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小池雅美

血液データの読み方 BUN、AST、ALT

小池雅美 · 2021年6月13日 ·

血液検査のデータをもらったときに、見慣れない言葉や略語ばかりで、よくわからないということはありませんか?また、言葉や略語の意味はだいたい知っているけれど、健康状態がいいのか悪いのかが今一つわからないということはないでしょうか?

今回は、血液検査項目の中でも、アルファベットが3つ並んだ曲者、BUN、AST、ALTについてお話しします。生化学的な観点や、生物学的な観点、マニア的なうんちくも含めて、この3つの数値の意味することを、深読みできるように説明していきます。

1.BUN(尿素窒素)

1-1.BUNとは

BUNは、日本語では「尿素窒素」といわれるものです。血液中の尿素に含まれる窒素の量を測っています。
基準値は、大体12くらいからということになっています。

BUN尿素窒素12~
蛋白摂取量 蛋白異化
消化不良 消化管出血

このBUNは、どのようにできるのでしょうか。

まず、わたし達がたんぱく質をとると、お腹の中で分解されてアミノ酸に、その一部は腸内でアンモニアになります。この2つは、肝臓に入って、尿素回路によって尿素とになり、腎臓に入っていって、尿として体の外へ出ていきます。

たくさんのお肉を食べたなど、たくさんのたんぱく質をとった時には、たくさんの尿素がつくられるのでBUNが上がりますし、少ししかたんぱく質をとらなかった時には、BUNは下がります。

ちなみに、BUNはγ-GTPと同じような数字になることが多いのですが、これは偶然なので、意味はありません。

尿素窒素とは、血液中の尿素に含まれる窒素量

1-2.BUNが上がる、下がるのはどんな時か

BUNが上がるのは、以下のようなときです。

  • 腎臓が悪いとき:腎炎、腎不全、糖尿病性腎症、アミロイドーシスなど
    腎臓が悪いと尿素を濾すことができないので、血液の中に尿素がたまり、BUNが上がります。なので、BUNは、腎臓の病気を見るときに使われることが多いです。
    同じように、腎臓の病気を見るときに一緒に調べるクレアチニンというものがあります。この2つの両方が上がるのは、腎炎とか腎不全、糖尿病性の腎症、腎臓が壊れているときです。どちらも高かったら、栄養療法ではなくて、まず専門医の先生に見てもらってください。腎臓に問題がなくても尿管が詰まっていれば、同じくBUNが上がります。
  • 消化管出血があるとき
    血液もたんぱく質なので、これが消化されたときにもBUNが上がります。なので、この数値で、消化管出血の有無を間接的に見ることができることもあります。
  • 筋肉をどんどん壊していて、そのたんぱく質処理が追いつかなくなっている状態のとき
    例えば、飢餓、発熱、感染症、組織の壊死、崩壊重症消耗性疾患、手術後、甲状腺機能亢進性などのときです。
    食べるものがないときには、筋肉を壊して代謝を回そうとします。発熱や感染症でも筋肉は壊れていきます。どこかの組織が壊死したときには、壊れたたんぱく質処理が追い付かないことがあります。手術後も、食事をとれていなくて、傷があるので炎症が起こっている状態です。甲状腺機能亢進症というのは、体の中の代謝がものすごく上がっている状態で、脂肪も筋肉もどんどん使ってエネルギーに変えていきます。交感神経優位の状態です。
  • 高たんぱく食のとき
    腸の中に過剰なたんぱく質が入るので、BUNが上がります。

逆に、BUNが下がるのは、以下のようなときです。

  • 肝臓が悪いとき:肝硬変、肝炎などの肝不全
    たんぱく質が分解されてアミノ酸とアンモニアができると肝臓に入りますが、ここが弱っていると尿素をつくる力が落ちて、アンモニアを解毒できずにそのまま出してしまうので、BUNが下がります。
  • 低たんぱく食のとき
    食べるたんぱく質の量が少なければ窒素も少ないので、BUTも下がります。
  • 妊娠成長ホルモン、タンパク同化ホルモンを使ったとき
    食べたたんぱく質をもう一度たんぱく質に変えて、どんどん使っていくことになるので、尿素として窒素分を捨てる必要がなくなります。したがって、成長期の子どもも、食べている割に尿素窒素が低い傾向があります。
  • 輸液過剰、バソプレシン分泌過剰症候群のとき
    これは血液の中に水分がどんどん増えていく状態なので、同じ量の尿素窒素があっても相対的に薄まっていることになります。
  • 尿崩症のとき、マンニトールの利尿剤を使ったとき
    排尿量が増えるので、血液中の窒素が減っています。

このように、BUNが高かったり、低かったりする原因はいろいろあります。また、高くなる条件と低くなる条件とが、重なりあってくるときもあります。例えば、たんぱく質を摂りすぎているけれど、成長ホルモンが出ている思春期のときなどです。そうすると、思ったより低くならないこともあります。

BUN病態・疾患
高値腎炎、腎不全、糖尿病性腎症、アミロイドーシス等
高蛋白質、消化管出血、飢餓、発熱、感染症、組織の壊死、崩壊重症消耗性疾患
【薬剤】
副腎皮質ステロイド剤、利尿薬(アミノグリコシド系、テトラサイクリン系)、非ステロイド系抗炎症薬、免疫抑制剤、抗悪性腫瘍薬、造影剤など
低値低蛋白食、妊娠、肝不全、重症の飢餓
輸液過剰、バゾプレシン分泌過剰症候群、中枢性・腎性尿崩症
【薬剤】
成長ホルモン、蛋白同化ホルモン、マンニトール利尿剤
参考文献:臨床検査ガイド2011-2012

1-3.クレアチニン(Cr)と、あわせて見る

クレアチニンというのは、数値がとても高いのは腎臓が悪いときですが、ごく普通のときには筋肉量を反映してきます。なので、筋肉がある人のほうが多くて、痩せている人のほうが少ない。男性のほうが多くて、女性のほうが少ない。筋肉量はそう簡単には変わらないので、クレアチニンの数値は基本的動かない数値だと思って大丈夫です。その逆に、尿素窒素は食べたものや体調でどんどん変わります。

尿素窒素8~20㎎/dl
クレアチニン0.7~1.3㎎/dl
尿素窒素の数値は、クレアチニンの約10倍

クレアチニンの基準値は、0.7~1.3くらい。尿素窒素のざっくりとした基準値が8~20くらいなので、おおよそクレアチニンの10倍くらいが尿素窒素ということになります。
しかし、実際に普通のいろいろな人のデータを見ると、簡単に10倍を超えていることも多いので、これが特別に高かったり、異常値だったりするときにこの基準が使えるのかなという感じです。
また、栄養療法を始めると、胃腸機能を整えながらたんぱく質量を増やして筋肉をつけたり、代謝をよくするという治療になることが多いので、この10倍という比が崩れてくることが多くなります。

10以上腎外性因子
10以下低蛋白食、腎透析後
BUN/Cre比

スポーツをしている方、筋肉をつけたい方は、これが20倍以上になっていることがあります。さすがに20を超えたときには、消化能力以上にプロテインを摂りすぎているので、その量を少し減らしてもらう、回数を分けてもらう、消化酵素を使ってもらうなどをします。
また、たんぱく質合成がうまくいっていないと考えられるときには、ミネラルやビタミンを足してもらいます。これは、消化不良を起こして、腸内に炎症がおき、メンタル面の不調が出ることが多いためです。

このデータでは、クレアチニン0.9に対してBUN39ですから、40倍以上とかなり多いです。クレアチニンが高くはないので腎臓病ではなさそう…こういった時には、必ず消化管出血を疑ってください。このときに問診は、とても大事です。

ごくごく普通の方で、例えばストレスがあって痩せているような方や食欲があまりないような方のBUNが高かったら、例えば胃潰瘍とか、腸からの出血を疑います。場合によっては、ガンがあるかもしれません。こういうデータを見たら、1人で抱えずに必ず専門医に相談してください。

1-4.アンモニアの排泄いろいろ

たんぱく質からつくりだされるアンモニアはとても有毒なので、体の中に入れておきたくありません。なので、無毒な尿素に変えて、体の外に出します。たんぱく質は大事なので、必要な分の窒素は必ずアミノ基を再利用していますが、余分な分もあります。哺乳類では大抵、このアンモニアを尿素に変えて、窒素を排泄しています。

