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臨床分子栄養医学研究会

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宮澤賢史

細胞膜のはたらきと栄養

宮澤賢史 · 2020年1月10日 ·

脂肪といえば、普通は中性脂肪を連想しますね。中性脂肪はグリセロールに脂肪酸が3つくっついたものです。リン脂質は、脂肪酸が2つで、中性脂肪にあったもう一つの脂肪酸の代わりに、コリンがくっついたものです。脂肪酸の方が脂溶性で油に溶け、コリンの方が親水性で水に溶けます。

細胞膜の構造

細胞膜はリン脂質が集まって2層構造をなしています。これはリン脂質の図です。グリセロールに脂肪酸2つとコリンがついています。これがたくさん集まって、細胞膜を形成しています。油に溶けやすいところ同士、しっぽ同士がくっついて2重層になっているので、内側と外側は親水性になっています。血液や細胞内の水分がうまく入るようになっていますが、中は油なので、いろんなものが通らないようになっています。特別なものしか通しません。それが細胞膜です。

細胞膜の3つの働き

細胞膜の働きは「隔てる」「流動性を保つ」「生理活性物質を作る」の3つです。ひとつずつ、詳しくみていきましょう。

その1.隔てる

まずひとつは、隔てる壁の役割です。細胞というのは選択的透過性を持っています。限られたものだけを通して、他は通さないということです。例えば、カルシウムの濃度差は細胞の外と内では10000:1なんです。細胞の外に10000あれば、細胞内には1しかないんです。極端な濃度差ですね。ATPを使って、細胞の中から外にポンプで組みだしているんです。体内のATPの多くは、カルシウムをくみ出すことに使われています。何故そんなところに大事なエネルギーを使うかというと、カルシウムの濃度差を保つことが生命にとってとても大事だからです。

普段はカルシウムの濃度差を10000:1に保っておいて、何かしら刺激があった時に、カルシウムが外から中に一気に入ってきます。これによって心臓が動いたり、インスリンが分泌されたり、神経が伝達されたりします。人間はカルシウムをスイッチとして使っているので、カルシウムの濃度差がスイッチの敏感さにつながっています。ですから、この敏感さを保つために、カルシウムをどんどんくみ上げないといけません。

もしこのATPがなくなって、ポンプ機能が弱ってくると、10000:1が保てず、1000:1くらいになってしまったりして、スイッチが鈍感になっていきます。するとインスリンがうまく分泌できなかったり、神経伝達物質がうまく働かなかったりします。だから、ここは鍵になるところです。

ミネラルは細胞膜を通過しにくい

ミネラルは水溶性です。ミネラルを体内に吸収させようと思ったら、まず腸の粘膜の細胞の中に入れ込むことが必要です。細胞の外から中に入らないといけないんですが、細胞膜で隔てられているので簡単に入ることができません。しかし、イオン化すると入ります。イオンチャンネルという穴があるんです。ですから、ミネラルはイオン化させなければなりません。そのためには胃酸が必須です。胃酸が出ていない人はミネラルをイオン化しにくいため、ミネラルを吸収できません。

ミネラルを体内に吸収させるもうひとつの方法は、キレートすることです。キレート、というのはアミノ酸で挟み込む方法です。ミネラルは、アミノ酸で挟み込まれると、アミノ酸の入り口を通して細胞内に入り込むことができます。アミノ酸で挟み込んだミネラルのことをキレートミネラルといい、サプリメントとしてたくさん発売されています。日本では食品のキレート加工が認められていないので、日本製のキレートサプリメントはありません。外国産のものを使うことになります。

脂溶性ビタミンは細胞膜を通過する

それに比べて、脂溶性ビタミンは脂である細胞膜を自由に通過できます。遺伝子の発現には、栄養が核に働きかけることが関係してきます。脂溶性のビタミンAやビタミンDは、摂取したらそのまま細胞の核に働きかけて遺伝子の発現に直接関与するので、作用がとても強力です。脂溶性ビタミンは非常によく効きますが、胆汁がしっかり出ていることが条件です。

これはステロイドホルモンの働きとまったく同じです。ステロイドホルモンとは、コルチゾールです。ステロイドがなぜあんなに強力かというと、細胞膜を通り抜けて核に直接働きかけるからです。

細胞膜の働きその2.流動性

細胞膜は、その柔らかく流動性が高いことを通じて、神経伝達したり、ホルモンの分泌に関わったりしています。流動性が高いというのは、形を自由に変えられるということです。

リン脂質は不飽和脂肪酸が入っています。不飽和脂肪酸は結合部分が飽和していない脂肪酸のことです。二重結合がある脂肪酸のことです。二重結合があるとそこが可動性が高くなるので、柔らかくなって、流動性が高まりますから、何にでも形を変えることができるようになります。

・リン脂質の不飽和脂肪酸濃度が高いほうが幕の流動性が高まる

・脳神経の形成は4才までに80% ⇒ 乳児によい油を!

例えば脳神経細胞です。樹状突起によって、たくさんつながっています。この樹状突起も、すべて細胞の膜でできています。不飽和脂肪酸がたくさん入っているからです。

マグロの目玉を食べると頭が良くなると言ったりしますね。マグロの目玉にはDHAがたくさん入っているからです。DHAは特に脳への移行性が高いので、脳の脂の原料になります。しかもDHAは二重結合が6個もあります。(EPAは5個です。)非常に柔らかいので、神経細胞の樹状突起の維持に役に立ちます。赤ちゃんが飲んだら頭が良くなるし、ご老人が飲めば、痴呆防止の役に立ちます。

この逆の働きをするのがトランス脂肪酸です。最も固い油です。流動性が極めて乏しいうえに、脳にどんどん吸収されます。脳は細胞膜の塊みたいなものですから、最も影響を受けます。特に子供の場合は、脳の発達が4歳までに80%できてしまいます。人間の体は25歳くらいまでゆっくり成長しますが、脳は早いんです。ですから、子供の時にトランス脂肪酸を与えたら絶対ダメなんです。すべて脳にいってしまいますから。何を摂るかより、何を摂らないかを先に考えなければなりません。リン脂質の不飽和脂肪酸濃度が高い方が、膜の流動性が高まって、頭が良くなっていくということです。

エキソサイトーシス

細胞はどうやって細胞内環境の中で神経伝達物質やヒスタミン等の細胞外環境適応物質を作るのか。答えは、細胞の内側にさらに膜を隔てて、細胞外環境を確保するということです。膜と膜をくっつければ、簡単に分泌することができます。逆に、受容体をくっつければ簡単に取り込むことができます。これがエキスサイトーシスです。不飽和脂肪酸が少なくて膜が固いと、この出し入れがうまくいかないんです。

