なぜ人類はビタミンCの合成能力を失ったのか?

ストレスに対抗するビタミンCを作れない人間

ビタミンCは人間が体内で合成することができないため、外界から摂取しなくてはならない栄養素のひとつです。

ほとんどの哺乳類はグルコースからビタミンCを合成することができますが、人間をはじめとする霊長類と、モルモットはビタミンCの合成ができません。

これはビタミンC生合成過程の最終段階で働く酵素であるL-グロノラクトンオキシダーゼが人では欠損しているからです。

なぜビタミンCの合成能力を失ったのか

なぜ、人はビタミンCの合成能力を失ってしまったのでしょうか。

ビタミンCは副腎がアドレナリンやコルチゾールなどのホルモンを産生するときの原料になります。

そのためか、副腎における濃度が体内で一番高く、血中濃度の150倍にもなります。

コルチゾールは強力な抗炎症、抗ストレス作用をもちますので、ビタミンCはこれらの能力に密接に関わると考えられます。

なぜ人類はビタミンC合成能を失ったのか本当の原因はいまだ持って不明です。

脳を守るため?

しかし、分子栄養学の創始者でありビタミンC研究の第一人者であったライナス・ポーリング博士は「人類がビタミンC合成能を失ったのは脳を守るためだ」と言っていたそうです。

ライナス・ポーリング博士はいつも突然、「ビタミンCはがんに効く」等と発言し、その理由は言わなかった(というか、天才すぎて、だれも彼の言うことを理解できなかった)そうです。

ビタミンCががん細胞を殺傷する事は、2005年に米国国立衛生研究所によって証明されましたが、なぜ、人がビタミンCを作れなくなったのかは未だに謎です。

この「脳を守る」というのはどういう意味なのでしょうか?

ビタミンC合成能がない霊長類の脳の特徴のひとつは脳重量です。

体重あたりの脳重量は霊長類全体がほかの哺乳類にくらべて大きいのです。

人類は社会生活に適応するために脳容量が大きくなり、そのため脳の唯一のエネルギー源であるブドウ糖の需要量も増加しました。

ストレスと低血糖、究極の選択

ところが、一方でブドウ糖はビタミンCの原料でもあるのです。

ブドウ糖にLグロノラクトンオキシダーゼが働くとビタミンCが合成されます。

ビタミンC合成需要が急激に高まった場合、当然ブドウ糖は激しく消費されるでしょう。

血糖が低下するかどうかは定かではありませんし、他の動物がビタミンC需要が高まったときに低血糖になるという報告はありません。

しかし、脳機能維持にブドウ糖が重要な役目を持つことは事実ですし、脳が大きい霊長類ではその需要は相当なものです。

ですから、2500万年前の人類の遺伝子は社会生活適応の脳機能維持のためにブドウ糖を温存すべきか、社会生活でのストレス解消のためにビタミンC合成能を保つのかの苦渋の選択をせまられたのではないでしょうか。

結局、果実などビタミンCが外界から用意に摂取できる環境が整っていたヒトを含む一部の霊長類は、社会生活で受けるストレスや病気などよりも、大きくなった脳を守るために体内の糖を維持する方に進化したのでしょう。

そうそう、霊長類のもう一つの大きな特徴は、「社会がつくられ、ランク付けがされる」ということです。

お互いに個々を認識し、ランク付けしあうという複雑な社会生活においては、脳機能低下はストレスよりも深刻なダメージを負う可能性も高いと思われます。

脳機能(理性や意志)の低下、それは社会の中での順位の下落に直結することなのです。

猿も人間もそういうところは一緒ですね!

社会生活の中で、自分のランクを上げるために脳機能を維持することを選択した霊長類は、ビタミンC欠乏で副腎疲労を起こし、ストレスを受けるという宿命を負っているのです。

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