尿酸

鳥や爬虫類の場合は、どうでしょうか。アンモニアを外に出したいのは同じなのですが、尿素ではなくて尿酸にして外に出します。尿素と違って、尿酸には二重結合の酸素がたくさんあって、OHがないために、水に溶けません。つまり、尿として出しにくいのです。

白いものが尿酸

鳥や爬虫類の糞には白いものが混じっていますが、これがその尿酸になります。このような形でアンモニアを体の外に出すのは、鳥や爬虫類が、卵で生まれる生き物だからです。尿素のように水に溶ける形で卵の中でアンモニアが回っていたら赤ちゃんは死んでしまうので、尿酸としてためています。

実は、尿酸を尿素にできない動物もいます。ダルメシアンです。黒の斑点の中に白い毛がないのが特徴の犬ですが、この特徴にかかわる遺伝子が、尿酸を尿素に変える途中の酵素(下図の赤い矢印)とリンクしていて、尿酸をうまく尿素に変えられません。
尿酸は、水に溶けずに体の中に溜まってしまうので、ダルメシアンは他の犬に比べて圧倒的に痛風が多くて、関節なども壊れてしまうことがあるそうです。

黒い斑点の中に白い毛の遺伝子を持つダルメシアン
魚はエラからアンモニアを出す

魚の場合は、水の中に住んでいるので、水に溶けやすいアンモニアをそのまま出すことができます。出す場所は、エラの部分。エラのところに血液がたくさん流れてくるときに、水に溶かして出してしまいます。

サメは、体の中の浸透圧を保つために尿素を活用する魚で、尿素を体の中に溜め込んでいます。そのため、死んでしまうとこの尿素が酵素によって分解されて、アンモニアになります。サメの肉がアンモニアくさいといわれるのは、そのためです。

変わったところでは、ダンゴムシ。ダンゴムシは、アンモニアをそのまま気体で出します。おならで出す。

このように、動物によって、窒素の代謝は随分と違うことがわかると思います。

1-5.尿素回路

次に、尿素回路の話をします。

まず、尿素をつくるときに大事なパーツとなる「カルバミルリン酸」から始めます。これは、アンモニアにATP(アデノシン三リン酸)のPのところをくっつけて作られます。

次に、カルバミルリン酸の窒素と、アミノ酸であるオルニチンの窒素が反応して、シトルリンになります。
さらに、このシトルリンとアスパラギン酸がくっついて、アルギノコハク酸に変わります。この時、ATPが必要になります。
そして、このアルギノコハク酸が、アルギニンとフマル酸に分かれます。
最後に、アルギニンが尿素を1つ排出して、オルニチンに変わります。一番最初にでてきたオルニチンです。

これをまとめると、このような輪になります。この輪を一回りして尿素を1つ排出するには、ATPが3つ必要になりますので、ミトコンドリアが元気でない人には尿素がうまく作れません。

クエン酸回路
電子伝達系

また、この回路で生み出されるフマル酸は、クエン酸回路の一部と電子伝達系の一部にもいます。これは、尿素回路がうまく回らないと、クエン酸回路が回ってこない。その逆に、クエン酸回路が回らないとATPが作れなくて、尿素回路が回らないということになります。つまり、クエン酸回路と尿素回路は、どちらかが回らないとどちらかが回らなくなる関係性にあります。

なので、鉄不足で貧血の人は、尿素回路がうまく回りません。尿素窒素が低い場合、たんぱく質が足りない、肝臓が悪いだけではなく、実はATPをうまく作ることができていないかもしれないということも考えてみてください。

アルギニンから尿素を作るときの回路をアルギナーゼといいます。このアルギナーゼ、哺乳類の場合は、そのほとんどが肝臓だけにあります。ということは、肝臓がよくないと尿素を作れない。肝臓も腎臓も悪いときには、尿素は作れていないけれど、排泄ができないために、見た目上数字はよくなっているといった可能性もあるので、気をつけてデータを見ていってください。

もし肝臓が悪くなって、尿素も作れなくなると、アンモニアが溜まってきます。その結果、睡眠リズムがおかしい、変な幸福感がある、指先が震えるなどの症状が出てきますが、これは肝性脳症という症状です。悪化すると、最終的に昏睡に陥ったり、痛みに反応しなくなったりして、命にまで影響を及ぼします。

http://blogs.yahoo.co.jp/hikachu0812/64599180.html

実は、便秘だったり、消化能力がすごく低いときにも、肝臓の処理以上にアンモニアが溜まって、頭がぼんやりするなどの症状が出ることがあります。このあたりは一般の医学で病名がつくレベルではありませんが、栄養療法的には、便秘を治したり、消化能力をあげたりするだけで頭がすっきりするということがあります。

2.ASTとALT

2-1.ASTとALTとは

ASTとALTは、一般的には、「お酒を飲みすぎると上がる項目」「脂肪肝で上がる項目」と認識されています。肝臓が悪かったり、お酒を飲みすぎたりなどして、両方とも30~40、50を超えたりすると、検診の先生に「休刊日をつくりましょう」と怒られる項目です。

このASTとALTは、トランスアミナーゼと言われていて、もともとあるアミノ酸を違うアミノ酸につくりかえる酵素です。ですから、この2つがしっかりないと、目的のアミノ酸をつくることができません。

トランスアミナーゼが不足すると
アミノ酸がうまく使えない

また、トランスアミナーゼの「アーゼ」は、これ自体が酵素であるということを意味していて、材料はたんぱく質になります。このトランスアミナーゼの一部にビタミンB6がくっついています。ビタミンB6が足りなくなると、アミノ酸がうまく使えないということになります。

ビタミンB6が不足すると、アミノ酸の変換がうまくいかない→タンパク質合成がうまくいかない→体が作れない、筋肉だけでなく、内臓も皮膚も神経伝達物質もうまく作れないということがおこります。

基準値はそれぞれ、ASTで10~40、ALTで5~45ですが、肝臓が悪くなくて栄養状態がよければ、どちらも20くらいがベスト。臨床的には15あれば大体いいかなという感じです。

この2つには、簡単な覚え方があります。ASTは心臓(Shinzo)に多くある酵素なのでS、ALTは肝臓(Liver)に多い酵素なのでL。どちらも心臓や肝臓以外のいろいろな臓器に入っていますが、このようにすると覚えやすいと思います。

2-2.ASTとALTの数値からわかること

では、どのような時に、この2つの数値が上がってくるのでしょうか。

  • ASTがあがるとき
    ASTの数値が上がるのは、ALTに比べて圧倒的にASTが多く含まれている臓器が壊れた時です。例えば、心筋梗塞、肝臓や腎臓の異変などです。筋肉が壊れたときもやはりASTが上がります。赤血球はどちらも少ないのですが、採血したあとに壊れたりすると、赤血球の中からASTが出て、ASTが上がることがあります。
    ASTは、肝臓と心臓にとても多いのですが、いろいろな臓器の中にも入っているのでこの数値が上がっているときには、原因が何か調べるのは少し大変です。基本的には、命に関わる臓器から、つまり心臓を調べ、次に肝臓を調べる。さらに、問診をしたり他の検査なども入れて、筋肉が壊れてないか、腎臓をぶつけて壊してないか、腎炎を起こしてないかというように調べます。
  • ALTがあがるとき
    ALTは、肝臓に特異的な酵素といっていいくらい、肝臓に集中しています。なので、この数値が上がった時には、肝臓が悪いんだなと素直に考えてほぼ間違いありません。

これは、細胞の模式図で、ミトコンドリアが大きく描いてあります。ASTが細胞質とミトコンドリアの両方に入っているのに対して、ALTは細胞質だけに入っているのがわかります。

もし炎症などで細胞が壊れると、ALTと少しのASTが出てきます。ところが、ミトコンドリアが壊れると、ASTもたくさん出る。これは、ミトコンドリアまで壊れるような大きな病気か、そこまでではないかという指標にもなるということです。

例えば、肝臓が脂肪肝になったときは、炎症があっても、命に関わるほどのひどい炎症ということはあまりない。その場合は、細胞の壊れ方が軽いので、ALTが上がってきます。一方、肝炎のようなひどい肝臓病の場合は、ALT以上にASTがグンと上がります。このときは、重い肝臓病だと思っていいと思います。

ではもし、2つの酵素に必要なB6が足りなくなったら、どうなるでしょうか?