細胞膜の働き3.プロスタグランジン

細胞膜の一部がちぎれて生理活性物質になり、炎症や血栓に関わっています。プロスタグランジンといいます。炎症を止めるのは、炎症の部位を治療します。しかし細胞レベルで言えば、細胞の部分の脂肪酸の組成を変えるということです。魚の脂を摂れ、ということです。それが細胞レベルで炎症を止めることになります。

細胞の膜というのは、ホスホリパーゼA2の刺激によってちぎれて、生理活性物質になります。肉の脂、アラキドン酸の場合はプロスタグランジンE2、トロンボキサンA2、すなわち炎症を起こすプロスタグランジンという物質ができます。魚に多いEPAの場合は炎症を抑えるプロスタグランジンE2というものができます。ですから、細胞の膜の不飽和脂肪酸の組成が、炎症体質かそうでないかを決めるんです。

EPA/AA比率が重要

ふだん肉の脂を食べている人は、アラキドン酸が多い膜になりやすいので、刺激があった場合は炎症を起こすプロスタグランジンが出ます。魚の脂をたくさん食べる人は炎症を抑えるプロスタグランジンが出ます。この炎症を起こしやすいか起こしにくいかという比率のことを、EPA/AA比率といいます。AAは、アラキドン酸(Arachidonic acid)です。

アラキドン酸は必須脂肪酸です。体内になければならないもので、アラキドン酸のおかげで炎症を起こすことができます。短期の炎症は絶対に必要なものです。傷を素早く修復するために炎症物質を出し、そのおかげで傷が早く治ります。ただ、EPAが少なすぎて、炎症を収束させることができず、慢性化してしまうのが問題なんです。

現代人はアラキドン酸を摂りすぎていて、理想的な比率3:1とは離れて、20:1ほどになってしまっています。ですのでアラキドン酸を控えてEPAを増やすことで、炎症体質を抑えましょうということです。EPAは血管で言えば、血小板の凝集を抑制するので、血液もサラサラにします。やはりEPA、DHAは重要です。アトピー性皮膚炎の人は炎症体質なので、この考え方は必須です。

脳機能とメチレーション

宮澤賢史 · 2020年1月10日 ·

1950年代末、ライナス・ポーリング博士は、精神疾患の原因の一つに酵素の機能障害があるのではないかと疑い、脳機能における酵素の役割を研究しました。彼が、ビタミンが欠乏症予防以外に重要な生化学的効果を持つ可能性に気が付いたのは、ポーリングが1965年にエーブラム・ホッファー著「精神医学におけるナイアシン療法」を読んだ時のことです。これにヒントを得て、1968年、ポーリングはサイエンス誌に「分子整合精神医学」と題した簡単な論文を書き、ビタミン大量療法の原理を発表しました。 これが分子栄養学の始まりです。

1 脳は栄養素の影響を受けやすい

ビタミンには酵素を助ける補酵素としての働きがあります。ポーリング博士は、酵素、補酵素の不足が病気を引き起こすので、それを充分量補充することで病態の改善が見込めるのではないかと提案したのです。その中の一節には、こうあります。「他の臓器と比べて脳は 組成している分子化合物やその構造に深い依存傾向がある。」

脳は栄養素の影響を非常に受けやすい臓器です。脳には脳血液関門というバリアがあることはよく知られています。多くの化学物質はこのバリアに阻まれるので脳まで届かないと思っている方も多いようですが、そんなことはありません。アルコールや、カフェインが脳に及ぼす影響を考えてみてください。脳の機能は外から栄養されるアミノ酸やビタミンによって、大きく左右されます。ホッファー先生は、その事を知っていたのです。彼はアレルギーフリーの食事指導とナイアシンを中心としたサプリメント治療によって、6000人以上の統合失調症患者を社会復帰させました。

2 メチレーションの状態で脳タイプを分析する

ホッファーは大量のナイアシンを使いましたが、なぜそれが効果的なのか、その機序をメチレーションの観点から明確に見出し、臨床に応用したのがウイリアム・ウォルシュ博士です。彼はミネラルを扱う生化学者でしたが、刑務所で行なったボランティアで囚人の毛髪ミネラル検査をして、銅亜鉛バランスが狂うと凶暴性が出ることを見出しました。それ以来、彼はうつ病の患者2800名の血液データを解析し、うつ病患者の脳の生化学バランスは大きく5つに分かれることを見出したのです。

僕は2016年に博士を日本にお呼びして、講演を行なって頂きました。それがあまりにも素晴らしかったものだから、翌年彼の本拠地であるシカゴに行って実際の患者さんを迎えてのトレーニングにも参加しました。ここでは、うつ病患者の5つのタイプ分類について解説します。問診からもある程度タイプを推測できるため、日常診療に大変役に立っています。

3 「メチレーションプロフィール」問診票

僕がうつ病の人を見たら、最初にこのアンケートをやってもらって、どの傾向が一番強いかを見ることから始めます。大事なのは病名ではなく病態です。病態とは、脳内の神経伝達物質のバランスです。

脳機能の改善には神経伝達物質のバランスが多いのか少ないのかを見極めて、メチル化を調節してあげる必要があります。まずメチレーションが中心です。

うつ病は、脳の神経伝達物質の状態から、5つのタイプに分けることができます。
それぞれのタイプには、特徴的な症状、特徴があります。ウォルシュ博士は20年間にわたり、2800人のうつ病患者に対して検査を行い、それぞれのタイプの特徴を割り出しました。治療方針はタイプによって全く異なるため、治療前にタイプ分類が不可欠です。

うつはセロトニンが足りない病気だ、と一般的に思われているので、セロトニンを増やすための薬が処方されます。しかし、セロトニンが多いこのタイプのうつ病の人に、セロトニンを増やす薬を処方すると、どうなるでしょうか。不安が強くなります。セロトニン症候群といいます。副作用としても記載があります。本当は、うつ病の人にSSRIをだすのではなくて、セロトニンが多いのか少ないかを見極める必要があります。

同様に、統合失調症はドーパミンがたくさん出過ぎて幻聴が起きる疾患として捉えられがちですが、実際にはドーパミンが増加している人と低下している人がいます。ドーパミンが低下している人のドーパミンを下げるのは、やはりよくありません。というわけで、セロトニンやドーパミンの過不足を推定するのに役立つのがこの問診表です。

