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臨床分子栄養医学研究会

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分子栄養学とは

分子栄養学(オーソモレキュラー栄養学)は、ギリシャ語の「正しい(ortho)」と「分子(molecular)」を組み合わせた言葉に由来します。この概念は、1968年にノーベル賞受賞者のライナス・ポーリング博士が提唱し、「体内に元から存在する物質の濃度を変化させることで健康を維持し病気を治療する」という考え方です。

分子栄養学の根幹には「人は進化の結果、適切な栄養がないと生きられなくなった」という認識があります。私たちの体は、ビタミン、必須アミノ酸、必須脂肪酸などを自ら十分に作ることができず、外部からの摂取が不可欠です。これらの栄養素を適切な量で摂取することで、細胞レベルでの健康を実現し、様々な不調を改善することを目指します。

一般の栄養学との違い

分子栄養学には3つの重要な原則があります:

  1. 根本原因を見つける:症状ではなく、その根底にある原因を特定します
  2. 生化学要素を考慮する:個人の生化学的特性に基づいて栄養状態を評価します
  3. 適切な量の栄養素を摂る:最低必要量ではなく、目的に応じた最適量を摂取します

このように栄養療法は、単に栄養素の不足を補うだけでなく、体のシステム全体を最適化するアプローチとして発展しているため、一般的な栄養学といくつかの重要な違いがあります:

比較ポイント一般栄養学分子栄養学
目的主に栄養素の欠乏症を防ぐことを目的とし、最低限必要な栄養素量(推奨摂取量・RDA)を設定欠乏症の予防だけでなく、最適な健康状態の実現を目指し、症状や目的に応じた最適量を重視
アプローチ年齢や性別に基づいた平均的な栄養摂取基準を適用個々の生活習慣、体質、遺伝的背景を考慮し、個別化されたアプローチを採用
栄養素の捉え方栄養素ごとの最低必要量を設定(例:ビタミンCの推奨量は壊血病を防ぐための量)目的によって必要量が変わると考える(例:ビタミンCは壊血病予防には100mg程度でよいが、風邪対策には1〜9g、がん治療では数十グラムが必要)
診断・評価方法標準的な健康診断や栄養摂取調査詳細な血液検査、毛髪ミネラル検査、唾液検査、有機酸検査など多角的な評価

分子栄養学では「ある人の栄養はある人の毒になる」という個体差の考え方を重視します。例えば、同じビタミンB群のサプリメントでも、メチレーションのタイプによっては効果が出ない場合や、逆に症状が悪化することもあるため、個人の特性を踏まえた栄養アプローチが必要と考えます。

細胞レベルで健康を整える

分子栄養学では、健康の基本単位を細胞と考え、細胞の機能を最適化することが全身の健康につながると考えます。人体は約37兆個の細胞から成り立っており、各細胞には様々な小器官があります。

ミトコンドリア:エネルギー生産の中心

ミトコンドリアは「細胞のエネルギー工場」とも呼ばれ、私たちの体重の約10%を占めています。ATP(アデノシン三リン酸)という形でエネルギーを産生し、体の全ての活動を支えています。

ミトコンドリアの機能を高めるには以下の栄養素が重要です:

  • ビタミンB群:エネルギー代謝に必須
  • CoQ10:電子伝達系の重要な成分
  • マグネシウム:ATP合成に必要
  • 抗酸化物質:ミトコンドリアは活性酸素を発生させやすいため保護が必要

「疲れやすい」という症状は、「細胞のミトコンドリアの働きが悪い」ということを意味します。慢性疲労症候群や長引くコロナ後遺症などでは、ミトコンドリア機能の低下が見られることが研究で示されています。

細胞膜:細胞の境界と情報伝達

細胞膜は脂質二重層からなり、細胞の形と機能を保つために重要です。脂質は3つの重要な役割を持ちます:

  1. エネルギー源になる
  2. 細胞膜を構成する
  3. 生理活性物質(ホルモンなど)になる

特に細胞膜の脂肪酸バランスは重要で、オメガ3とオメガ6のバランスが炎症反応を左右します。理想的な比率は3:1ですが、現代人は20:1以上となっていることが多く、これが慢性炎症を引き起こす一因となっています。

核とDNA:遺伝情報の制御センター

核にはDNAが格納されており、栄養素がその発現に影響します。DNAは直接変わらなくても、メチル基やアセチル基の添加によりその読み取りが調整されます(エピジェネティクス)。

例えば、低メチレーションと高メチレーションのタイプによって、うつ病の症状やサプリメントの効き方が異なります。血液検査の好塩基球数などから、このタイプを判断することができます。