基本的には、ASTとALTの両方ともが働かなくなります。けれども、同じ条件の場合、ALTのほうが壊れやすくなって半減期が短くなるので、ALTが低くなります。

例えば、ASTが19、ALTが15の時、ビタミンB6不足だろうということが推測できます。ただ、ASTは先に説明したような要因でも数値が上がるので、短絡的にB6不足と考えるのは要注意です。また、B6不足があっても、脂肪肝の場合はALTが上がってくるので、この2つの原因が重なって一見いい数字に見えてくることもあります。

たんぱく質不足の場合は、ASTが9でALTが6くらい、もしくは大体同じくらいなど、両方ともとても数値が下がってきますが、あまりはっきりしません。

2-3.実は、B6が働いている

ASTは、たんぱく質がいろいろ重なり合って、さらに真ん中ビタミンB6がちょこんと乗った形をしています。
実は、このB6が重要な働きをします。

ここに、アミノ酸の一種であるグルタミン酸と、α-ケト酸であるピルビン酸があります。グルタミン酸だけがアミノ基(左図:化学式のハートの部分)を持っています。ここにALTがくると、このアミノ基をピルビン酸に渡すことができます。そして、それぞれα-ケトグルタル酸とアラニンに変わります(右図)。

グルタミン酸とピルビン酸は、アミノ基のやり取りによって、α-ケトグルタル酸とアラニンに変わる


つまり、ALTはアミノ基を運ぶことで、違うものからアミノ酸をつくっています。そして、ALTは一方通行の変化だけでなく、逆方向の変化を起こすこともできるので、ALTはグルタミン酸とピルビン酸、α-ケトグルタル酸とアラニンの間で、双方向にアミノ基を運ぶ、いうなれば郵便配達のような働きをする酵素ということになります。

このALTには、ピリドキサールリン酸というものがくっついています。これは、ピリドキサールというビタミンB6の活性型で、ピリドキサールにリン酸がついた構造になっています。
このピリドキサールリン酸にアミノ基がくっつきます。先ほどのアミノ基のやり取りは、これが実際の担い手、つまりB6が行っていたということになります。
そして、ピリドキサールリン酸は、ピリドキサミンというアミノ基のついたビタミンB6に変わります。 ちなみに、ピリドキサールリン酸は、ピリドキサール-5-リン酸(P-5-P)として、サプリで売っています。

ATPもALPも、ビタミンB6がアミノ基を掴んだり離したりすることで、使えるようになっているのは同じですが、ALTはグルタミン酸とピルビン酸、α-ケトグルタル酸とアラニンの間で働く酵素だったのに対して、ASTはそれとは異なるアミノ酸を運んでいます。

例えばASTが15でALTが9といったような数値の時、ビタミンB6が足りません。
さらに、LDが218といった結構高めの数値の場合は、ビタミンB6不足があって、低たんぱくがあって、実は肝臓も悪そう…ということになります。
単純にB6が足りないだけではなくて、非必須アミノ酸も作れなくて、元気そのものがない状態ということが分かります。

グルタミン酸とアラニン、これが両方ともできないとどうなるでしょうか。

グルタミン酸とアラニンが動く経路には、アンモニア(NH4⁺)がありますから、アンモニアの処理ができなくなります。肝臓ではアラニンを活用して糖新生が行われるので、糖新生もうまくいかなくなります。ピルビン酸ができなければ、TCA回路も回りません。
B6が足りないという時には、回り回っていろんなところに影響が出てきます。

ASTとALTを比べてALTのほうが低い時には、ビタミンB6が足りないというだけでなくて、実は間接的にTCA回路も回っていないかもしれない、エネルギーが足りないかもしれない、アンモニアの処理もうまくできていないかもしれない…と考えてもいいと思います。

体の中のたんぱく質

小池雅美 · 2021年5月26日 ·

たんぱく質について、全体をしっかりと眺めたことがありますか?

実は、栄養学を習い始めた初期の頃にたんぱく質について学んだけれど、それ以降はあまり…という人が多いのではないでしょうか。

そのような人向けに、あらためて「体の中のたんぱく質」について、たんぱく質にはどのような種類があるのか、たんぱく質はどのように消化され、再合成・再利用されるのか、低たんぱくはどのように改善するのか、低たんぱくの指標となるアルブミンの働きと欠乏についてなどをお話ししていきます。

あまりマニアすぎない程度に、でも所々はマニアックに学ぶことで、たんぱく質の重要性について、さらに理解を深めていきましょう。

1. たんぱく質とは

たんぱく質は、英語では「プロテイン(Protein)」といいます。この「プロ(Pro)」は、「第一となるもの、まず最初に必要なもの」という意味で、ギリシャ語の「プロテイオス(Proteios)=第一となるもの、まず一番最初に必要なもの」からきています。
まだたんぱく質の存在が明らかになっていない時代に、窒素を含む何か大切なものがあるらしいという認識の下で、オランダの化学者ムルダーが、スウェーデンの理学博士ベルセリウスの提唱をもとに使い始めた言葉といわれています。漢字では、「蛋白質」と表記します。この「蛋」は卵を意味する文字のため、たんぱく質というと卵というイメージが強くなるのです。

2. からだとたんぱく質

2-1. お出汁やお味噌汁を活用しよう

たんぱく質は、体を作る重要な要素です。
60%が水分、たんぱく質が18%くらいです。同じく脂肪が18%くらい、残りの約3%がミネラルです。たんぱく質は、基本的に食べ物からからだに入ってきます。なぜなら、人間には空気や土の中から窒素を取りだしてたんぱく質を作ることができないからです。では、どのような食べ物からたんぱく質をとるのが効率的でしょうか。

まずは、「お出汁」。お出汁に入れる「煮干し」には、100gあたり65gのたんぱく質が、「鰹節」には77gが入っていて、たんぱく源としてとても優秀です。どちらも一度煮て干してあるので、そのままの状態よりもずっと消化しやすくなっています。特に、鰹節の良いものはカビをつけて何度も燻製しているので、たんぱく質よりアミノ酸に近くなっています。

乾燥重量を見ると、煮干しも鰹節も100g中15gが水分量になります。これが、生になると、カツオであれば100g中72g、イワシは64gが水分になります。調理スプーン換算にすると、大さじ2杯の煮干しの粉で約10gのたんぱく質、Sサイズの卵2個分のたんぱく質をとることができます。これをお出汁にしたり、煮物に入れたり、ふりかけにしたり、卵焼きに入れたりすると、結構使いきれてしまいますし、たんぱく質を効率的にとることが可能です。もしこの量のたんぱく質を生のイワシでとろうと思ったら、約5匹を食べなくてはならないので、結構お腹がいっぱいになってしまうと思います。

かんたん!栄養andカロリー計算 https://www.eiyoukeisan.com/
煮干し粉大さじ2杯は煮干し5本分と同じたんぱく質量。これを生のイワシで食べるとかなりの分量になります。 

お味噌汁をつくるときには、お味噌汁1杯分に大体小さじ1杯の煮干しの粉を使います。これに、お味噌大さじ1杯(約10g)を入れると、具のないお味噌汁を朝昼晩飲むだけで、卵2個分のたんぱく質をとることができます(*)。

ここに例えば、豚肉や豆腐、揚げ、好みに合えば納豆などを入れて具にすると、それだけでかなりの量のたんぱく質をとることができますから、できれば有効に使ってください。朝、コーンフレークだけよりもお味噌汁1杯のほうが効率がいいです。

もし今、煮干しの粉ではなく、市販の出汁パックを1袋だけ使って家族分のお味噌汁を作ってる方がいたら、それだけでは栄養価的に心もとないので、2パックか3パック使ってみてください。(*)ここではアミノ酸スコアは考慮していません。

2-2. たんぱく質の豊富なたべもの

お出汁以外のたんぱく質豊富な食材は、「卵」。そして、「肉」「納豆を含む大豆類」「魚」「牛乳」です。「エビ」や「イカ」「タコ」「カニ」などは、たんぱく源として忘れてしまいがちですが、スルメやオキアミなどもうまく使っていくと、たんぱく質がしっかりととれます。また、運動系の部に入っている人や、ジムに通っている方などは、「プロテイン」もうまく取り入れていけばたんぱく質が十分にとれるようになります。