この問診票で、メチレーションの状態がわかります。メチレーションは、普通なのか、低下しているか、亢進しているかの3通りです。

A:低メチル化タイプ

Aに〇が多くついた方はメチル化がうまくいっていない、低メチル化タイプの人です。メチル化回路が回っていないため、セロトニン、ドーパミン共に少ない傾向にあります。セロトニンが少ないため、SSRIは効果的で、ドーパミンが少ないためドーパミン渇望の依存症状が出てきます。ヒスタミンがメチル化回路の産生物SAMeで処理されないため、アレルギー症状が出現しやすくなります。花粉症、完璧主義、競争心が強く、性欲が強いという特徴があります。

SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)の薬が合うでしょう。セロトニンの再取り込みが阻害されるので、結果的にセロトニンが増えます。同じくらいに、メチル基を増やしてくれるサプリメント、SAMeも相性がいいです。

ドーパミン合成が比較的少なく、強迫的なまでに規則的な生活をする人がいます。また、ドーパミン渇望によるアルコール、たばこ、ギャンブル、砂糖などの依存症が強くあります。また、SAMeがクレアチンの合成に使われるため、鍛えると筋肉が付きやすく、性欲も強い傾向があります。(男性も女性も性欲はテストステロンに依存します)しかし、痛みには弱いほうです。

ドーパミン、セロトニン共に少なく、SSRIや、抗ヒスタミン薬に好反応である反面、ベンゾジアゼピンや葉酸に対する副作用があります。意志が強く、頑固で治療方針に従わない人もいます。また、過去の出来事にこだわりがあります。スポーツにおいて競争意識が強く、学業成績もよく、上流家系であることもしばしばです

A-1 診断

診断は問診に加えて血液と尿検査から行います。
検査:血中ヒスタミン 70ng/ml以上、SAMe/SAH比の低下などが参考になります。

A-2 治療

SAMeやメチオニンなど直接メチレーションを回す栄養素が効果的です。セロトニン合成を助ける栄養(トリプトファン、5HTP,ビタミンB6など)もよいでしょう。
逆に、葉酸、コリン、DMAE(ジメチルアミノエタノール)などは避けたほうがよいでしょう。

B:高メチル化タイプ

Bが多かった方はメチル化が亢進している人です。メチル化回路における重要な産生物SAMeは70%が筋肉の合成に使われます。筋肉の合成酵素に変異があると、SAMeが体内で余り、メチル化経路が過剰に亢進します。その結果、セロトニン、ドーパミン共に多く産生されます。セロトニンが多いため、SSRIでは効果が見られません。鬱に加えて、強い不安、パニックの傾向があります。不眠の方も多いです。ドーパミンが多いため、芸術的、音楽的な才能があります。

ドーパミン過剰のため、やや早口の傾向があります。時には多動になることがあります。SAMeがヒスタミンを処理するので、血中ヒスタミンは低値です。好塩基球数も低値になります。花粉症は少ないですが、食物、化学物質過敏症は多いです。むずむず足症状が出ることがあります。

セロトニンが多いので、SSRIに対してはむしろ副作用がでます。同様にセロトニンを増やすSAMe、メチオニンサプリメントに対しても副作用があります。ベンゾジアゼピンがよく効きます。痛みに強い人が多いです。誇大(大げさ、非常に誇る)癖があります。

B-1診断

診断は問診に加えて血液と尿検査から行います。
検査:血中ヒスタミン 40ng/ml以下、SAMe/SAH比の低下などが見られます。

C:銅が過剰なタイプ

Cが多かった方は、銅が過剰なタイプです。ノルエピネフィリンの上昇、ドーパミンの低下がみられます。このタイプの95%は女性だと言われています。

  • 強い不安感、パニック傾向がある
  • 産後うつを引き起こす可能性がある
  • 活動的である
  • SSRIで不安が増強する
  • 安定剤ではうつ症状が治らない
  • ピル・ホルモン補充療法で悪化する
  • 敏感肌

などの特徴を持っています。

C-1 治療

亜鉛療法、セレン、ビタミンA、B6、C、E徐々に過剰な銅を排除していくことも重要です

D:ピロールタイプ

D が多かった方はピロールタイプです。ピロール障害といいます。ピロールは体内でヘモグロビン(赤血球のタンパク質)が作られる際にできる副産物です。作られるピロールの量がとびぬけて多い人をピロール異常症と呼んでいます。精神科医のエイブラハム・ホッファーらが、精神疾患患者にピロール異常症が多いことを見出しました。

ピロールはビタミンB6や亜鉛との結合の相性がよいという性質を持っています。体内の不要なピロールは尿中に排泄されるため、ピロールの量が多い人はビタミンB6と亜鉛も尿中へ出ていく量も多いのです。また、酸化ストレスが高い場合も尿中ピロールレベルを上昇させる事がわかっています。多くの人が精神ストレスや病気、感染、トラウマ、有害金属などによりピロールが上昇しています。ピロール異常は(B6 不足のため)セロトニン、GABA 低下を引き起こします。 また酸化ストレス負荷がグルタミン受容体のグルタミン神経伝達物質活動性を低 下させます

D-1 症状、特徴

ピロール異常の人は生まれつきB6,亜鉛不足があります。これは脳におけるセロトニン、ドーパミン、GABA不足を招き、うつと不安の材料になります。

D-2 よく見られる特徴

・気分の変動(双極性障害と診断されていることが多い)
・ストレスに対応できない
・怠惰、夢が思い出せない
・肌が弱く日焼けができない
・朝のうちは気分がすぐれない。
・明るい光や騒音に敏感
・女性の場合、生理不順や無月経
・心の内面の緊張、読字障害

D-3 治療

B6,亜鉛投与によりしばしば軽減、消失し、ピロールレベルも正常化します。これにはかなりの量が必要です。またピロール異常は、酸化ストレスが亢進しており、抗酸化物質が多く必要です。ピロール異常のうつ病は他のどのタイプよりも治療への反応が早く、通常は数日で治療効果が出始め、4-6週で完全に効果がでます。朝の吐き気のため、多くの患者は昼までサプリメントを摂れません。

E:重金属タイプ

E が多かった方は重金属タイプです。鉛、水銀、カドミウム、ヒ素の蓄積が原因となります。腹部の痛み、けいれん・イライラ、筋力低下など肉体的な症状を伴うことがあります。特に幼い子供は、脳血液関門が未発達な上、金属が脳神経や受容体の発達を妨げるため、重金属に感受性が高いです。解毒効果のあるキレーション治療や、メタロチオネインタンパクを増やす治療などを選択します。

