こんにちは、宮澤です。
Kara Fitzgerald, NDによれば、更年期前後の骨密度低下は「ホルモンだけの問題」ではなく、腸内環境と慢性炎症が大きく関与しているそうです。今回紹介されていたSōlaria biōの研究では、野菜や果物の内部に住む「エンドファイト」と呼ばれる微生物を利用したシンバイオティクス(プレ+プロバイオティクス)を使い、閉経後早期の女性で骨密度の減少を最大85%も抑え、骨吸収マーカーCTXも有意に下げた臨床試験データが出ています。要点としては、①骨量は30代でピークを迎え、その後は静かに減っていく「サイレントクライシス」であること、②骨を壊す「破骨細胞」は炎症シグナルで活性化される免疫細胞の一種であること、③腸内環境と腸管バリア・炎症・免疫の状態が骨代謝に直結していること、④従来の「とりあえずカルシウムとビタミンD」では不十分で、腸―免疫―骨の軸を意識した介入が必要、という話です。
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僕、昔から医療ドラマが好きで、救急でおばあちゃんが転倒して大腿骨を折るシーンを見るたびに、「あれって一瞬の不注意で起こる不運な事故」くらいに思ってました。
でも実際に外来で患者さんを診るようになると、階段をちょっと踏み外しただけ、椅子から立ち上がろうとしただけ、くしゃみをしただけ…そんな“小さなきっかけ”で骨折して、その後の生活がガラッと変わってしまうケースを何人も見るわけです。
ここで、多くの人の頭の中はこんな感じになっています。
– 骨折した
→ 骨が弱っていたらしい
→ 年だからしょうがないよね
→ とりあえずカルシウムと薬かな
でも、実際の順番はかなり違っていて、
– 20〜30代:ピーク骨量が十分に作れていない
– 30〜40代:ゆるやかな骨量低下(本人は無自覚)
– 更年期前後:腸と炎症の問題+ホルモン変化で、一気にカーブが急になる
– 60代以降:やっとDEXA(骨密度検査)を受ける頃には
→ もう「結果」が出てしまっている
ってことなんです。
ドラマで骨折する“その日”は、「何十年も前から続いていたプロセスのゴール」にすぎない。
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僕から見ると、この記事のいちばん面白いところは、骨の話をしているようで、実は「腸と免疫と炎症の話」をしている点です。
栄養療法の現場でよく見るパターンをざっくり書くと、
– 腸の状態が悪い
→ 透過性アップ(リーキーガット傾向)
→ 免疫が常に軽く“警報モード”
→ 慢性炎症(低レベルだけど常にオン)
→ 破骨細胞がじわじわ優位
→ 気づいた頃には骨がスカスカ
っていう流れ。
これ、血液検査でCRPとかIL-6がそんなに高く出ていなくても、骨レベルや組織レベルでは起きていることがある、というのがポイントです。
臨床経験から言うと、「骨の悩みのある人=カルシウム不足の人」とは限りません。
むしろ、
– 便秘や下痢をくり返す
– お腹が張りやすい
– 食後に強い眠気やだるさ
– 皮膚トラブルや関節痛が地味に続く
こういう“日常のちょっとした不調”の積み重ねがある人は、骨のリスクも高めに見ておいた方がいい印象があります。
つまり、
「骨はカルシウムの問題」じゃなくて
「骨は、“炎症と腸”が映し出された結果」
ってこと。
だからこそ、栄養療法で学ぶべきは、
– 腸内環境(マイクロバイオーム)をどう整えるか
– 腸管バリアをどう守るか
– 食事とサプリで炎症シグナルをどう下げるか
– 骨のマーカー(CTXやP1NP)をどうモニタリングするか
みたいな「システムとしての身体の見方」なんです。
今回の記事で紹介されていたBōndiaのような、植物由来のシンバイオティクス(プレ+プロバイオティクス)を使った骨アプローチは、まさにこの発想の延長線上にあって、
– HRT(ホルモン補充療法)
– ビスフォスフォネートなどの薬物療法
– 食事・運動・ビタミンD/K、ミネラル補充
と「競合」するんじゃなくて、「土台の炎症と腸」を支える“下地作りのツール”として位置づけるとしっくりきます。
要するに、
骨の話をするときに、**腸と炎症をセットで考えないのは、かなりもったいない**というのが僕の結論です。
だからこそ、栄養療法では「カルシウムを足す」だけじゃなく、腸―免疫―骨のつながりを理解して学んでいく価値がある、と強く感じています。
また書きますね!
参考にした記事:
Why Bone Loss Accelerates With Aging: The Gut–Bone Connection
Why Bone Loss Accelerates With Aging: The Gut–Bone Connection