2-3. 栄養としてのたんぱく質

農林水産省の「実践食育ナビ」というサイトには、3色の食品群が並べてあります。
体の素になるもの、エネルギーの素になるもの、あと体の調子を整える素になるものです。 たんぱく質は一番上、体を作る素になるものになります。

実践食育ナビ 農林水産省 https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/zissen_navi/

さらに、同じサイトにある「料理グループと食材、栄養素の関係」でみると、たんぱく質は主菜、メインのおかずと牛乳、乳製品にあたります。基本的には、「おかずが、たんぱく質にあたる」と考えればよいと思います。

実践食育ナビ 農林水産省 https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/zissen_navi/

けれども、主菜がコロッケや、肉が少ししか入っていない肉じゃがの場合は、主菜の役割を果たせているかどうかは疑問です。

また、「昨夜何を召し上がりましたか?」と聞いたときに、まず「サラダ」や「ご飯」という方はあまりたんぱく質を食べていないことが多い。主菜を答えないということ自体が、たんぱく質を大事だと思っていない、そういう潜在意識があると考えてほぼ間違いがありません。そういった場合には、まずそこから意識を変えていくと、体調が上向きになってきます。

たんぱく質は、炭水化物・脂質と並んで3大栄養素の一つです。炭水化物と脂質は、炭素(C)・水素(H)・酸素(O)でできていますが、たんぱく質は、この炭素(C)・水素(H)・酸素(O)に窒素(N)が入るのが特徴となります。そのため、血液検査で尿素窒素を見ると、間接的にたんぱく質の量を反映していることになります。たんぱく質は大体どれを食べても、窒素分が16%くらいになっています。また、たんぱく質の種類によってはリンや硫黄が入っています。例えば、ゆで卵をしっかり茹でると、少し温泉の香りがしますが、あれは卵のたんぱく質の中の硫黄の香りになります。

3. からだの中にあるたんぱく質とその役割

3-1. からだをつくる「構造たんぱく質」

たんぱく質は、体のどのようなところで使われているのでしょうか。髪の毛、爪、皮膚、眉毛、目、唇、その他全身。そう、身体の形を作る重要な要素としてたんぱく質は、ありとあらゆる部位で使われています。そして、こういったたんぱく質は、「構造たんぱく質」と呼ばれます。

実は、この中で意外と忘れられやすいのが「骨」。骨というとカルシウムでできていると思う人がかなり多いのですが、もし骨がカルシウムだったら、チョークと同じでパキパキ折れるはずです。また、豚骨スープの上に浮かんでいるものはカルシウムではなく、脂とたんぱく質が合成されたものです。つまり、脂とたんぱく質がたくさんあるという証拠でもあり、この膜がコラーゲンなのです。

骨の内訳をみると、リン酸カルシウムは7割だけで、残りの2割がコラーゲンというたんぱく質、1割が水でできています。

ネスレヘルシーキッズ 骨の大図鑑 https://nestle.jp/healthy-kids/bone/ehon/naze/index.html#contents-4

骨の中のコラーゲンの役割は、鉄筋コンクリートの建物で言えば、鉄骨と同じ。コラーゲンがあって、そこにカルシウムがついて、はじめてしっかりとした骨になります。コラーゲンというのは、構造的には、細い3本の細い繊維がより合わさって丈夫なコラーゲン繊維となっています。そして、コラーゲンは、拡大してみると、3つのアミノ酸-グリシンと、多くの場合、ブロリンとヒドロキシブロリンーからできています。この場合、ブロリンがまず初めにできて、ビタミンCからOH基をもらうことで、ヒドロキシブロリンができます。

コラーゲンの構造

この反応を手伝うのが鉄です。つまり、丈夫なコラーゲンを作るには、鉄とビタミンCが必須。例えば、腎疲労でビタミンCが足りない、もしくは鉄欠乏があるといった場合には、コラーゲンができないため、肌の調子が悪くなります。

また、コラーゲンの素になるたんぱく質ができない状態のときには、カルシウムをとっても骨は強くなりません。骨密度をあげるために処方される薬は、コラーゲンとは関係なく、カルシウムだけをつける薬なので、骨密度は上がりますが、何かあったら骨は折れてしまいます。また、この薬は、炎症のあるところにカルシウムをどんどん溜めるので、歯の根の部分に炎症があったりすると、そこの骨が腐ってしまうこともあります。

たんぱく質とビタミンC、鉄以外では、クエン酸回路のところにもある「α-ケトグルタル酸」や「酸素」が、コラーゲンの生成には必要となります。酸素があると、細胞と細胞をくっつけるためのコラーゲンができます。そのため、コラーゲンが足りないと小じわが増え、乾燥肌にもなりますし、当然、骨折にもなります。

体の全部のたんぱく質の30%がコラーゲンです。体の18%がたんぱく質ですから、体全体でいうと6%がコラーゲンです。コラーゲンcollagenの由来は、ギリシャ語の「kolla」。これは、糊という意味です。コラーゲンはゼラチンですから、ベトベトして糊の代わりになるーつまり、たんぱく質は体を作る重要な要素になります。体を作る重要な要素であるたんぱく質からつくられるものには、髪の毛と爪があります。これは、ケラチンと呼ばれるたんぱく質です。

内臓も、たんぱく質。なので、胃袋を使った料理やモツ鍋もたんぱく質料理になります。骨もたんぱく質ですから、骨をしっかり煮込んだスープでいうのはたんぱく質のスープになります。実際、骨をしっかり煮込んでスープを取ったあとの骨は、指で簡単にもろもろ崩れます。このように体を作るたんぱく質には、コラーゲン、エラスチン、ケラチンがあります。これら体を形作るたんぱく質を「構造たんぱく質」といいます。

筋肉もたんぱく質。ここに使われるたんぱく質は、アクチンとミオシンが主なもので、この2つが伸びたり縮んだり、滑り込んだり広がったりして筋肉を動かしています。これは、形を作る要素でもありますが、動かすという大事な機能もあります。

3-2. からだの機能を司る「機能たんぱく質」

たんぱく質には、体の機能を司るという要素もあります。体の形を作っているわけではなく、仕事をするたんぱく質のことを「機能たんぱく質」といいます。例えば、赤血球中の「ヘモグロビン」も、その1つ。ヘモグロビンは、体中に酸素を運ぶ役割を担っています。「免疫グロブリン」も同じ仲間です。体内に入った敵を見つけて、捕まえて、白血球の標識となることで、からだを守る機能を果たしています。触媒作用のあるたんぱく質である「酵素」も、機能たんぱく質の一種です。例えば、おにぎりを食べて血糖値が上がった時に脾臓の後方からでる「インスリン」、肉を食べたときに、膵臓の前方かでる消化酵素「トリプシン」などが、それにあたります。

そして、細胞にもたんぱく質がたくさん使われています。細胞膜はリン脂質が向かい合っていて、ほとんどが脂でできていますが、その上に浮いているレセプターもたんぱく質の塊です。レセプターは、ピタッと適合するホルモンが来ると反応して、細胞の中に何かを出したり、動いたりして、さまざまな仕事をしています。イオンチャンネルという違うものもあります。イオンチャンネルにATPがやってきて、エネルギーを一つ使って入り口ができます。この入り口ができるとナトリウムイオンとカリウムイオンが入れ替わります。これがナトリウム-カリウムチャンネルです。つまり、ナトリウムとカリウムを入れ替えるのにはATPが必要でで、エネルギーを使って、わざわざ門を開けたり閉めたりします

細胞膜の上というのはいろいろなたんぱく質が浮いていて、それぞれいろいろな仕事をしています。細胞膜には必ずたんぱく質があります。

植物には、たんぱく質があまりないというイメージがあるかもしれませんが、植物も細胞でできているのでたんぱく質はあります。ただ、細胞膜の上に細胞壁がもう1周あるために、たんぱく質割合が相対的に少なくなっているだけなのです。だから、レタスにもたんぱく質は含まれてます。そして、大豆のようにたんぱく質が豊富な植物もあります。乾燥した大豆ですと、約3割がたんぱく質になるので、プロテインとして使えるということになります。これは空気中の窒素を取り入れてアミノ酸を作る根粒バクテリアが、根の部分に住んでたんぱく質を作ってくれていることによります。