4 メチレーション状態の検査

メチレーション回路の状態を回るのに適しているのがドクターズデータ社のメチレーション検査です。判定法 ① SAH>50、もしくはSAMe:SAH < 4 なら低メチレーション(UM)  ② SAMe:SAHが high、もしくはSAMeが高値 なら 高メチレーション(OM)、 低値ならUM となります。診断には適するがフォローアップには不適ですので、できれば治療前に行うことがお勧めです。

栄養素がDNAに及ぼす影響

宮澤賢史 · 2020年1月7日 ·

細胞の中に核があって、その核の中には染色体が23対入っています。この染色体をひもとくと、長さ2mのDNAになります。ヒトのDNAはすべて解析され、その結果チンパンジーとヒトのDNAの違いは1.4%しかないことがわかりました。確かにDNAは設計図ですが、読み取り方によって完成品のタンパク質は全く異なるものになります。同じ楽譜でも、演奏家が違うと違う曲に聞こえますよね。それと同じようなです。DNAに基づいてタンパク質が作られることをタンパクの発現と呼んでいます。

遺伝子の発現に重要なヒストン

核の中の染色体はDNAからできています。DNAは定期的にヒストンという糸巻き上のものにくるまっています。このヒストンがあるおかげで、長いDNAが核内にコンパクトに収納されています。

ヒストンとDNA

遺伝子を発現するとき、ヒストンは外れたり位置がずれたりして、遺伝子の情報が読み取られ、たんぱく質が作られます。ヒストンは、DNAが絡まらないようにするためだけでなく、遺伝子の発現に重要な役割を持っているということが分かってきました。

タンパク質が作られる仕組み

DNA図書館(核)の中にある設計図(DNA)は持出禁止なので、RNAにコピーしてリボゾームに持ちだす

タンパク質はすべて細胞の核の中にある遺伝子の設計図情報をもとに作られます。図書館です。タンパク質はその場で作れないので、この設計図をRNAにコピーして、RNAとして持ち出さないといけません。このコピーすることを一般的に転写といいます。

転写された鋳型のRNAは、タンパク質の製造工場・倉庫である小胞体のリボゾームに持ち込まれます。RNAがリボゾームに設計図を持ち込み、その設計図通りにアミノ酸をつなげていく翻訳作業が行われます。だから、たんぱく質が作られるためにはまずDNAがRNAに転写される必要があります。

転写の仕組み

エンハンサー領域に転写因子タンパクが結合することがはじまり

DNAの長い鎖は、全体が設計図なわけではありません。設計図の場所と、設計をコントロールする場所にわかれています。設計図の場所を構造遺伝子、それ以外を転写調節領域といいます。

転写調節領域の中で、特にエンハンサーというところにRNAがくっつくと転写が始まります。プロモーターというのは、タンパク質の構造遺伝子がどこから始まるかを示しています。ここから読み取れば良いんだ、という目印になります。

エンハンサーであるRNAポリメラーゼというタンパク質がくっつくと、転写が始まって、タンパク質が作られます。(実際にはこの構造遺伝子が切り取られると、その中からイントロンという要らない遺伝子が切り落とされます。これをスプライシングといいます。)重要なのは、エンハンサー領域にタンパク質がくっつくと転写が起こるということです。

クロマチン構造が変化して転写を司る

ヒストンにDNAが巻き付いたものをクロマチン構造という

ヒストンにDNAが巻き付いたものをクロマチン構造と言います。クロマチン構造が変化することによって、転写が起こったり起こらなかったりします。ヒストンとヒストンの間が空くと、間に転写遺伝子が入ってこれるので、転写が始まります。逆にヒストンとヒストンの間が狭くなると、転写因子が入ってこれず、タンパク質の合成が起こりません。だから、合成がおこるかどうかはヒストンの間の距離次第です。ヒストンの間の距離は、ヒストンにアセチル基がつくか、メチル基がつくかで決まります。

メチレーションという概念があります。メチレーションが亢進しているときはメチル基がたくさんあるので、遺伝子の発現が止まります。がん遺伝子の発現もこれで阻止しています。メチレーションがうまくいかない人はがん遺伝子の発現を止めることができずにがん化する、という説があります。

メチル化は転写を抑制、アセチル化は転写を亢進

ヒストンにアセチル基がつくとクロマチン構造が疎になり、転写因子がエンハンサー領域に結合できるようになります。

身体がメチル化状態だとヒストンの間が狭くなり、転写が起こりません。メチル基がたくさんつくと、ヒストンとヒストンの間が短くなって、遺伝子の発現が起きません。ここだけ頭に入れておいてください。

ナイアシンは、転写因子を活性化させることでタンパク質をたくさん作らせます。その結果、ドーパミンが下がってきます。これが、統合失調症に効く理由です。反対に、SAMeというメチル基をたくさん持ったサプリメントは、遺伝子の発現を阻害して、結果的にセロトニンを増やします。重要なのは、ヒストン間の距離によって、たんぱく質の合成が動いたり止まったりするということです。

遺伝子の発現には栄養が重要

細胞の核に関しては、遺伝子の発現に関係する、遺伝子の発現には栄養がすごく絡んでいる、ということを覚えておいてください。遺伝子の設計図ではなく、発現が大事です。最も重要な遺伝子の発現は、栄養と環境でいくらでもコントロールすることができます。ですから、一卵性双生児でも環境と食事が違うと、遺伝子の発現が違うので、まったく違った人間になるということです。

ミトコンドリアへのサプリケア

宮澤賢史 · 2020年1月3日 ·

人間は約37兆個の細胞でできています。その細胞ひとつひとつが元気であることが健康状態を保つ上で必須で、その中は細胞内器官という中身がつまっていて、重要なのはこの4つです。

  • ミトコンドリア
  • 核
  • 細胞膜
  • 小胞体

他にもゴルジ体などもありますが、さしあたってこの4つを抑えておけば、栄養療法を考える上では事足ります。重要なのは、「細胞の どの部位の どんな働きのために どの栄養素が必要か」ということを、関連付けて頭に入れておくことです。例えば、ミトコンドリアならビタミンB群が必要ですよ、といったことです。

また「毒性物質が 細胞のどの部位の働きを損なうか」も重要です。例えば、ミトコンドリアは重金属でやられますし、トランス脂肪酸が入ってくると細胞膜の働きが失われます。トランス脂肪酸は直鎖状で、油の塊である細胞膜を固めてしまう働きがあります。その細胞内器官4つを、これから1つずつ解説していきます。

ミトコンドリアとは

ミトコンドリアは数ある細胞内小器官のうちのひとつで、すべてのエネルギーをATPという形で産生しています。各細胞に300から数千個存在していて、人間全体では1京個存在します。なんと、人間の体重の10%はミトコンドリアです。

