前回、血液検査だけでは病気の原因はわからないと書きましたら(記事はこちら)、「私は血液検査で鉄欠乏が判明して、ヘム鉄で改善しました。それからヘム鉄を3年続けており、今は貧血症状は全くありません。」とご意見を頂きました。
それ、治ってないです。
ヘム鉄を摂り続けている人は意外と多い
栄養療法に詳しい方は、フェリチンが鉄欠乏の良い指標であることはご存知ですよね。
残念ながら日本では検診でフェリチン測定が行われないため、鉄欠乏が見逃されている事がよくあります。でもその場合鉄剤、もしくはヘム鉄を1,2ヶ月も摂ればフェリチンも上昇して解決です。
しかし、うちに来る患者さんはしばしばヘム鉄を摂り続けています。続けないとまたフェリチン値が下がってしまうからだそうです。
鉄を摂り続けなければ維持できない状態って、病気か身体機能の低下が隠れていることが多いです。
鉄が不足し続ける原因を突き止めよう
確かに日本人の鉄の摂取量は推奨量を下回ってはいるのですが、鉄代謝には恒常性維持機構が強く働いており、体内鉄が減少すると、吸収率は高く、同時に排泄量は少なくなる仕組みがあります。
貧血になる人は、何らかの原因でこのシステムがうまく働いていないのです。具体的には腫瘍や子宮筋腫などの他に、体内の炎症や腸内環境の悪化なども原因になります。
僕の経験上はピロリ菌やカンジダ感染の方は特に鉄欠乏を起こしやすいです。ピロリ菌は胃酸分泌を低下させて鉄吸収を邪魔するし、カンジダは成長のために鉄を人から奪うためです。ぜひ、まだ原因がわかっていないなら詳しい検査をお勧めします。
フェリチンが上がらないからといって、ヘム鉄サプリをただ増やすのだけはお勧めしません。ヘム鉄を摂れば摂るほどがんのリスクが高くなるからです。