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臨床分子栄養医学研究会

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宮澤賢史

自閉症が増えた本当の原因と葉酸活性化経路の関係

宮澤賢史 · 2020年3月26日 ·

米国では、ここ20年自閉症の発症率の伸びが止まりません。

アメリカ疾病予防管理センターの自閉症監視ネットワークによると、2016年現在、54人の子供に約1人が自閉症スペクトラム障害(ASD)と特定されています。

これは、2000年の調査における150人に1人と比べて3倍の数字です。

監視年有病率それは何人に一人?
20006.7150人にひとり
20048.0125人にひとり
200811.388人にひとり
201214.569人にひとり
201618.554人にひとり
CDCの自閉症と発達障害の監視(ADDM)ネットワークからの推定

1970年には1万人に1人だった自閉症発症率がここまで上昇した原因は一体なんなのでしょう?

  • 認知されたこと?
  • 自閉症の診断基準が変わったこと?
  • 環境が悪化したこと?
  • ワクチン接種?
  • 農薬?

諸説ありますが、私は「妊娠期間中の母体にのみ葉酸サプリメント摂取が奨励されたこと」が大きな要因だと考えています。

葉酸サプリが二分脊椎を激減させた

葉酸はビタミンB群に分類される生理活性物質で、DNAの合成に必要であり、欠乏すると妊娠の継続に深刻な影響を与えます。

例えば「二分脊椎」です。これは生まれつき脊椎の一部が形成されない状態で、運動麻痺、感覚障害、死産などを引き起こします。

葉酸と「二分脊椎」のような神経管閉鎖障害の症例対照研究は1980年代に多く行われ、その結果、英国、米国が1992年に、カナダ、アイルランド、ニュージランド、ノルウェーなどが1993年に強化食品、サプリメントによる1日0.4mgの葉酸摂取を勧告するに至りました。

その後多くの国で二分脊椎の発症率の大幅な低下が報告されましたので、日本の厚労省もその流れに乗り2000年に葉酸サプリメントの摂取を推奨しはじめたのです。

これによると、妊娠を計画している女性は、障害の発症リスクを減らすために、「妊娠1か月以上前から妊娠3か月までの間、葉酸をサプリで摂ること」と勧告されています。

葉酸サプリを開始したら自閉症が増えた?

というわけで、1990年代前半から始まった葉酸サプリメント摂取の推奨は、各国の二分脊椎の発症を減少させました。この成果は素晴らしいものですが、その時各国政府はまだ気が付いていなかったのかもしれません。同時期から、自閉症の発症率が増加し始めることに・・・

実際に、様々な国、年代で行われた自閉症の発症率調査をまとめると、1990年ころから劇的な増加を示しているのがわかります。

なぜ、葉酸サプリ摂取が、「二分脊椎発症率の低下」と「自閉症の発症率の上昇」を同時に起こしたのでしょうか? なぜ、神経の発達に必要な葉酸の摂取で自閉症の発症率があがるのでしょうか?

これを理解するには、葉酸回路を理解する必要があります。ここからが本題です。

二分脊椎を予防できる葉酸はフォリン酸のみ

さて、先ほど「葉酸不足が二分脊椎の原因」と言いましたが、葉酸には種類があり、全ての葉酸が二分脊椎を予防できるわけではありません。

葉酸は大きく作用別に3種類の葉酸に分けられます。

一つ目は、Folic Acid(サプリの葉酸)です。ほとんどのサプリや葉酸強化食品に入っている葉酸です。二つ目は、Folinic acid(フォリン酸)で、DNAを合成し、神経を成長させてくれるため二分脊椎を起こさなくなります。3番目はMTHF(メチル葉酸)です。これが自閉症に密接に関わります。

これらは全て別物です。サプリに入っているのがFolic Acid(サプリの葉酸)、二分脊椎を防止するのがFolinic acid(フォリン酸)、自閉症を防止するのがMTHF(メチル葉酸)です。

なぜフォリン酸でなく、サプリ葉酸のFolic Acidで、二分脊椎が予防できるのかというと、Folic Acidは体内でフォリン酸に変化するからです。 これを活性化と呼びます。サプリの葉酸は→Folinic Acid(フォリン酸)→MTH Folate(メチル葉酸)へと活性化されて変化します。

この経路のことを「葉酸経路」とか「葉酸の活性化経路」とか呼んでいます。

葉酸の活性化経路が滞って、Folinic Acidが作られなければ二分脊椎になるし、MTH Folateができなければ自閉症になります。

「活性化の流れが悪い人でも、サプリの葉酸の摂取量を多くすることで、二分脊椎を予防するフォリン酸の量を確保できる」というのが、サプリで二分脊椎が予防できる仕組みです。

葉酸は大きく3種類に分けられます。
・非活性型のFolic acid (日本で作られるサプリはこれ)
・半分活性型 Folinic acid (神経の発達に重要、お母さんのお腹の中で必須)
・完全活性型methyl folate(ドーパミン合成、解毒に重要、生まれてから必須)

注)実は、葉酸には10種類以上のバリエーションがあります。DNA合成に関わるのはプリン体を生合成する10-ホルミルテトラヒドロ葉酸と、ウラシルをチミンに変換する5,10-メチレンテトラヒドロ葉酸ですが、ここでは話を簡略化するために、これらを全てフォリン酸の仲間としています。