血球や皮膚細胞にはほとんど存在しません。もし赤血球にミトコンドリアがあれば、酸素を運搬するのではなく、酸素を自分で使ってしまうからです。卵子には10万個あるので、ミトコンドリアが受精・着床に影響を及ぼします。

ミトコンドリアの祖先は細菌である、という話は最近有名になりました。もともとは別の生物だったのが、20億年ほど前に寄生したんです。リケッチアという細胞とウイルスの間のようなものが細胞内に寄生したのをきっかけに、エネルギーをたくさん作れるようになって進化した、という話です。つまりもともとは別の生き物ですから、細胞の核とは別に、独自のDNAを持っています。

ミトコンドリアはエネルギー産生装置

ミトコンドリアはエネルギーを産生する装置です。これは、糖質(グルコース)からエネルギーがどのように産生されるかという経路の図です。

前に出てきたクエン酸回路が、この中に入っています。ミトコンドリアの外側にあるのが解糖系という、ブドウ糖をピルビン酸に変える経路です。酸素を使わないので無酸素代謝と言われます。ミトコンドリアの中は酸素をたくさん使う、有酸素代謝です。

この無酸素代謝では、1分子のグルコースから2分子のピルビン酸ができます。その間に、ATPを使って、ATPが作られます。つまり、1分子のグルコースから、差し引き2つのATPが作られます。ATPができるほど、エネルギーが産生されているという意味です。

できたピルビン酸はミトコンドリアの中に入ってきて、TCAサイクル、クエン酸回路に入ってぐるぐる回ります。ここでも2ATPが作られます。クエン酸回路はNADをNADHにして、次の電子伝達系に水素を渡す役割をしています。NADというのはビタミンB3、ナイアシンのことです。つまり、ナイアシンは水素を奪っているんですね。この水素を奪う箇所が、3か所あります。

クエン酸回路は確かにATPも作っていますが、一番大事なエネルギー回路である電子伝達系に水素を渡すのが一番の役割です。水素の運び役になっているのがこのNAD、すなわちナイアシンなんです。

このクエン酸回路で得られた水素は電子伝達系に行来ます。電子伝達系では、NAD・コエンザイムQ10・鉄などが電子や水素を受け渡して、細胞の外にどんどん水素を出すんですね。そして水素が外から中に入っていく過程で、水車が回って、その水車を回す力でATPが作られるという仕組みです。

本当はもっと複雑ですが、初めての場合はこういった理解でいいと思います。大事なのは、電子伝達系で他と比べても格段に多い、34個のATPができるということです。解糖系とTCAサイクルは前段階の準備をしてくれるところ、というふうに考えたらいいと思います。

もちろんすべての回路が回らないとエネルギーは作れません。エネルギーがつくれない、ミトコンドリア機能が低下しているという場合は、これらの回路のうちのどこが止まっているのかを考えてください。一般的にはミトコンドリアサプリメントはナイアシン(NAD)・コエンザイムQ10、鉄などが含まれます。

ミトコンドリアのDNA

ミトコンドリアは細胞の核にあるDNAとは別に、独自のDNAを持っています。ミトコンドリアのDNAは、核のDNAと比べて、活性酸素の害を受けやすいのが特徴です。ミトコンドリアでは中で電子を受け渡していますから、酸化還元反応が活発に行われているということです。

ミトコンドリアは酸化反応の宝庫ですから、不完全燃焼のすすが2%くらい出るといわれています。ですから、年をとればとるほど、ミトコンドリアをきちんと動かすには抗酸化対策が必要です。抗酸化対策が不十分だと、ミトコンドリアのDNAが傷つきやすいです。ただでさえ活性酸素が多いのに、ミトコンドリアの遺伝子は核のDNAと違って、DNAを守るヒストンがなく、環状で丸裸です。損傷を受けやすいうえ、修復能力もとても劣ります。

さらに活性酸素・重金属・有機溶剤の影響で、DNAが直接障害されます。活性酸素の発生源でありながら、活性酸素に弱いという非常にデリケートなものです。抗酸化対策は必須です。

ミトコンドリアへのアプローチ1:必要な栄養を取る

ミトコンドリアを駆動する栄養素を摂ると、ミトコンドリアが動きやすくなりそうですね。コエンザイムQ10、NADH(還元型のNAD)、鉄などです。特に、電子伝達系で働くコエンザイムQ10、NADH(還元型のNAD)は積極的に摂っていくと良いと思います。マグネシウム・亜鉛も、ミトコンドリアの基本的な動きに重要なので、摂った方がいいですが、ミネラルは吸収が悪いので摂り方に工夫が大事です。

鉄はとても重要な栄養素ですが、酸化されやすく活性酸素の発生源になりやすいので、取り扱いに注意が必要です。鉄が足りないからと鉄サプリメントをたくさん摂るのは、害が大きいです。ヘム鉄の多い赤身肉をたくさん食べると、がんになりやすいという相関性についての論文はたくさんあります。ミトコンドリアを動かすためには、必要な栄養素と抗酸化対策が必要です。

ミトコンドリアへのアプローチ2:抗酸化対策

これは抗酸化物質として有名な、ビタミンCの構造式です。抗酸化、というのは相手を還元してあげるということです。還元するということは、水素をあげること、電子をあげることです。つまり抗酸化力が強いということは、電子を離しやすいということです。ビタミンCは非常に抗酸化力が強いというのは、エンジオール基の水素のひとつが構造上、非常に離れやすいからです。

一般的に、ヒドロキシ基(-OH)・フェノール基は抗酸化力を持っています。化学式を見ると、抗酸化力が強いかどうかがわかります。クルクミン、レスベラトロール、カテキンなどのポリフェノールは、この離れやすいOH基がたくさんついているから、抗酸化力が強いということになります。だから、ミトコンドリアを動かすためにはこういったポリフェノールを一緒に入れてあげるといいんです。

ミトコンドリアサプリの具体例

実際に、ミトコンドリアサプリの例を見てみましょう。これはPure Encapsulations社という有名なサプリメントメーカーの、mitcondria-ATPというミトコンドリアサプリです。Pure encapsulationsはアメリカの代替療法医の中で、人気ナンバー2です。(ナンバー1は Metagenics 社)

何が入っているかというと、上からチアミン、リボフラビン、ナイアシンです。そして抗酸化のビタミンCとE、マグネシウムが入っています。理屈にかなっていますよね。

ビタミンCとEはあわせて入れておくといいです。ビタミンCは、還元した時に自分自身は酸化されますから、ビタミンEに還元してもらうんです。ビタミンEは酸化されますから、グルタチオンに還元してもらうんです。次々つながっていまして、抗酸化ネットワークといいます。抗酸化ネットワークに入っている栄養素を組み合わせて摂ると、抗酸化能力が非常に高まります。