小胞体:タンパク質の工場と倉庫

小胞体はタンパク質の合成と折りたたみを行う場所です。過剰な酸化ストレスや炎症により、タンパク質の折りたたみがうまくいかなくなる「小胞体ストレス」が起こると、様々な機能障害が生じます。

このように、細胞内の小器官それぞれの機能を最適化することが、分子栄養学における「細胞レベルでの健康」の考え方です。

基本的な実践方法 – 血液検査の読み方とサプリの使い方

血液検査の読み方

分子栄養学では、一般的な血液検査の結果を通常の医療とは少し異なる視点で解釈します。

AST・ALT(肝機能):

  • AST>ALTの場合、ビタミンB6不足を示唆
  • ビタミンB6はセロトニン、GABA、ドーパミンの生成に関わるため、精神状態にも影響

LDL・HDL(コレステロール):

  • 分子栄養学ではLDLが100以上あることが望ましい
  • 低すぎる場合、ステロイドホルモンや胆汁酸の材料不足、細胞膜の脆弱化を示唆

中性脂肪:

  • 低すぎる値も問題(80以下)
  • 副腎疲労でアドレナリンが出やすくなると、脂肪分解が促進され低値になる

白血球分画:

  • 好中球の割合が65%以上なら精神的緊張が強いことを示唆
  • 好塩基球数から低メチレーション/高メチレーションを判断(30以下なら高メチレーション、70以上なら低メチレーション)

間接ビリルビン:

  • 0.6以上なら溶血状態、酸化ストレスが強いことを示唆

鉄・フェリチン:

  • フェリチン値が20以下だと潜在性鉄欠乏を示唆(まだヘモグロビンが低下していなくても症状が出る)
  • フェリチン値が100以上だと慢性炎症を示唆

サプリメントを効かせる5つの法則

  1. ドーズレスポンスを理解する(目的別に最適な量を摂る):
    • 目的によって必要量が変わる(例:ビタミンC、ビタミンD)
    • 壊血病予防、風邪予防、がん治療では必要量が大きく異なる
  2. 個体差を考える(ある人の栄養はある人の毒):
    • メチレーションのタイプによってB群の効き方が異なる
    • 銅・亜鉛バランスによって精神状態が影響される
  3. 足りなくなる原因を探す(遺伝、競合、消耗、拮抗):
    • 単に補充するだけでなく、なぜ不足しているかを特定
    • 例:ストレスによるマグネシウムの消耗、炎症による鉄の利用障害
  4. 改善したい場所に元から存在する栄養素を摂る:
    • 例:副腎にはビタミンCが多く存在するため、副腎疲労にはビタミンCが効果的
    • 脳にはDHAが多いため、認知機能にはDHAが有効
  5. 信頼できるサプリメントを使う:
    • 適切な形態(キレート化ミネラル、活性型ビタミンなど)
    • 十分な量が含まれているもの
    • 不要な添加物が少ないもの

効果的な症状と状態

分子栄養学は例えば以下のような症状や状態に特に効果的です:

慢性疲労・副腎疲労

副腎疲労は、ストレスを処理する副腎の機能が低下した状態です。症状として:

  • 朝起きられない、寝ても疲れが取れない
  • 立ちくらみがある、糖質や塩分を欲する
  • 動悸や冷や汗が出る、神経過敏
  • イライラ、不安、集中力低下

アプローチ:

  • 血糖コントロール(適切なタイミングでの補食)
  • 副腎サポートサプリ(ビタミンC、アダプトゲンハーブなど)
  • ミトコンドリアサポート(CoQ10、マグネシウムなど)
  • 消化・吸収のサポート

精神的な不安定・うつ状態

分子栄養学では、うつ病も以下のような生化学的不均衡のパターンに分類:

  • 低メチレーションタイプ(38%):SAMe、メチオニン補給が有効
  • 葉酸欠乏タイプ(20%):葉酸、ナイアシン補給が有効
  • 銅過剰タイプ(17%):亜鉛補給が有効
  • ピロール異常タイプ(15%):ビタミンB6、亜鉛補給が有効
  • 重金属タイプ(5%):デトックスアプローチが有効

これらのタイプによって必要な栄養素やアプローチが異なります。間違ったタイプのサプリメントを摂ると、症状が悪化することもあります。

腸内環境の問題

腸内環境の悪化は3つのステージで進行します:

  1. ディスバイオーシス(腸内細菌バランスの崩れ)
  2. 腸管以外の臓器への影響(胃酸低下、消化酵素低下、炎症など)
  3. 免疫低下、悪性菌の過剰増殖

アプローチ:

  • 「4R」プロトコル:Remove(除去)、Replace(置換)、Reinnoculate(再接種)、Regenerate(再生)
  • 腸粘膜の修復(グルタミン、亜鉛など)
  • プロバイオティクス、必要に応じた抗真菌アプローチ

ホルモンバランスの乱れ

女性の問題(PMS、生理痛、更年期症状など)も、以下のアプローチで改善することが多い:

  1. 副腎・ホルモン・神経・エネルギー系のサポート
  2. 消化管の環境改善・必要に応じた除菌
  3. デトックス(内分泌かく乱物質の排泄サポート)

なぜ一般病院では異常なしと言われた状態に効果があるのか

一般的な医療と分子栄養学では、「正常値」と「最適値」の考え方に違いがあります:

正常値と最適値の違い

  • 一般医療の正常値:統計的に多くの人が含まれる範囲(例:基準値はヘモグロビン12以上)
  • 分子栄養学の最適値:機能を最適化する値(例:ヘモグロビン13以上が理想的)

顕在化していない問題の発見

  • 一般検査では「異常なし」でも、詳細な検査や解釈により初期段階の不均衡を発見
  • 例:血糖値が正常でも、インスリンが高ければインスリン抵抗性の初期段階かもしれない

未病の段階からのアプローチ

分子栄養学は「未病」の段階、つまり病気と診断されるほどではないが、何らかの不調がある状態にアプローチします:

  • 病気の診断基準に達していない軽度の機能低下
  • 複数の検査値が基準範囲内だが境界線上にある状態
  • 症状はあるが検査で特定できない不調

システム回復の重視

現代医療は「治療」(例:傷の縫合、炎症を止める薬)を重視しますが、分子栄養学は「治癒システム」(組織の修復、免疫機能など)を活性化させることを重視します:

  • 栄養素は治癒システムの材料となる
  • 炎症、デトックス、組織修復などのプロセスには特定の栄養素が必要
  • 栄養不足があると治癒システムが十分に機能しない

血液検査を用いた分子栄養学の欠点 – 根本原因がわからないこと

分子栄養学にも限界があります。特に血液検査だけでは見えない部分があります:

血液検査の限界

  • 血液検査だけでは、腸内環境や重金属蓄積などの根本原因を直接評価できない
  • ホメオスタシス(恒常性維持機能)が強く働くミネラルは、血液値が正常でも組織レベルでは不足していることがある
  • 血液値の変化は、問題が相当進行してから現れることが多い

根本原因を特定するための補完的検査

分子栄養学では血液検査に加えて以下の検査を活用します:

  • 毛髪ミネラル検査:ミネラルバランス、重金属蓄積、副腎機能の評価
  • 有機酸検査(尿):代謝状態、ミトコンドリア機能、腸内環境の評価
  • 腸内環境検査(便):腸内細菌バランス、感染症、消化機能の評価
  • 唾液コルチゾール検査:日内変動を含めた副腎機能評価

根本原因の多層性

多くの慢性的な健康問題は、単一の原因ではなく、複数の要因が絡み合っています:

  • 食事要因(栄養不足、炎症性食品)
  • 環境要因(重金属、化学物質、カビ毒)
  • 感染要因(腸内の有害微生物、ピロリ菌など)
  • ストレス要因(精神的・肉体的ストレス)
  • 生活習慣要因(睡眠不足、運動不足)
  • 遺伝的要因(SNPs:一塩基多型)

アプローチの順序性

分子栄養学では、問題が発生した順序と逆の順序で対処することが重要とされています:

  1. 副腎・ホルモン・神経・エネルギー系のサポート
  2. 腸内環境の改善
  3. デトックスのサポート

この順序を無視すると、例えばデトックスを先に行った場合に、解毒能力が十分でないためダイオフ(好転反応)が強く出るなどの問題が生じることがあります。

まとめ

分子栄養学は、栄養素の単なる補充を超えて、体のシステム全体を最適化するアプローチです。一般的な医療では「異常なし」と言われるような「未病」の段階から、細胞レベルでの健康を目指します。

3つの原則(根本原因を見つける、生化学要素を考慮する、適切な量の栄養素を摂る)に基づき、個人に合わせた栄養プログラムを提供します。血液検査だけでなく、様々な検査を組み合わせることで、より全体的な健康状態の評価と改善を目指しています。

分子栄養学的アプローチは、慢性疲労、精神的不安定、腸内環境の問題、ホルモンバランスの乱れなど、現代人が抱える様々な不調に対して新たな視点と解決策を提供するものです。

ただし、分子栄養学はあくまでも医療を補完するものであり、重篤な症状がある場合は適切な医療機関での診断・治療を受けることが大切です。

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