3-3. 体に必要なたんぱく質量

では、からだには、どれくらいの量のたんぱく質が必要なのでしょうか。

たんぱく質の必要量は、体重1kgにつき、目安として1g。体重50kgの人なら、50gとなります。けれども、成長期には、維持分と成長分で大人の倍量のたんぱく質が必要となります。例えば、体重がお母さんの半分の子どもだったら、お母さんと同じ量のたんぱく質が必要です。また、成長期で運動している、部活をしているような子たちの場合は、維持分と成長分と運動分で、体重1kgにつき3gくらいが必要になってきます。筋肉もどんどん増えていくタイミングなので、たんぱく質を入れても入れても足りなくなる時期です。

一方、病気や怪我のときは、体重1kgにつき2g、そして病気に合わせてプラスαが必要になります。このような時は、消化機能が落ちますし、食欲も落ちます。怪我の場合は皮膚を治すために、骨折では骨のコラーゲンを作るために、病気の場合は免疫力を上げるためにもたんぱく質が必要です。回復にはたくさんの栄養が必要になりますが、回復力の基本は、まずたんぱく質です。ストレスがかかっているときも、同じだけの量が必要となります。ストレスで痩せてしまう、お腹の機能が止まって吸収ができない、コルチゾールで筋肉が落ちてしまう。そんなときこそ、しっかり食べなければなりません。

たんぱく質を含む食品量の簡単な目安は、1食あたり、片手1杯分。例えば、少し豪華な旅館の朝ごはんででるメニューの豆腐と卵と焼き魚と味噌汁、または冒頭でお話しした鰯5匹、これでだいたい片手1杯程度かそれ以上になります。子どもの場合は成長分があるので、両掌が目安になります。ただし、これはあくまでも1日3食とるときの目安なので、お腹の力、消化力に合わせて、回数を増やしたり減らしたりしてみてください。

基本的には、中肉中背の方の場合、とりあえず1食あたり片手1杯分くらい食べてくださいという指導をします。けれども、実際には、痩せている方もいれば、ふくよかな方もいますし、マッチョな方もいます。この方たち、みんな、一律に手の平1杯分でいいのかどうかということです。

日本人の食事摂取基準の概要では、大体1日に50g食べてくださいと書いてあります。しかし、これは身長、体重、労働を考えていません。あくまでも目安であって、自分に合うかどうかはまた別です。この基準を出したとき、人の試験において、92.2%~94.5%くらいの消化率があるという前提で設定して、さらにそれの90%として算出されたものです。そもそもこういう実験に参加できる方は元気な方だと思うので、ちょっと弱っている方、疲れている方はこの基準が合わなくなります。なによりも消化率、これが全国一律だったら楽です。ここには、かなり個人差があります。

4. たんぱく質の消化

4-1. たんぱく質は、どのように消化されるのか

では、たんぱく質はどのように消化されるのでしょうか?

例えば、肉を食べるとき、口で噛んだ肉は、食道を通って、胃に入ります。胃袋の中ではペプシノーゲンという酵素が出て、さらにそこに胃酸が出ることで、ペプシノーゲンがペプシンという酵素に変化して、たんぱく質をペプトンに分解します。ペプトンというのは、アミノ酸がたくさんつながった比較的大きな塊です。
分泌される胃酸はpH1~2で、レモンよりもすっぱいです。食べ物が入るので、実際にはレモンよりも少しすっぱくないくらいにはなっていますが、かなり酸度が高く、このくらいでないとペプシノーゲンはペプシンになりません。

そして、ここで大事なのは、消化する場所の胃袋も、消化する酵素であるペプシノーゲンもペプシンもたんぱく質だということ。つまり、たんぱく質不足だとたんぱく質の消化ができないということになります。もちろん、胃袋が元気でないと、胃酸は出ません。ということは、たんぱく質不足の人はたんぱく質の消化ができないということになります。ですから、数字だけを考えて、朝からステーキ食べなさいといったら、大抵調子が悪くなります。噛み砕いて噛み砕いて渡してあげないといけません。

胃が元気でないパターン

  • 萎縮性胃炎の場合
    粘膜が荒れてツルツルになっている。
  • ピロリ菌感染がある場合
    胃の中でアンモニアを作ってしまう。すると、その場所がアルカリ性になるので、胃の中でもピロリ菌は死なず、免疫反応を起こすため胃の粘膜も荒れていく。
  • 胃酸抑制剤を飲んでいる場合
    胃酸を止めてしまう薬を使うと、当然胃酸は効果なくなる。胃酸をきっちり止めてしまうものやアルカリ性にして胃酸の効果をなくしてしまうものが使われるが、食道に炎症があるときとか胃潰瘍のひどいときにのみ短期的に使うようにすること。長期服用で食欲がどんどん落ちてしまい、炭水化物ばかり食べている場合には薬を見直してみる。
  • がんや胃潰瘍で胃を切除している場合
    胃自体が少なくなっているため、胃酸が十分に出ない。胃を切るときに自律神経も切っってしまうので、胃酸はほとんど出なくなる。
  • お腹のエネルギー不足の場合
    胃酸を出すためにも、胃を動かして蠕動させるためにもエネルギーが必要。胃酸は、胃の細胞膜にある「胃プロトンポンプ」を通じて、カリウム(K)と水素(H)を交換し、別のところでClを出すことで、胃の中でHとClが泳ぎ回る状態がつくられ、結果的にHCl、つまり胃酸となる。この胃プロトンポンプが働くためにはATPが必要なため、ATPが作れない人も胃酸が出ない。例えば、TCAサイクルが回らない人、鉄不足の人、カンジダがいたり慢性炎症があったりする人も、胃酸が出ないことになる。
胃酸分泌を担う胃プロトンポンプの構造を解明 ~胃酸抑制剤結合構造と強酸に対してプロトンを吐き出す仕組み~(プレスリリース)
http://www.spring8.or.jp/ja/news_publications/press_release/2018/180405/
  • 緊張して交感神経優位の場合
    副交感神経がお腹を動かすので、リラックスしないと消化機能は上がってこない。いつも交感神経が高ぶっていると、お腹の動きが止まり、胃酸分泌が不安定となり、胃の粘液が減る、胃の壁の再生が低下する、胃の運動が落ちるということが起こる。いつも胃もたれする人というのは、交感神経優位なことが多い。
    運動中も交感神経が働いて、たんぱく質の吸収率は低くなるため、こういう時にはアミノ酸を使う、逆に炭水化物で回してあげるという方法のほうがよい場合がある。

さて、胃で肉から変化したペプトンは、十二指腸に入ると、すい臓から出るトリプシンやキモトリプシンという消化酵素によって、さらに小さなペプチドというものに変わります。小腸では、絨毛にある消化酵素によって、ペプチドがもっと小さなアミノ酸に変わります。このアミノ酸は、小腸の壁にある細胞の中を通過して、向こう側の血管、門脈に入ります。門脈に入ったアミノ酸は肝臓の中に取り込まれていきます。

4-2. たんぱく質とアミノ酸

分解されたたんぱく質はアミノ酸に変わります。アミノ酸は、アンモニアの形に近い「アミノ基」と、酢酸に近い形の「カルボキシル基」、そしてアミノ酸の個性をつくる「側鎖(R)」でできています。

https://en.wikipedia.org/wiki/Amino_acid

N、C、Oと書いてある部分がアミノ酸の証拠になる部分です。青色の部分は「アミノ基」といわれていて、NにHが2つ付いて、アンモニアに近い形になっています。尿素窒素になる部分です。反対側の緑色の部分は、酢酸に近い形の「カルボキシル基」です。
ですから、アミノ酸というのはアンモニアとお酢がくっついている状態で、酸の部分とアルカリの部分の両方を持っていることになります。

黄色い部分が、アミノ酸である証拠となります。アミノ酸には、身体で作りだすことのできない「必須アミノ酸」と、作りだすことができるけれど外からとらないと足りなくなる「非必須アミノ酸」というものがあります。非必須アミノ酸はいらないと思っている人が結構いますが、必要だから体の中でも作っているだけで、必要量としては非必須アミノ酸のほうがたくさんいることが多いといえます。