カルニチンの効果

カルニチンも入っています。カルニチンは脂肪酸をミトコンドリアの中に入れるのに必要な栄養素です。痩せる、と言われていたりしますが、脂肪を燃やすためのものです。エネルギー代謝に関しては、脂質と糖質がとても重要です。ふだん、脂質もたんぱく質も糖質も、すべてエネルギーにすることができます。しかしエネルギー代謝の柱はやはり、脂質と糖質です。

たんぱく質はアミノ基を持っているので、代謝の中でできる窒素は有害で、排泄するのにアンモニアを経由したりして手間がかかります。エネルギーとしては向いていません。できればCとHしか使いたくないので、炭水化物か脂質をエネルギーとして使いたいんです。糖質制限をしている人は脂質がエネルギーのメインになってきますね。

しかし、エネルギーの性質で比べると、脂質と糖質ではエネルギー供給のパイプの太さが違います。糖質はパイプが太く、エネルギーの効率がとても良いです。脂質は脂肪細胞にあるものを一回たんぱく質の単体に載せて、細胞内まで運んでこないとエネルギーとして使えないので、エネルギーの供給パイプが非常に細いです。そこが一番違うところです。

ふだん私たちがぼーっと座っていたなら、脂質のエネルギーの方が使われています。歩いたりすると、だんだん糖質の割合が増えてきます。マラソンは42キロ走りますが、42キロすべてを糖質では賄えないんです。糖質からできるグリコーゲンはせいぜい1500カロリーしか貯められないので、脂質エネルギーもうまく入れるんです。それがペース配分です。

うまく走れる時は脂質エネルギーを使って走って、スパートの時に糖質を使うんですね。だから、それまでに糖質を使い果たしていると最後のスパートがうまくできないんです。脂質はエネルギー源としてとても重要なのですが、その脂質を細胞内に入れるのに重要なのが、カルニチンです。

抗酸化物質

他に、トランスレスベラトロール、グレープエクストラクト、このあたりは抗酸化物質です。N-アセチルシステインとかαリポ酸とかがあります。αリポ酸は解毒と抗酸化に役立ちます。αリポ酸は脂の抗酸化も水の抗酸化もできます。ビタミンCとEの両方の特性を持っています。

あとはカネカ・ユビキノールが入っています。カネカ、というのはコエンザイムQ10の有名なメーカーです。鐘淵化学工業というところで開発されたのがコエンザイムQ10で、ユビキノールというんですが、1日30mgではまったく効きませんでしたが、200mg使うと心不全に効果があるとアメリカで火がついて、逆輸入されたような栄養素です。抗酸化とエネルギーの療法に効果があり、ミトコンドリアには必須です。

ミトコンドリアを動かすにはこんな栄養素が必要だ、という見本のようなものですね。

ミトコンドリアサプリの具体例2

もうひとつ、Seeking Health社のサプリメントをご紹介します。これは非常にシンプルですね。コエンザイムQ10とNADHだけ。これだけでも効くぐらいですから、コエンザイムQ10とNADHの重要性がわかりますよね。

疲れやすい人は、こういったサプリメントから始めてください。ただし、それはあくまで対症療法なので、その下に何があるかということが大事です。

ミトコンドリアはがんにも関わる

これはミトコンドリアサプリの話の続きですが、がんは遺伝疾患か代謝疾患かという議論が昔からあります。がんは遺伝子に傷がついて、そこから発症します。傷がついた遺伝子が分裂して増えていく、という仕組みなんです。

だから、アンジェリーナ・ジョリーさんは遺伝的に、変異型のBRCAという乳がんの因子があったので、予防的に乳房をとってしまいました。これはがんが遺伝疾患だという発想に基づいた行動だと思います。

しかし、本当にがんは遺伝疾患なのでしょうか?がんは100年前にはほとんどありませんでした。もし遺伝疾患なら、昔からもっとあったはずです。

これは、「Cancer as a Metabolic Disease」がんは代謝疾患である、という内容の本にあった図です。正常細胞が分裂すると、正常細胞になります。腫瘍細胞が分裂すれば、当然腫瘍細胞になります。しかしそれは、何が原因なのでしょうか。正常細胞に腫瘍核を入れても、正常細胞になりました。逆に、腫瘍細胞に正常な核を入れ込んでも、腫瘍細胞ができたんです。ということは、核内の遺伝子に起因するものではないはずです。

がんの腫瘍抑制因子はミトコンドリア

がんの究極の主要抑制因子はミトコンドリアです。だから、ミトコンドリアの機能が低下するとがんになりやすいです。ミトコンドリア機能の低い人、疲れやすい人、低体温の人はがんを発症しやすいです。がんを治すためには、ミトコンドリア機能を上げて、身体を暖めるといいという話があります。これはミトコンドリアだけではなく、もう一つの細胞機関である小胞体と重ね合わせて考えると理解が進むと思います。このあたりはとても大事な話です。

人間には、古くなったり傷ついた細胞に自殺してもらう機能があります。この作用をアポトーシスといいます。ミトコンドリアはエネルギーの産生がメインの仕事ですが、アポトーシスのコントロールにも一役買っています。エネルギーの低下とアポトーシスコントロールの低下は同時に起こります。だから、エネルギーの低下は発がんやアルツハイマーにも関係してきます。

アポトーシスは、ミトコンドリアと小胞体が協同してシグナルを出すことによってはじめて行われます。だから、ミトコンドリアと小胞体のどちらかの機能が低下するとアポトーシスが行われなくなって、不要な細胞が出ていかず、デトックスできなくなってしまいます。よって、腫瘍細胞が生き残ってしまうわけです。もともと外部から来たミトコンドリアと、正常な細胞を結びつけているのは小胞体です。小胞体は、たんぱく質の製造工場です。

疲労系疾患はミトコンドリア機能を改善させる

大事なのは、疲労系疾患はミトコンドリア機能を改善させることが大事だということです。俯瞰的に、ズームを変えて、同時に考えていってください。代謝のどこが止まっているのかも同時に考えます。

副腎疲労もミトコンドリア機能低下です。全身症状としては、疲れやすい。臓器レベルとしては副腎機能低下。細胞の状態としてはミトコンドリア機能低下です。

甲状腺機能低下症も、臓器レベルで言えば甲状腺機能の低下ですが、細胞の状態としてはミトコンドリアの低下です。甲状腺ホルモンにはミトコンドリアの数を増やし、機能を高めることがわかっています。

