトックス治療を検討してください。
一般的に治療も長期間かかることが予想されます。
毛髪検査の結果だけで全てを決めることはできません。
- どのくらいの排泄量だったら、どうするのか。
- 今あるどの症状が重金属と関連しているのか。
- 他にどのような検査をするのか。
この答えは、この場ではかけません。
なぜなら、一人ひとり対応はまったく異なるからです。