
治療の順番の重要性についてですが、なぜこの通りにやらなければならないかというと、脳は様々な影響を受けやすいからです。
色々なことを全部治して、それから治療に入らないと、脳機能はすごくブレるのです。
副腎疲労の人を治療していくと、だんだんと性格が変わっていきます。
実はものすごく行動的な人だったはずが、副腎疲労のせいでその行動力がマスクされていることはよくあります。治ってくると、だんだん人格が変わったように元気になって、躁病のようになってしまうこともあります。
ですから、治療開始時のサプリメントと、副腎が回復されてきた時のサプリメントでは処方を少し変えなければなりません。
脳は、重量あたり最もエネルギーを使う臓器です。
ですから、脳にアプローチする前に、必ずミトコンドリアをある程度動かしておく必要があります。
もくじ
低血糖
低血糖対策はとても大事です。
これは血糖曲線です。これは糖負荷試験といって空腹時にブドウ糖を75g飲んで、血糖値とインスリンの量を測る検査ですが、普通の人は血糖値が緩やかに上って下がります。
しかし、この方は急激に130まで上がって、急激に57まで下がっています。ジェットコースターのようですね。下がった時に、イライラしたり眠くなったりします。これを低血糖症と言います。
エネルギーレベルがめちゃくちゃになって、脳にかなり影響します。
ですから、エネルギーレベルを平坦化して、落ち着かせてから脳にアプローチしないといけません。
低血糖症はもともとは副腎疲労が原因で起きます。副腎はコルチゾールを出して、血糖値を保ってくれる働きをしています。
副腎疲労がある人は、きちんとエネルギーが供給できません。ですから、ミトコンドリア対策をする前に、ホルモンの方を根本的にやるということです。
性ホルモンより副腎ホルモンのケア
ホルモンの中にもヒエラルキーがありましたね。
性ホルモンよりも副腎ホルモンを先に治療するのには理由があります。
コレステロールからホルモンができるんですが、コルチゾールと性ホルモン、両方ともコレステロールからできます。
コルチゾールが少なくなる副腎疲労の段階になると、コレステロールの多くがコルチゾールの生成に回ってしまい、性ホルモンに行かなくなってしまいます。
生命維持に大事なのはコルチゾールですから、生命反応を少なくしてすべてコルチゾールに傾けます。これをコルチゾール・スティール症候群といいます。わかりやすくいうと、コルチゾールが性ホルモンにまわるはずの材料をを盗んでいってしまうのです。(正確には異なりますが、そう理解して頂くのがわかりやすいと思います。この概念は内分泌学会では否定されています)
副腎疲労ではPMSなど、女性ホルモン・男性ホルモン低下の症状が頻発します。これに対して性ホルモンの補充だけしてもだめでしょう。最初にするべきは、副腎へのアプローチです。コルチゾールを正常に戻してあげることです。そうすると、性ホルモンの方も自然と元に戻ってくる人が多いです。
水銀の悪影響

次は、3階と4階、エネルギーと脳ですね。
副腎ホルモン・性ホルモンをはじめ、すべてのホルモンはその受容体をことごとく、水銀によってブロックされます。
これは、アンドリュー・カトラー先生の書かれた「Amalgam Illness」という本に載っていた図を日本語化したものです。アマルガムの害について書かれた本です。
甲状腺機能がもし低下していたら、天然の甲状腺ホルモンなどで補充してあげることも身体の代謝にとっては必要なのかもしれませんが、デトックスをちゃんとやったら、それが必要なくなる可能性があるということです。
重金属はホルモンを支配しています。
デトックスの前にやるべきこと①
腸内環境改善
ではデトックスから始めたら良いかと言うと、そんなこともありません。
人間の解毒というのは、3段階にわかれています。

- デトックス・フェーズ1:活性化
- デトックス・フェーズ2:抱合
- デトックス・フェーズ3:排泄
毒物を活性化して、水に溶ける物質にくっつける(抱合する、といいます)形にする必要があります。
脂肪がたくさんある人は毒が溜まりやすい
体の中の毒が抜けないのは、脂の中で安定化してしまっているからです。血液中の毒や腸内の毒は、人間は排泄することができます。出せないのは、脂の中の毒です。ですから、脂肪がたくさんある人は毒が溜まりやすいです。
脳には毒が溜まりやすい
また、脳にもものすごく毒が溜まりやすいです。
デトックスというのは、腸や血液中ではなくて、脳の中の毒をいかに出すかという事なんですね。そのためには、脂の中で安定している毒を不安定な形にして(フェーズ1)、水に溶ける物質にくっつけて水溶性にして(フェーズ2)、血液中に出させないといけません。そして排泄(フェーズ3)に持っていきます。
デトックスには腸内環境が最重要
これらのフェーズのすべてに関わるのは腸です。腸内環境に大きく左右されます。だから、まず最初に腸内環境を治さないと解毒がうまくいきません。
水銀には有機水銀と無機水銀があります。有機水銀の80%は肝臓から胆汁に乗せて腸から排出されていきますから、腸内環境が悪ければまた腸から吸収されてしまうし、毎日排便がない人はなかなか体外に出ていきません。
本格的なデトックスの前に腸内環境を治すことが大切です。
デトックスの前にやるべきこと②
炎症を治す
デトックスの前には、炎症を治すことも大事です。
体内に炎症があると、抱合に必要なグルタチオンがすべて持っていかれてしまうからです。
グルタチオンは抱合するために最も重要なアミノ酸です。
しかし同時に、強力な抗酸化物質でもあるので、体内に酸化ストレスがあるとそちらを還元するためにすべて使われてしまいます。
ですから、体内でグルタチオンが十分に使えるようにしてからデトックスに入ることが大切です。
当院では、腸内環境を整えながら、耳鼻科や歯医者にいってくださいね、とアドバイスします。
耳鼻科で上咽頭炎を、歯科で根尖感染を治してきていただきます。
特に脳のデトックスをするには、首から上の炎症を完全にとってしまうことです。脳に近い炎症がとても関係してきますから。