自閉症とメチル葉酸の関係

自閉症の原因は様々な説がありますが、葉酸との関わりは特に深いと言えるでしょう。

フォリン酸がもう一段階活性化される時にメチル化という化学反応が起こります。メチル基という化学物質が結合することでMTH Folate(メチル葉酸)になるのです。

さらにメチル葉酸はメチル基を他の物質に渡す事ができます。こうしてメチル基が様々な物質に次々と受け渡される回路はメチル化経路と呼ばれています。

乳幼児が言葉をしゃべり始めるようになるために、メチル化経路は非常に重要な役割を担っています。この経路が回らなければ、神経伝達物質が作られないので、脳の発達が十分進まず、言語の習得に困難が生じます。

他にも様々な物質がメチル化されることで、
・DNAが合成されたり、
・神経伝達物質をつくったり、
・炎症を抑えたり、
・解毒をおこなったり
することができるようになります。

自閉症の予防、治療には葉酸をうまく働かせ、メチル化経路を回すことが大変重要です。神経発達の栄養療法の権威、ウイリアム・ウォルシュ博士によれば自閉症児の98%にメチレーション回路の低下が見られるそうです。

体内でメチル化経路の出発点になるのが、葉酸のメチル化で、フォリン酸がメチル葉酸に変換される反応です。

変換するのはMTHFRという酵素ですが、自閉症児の多くは、この酵素を作る遺伝子に変異を持っています。つまり、この酵素が上手く働かないというのが、自閉症が増えた第一の理由として考えられます。

自閉症が増えた第一の理由

このMTHFR酵素遺伝子変異の強い人はMethyl folate(3番目)への変換がうまくできません。

遺伝子変異があるとどの位酵素の力が弱まるのでしょうか?

片方だけ変異していると30%、両方変異していると70%酵素活性が低下します。つまり、この場所の遺伝子変異を片方の親から貰えば30%、両親からもらえば70%葉酸を活性化できなくなるということです。

MTHFRの677番目の塩基配列が酵素活性に重要です。ここの塩基はシトシン(C)ですが、これがT(チミン)に変異していると226番目のアミノ酸がアラニンからバリンに変換されるため、熱に不安定となります。

こんな人がたくさんいれば、自閉症児がたくさん生まれちゃいますよね。

でも、あなたは疑問に思うはずです。
メチレーション回路が弱い人がそんなにいるの?

いるんです。
アジア人の45%はMTHFR酵素の片方が遺伝子変異していることがわかっています。

さらに問題は、メチレーション回路が低い人同士が結婚すると、メチレーション回路が弱い子供が生まれやすいということです。

メチレーション回路が弱いことを「低メチレーション」と言います。

低メチレーションの人の特徴は「高学歴」「完璧主義」「強迫的行動」です。つまり、毎日同じことをコツコツ続けることを苦にしない努力型タイプで、高学歴、高収入のことが多いです。医師、経営者に多く、そのような人たちは同タイプの人たちと付き合い、結婚することを選ぶことが多いと言われています。

だからそのような低メチレーションタイプの人同士から生まれる子供は注意をすべきだという人もいます。

確かに近年そういった傾向があるかもしれません。
自閉症児が低メチレーションなのも納得です。

でも仮にそうだとしても、それだけの理由で自閉症の発症率が20年で3倍に増えるでしょうか?他にも理由がありそうです。

メチレーション(メチル化)とは?
さまざまな基質にメチル基(CH3)が置換または結合することを意味する化学用語です。メチル化することで物質が活性化したり不活化したりします。
メチル基を与えるものをメチル基供与体、受け取るものをメチル基受容体といいます。代表的なのは、SAMeとナイアシンです。例えば、SAMeはノルエピネフリンにメチル基を与えることでエピネフリンに変換します。
他にもセロトニンをメラトニンに変換したり、グルタチオン、ホスファチジルコリン、ミエリン、クレアチン、COq10、カルニチンの合成に関わったりします。
メチレーションは様々な病態に関わっています。以下はそのほんの一例。
先天性障害、習慣性流産(DNA合成、DNAメチル化)
脳梗塞(ホモシステイン)
精神疾患、やる気、集中力(神経伝達物質の合成、代謝)
統合失調症、発達障害 、うつ、ADHD、副腎疲労
解毒、抗酸化、アレルギー

サプリの葉酸の問題点

葉酸サプリが乳がんの元になるというお話を聞かれた事がありますか?

葉酸と乳がんの関係については以前から賛否両論があって、葉酸が乳がんに対する防御効果を持つが、一方で高用量の場合は逆に乳がんの成長を促進するという報告もあります。

カナダ・トロント大学のキム博士ら研究グループは、2014年2月に「高用量の葉酸サプリメントの摂取が、ラットの乳腺組織にあるがん細胞の成長を促進する」と発表しました。

キム博士は、「このことは非常に重要な意味あいを持っています。なぜなら、北米の乳がん患者は、葉酸強化食品やサプリメントによって大量の葉酸を摂取することが多いからです。彼女らは、ビタミンをはじめとしたサプリメントを使うことが多く、その割合は乳がん患者がもっとも高いのです。」とコメントしています。

さてここで、ひとつ疑問が生じてきます。

葉酸はDNAの合成に関わるビタミンです。だから、葉酸が欠乏したままでは細胞分裂がうまくいかなくなります。理屈で考えれば、葉酸を補充することは正常な細胞分裂を助け、がんを予防するように思えます。

なのになぜ、葉酸サプリメントががんを増やしてしまうのでしょうか?