鉄欠乏性貧血も同じです。臓器レベルでは、赤血球数低下、質の悪化ですが、やはりミトコンドリア機能低下です。鉄には、赤血球の中で酸素を運ぶ働きと、ミトコンドリアの中での働きがあります。酸素を運ぶのも、ミトコンドリアの中での働きもエネルギーに関係するので、鉄欠乏性貧血はものすごくエネルギー不足になります。

鉄はエネルギー源ですから絶対に必要ですが、多すぎると活性酸素発生のもとになります。コツは、少量使って、利用効率を最大限まで上げることです。

サプリメントを使わないミトコンドリアアプローチ

ミトコンドリアの働きを良くする方法は、サプリメントを使うか使わないかで大きく2通りに分けられます。サプリメント以外では、運動が重要です。運動刺激によってミトコンドリアは増えます。

新しいミトコンドリアを作り出すために重要なのは、断食です。空腹時間を作ると、脂肪が燃えるようになります。脂肪が燃える時に、ナイアシンが体内で作られます。実はナイアシンがミトコンドリアを新生するスイッチになっています。

DNAの修復もナイアシンです。DNAの修復は寝ている間に行われるので、寝る前に少量飲むといいです。多すぎると肝機能障害やナイアシンフラッシュを起こしたりします。ナイアシンは量によって効果が変わる、とても興味深いビタミンです。

小胞体ストレスを解消すること、については、また次回の小胞体のところで詳しくご説明します。

 治療には順番がある

宮澤賢史 · 2019年12月27日 ·

根本原因(が及ぼす体内のシステムの不具合)の治療は、ピラミッドの下層から上にかけて順番に行うのが原則です。ここではなぜこのような順番で治療を行うべきなのか、その理由をお話しします。

脳機能は様々な影響を受ける

脳機能、メチレーションの調整がピラミッドの最上段にあるのは、それだけ脳機能が様々な影響を受けやすいことを表しています。色々なことを全部終ってからでないと、脳の調整を何度もやり直すことになります。

例えば、脳は最もエネルギーを使う臓器の一つです。ですから、脳にアプローチする前に、必ずミトコンドリアをある程度動かしておく必要があります。

副腎も非常に脳機能に関係します。HPA軸といって、コルチゾールが多すぎると海馬という記憶に関する部分が委縮します。また、副腎疲労のせいで活発な性格が隠れていることはよくあります。このような場合、治療が進むにつれてだんだんと性格が変わっていきます。人格が変わったように元気になって、躁病のようになってしまうこともあります。ですから、治療開始時のサプリメントと、副腎が回復されてきた時のサプリメントでは処方を少し変えなければなりません。

炎症も脳機能に大きな影響を与えます。炎症がうつ病の原因だという報告は多いです。特に自閉症、子供の場合は炎症の影響をすごく受けやすいです。自閉症の場合は最初から脳の炎症を止めるようにアプローチするのを意識します。食事指導がすごく厳しくなります。グルテンフリー・カゼインフリーに加えて、グルタミンフリーにもします。グルタミンは、興奮性の脳の神経伝達物質であるグルタミン酸の前駆体です。

重金属などの毒素もかなり影響しています。歯にアマルガムが入っている人は、様々な経路で体内から脳に入ってきます。アマルガムの水銀は、常に蒸発していますから蒸気水銀としても脳に入ります。血行にも乗りますし、三叉神経を逆行して直接脳にも行きます。

低血糖はエネルギー不足を引き起こす

低血糖対策はとても大事です。これは血糖曲線です。これは糖負荷試験といって空腹時にブドウ糖を75g飲んで、血糖値とインスリンの量を測る検査ですが、普通の人は血糖値が緩やかに上って下がります。

しかし、この方は急激に130まで上がって、急激に57まで下がっています。ジェットコースターのようですね。下がった時に、イライラしたり眠くなったりします。これを低血糖症と言います。エネルギーレベルがめちゃくちゃになって、脳にかなり影響します。ですから、エネルギーレベルを平坦化して、落ち着かせてから脳にアプローチしないといけません。

副腎ホルモンケアがミトコンドリアを安定させる

低血糖症はもともとは副腎疲労が原因で起きます。副腎はコルチゾールを出して、血糖値を保ってくれる働きをしています。副腎疲労がある人は、きちんとエネルギーが供給できません。ですから、ミトコンドリア対策をする前に、ホルモンの方を根本的にやるということです。

エネルギーとデトックスの関係

これはミトコンドリアの中でぐるぐる回っているクエン酸回路というものです。ミトコンドリアの中でこの回路がぐるぐる回って、そこからエネルギーが作り出されています。必要な栄養素が黄緑色で示されています。亜鉛、鉄、ビタミンB群などですね。

回路が滞りなくまわるためには、様々な栄養が必要です。一方でこの黒いところは、それを邪魔するものです。クエン酸からシスアコニチン酸になるために使われる酵素がありますが、これはフッ素・水銀・ヒ素・アンチモンによって阻害されます。アルミニウムによって阻害されるところもあります。

クエン酸からαケトグルタル酸に至るまでのこの部分は(山手線でいうと駒込から東京駅くらいまで)は、非常に活性酸素の害を受けやすいです。重金属によって活性酸素がたくさん発生すると、このあたりはすべて止まってしまいます。

この状態をみるのが、先日ご紹介した尿有機酸検査です。まずミトコンドリアをちゃんと動かそうと思ったら、栄養を入れるだけでなくデトックスもしようということです。ですから、デトックスがエネルギーよりもピラミッドの下層になります。

性ホルモンより副腎ホルモンのケア

ホルモンの中にもヒエラルキーがあります。性ホルモンよりも副腎ホルモンを先に治療するのには理由があります。コレステロールからホルモンができるんですが、コルチゾールと性ホルモン、両方ともコレステロールからできます。コルチゾールが少なくなる副腎疲労の段階になると、コレステロールの多くがコルチゾールの生成に回ってしまい、性ホルモンに行かなくなってしまいます。

生命維持に大事なのはコルチゾールですから、生命反応を少なくしてすべてコルチゾールに傾けます。これをコルチゾール・スティール症候群といいます。わかりやすくいうと、コルチゾールが性ホルモンにまわるはずの材料をを盗んでいってしまうのです。(正確には異なりますが、そう理解して頂くのがわかりやすいと思います。)

副腎疲労ではPMSなど、女性ホルモン・男性ホルモン低下の症状が頻発します。これに対して性ホルモンの補充だけしてもだめでしょう。最初にするべきは、副腎へのアプローチです。コルチゾールを正常に戻してあげることです。そうすると、性ホルモンの方も自然と元に戻ってくる人が多いです。