健やかに 2014年4月号 https://www.bee-lab.jp/health/201404/index.html

4-3. たんぱく質は、どのように作られるのか

分解・消化されてアミノ酸になったたんぱく質は、再びどのようにタンパク質になるのでしょうか。その情報はDNAに入っています。DNAの情報は、アデニン、チミン、グアニン、シトシンという4つの塩基でプログラミングされています。そして、そこから転写されたRNAの情報を、リボゾームというたんぱく質が読み解き、バラバラだったアミノ酸をつなげて、紐状のペプチド(1次構造)を作っていきます。もう少し長いものは、ポリペプチドといいます。

そして、これが組み合わさって、らせん状になったり、シート状になったり(2次構造)していきます。さらに、それらが組み合わさって、立体的になったものが、たんぱく質(3次構造)です。こうなって初めて、からだに必要なさまざまな機能を果たすことができるようになります。これがさらに組み合わさって、もっと機能的になったものが4次構造のたんぱく質、赤血球中のヘモグロビンなどがこれにあたります。ヘモグロビンは、4つのグロビンというたんぱく質がそれぞれヘム鉄を抱え、さらにその4つが組み合わさった構造になっています。

4-4. シャペロンとオートファジー

体の中のたんぱく質に「シャペロン」というものがあります。

アミノ酸がたくさんつながった、ポリペプチドがあります。これはただつながっているだけで、全く機能がありません。このままでは機能がないのですが、折りたたんで立体構造を作ると、その形に意味が出てきます。
この長いペプチドを、正しく折りたたんでたんぱく質を作る酵素を「シャペロン」といいます。シャペロンとは「介添え役」という意味で、たんぱく質を作るたんぱく質になります。

ヒートショックプロテインという言葉を聞いたことがあると思います。これはお風呂に入ったときなどすごく暑いときやストレスを受けたときに、からだの中で作られるたんぱく質で、変性したたんぱく質をもとに戻す役割を果たします。実は、まさに、これがシャペロンです。シャペロンがあると、からだの中でたんぱく質のリサイクルができます。自分の中のいらなくなったたんぱく質を食べて、もう一度たんぱく質に作りかえることができる。これを「シャペロン介在性オートファジー」と呼びます。

体内でたんぱく質をリサイクルする方法は、他にもあります。「マクロオートファジー」とよばれるものは、ダメになったたんぱく質を膜内に取りこみ、閉じ込めておいて、リソゾームがここに消化酵素を入れることによって、たんぱく質をアミノ酸に分解し、もう一度使えるようにするというもの。

「ミクロオートファジー」というものもあります。ダメになってしまったたんぱく質をリソソームが取り込んで、潰して、分解する。これもやはり、ダメになったたんぱく質をアミノ酸に分解する役割を果たします。

実は、もしこのオートファジー機能がしっかりとしていたら、体重1kgにつき1gが目安と言われるたんぱく質は、そんなにとらなくても大丈夫ということになります。それほどたんぱく質をとらなくても、筋肉がしっかりついてくる人というのは、オートファジーがうまくいっていることが多いのです。逆に言うと、ロスの多い人は、オートファジーがうまくいっていないのかもしれません。こういったことも考えあわせると、今後、必要たんぱく質量の概念がどんどん変わっていく可能性があると思います。

5. たんぱく質不足で起こる不調と改善方法

5-1. からだの各所で起こる様々な不調

たんぱく質が不足すると、どんなことが起こってくるでしょうか。基本的には、たんぱく質を使っているところの機能が落ちるとイメージすれば大丈夫です。脳や心臓など生命に影響があるところに優先的にたんぱく質を回したいので、以下のような優先順位の低いところから削っていくことになります。

  • 筋肉が落ちる
  • 肌が荒れる
  • 食欲低下
    胃や腸、消化酵素もたんぱく質なので、食べても吸収できなくなり、食欲が落ちます。
  • メンタル不調
    神経伝達物質もアミノ酸から作られるため、気持ちが落ち、メンタルの症状が出てきます。
  • 免疫が落ちる
    免疫の抗体もたんぱく質なので、感染症やガンが増えます。
  • 痛みが出る
    骨や筋肉にも支障が出て、痛みが出ます。

このように、いろいろな不調が出てきます。なので、不調の大部分は、もしかすると低たんぱくが原因の可能性があります。

5-2.たんぱく質とむくみの関係

たんぱく質は、むくみにも関係します。
左の写真(改善前)は、足がぱんぱんにむくんでいます。

①改善前
②改善後

この方の血液検査データを見てみると、アルブミンという血中たんぱく質の数値が2.7。基準値の一番下が3.8なので、かなり低い状態です。ちなみに3を切った場合、肝不全であれば特別な治療をしなくなりますし、心臓の手術をなかなかしてもらえません。どうしてかというと、切った場所がつながらないからです。 腹水が出たり、胸水が溜まったりしやすくなります。血液の主成分であるヘモグロビンの数値も、女性の場合の基準値の一番下11.5を下回るだけでなく、10を切っています。

ということは、この方は低栄養で、貧血がひどいということ。このような低たんぱくで貧血の状態だと、以下のようなことが起こってきます。

  • 血管の中から、その主成分であるアルブミンと赤血球がどんどん減っていく
  • 血管中に水を保持する機能が落ち、血管の中に水を溜めておけなくなる
  • 血管の外にどんどん水が抜けていき、身体がむくむ

こういった状態の場合、血管もぺちゃりとつぶれていくので、相対的にアルブミンやヘモグロビン濃度が高くなって、採血でも異常が出なくなってくることがあります。低たんぱくの状態を改善してあげると、右の②写真(改善後)のようにむくみが取れます。利尿剤も必要ありません。「私は、太っています」と本人がいうときには、本当に太っているのかむくみなのか、この鑑別が必要です。

低たんぱくがひどいと、消化機能は低下し体の筋肉も壊れていき、異化が亢進します。消化機能が落ちて異化が亢進すると、体はさらに低たんぱくになります。低たんぱくであれば、プロテインを飲ませてステーキを食べればいいじゃないという、とにかくたんぱく質を食べろという発想、指導をされてきた方も多いと思います。単純に考えればそうなのですが、もうお腹が受け付けません。消化機能がない場合には違う方法を考えなければいけません。おそらく消化できないまま、たんぱく質をとったら体調を崩す方がほとんどということになってしまいます。

5-3.低たんぱくの改善方法

では、低たんぱくの状態は、どのように改善していけばよいのでしょうか。

まず、「消化機能の改善」。お腹を丈夫にして、たんぱく質を消化できるようにする必要があります。そして、「自律神経の安定」。交感神経優位状態を改善してあげないと、お腹が動きません。いつもつらい思いをしている、痛みがひどい、カフェインをとっている、極端な貧血がある、低血糖があるなどの原因を取り除いていきます。仕事を休む、家族との関係を見ていくことが大切になる場合もあります。

あとは、「たんぱく質の種類の選択」。肉などは細かく切ったものにする、よく煮込むことで唾液や胃液がなくても消化できるようにするなどです。そういう意味では、お出汁はとても使いやすいたんぱく源です。「炎症やストレスの改善」も大切です。原因を見つけて、対策をとっていく必要があります。

5-4.低たんぱくの指標、アルブミン

最後に、低たんぱくの指標となる「アルブミン」について。アルブミンの「アルブ」の語源は「卵白(albumen)」で、卵の白身から摂ったたんぱく質だからです。このアルブミンをよく見ると白っぽくウニョウニョっとしたものが混ざっています。これはリノレン酸とかアラキドン酸といった脂肪酸で、アルブミンは脂肪酸を運ぶ仕事をします。こういう形のぐるぐる曲がったところに、いっぱい脂肪酸が引っかかる専用の場所があります。

白い部分が脂肪酸


アルブミンは、下図のような形と構造をしています。アミノ酸が集まり立体構造になって機能する3つの「ドメイン」、そしてそれぞれの中にある2つの「サブドメイン」。これらは、すべて同じたんぱく質の中にありますが、それぞれ仕事が違い、捕まえるもの、運ぶものが変わってきます。

オレンジがドメイン、黄色がサブドメイン

アルブミンが運ぶのは、まず「脂肪酸」。そして、「カルシウム」や「亜鉛」。低たんぱくでアルブミン不足の人は、カルシウムや亜鉛の数値が上がりませんから、亜鉛の値とアルブミンの値は割と相関します。「間接ビルビリン」、ホルモン「グルココルチコイド」も運びます。