理由は、「サプリメントの葉酸の多くは未活性型の葉酸だから」です。

前述のように葉酸には活性型と未活性型があります。緑黄色野菜のサラダには、活性型と未活性型の両方の葉酸が含まれています。それに対してサプリメントの葉酸は、すべて未活性型です。

未活性型の葉酸が活性化されるためには、いくつもの過程が必要です。酵素や補酵素が十分でなかったり、うまく働かない場合、活性型葉酸は十分つくられず、未活性の葉酸が体内にたまってしまいます。

また、活性化葉酸が働くのには、葉酸結合蛋白(FBP)が必要ですが、非活性型の葉酸サプリメントを摂った女性の体内の葉酸結合蛋白は激減することがわかっています。

Am J Clin Nutr. 2009 Jan;89(1):216-20.

つまり、葉酸の活性化がうまくいかない人が、葉酸サプリメントを摂取すると、活性化葉酸の働きも邪魔されてしまう恐れがあるのです。

これが葉酸サプリでがんや自閉症が増える理由です。

まとめと対策

近年自閉症が増えている原因の一つに葉酸が関わっていると考えられます。

・遺伝子変異があるとメチレーション回路を回すのに必要なメチル葉酸ができにくい
・人工の葉酸サプリの大量摂取によってメチル葉酸が上手く働かない

自閉症は、1990年以降、妊婦に対して世界各国が葉酸サプリメント摂取を推奨し始めてから劇的に増加しています。皮肉なことに、「通常なら死産になる子供が葉酸のおかげでちゃんと生まれることができるようになったから」というのが理由の一つです。

神経管異常を起こす遺伝子と、自閉症を起こす遺伝子が一部共通していることが近年の研究でわかっています。妊娠中に葉酸を投与する事で神経管異常のリスクは逃れることができるようになりました。

しかし、残念ながら現時点では各国の対応は出生時の神経異常の防止のみにとどまっており、生まれた後のフォロープログラムはありません。

また、神経系に問題を引き起こすMTHFR遺伝子変異はアジア系に多いという事がわかっています。今後もアジア圏における自閉症の発症頻度に注意する必要があります。

ただ「活性化葉酸サプリ」をとればいいという単純なものではありません。サプリメントをとることでかえって問題が複雑になる場合もあります。

今後出産を予定している方(特に高齢出産や流産の既往のある方、遺伝的に心配のある方)、お子さんが自閉症と診断された方に、私がお勧めするのは、MTHFRをはじめとした遺伝子検査を受けてみることです。

そこで遺伝子変異があるなら、まずは、この分野について勉強してみるのがよいと思いますもちろんこの分野に詳しいドクターに相談してみるのもよいでしょう。

この葉酸活性化の問題ですが、解決手段の一つとして、すでに活性化されている葉酸サプリメントを使うという方法があります。すでに活性化されているのでMTHFRの遺伝子変異があっても、その問題を回避することができます。

しかし、使い方を間違って問題を起こしているかたが多数います。

・サプリメントが効かない、サプリメントで症状が悪化する
・爆発的行動、突然怒り出す
ということを経験された方は特に気を付けてください。

この分野に詳しいドクターの間では、活性型葉酸は全体の回路を整えた後に使うのが常識です。

ミネラルの吸収と生体利用性

宮澤賢史 · 2020年1月24日 ·

今回は、ミネラルの吸収と生体利用性に関する話です。

水溶性ビタミンはとにかくたくさん摂ればいいです。ビタミンは受動拡散と言って、濃度を上げれば濃度差で、濃度の高いところから低いところに浸透して吸収されていきます。

しかし、ミネラルは生体利用性を上げてやる必要があります。

亜鉛・鉄・マグネシウムはもともと吸収があまりよくありません。

ミネラルを吸収するためには、腸内環境が大切

ミネラルは細胞の中にイオン化、もしくは有機酸によってキレート化されないと入れないので、吸収されるためには腸内環境を整えなければいければいけません。

炎症があると動きが止まってしまいます。

代表的なのは鉄です。炎症がある人は、鉄をたくさん入れても吸収利用できません。肝臓からヘプシジンという物質が出て、鉄の吸収を止めるからです。(それでもヘム鉄なら少し入っていってしまいます)

ミネラルの生体利用が難しい理由

  • 吸収が悪い
    ビタミンは受動拡散で吸収されていく
    ミネラルは腸内環境、有機酸によるキレート、イオン化環境が必要
  • 炎症で動きが止まる
    鉄は炎症では吸収、利用が止まる
    炎症があるとデトックスが止まる
  • 生体内にあっても利用できない場合
    異所性石灰化など