環境毒素がホルモンに与える影響

次は、ホルモンと水銀の関係です。副腎ホルモン・性ホルモンをはじめ、すべてのホルモンはその受容体をことごとく、水銀によってブロックされます。これは、アンドリュー・カトラー先生の書かれた「Amalgam Illness」という本に載っていた図を日本語化したものです。アマルガムの害について書かれた本です。

甲状腺機能がもし低下していたら、天然の甲状腺ホルモンなどで補充してあげることも身体の代謝にとっては必要なのかもしれませんが、デトックスをちゃんとやったら、それが必要なくなる可能性があるということです。重金属はホルモンを支配しています。

デトックスの前に腸内環境を整える

人間の解毒というのは、3段階にわかれています。フェーズ1は活性化で、脂に溶けて安定している毒素を活性化して水に溶けやすくする段階、フェーズ2は抱合といって、水溶性のグルタチオンと抱き合わせてやはり水溶性にする段階、そしてフェーズ3は排泄で腎臓や肝臓から腸を通って体外に出す段階です。

体の中の毒が抜けないのは、脂の中で安定化してしまっているからです。血液中の毒や腸内の毒は、人間は排泄することができます。出せないのは、脂の中の毒です。ですから、脂肪がたくさんある人は毒が溜まりやすいです。

これらの3つのフェーズのすべてに関わるのは腸です。デトックスは腸内環境に大きく左右されます。だから、まず最初に腸内環境を治さないと解毒がうまくいきません。

水銀には有機水銀と無機水銀があります。有機水銀の80%は肝臓から胆汁に乗せて腸から排出されていきますから、腸内環境が悪ければまた腸から吸収されてしまうし、毎日排便がない人はなかなか体外に出ていきません。本格的なデトックスの前に腸内環境を治すことが大切です。

デトックスの前に炎症を抑える

デトックスの前には、炎症を治すことも大事です。体内に炎症があると、抱合に必要なグルタチオンがすべて持っていかれてしまうからです。

グルタチオンは抱合に関わる最も強力な因子ですが、同時に、強力な抗酸化物質でもあるので、体内に酸化ストレスがあるとそちらを還元するためにすべて使われてしまいます。ですから、体内でグルタチオンが十分に使えるように炎症を押さえ込んでからデトックスに入ることが大切です。

具体的には、腸内環境を整えながら、耳鼻科や歯科いってくださいね、とアドバイスします。耳鼻科で上咽頭炎を、歯科で根尖感染を治してきていただきます。特に脳のデトックスをするには、首から上の炎症を完全にとってしまうことです。脳に近い炎症がとても関係してきますから。

リーキーガットとリーキーブレイン

腸と脳はどちらを先にアプローチすべきかというと、両方です。脳がちゃんとした人でないと食べ物がちゃんとできないですよね。栄養療法は食事療法です。食事療法ができないと、腸が治りません。腸が治らないと、全て上手く行きません。ですから、対症療法的に脳にアプローチしてあげることは重要です。ただし、根源的には下から登っていかないといけません。

リーキーガットとは、腸に穴が開いてしまうという概念です。たんぱく質の中のグリアジンというものがあります。小麦を避けてほしい理由は、グリアジンがゾヌリンタンパク質を作らせて、そのゾヌリンが腸のタイトジャンクションを開いてしまうからです。タイトジャンクションとは、粘膜細胞と粘膜細胞の間に存在するバリアのことです。タイトジャンクションが開くと、余計なものが体内に入ってしまい、様々な免疫反応を引き起こしてしまいます。これがリーキーガットです。

入ったゾヌリンはそのまま脳の方まで行きます。問題なのは腸のタイトジャンクションと脳の血液脳関門(BBB: blood brain barrier )はほぼ同じ構造をしているということです。血液脳関門は脳の中に異物が入らないようにしているバリアですが、腸と同様にゾヌリンで開きます。だから、ゾヌリンが頭の方に行った場合、そのまま脳の中に入ってしまいます。だから、リーキーガットがリーキーブレインも引き起こします。

もちろん小麦アレルギーもあるかもしれませんが、それだけでは説明しきれないグルテンの問題点があります。特に子供は感受性が高いので、グルテンフリーにすると異常行動が治まったりします。

アルツハイマー病の原因と対策

アルツハイマー病に効く薬はありません。アルツハイマー病はβアミロイドの蓄積が原因だと言われて、ベータアミロイドを減らすための薬が全世界でたくさん開発されましたが、ことごとく失敗しました。どこの国の政府も主張していて、フランスは半年前にアルツハイマーの薬を保険外適用にしました。理由は、効かないからです。

アメリカのアルツハイマー病学会も薬は効かないと公式声明を出しています。薬をたくさん使っているのは日本くらいです。なぜ薬が効かないかというと、ベータアミロイドの蓄積は原因ではなくて結果だからです。アルツハイマーの原因には個体差があるからです。原因は人によって様々で、毒物のせい・栄養不足のせい、炎症のせいなどです。だから、アルツハイマーも個体差を見据えた栄養療法で治していかないとうまくいかないんです。

それをうまく説明しているのが、この「アルツハイマー病の真実と終焉」という本です。アルツハイマー病の原因は、この本によると大きく3つに分かれていて、この3つのうちのどれにあたるのかを突き詰めて、それにアプローチしていくといいよ、と書かれています。書かれていることはかなり複雑に見えますが、根本治療のピラミッドを理解していれば、治療の順番に困ることはありません。

治療のステップ

ピラミッドは5段階ありましたが、重症な人ほど4段目(デトックス)と5段目(炎症、腸内環境)、そして低血糖の治療に時間をかけた方がいいです。

栄養療法はサプリメントと食事ですが、栄養の吸収が悪い人は、全然うまくいきません。時間をかけて、吸収できるような素地を作ってあげるのが、結果的には近道です。消化できない栄養は腸を荒らすだけです。代謝が低く、消化酵素が出ていないわけですから。腸が荒れて、お腹が膨れて、まったく治りません。まずは、合わない食べ物をやめることです。

胃腸のケアに集中すること、副腎ケアに集中して低血糖をなくすこと。それだけでだいぶ、人の持っている自然治癒力が働いてきます。

サプリメントとしては副腎サプリと乳酸菌と消化酵素などで様子を見ます。ある程度素地が出てきたら、代謝が高くなってくるので、デトックスを始めようか、ということになります。デトックスは基本的に攻めの治療です。ここからはサウナや運動を混ぜていってもいいと思います。散歩したら疲れて動けなくなっちゃう、という人はまだそこまでやらない方がいいということです。

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