「イブプロフェン」「ワルファリン」といった薬剤も運びます。痛み止めを飲んでも効かないという人は、大抵アルブミン不足です。また、血中の薬剤濃度は高くなるので、副作用を起こりやすくなります。アルブミンがものを運ぶ機能、ドラッグ・デリバリー・システムを使った薬があります。抗癌剤のアブラキサンです。これは、細胞分裂の早いところでその分裂を止めてしまうパクリタキセルという抗がん剤を人の血清アルブミンにくっつけていっぱい集めてギュッとまとめたものになります。そして、目的の場所を運ばせよう、目的の場所で効かせようとい仮説でつくられた薬というわけです。

そして、「毒素」。腸の中で異常発酵したインドキシル硫酸をアルブミンが捕まえて運び、肝臓で解毒します。つまり、アルブミンが足りないと、解毒もできないということになります。アルブミンは運送屋さんなので、アルブミンが少なすぎても運べないし、運ばないといけないものが多すぎても破綻しますから、バランスが必要です。

アルブミンの仕事は浸透圧の維持と物を運ぶことで、普段はこの仕事だけです。けれども、栄養不足になったとき、アルブミンをどんどん壊してエネルギーに変えないといけない、栄養に変えないといけないときがあります。そうすると血中のアルブミンはどんどん減っていきます。

6.まとめ

体の中で使われているたんぱく質は、初期に学ぶと思いますが、改めて全体を眺めてもらえたらと思います。

  • 英語で「プロテイン(Protein)」といい、「プロ(Pro)」は、ギリシャ語で「第一となるもの、まず最初に必要なもの」という意味。
  • 体を作る重要な要素で、約18%をたんぱく質が占めています。
  • 基本的には、食べものからとりいれますが、煮干しや鰹節などのお出汁をうまく活用することで、効率よくとることができます。
  • たんぱく質が豊富な食材は、卵、肉、大豆類、魚、牛乳、エビ、イカ、タコ、カニなど。
  • 体を作る「構造たんぱく質」と、体の機能を司る「機能たんぱく質」の2種類のたんぱく質があります。
  • 1日に必要な摂取量は、基本、体重1㎏につき1g。ただし、成長期の子どもは大人の倍量、さらに運動していれば体重1㎏につき3gを目安にします。また、病気やケガのとき、ストレスがかかっているときにも摂取量が増えますが、一人ひとりの消化力に合わせて、取り方を工夫する必要があります。
  • たんぱく質は胃酸によって消化されますが、胃が元気でないと消化できません。
  • 分解・消化されてアミノ酸になったたんぱく質は、DNAの情報によって、あらたな機能をもったたんぱく質がつくられます。
  • 体の中では、いらなくなったたんぱく質をリサイクルすることができます。
  • たんぱく質が不足すると、さまざまな不調が起きてきます。これは、命に影響しない部分から起こっていきます。
  • たんぱく質は、むくみにも関係しています。
  • 低たんぱくの改善には、消化機能の改善、自律神経の安定、たんぱく質の種類と選択、炎症やストレスの改善などが大切になるので、原因をみつけて対策をとっていく必要があります。

のうみそとからだをつなげよう 

小池雅美 · 2021年3月24日 ·

原始反射統合と筋膜と副腎疲労

ストレスに弱い、不安や恐怖に過剰に反応してしまう。視覚や聴覚が過敏だ、疲れやすい、自分に自信が持てない。発達障害かもしれない。栄養療法で副腎疲労の改善を目指しているのに、なかなかよくならない。
そういったことにお悩みの方、そのような傾向のあるご家族やクライアントをお持ちの方に、ぜひ知っていただきたいことがあります。

それは、栄養療法への取組みの前に、身体の緊張を解きほぐしてあげる必要があるということ。そして、そうすることで、胎児期や乳児期に機能し、成長するにつれて統合されていくはずの様々な「原始反射」と呼ばれる体の反応をできる限り抑え、先のような症状を改善していくことができるということ。
この「アナトミー・トレイン」という理論に基づく方法を学ぶことで、ぜひご自身やご家族、クライアントの元気と幸せを実現していきましょう。

初めに~反射とは

カエルが歩いているところに大きなヘビが来ました。この時、カエルはどのような反応をするでしょうか?

  1. 殴る、戦う
  2. 逃げる
  3. 固まる、すくむ

びっくりしたときには、この3つのいずれかー戦うか、逃げるか、すくむかとういう反応が起こります。このとき、身体の中では何が起こっているでしょうか。

生き延びることが最優先という状況になると、まず、脳みそにある下垂体から、副腎皮質刺激ホルモンACTHが出ます。その命令を受けて、副腎からコルチゾールとアドレナリンが出ます。これによって、身体には以下のような反応が起こります。

  1. 心臓がドキドキする
  2. 膀胱が緩む
    膀胱が緩むのは、急いで逃げるのにトイレに行きたくなったら困るからです。
  3. 視野狭窄(トンネルビジョン)が起こる
    逃げることに集中するため、余計な視覚情報を入れないよう、視野狭窄が起こります。ですから、視野が狭い人というのは、たいてい緊張していますし、選択肢がない人というのは緊張状態にあるということになります。
  4. 手足が震える
  5. 瞳孔が開く
    瞳孔を開くことで光をたくさん取りいれて、情報を得ようとします。
  6. 顔が赤くなる
    青くなる場合もありますが、血流がどんどん良くなって赤くなる場合もあります。
  7. 口が乾く
    消化に関するものはほとんどストップするので、唾液も出ません。いつも口が乾いている人は、緊張状態にあることが多いのです。鉄欠乏や低血糖があると、さらに口は乾きやすくなります。
  8. お腹の動きが止まる
    胃が止まり、腸も止まり、消化が止まります。
  9. 耳が聞こえなくなる
    ものすごく怖い思いをしている最中は、限られた情報しか取りたくないので、あまり音が聞こえなくなってきます。

すごく怖い思いをしたときの反応「戦う、逃げる、すくむ」、これは全てストレスの反応です。この時、身体の中では、基本的に同じホルモン、アドレナリンやノルアドレナリンが出ています。けれども、反応の仕方は随分と異なっています。これは、それぞれの「生き残るための戦略」、これによって「生存確率をあげる」ことをしています。この反応の違いに関係しているのは、「身体の発達」段階です。

例えば、ウミウシのような生物の反応は、あまり戦わない。できるだけ身体を小さくギュッと固めて、身体を守ります。魚ぐらいになると、固まるのではなくて逃げます。場合によっては、襲いかかっていきます。そして人間になると、基本的には戦えるはずです。怖いものに向かっていって戦えるということは、例えばマンモスを捕まえて食べられる-といった判断ができるようになるわけです。これらは全て、身体の反射で起こります。

「反射」というと、どのようなもの思いつきますか?有名なのが、脚気の検査に使われる「膝蓋腱反射」。イスに座らせて、トンカチで膝を軽くトンと叩くと、足がピュッと上がる-というものです。普通に考えればここで起こっているのは、「叩かれた」という反応がまず起こり、脳が、「痛っ」と思う。そして「筋肉を縮めて」と脳がいい、膝が「わかった」というプロセス。頭まで情報がいくとこういう反応になるのですが、いちいちこのように考えていては遅い。こんなにゆるゆるとしていたら、ライオンに食べられてしまいます。

では、実際には何が起こっているかというと、叩かれた瞬間、刺激は脊髄に行き、その反応が脊髄から直接返ってきて膝があがっている。このプロセスには、脳はいりません。もう少し詳しく説明すると、叩かれた信号は、求心路という身体の中心のほうに向かう末梢神経を通って脊髄に入り、脊髄から直接反対側の神経に受け渡されて、筋肉を縮めなさいという命令に変わるということが起こっています。

ちなみに、脚気はビタミンB1の不足で起こります。これは、背中のところでUターンしていた末梢神経の感覚が、ビタミンB1不足の影響で低下するからです。そして、実は、今、ビタミンB1不足の人が結構多い。ビタミンB1は、特に糖分代謝のときにたくさん使うため、食事の内容を聞いてみると意外と脚気に近い状態の人なのではないかと感じることがあります。

また、糖尿病の人はいつも糖質を食べているので、ビタミンは相対的に減るはずです。けれども脚気の可能性を医師は考えません。実際には、糖分摂取が多く腸内の炎症があったり、タンパク質摂取量が減って、浮腫みが出ます。タンパク質もなく、運動量も少ないので、心臓の筋肉がどんどん減ります。結果的に心不全症状が出ます。脚気の症状も、浮腫みと心不全です。ところが、血液検査をでビタミンB1血中濃度を調べても、その基準値が曖昧なので参考にならないのが現状です。