本来、炎症がある時には鉄を入れてはいけません。

炎症に火を注ぐことになるからです。炎症を止めてあげて、ミネラルの代謝を正常化すると、鉄サプリメントがなくても鉄の数値は上がってきます。

上咽頭炎をきちんと治療するとフェリチン値が上がっていく人は多くいました。

重金属が出るのも同じです。

炎症があるとデトックスが止まってしまいます。抱合するためのグルタチオンが消費されてしまうからです。

ですから、必要なミネラルを体内に取り入れるのにも、悪いものをデトックスするのにも、環境を整えてあげることが必要です。

カンジダに鉄サプリは禁忌

腸内環境治療で1番やっかいなのはカンジダです。

理由は「カンジダは人に近い」ということがあげられます。カンジダは細菌というより、人に近いのです。

人とカンジダは鉄を取り合います。カンジダがある人は鉄サプリメントは禁忌です。

カンジダは糖質も鉄も大好きですから、鉄があるとどんどん成長して増殖します。鉄サプリを摂ってお腹の膨満感が強くなる方がいらっしゃいますが、そのような場合は鉄を使えないように、抗菌用の乳性タンパク質であるラクトフェリンを使用しています。

ビタミンとミネラルの性質の違い

水溶性ビタミンは、使用量によって効果が変わります。

極端なことを言えば、水溶性ビタミンは効かなければ量を増やせばいいのです。

わりと吸収がいいのでたくさんあれば体にある程度吸収させることができます。

また、水溶性ビタミンは有機物ですから、体内で作られるものもあります。(腸管でビタミン B、K、日光を浴びる事でビタミンDが生成される)

それに対してミネラルは生体利用率とバランスが命です。

マグネシウムは単純に増やしても下痢をするだけです。また無機物ですので体内で作られることはありません。

ビタミンとミネラルは全く異なる物質だと言うことです。

ビタミン:易吸収性であり有機物
ミネラル:難吸収性の無機物

ミネラルは体内では作れません。

ビタミンは腸内細菌でまかなえたりしますが、ミネラルはそれができません。ミネラルを作れたら錬金術になってしまいます。

水溶性ビタミンはドーズレスポンスですから、効かなければ、基本的には量を増やせばいいです。何度も言いますが、ミネラルは生体利用性とバランスが命です。

マグネシウムは、吸収が良くないことを利用して、下剤として使われます。

他のミネラルとのバランスを考えなければいけません。

相互作用があるため、1つのミネラルを多く入れると、対抗するミネラルが枯渇することがあるためです。ですので、ビタミンよりもミネラルの方が難しいのです。

ミネラルがうまくいかなくてミトコンドリアが回っていない人も多いです。

ミネラルのバランスは周期表を見る

ミネラルのバランスは、周期表にエッセンスが閉じ込められています。

周期表は、原子の電子配列を集めたものです。

原子があって、その周りを電子がグルグル回っています。電子がまわっている軌道には定員があります。一番内側は2個、その外側は8個、8個、18個、18個となっています。原子の外側の電子軌道をあらわしたものが周期表です。

なぜこんな並べ方をするかというと、最外殻の電子の数が、ミネラルの性質を決めているからです。

例えば1番左側のアルカリ金属を例に取りましょう。

リチウム・ナトリウム・カリウムは、それぞれ内側の電子の数は異なりますが、最外殻の電子の数は1個です。リチウムとナトリウムとカリウムは同じ性質を持っています。同じように動くし、体内で反発しあいます。

それをうまく表して、きちんと見られるようにしているのが毛髪ミネラル検査です。

この方の場合は、ほとんどのミネラルは左側、不足を表しています。

ナトリウム、カリウム、リチウム、ルビジウムは右側を向いています。同じような性質を持つので、体内で同じように動くんですね。ビタミンB12が足りない人、働かせたい人はリチウムを摂取するといいですが、入れすぎると逆にビタミンB12が枯渇してしまいます。

またこの方の場合は、コバルトが最下段になっています。

体内でコバルト、というとビタミンB12(コバラミン)のことを表しています。この方の場合はリチウムが余っていて、ビタミンB12が足りていないので、ビタミンB12をほどよく足してあげたらいいです。

但し、リチウムを摂りすぎると、カリウムが下がってきます。

拮抗ビタミンなので、リチウムとカリウムは一緒に入れてあげなければなりません。(ナトリウムはたくさんあるので例外)

リチウムとカリウムを入れすぎると、今度はルビジウムが下がってきます。ルビジウムが足りなくなると、攻撃性が高まります。ですから、ミネラルの場合はバランスがとても大切なのです。

ミネラルの生体利用率に関わる腸の問題

これは宮澤医院の患者さんの初診時のアンケートです。

宮澤医院では慢性疲労外来を行っていますから、当然ながら一番多い主訴は倦怠感、慢性疲労です。しかし、意外なことに慢性疲労の次に多い主訴は、腹部膨満感です。慢性疲労の人はお腹が悪いという傾向があることがわかります。

腹部が膨満する原因は様々です。

悪性細菌が増えすぎるとそれらがガスを産生するので膨満が起こります。また、消化酵素が足りなくてタンパク質が未消化になってもやはり膨満が起こってきます。そこで、実際に150名の慢性疲労の患者さんに腸内環境検査を行ったので、その検査を解析しました。すると、77%の人に乳酸菌が少なく、腹部膨満感、炎症、免疫異常がありました。腸の炎症を自覚できる人は少ないです。

副腎疲労外来の患者150名の
総合便検査結果の統計

  • 乳酸菌が少ない(77%) 
  • 腹部膨満感が強い(59%) 
  • 悪性細菌が多い(25%) 
  • 炎症を起こしている(64%)
  • 免疫異常がある(65%) 
  • カンジタ感染(65%) 
  • 短鎖脂肪酸不足(30%)

腸の自覚症状は当てにならない

腹痛、もしくは腹部膨満感が半年以上前からあるというのは、過敏性腸炎の診断基準です。一般的には下痢・便秘など様々な症状があっても、腸を調べると何ともない、というのが過敏性腸炎です。

しかし、実際に腸内細菌を調べてみると、大いに狂っています。症状がある人は自覚できるのでいいのですが、症状がない人もたくさんいます。統計上、実際に炎症があって、かつ自覚症状がある人は、40歳以上だと3人に1人という計算になります。

バナナのような便が毎日出ていてもそういうことがあります。バナナのような黄褐色で無臭の便が毎日1~2回出ることが最低限のラインです。

そうなっていない人は、まずそこからやっていったらいいと思います。腸内環境を治すことは、ミネラルの吸収のためにとても重要です。

過敏性腸炎の診断基準
腹痛もしくは腹部不快感が半年前からあり、かつ最近3か月の中で月に3日以上あり、さらに下記の項目のうち2つ以上を満たす。
・排便により軽快する。
・症状の有無と排便頻度が関連している(例:腹痛があるとき排便回数が増える)
・症状の有無と便の状態が関連している。(例:腹部不快感があるとき下痢状便になる)

リゾチーム高値のうち、過敏性腸炎症状がある人の割合

ミネラル吸収のポイントは土壌

今は、畑を耕すのに農薬をたくさん使います。すると、微生物がいなくなって、野菜が栄養的にすかすかになってしまいます。窒素を入れると大きくはなるんですが、すかすかになります。今、畑の野菜に足りない栄養素はマグネシウムなんだそうです。野菜のミネラルは減ってきています。ミネラルを吸収させるための微生物がいなくなっているからです。微生物が作り出す有機酸が、野菜にミネラルを吸収させます。

これは腸内にもあてはまり、腸内細菌が短鎖脂肪酸を作り出すと、その短鎖脂肪酸がミネラルを吸収させてくれるんです。だから、健全な発酵が必要です。そのためには食物繊維と乳酸菌です。だから僕の場合は、ミネラルの吸収が悪い人に対しては便検査で短鎖脂肪酸をチェックしています。

サプリの量と反応の関係

宮澤賢史 · 2020年1月21日 ·

栄養療法やサプリメントを推奨する会でよく聞く話なんですけれど、

・ 現代は食生活が変化して必要な栄養素を摂れなくなっている。
・ 付き合いで飲みすぎることも多いし、不摂生している。
・ 現代では農薬の使いすぎで、畑がやせて野菜に含まれるビタミンの量が減っている

ですからサプリメントで必要な栄養素を補いましょうというものです。このような、不摂生を補ってくれる商品としてのサプリメントも否定はしません。しかし、それなら食事をきちんと摂ったほうがよいでしょう。サプリメントを摂る本当の意味は効率化です。栄養素が濃縮して入っており食事では取りきれない医学的な量の栄養を摂ることができます。

例えば、豚肉にはビタミンBが多く含まれていると言われていて、ブタヒレ肉100gには1.34mgのビタミンB1が含まれています。確かに、これは1日の厚労省の推奨量1mgよりは多いです。しかし、栄養療法で神経の再生のために使うビタミンB1は1日150mgです。

これは、ブタ肉11.2kgに相当します。これを1日で食べるのはいかに大食いの人でも無理ですよね。同様に、風邪の予防に必要な3000mgのビタミンCはレモン150個分です。

栄養素は単に欠乏症を補うだけでなく、量を多くとることで様々な医学効果が期待できます。しかし、その量を確保するためには栄養素を濃縮して摂ることが不可欠なのです。

副作用をモニターしながら進める

ところで、「第6次改定日本人の栄養所要量について」をご覧頂くと分かりますが、多くの栄養素に関して、厚労省は上限を設けています。サプリメントの副作用を懸念しての事です。

サプリメントは高容量を摂ると、副作用が生じる可能性があります。(もちろん、薬よりも圧倒的に少ないですが)ビタミンCを高用量とれば、胃への刺激が出る場合もあるし、下痢をする事もあります。

だから、初めに検査をして栄養素の過不足を判断する事が必要になってきます。もちろん、治療開始後も時々検査をして、栄養が十分かどうか評価を行います。栄養療法では、モニターをしながら、医学的効果が得られる量のサプリメントを使用します。

歩行とふらつき、意識障害をもつ45歳男性

5日前から独り言が多くなり、会話が成り立たなくなった。また歩行がふらつくため、自宅内を這って移動していた。本日からほぼ寝たきり。既往歴なし。喫煙歴20本x25年。飲酒ビール2.5リットル毎日。食事は不規則。バイタルサインほぼ安定。 診断と治療はなんでしょうか?

5日前からおかしくなって、すぐに寝たきり。普通は脳卒中などを考えますよね。でも、特記すべきは1日ビール2.5リットル、食事は不規則でおつまみ程度というところです。検査結果は、肝機能はお酒のせいで悪いですが、特に生命に関わるようなところはありません。

今も存在するビタミン欠乏症

この方の脳のMRIを撮ったら、まんなかのところに少し炎症が見られました。これは、ウェルニッケ脳症という極端なビタミンB1不足を原因とする中枢性障害です。眼球運動麻痺、歩行失調、意識消失をきたします。

脚気、ウェルニッケ脳症、壊血病は昔の病気ではありません。現在でもあるんです。現代の脚気は、こういったアルコール中毒か、子供の清涼飲料水の飲みすぎなどが主な原因です。 脚気心といって、動悸が激しくなって運ばれ、救急外来で肺高血圧症と診断されるも、最終的に脚気による心不全だということがわかる、ということはよくあります。清涼飲料水は異常に糖質が多いので、それによってビタミンB1が消耗してしまうんです。拮抗栄養素の過剰な摂取によって、対立する栄養素が失われてしまうというのがポイントです。

脚気はビタミンB1の欠乏症です。厚労省の勧めるビタミンB1の推奨量は1日1.1mgですが、いったんこうなったら、数百mgのビタミンBが必要です。これは食事はもちろん、サプリでも不十分なので、点滴でビタミンB1を大量に入れます。

量と反応の関係(ドーズ・レスポンス)

ビタミンBが枯渇する脚気や、他にもビタミンC欠乏の壊血病などは、大量に栄養を補給する必要があるのは理解できたけど、じゃあ重症の欠乏症じゃなければ、ビタミン大量補給の必要もないでしょ。と思う方もいらっしゃるかもしれません。

ここからは、欠乏症以外にビタミンを大量に使う意味を説明します。例えば、ビタミンCを25g点滴すると、血中濃度が経口で摂取する場合の70倍になります。レモン1250個分です。

これは僕がビタミンC点滴を習ったリオルダン・クリニックの、リオルダン先生が2000年に発表したビタミンCの血中濃度が400mg/dを超えるとがん細胞が死ぬ、という論文です。2005年にWHOが追加実験を行うと、本当にがん細胞がなくなったので、そこから一気に広まりました。

これはビタミンCを経口摂取した場合と点滴した場合の、血中濃度のグラフです。400mg/dというのは結構な濃度で、経口摂取では絶対にたどりつけない濃度なんです。点滴でしかこの濃度に達することはできません。抗がん作用を期待するなら、点滴しなければなりません。例えば、これがビタミンの欠乏症でない人に大量にビタミンを使う例です。

ビタミンCの至適量は状況や目的によって変わる

ビタミンCの最適な量は、状況や目的によって変わります。怪我を治りやすくする、コラーゲンを作る(100mgで大丈夫)、壊血病を予防する、風邪の予防ではグラム単位で必要です。副腎疲労は風邪と同じように、数十g摂るといいです。ビタミンCを点滴すると、てきめんにいいです。

ビタミンCサプリメントは頻回摂取が有効

サプリメントを摂るなら、1gずつ1時間ごとの頻回摂取が有効です。ビタミンCは一度に大量に摂ると、吸収が落ちます。60mgだと100%、100mgだと90%、1000㎎だと75%、2000㎎だと44%と、どんどん減っていきます。ですから、1000mgが最もコスパが良いですね。

30分で血中濃度は上がりますが、4時間で下がります。4時間おきだと血中濃度が上がったり下がったり、血中濃度が安定しません。ですから、1時間おきに、血中濃度が下がっていないうちに次々入れていくと、どんどん上がっていきます。ビタミンCの効果は血中濃度に比例しますから、ビタミンCを1時間おきに摂るだけで、効果が3倍近くなります。

ビタミンCを自分で作れる動物

ビタミンCを自分で作れるものもいます。左側が作れないグループ、右側が自分で作れるグループです。犬と猫も作れますが200mg程度だそうです。自分で作れるとはいえ、少ないですね。動物病院ではビタミンC点滴はよくやることです。ストレスが多くて全然足りないからです。

野生のヤギは14mg/日ですが、病気になると100mg/日です。需要に応じて産生量が増すのです。自分で作れない動物は、状況に応じて摂取量を増やした方がいいのではないか、という話です。

ビタミンDの血中濃度と効果

同様に、ビタミンDにもドーズレスポンスがあります。ビタミンDの血中濃度が20ng/mlと低くても、くる病は予防できます。様々ながん、糖尿病、多発性骨髄腫などはだいたい40~60ng/mlで予防できます。ほとんどの疾患ではこの濃度にしておくと、いいことがおきるということです。

日本人の平均ビタミンD血中濃度は20程度と言われています。日焼けしていて、すごくビタミンDがありそうに見えても血中濃度が低い人もいます。逆の人もいます。ビタミンDの体内合成力によります。低い人は、サプリメントを摂ると、確実に上がっていきます。血中濃度を上げるためには、できれば1日2000IU以上摂ると良いでしょう。

しかし、ビタミンDはビタミンAと同じく脂溶性ビタミンなので、1日5000IU以上摂取する場合は血中濃度を測定しながらやることが重要です。ビタミンDサプリメントを毎日摂っていて腎不全を起こしたという症例報告があります。

栄養は体内で偏って存在する

宮澤賢史 · 2020年1月17日 ·

同位同食という中国の考え方では、肝臓が悪い場合は鶏レバーを食べればいい、と言われます。同様に、副腎の機能が落ちている人は、牛や豚の副腎をすりつぶしたものをサプリメントとしてとるという考え方があります。細胞レベルのでの場合も同じように、細胞膜が悪かったら、細胞膜の原料をたくさん摂ったらいいです。

副腎を治したかったら副腎に多く存在する栄養素を摂ればいいです。ビタミンCが体内で最も多いのは副腎、ついで脳です。何故多いかというと、需要が多いからです。何故需要が多いのかを考えると、ビタミンCがどんな働きをしているかということがわかってきます。日本の厚生労働省が指示しているビタミンCの摂取量は、レモン5個分です。レモン1個分は20mgと規定されているので、ビタミンCの標準摂取量は100mg、壊血病を予防するためには大人の場合100mgだと言っているということです。アメリカのNational Academy of Scienceは、最低のビタミンC摂取量を60mg(現在は75mg)だと言っています。

ビタミンC標準摂取量の根拠となる実験

ではなぜ、100mgや60mgなのかというと、囚人を使った実験がもとになっています。 まず、ビタミンC欠乏食を2週間食べさせて、ビタミンCを完全に欠乏させます。それからビタミンCを5mg、10mgと毎日増やしていって、どれくらい摂ったら尿中に出てくるかというのを調べたところ、60mgだったそうです。ということは、60mgで体内で飽和したんだろう、という根拠なんだそうです。

でももし人間がそんな単純なバケツのような構造をしているのであれば、ビタミンCを大量にとっても、60mg以上は尿中に排泄されてしまうので無駄になるはずです。

ビタミンC排泄量の比較実験

これは、実際にビタミンCを1000mg摂った場合と、2000mg摂った場合の尿中の排泄量の比較です。もし60mg以上が尿に排泄されるなら、1000mgだと940mg出るはずですね。2000㎎だと1940mg排泄されるはずです。しかし、実際には1.5倍しか出ませんでした。ですから、この説は間違っているだろうということです。では、その差はどこに消えたのでしょうか?

ビタミンCの局在

これはモルモットです。モルモットは人間と同様に体内でビタミンCを作ることができない、数少ない動物のうちのひとつです。人間は進化の過程で、ビタミンCを体内で作る能力を失いました。ビタミンCを果実などで豊富に摂れる環境があったからだと思われます。

進化の過程で、周囲から豊富に摂れる栄養は、自分で作る能力が退化していきます。必須脂肪酸、必須アミノ酸、摂らなければばならないビタミンが多すぎますね。人は、外から摂取しなければいけない栄養だらけです。ビタミンCの実験には一般的にモルモットが使われます。外から入れたビタミンCがどこに行くのか見るのには、モルモットが最適だからです。

これは1950年頃のビタミンCの実験の写真です。摂ったビタミンCは、体内に均等に分布しているわけではありません。需要が高い臓器に集まっているのがわかると思います。ビタミンCの需要がどこで多いかというと、目玉、副腎、脳です。

分子栄養学の生みの親のひとり、ライナス・ポーリング博士の実験は、ハエを使ったものでした。1日で死んでしまうハエでしたが、死ぬときには白内障になっているそうです。でも、ビタミンCを摂らせた場合は、死んだときにも白内障になっていませんでした。

水晶体にはビタミンCがたくさん含まれていて、抗酸化の働きで白内障になるのを予防しています。同様に、副腎、脳での蓄積が高い理由もあると考えることができますね。ビタミンCが脳脊髄内に少ない人は、うつ病の発症率が高いんです。副腎では、ビタミンCはコルチゾールの合成に関与しています。

血中のビタミンCを1とすると、脳には20倍、白血球中には80倍、副腎には150倍存在しています。風邪にビタミンCが聞く理由は、白血球の遊走性を上げる働きがあるからです。免疫が上がります。副腎疲労の人はビタミンCを摂ったほうが良い、というのはこれだけでもわかりますね。

副腎から出るコルチゾール合成の、おおもとの命令は脳の下垂体から出ています。この副腎皮質刺激ホルモンを出す下垂体のビタミンC濃度は、非常に高いです。

脳・副腎・肝臓には優先的に供給されています。同じくモルモットで、ビタミンCをたくさん撮ると、臓器別の濃度がどうなるかを調べた論文があります。ビタミンCは副腎とか肝臓や脳に多いですが、投与量を増やしていくと、どんどん上がっていきます。ビタミンCの投与量が減ると、どんどん減るかと思いきや、ぎりぎりまで脳と副腎、肝臓の濃度は保たれます。他を差し置いても優先的に供給されているということです。

ちなみに、濃度別で考えた時に一番濃度が高いのは副腎・脳下垂体ですが、総量として一番多いのは、肝臓です。肝臓ではビタミンCは解毒に使われます。解毒のフェーズ1、活性化のところで使われています。お酒を飲んだ次の日、ちょっとボーっとしているときにビタミンC点滴をやるとリセットされます。僕はよくやります(笑)

亜鉛の局在

亜鉛が一番多いのは、膵臓です。亜鉛は細胞分裂のキーミネラルです。膵臓は消化酵素を大量に作るので、細胞がたくさん分裂するのに亜鉛が使われます。肌もそうです。ですから、アトピー性皮膚炎には絶対必要です。腸粘膜の修復にも大事です。人間の体内で細胞分裂が一番早いのは腸粘膜です。骨髄もそうですね。白血球が2週間毎に入れ替わります。

口腔粘膜もターンオーバーが早いです。修復に必要な、細胞分裂に関わる亜鉛やビタミンAが豊富です。ですから、効かせたい場所に元から多く存在する栄養を多く摂ることを意識してください。どこの臓器にどんな栄養が多いのかはご自分で調べてみてくださいね。

小胞体ストレスをなくす方法

宮澤賢史 · 2020年1月14日 ·

小胞体というのは核の周りにある、うにゅうにゅした形の器官のことです。核ではタンパク質を作れないので、小胞体の中のこの粒々したリボゾームというところでタンパク質を作ります。作ったタンパク質はそのままこの小胞体の中に保存します。

1. 小胞体の役割

つまり小胞体はタンパク質の製造と倉庫の役割です。作ったタンパク質を、必要に応じて出荷します。タンパク質を作るにはまず、核内の遺伝子をRNAでコピーして、リボゾームに持ってきます。そこから転写(翻訳)して、設計図に沿ってアミノ酸を1つずつ紡いでいきます。数珠状になったアミノ酸をタンパク質にするためには、これを折りたたんでいくことが必要です。折りたたむことをフォールディングといいます。

この折りたたみ方が雑だと正しいタンパク質ができません。折りたたみを助けてくれるのが分子シャペロンです。シャペロンというのは執事、という意味です。シャペロンが正しく機能すると、正しい折り目で折りたたまれて、正しいタンパク質ができます。

タンパク質は非常に精巧な作りをしていて(多少大丈夫な部分はありますが)、一点構造が変わってしまうと働かないポイントがあります。特に酵素の場合は、構造が少し変わってしまうと全く働かなくなることがあります。ですから、フォールディングはとても重要です。

タンパク質が正しく作られると、必要に応じてどんどん出荷されていきますけれども、不良品だと出荷停止になります。小胞体の中に、不良在庫がどんどん積みあがっていきます。すると、小胞体がせまくなってきてお手上げになってきて、小胞体の機能が低下します。これを小胞体ストレスといいます。

タンパク質が正しく作られない理由は様々です。うまくDNAのコピーができなかったのかもしれないし、翻訳がうまくいかなかったのかもしれないし、フォールディングに問題があったのかもしれません。細胞膜が固すぎて出荷できなかったのかもしれません。

様々な要因でできそこないのタンパク質が増加すると、小胞体ストレスがどんどんたまってきます。小胞体とミトコンドリアは一心同体なので、どちらかにストレスがあると両方とも機能しなくなります。ミトコンドリア対策をいくら頑張っても、小胞体ストレスがあるとうまくいきません。ですから、小胞体ストレスをなくすようにしなければなりません。転写がうまくいくように活性酸素をなくすことも大事ですが、特に大事なのは、フォールディングを助ける分子シャペロンをちゃんと働かせることです。

2 小胞体ストレスを防ぐには

ではいったい、どうすれば小胞体ストレスを防げるのでしょうか。

2-1.動物性タンパク質の過剰摂取を制限する

肉は必要ですが、食べ過ぎはダメです。食べ過ぎるとタンパク質を作らなくていいのかな、と体が勘違いして在庫が増えてしまうそうです。

2-2.ミトコンドリア機能を上げる

小胞体の機能を上げるには、一心同体であるミトコンドリアの機能をあげてやるのもいい手です。ミトコンドリア機能を上げるために、運動するのが良いでしょう。

2-3.ヒートショックプロテイン

先程出てきた分子シャペロンは、ヒートショックプロテインのことだと思って構いません。ヒートショックプロテインとは、刺激によってつくられるタンパク質です。どんな刺激かというと、朝日を浴びる、熱いお風呂に入る、息を1分間とめる、寒中水泳をする、高地トレーニング、断食をする、ということです。

ヒートショックプロテインを刺激すると、分子シャペロンがうまく働くようになって、フォールディングがうまくいきます。断食をした方がいい理由の一つはこれです。時々短期の刺激を与えてあげることで、タンパク質の不良在庫を一掃してください。

2-4.寝る前にオメガ3脂肪酸やナイアシンを摂取する

細胞膜を柔らかくすることも必要ですから、オメガ3サプリメントを摂ることもいいと思います。遺伝子の修復をする、ナイアシンを寝る前に摂ることもいいでしょう。小胞体ストレスをなくして、小胞体とミトコンドリアの動きを良くしましょう。

ここまでで、細胞の4つの働きは終わりです。イメージができてきたでしょうか?自分の細胞を動かすイメージがとても大切です。自分の今の細胞はどうなっているかということをイメージして、根本治療ピラミッドを作ってみてください。

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