原始反射

「反射」とは、外からの刺激で身体が反応すること、大脳皮質までいかずに、考えを経由せずに起こる反応のことです。そして、その種類はたくさんあります。例えば、まつ毛を触られたときにや目にゴミが入ったときに、自動的に目が閉じる。熱いものを触ったときに、手がいきなり縮むなど。そして、こういった反射の中の一つに、「原始反射」というものがあります。原始反射にも、以下のような様々なものがあります。

【いろいろな原始反射】
・恐怖麻痺反射
・モロー反射
・緊張性迷路反射
・探索・吸啜反射
・脊椎ガラント反射
・対称性緊張性頸反射
・非対称性緊張性頸反射
・足底反射
・新生児プランター反射

この原始反射は、「原始」という言葉がついているように、原始的な反射で、お腹の中の赤ちゃんが生き残るため、成長するために、子宮内で準備してくる反射です。けれども、これがずっと残っていると、大人としての動きができなくなるので、どんどん成長させて、次の動きができるように、統合させていく必要があります。原始反射の統合というのは、成長そのものです。つまり発達ということ。この統合がうまくいかないことを「発達障害」と言います。

赤ちゃんの脳の発達

神経細胞の模式図
神経の軸にミエリンが巻かれた模式図

これは神経細胞の模式図です。左図のようなこのまま裸の状態でツルンと1本ある状態では、信号は非常にゆっくりとしたスピードで、中途半端なかたちで進むため、情報がうまく伝わりません。この反応をもっと速くするために、神経の軸には、ミエリンや髄鞘といわれるものが巻かれています。これがつくことで、信号が飛んで速く情報が伝わります。この髄鞘には、脂の一種である「スフィンゴミエリン」というものがたくさん入ってできています。この材料の半分は、「ホスホコリン」。これには、リンがついたところと、炭素と水素がたくさんついたところがあって、さらにメチル基がたくさんついています。

メチル基を渡してくれるのは、メチレーション回路にあるSAMe。つまり、メチレーション回路が回らないと、ホスホコリンが作れず、スフィンゴミエリンも作れません。髄鞘も作れず、神経の伝達がうまくいかない、神経発達がうまくいかないということになります。

ホスホコリンは、コリンとATPが合わさったときに、その中の一つのリンがコリンに移ることで、ホスホコリンとADPになることで作られます。ホスホというのは、リンを意味しています。ATPはミトコンドリアで作りますが、そのためには鉄も酸素もたくさん必要です。電子伝達系では、CoQ10や銅もたくさん必要になります。ということは、貧血気味の妊婦さんはATPがあまり作れないので、間接的にホスホコリンもたくさん作れなくなっていく。

ここでも、お母さんの栄養状態は大事になってきます。メチル基もたくさん必要ですので、お母さんが人工葉酸を飲んでしまうとあまりよくない。解毒できないタイプのお母さんの場合、赤ちゃんの神経系の発達に異常が出るかもしれません。

葉酸が足りないときや、人工葉酸を使ったときに脊柱管の開いたまま生まれる子がいます。二分脊椎です。その原因については、葉酸が足りないと起こる…というところまでしかわかっていません。また、ホモシステインがたくさん余っていると、どうも二分脊椎になるということがわかっています。多分、ホスホコリンの合成がうまくいかないから神経の発達がうまくいかなのではないか-という考え方もあるのですが、論文はあまり出ていません。

(左より)新生児・生後7か月・生後10か月/生後1週間・生後4ヵ月

これは、生まれたての赤ちゃんの頭の中の画像です。水が黒く写り、脂肪が白く写る「T1強調画像」という方法で撮ったものです。細胞は水とタンパク質で、スフィンゴミエリンはほとんど脂でできていますから、髄鞘ができたところは白っぽく写る。いいかえれば、きちんと動く神経になると、白く写ってきます。

一番左の画像は、新生児の脳を輪切りにしたもの、脳自体がなんとなく灰色です。その右隣の画像、生後7ヶ月になると、灰色のところと白いところがはっきり分かれてきます。さらにその右の画像、10ヶ月頃の赤ちゃんの脳は、その灰白質と白質がかなりはっきりしてきます。

右2つの画像は、左からそれぞれ、生後1週間と4カ月の赤ちゃんの脳を縦切りにした画像です。生後1週間ではまだ白いところがあまりありませんが、4ヶ月になると白いところが増えてきているのがわかります。このように、脳の発達は、下のほうから上に、右から左に、後ろから前に、真ん中から外に進んでいきます。

脳みその表面が白くないのは、そこは細胞の核があるところだから。細胞の軸のところはずっと長く伸びていて、そこは脂に包まれているので白っぽく写ります。

新生児の頭のMRI(脂のところが白く写るT1強調画像)です。これを見てみると脳みその中心部分の脳幹部と橋のあたりが白くなっています。

これは、ポールマクリーン先生が提唱した「脳の3層構造」。脳には「脳幹部」「辺縁系」「新皮質」があって、中心のほうから大きくなるという考え方と一致します。赤ちゃんが生まれたときに、ミエリンがきちんとできた脳ができているのは脳幹、真ん中のところです。それがだんだん育ってくると辺縁系に白っぽい線が増え、最終的に大脳皮質のほうに白い部分が広がっていきます。

赤ちゃんは、ほとんど脳幹だけで生きています。

脳幹の仕事は、とにかく生き延びるための反射をすること。食べる、息をする、心臓を動かすといったことが最優先となる「脳幹反射」です。この中には、対光反射、角膜反射などがあります。

対光反射というのは、光が入ったときに瞳孔がキュッと縮む反射。角膜反射は、眼の中に物が入ったときに眼をギュッとつぶる反射。他には、毛様脊髄反射、咳反射、前庭反射、咽頭反射など。咳反射や咽頭反射は、異物が喉に入ったときに咳をする、すぐに吐き出すなど生きるのに直結した反射です。

新皮質は社会性を作るところです。新皮質があると、「熱い鍋を持ったときに、熱いから手を離したいと思っても、こぼすと危ないから頑張って持とう」というように考えることができます。だから、すごい嫌いな上司がいて、殴ってやろうと思うところが辺縁系ですが、ここで殴ると立場悪くなるなと考えるのが新皮質の社会性になります。脳幹寄りになると、上司が現れた瞬間に蹴るくらいの反射になります。

赤ちゃんのときに育つのは、まず脳幹の部分です。ここが未発達のままで大人になってしまうことがあります。これは、神経のスフィンゴミエリンがきちんと出てない、ATPが作れないために、神経がうまく作れないという状態です。とりあえずありあわせの材料でけでできる範囲内で身体を作っていきます。

そうすると、生き延びるためだけにエネルギーをほとんどを使ってしまい、社会生活を送るためのエネルギーが少ししか残りません。これは、いつも疲れている状態、生きるのが精一杯で余裕がない状態です。例えば、低血糖を起こしているような状態、貧血がひどい状態というのは、生き延びるほうが最優先となって社会生活を送るのが困難になります。

赤ちゃんの脳は、生まれたては中心にしかミエリンがありません。(写真:左)
成長してくるに従いミエリンができてきて、白いラインが脳の中にできてきます。(写真:中央)まだこの頃はお座りしかできません。
立ち上がれるようになると、脳の真ん中がかなり白くなってきます。(写真:右)
特に、頭の後方(写真では下方部)が白くなっていますが、ここは見る能力と関係していますから、見る能力がしっかりできてくると、白い部分も増えてきます。前頭葉のほう(写真では上方部)には、あまり白いところがありません。
この部分は社会性に関係していて、いろいろなことを統合し考える部分です。この時期は、すぐ泣くばかりでいて、お母さんのご機嫌を取ったりはしません。

白い部分の材料がスフィンゴミエリンです。スフィンゴミエリンにセラミドというものがついた長い分子で、しっぽの長い部分の「/\/\/\」となっている部分が炭素と水素でできた脂です。

脂が多いということは、水に溶けて尿から排泄できる毒素以外は溜まってしまうということです。本来は、その毒素は胆汁できちんと排泄できます。しかし、LDコレステロール値がとても高かったり、逆に低すぎる人、胃腸の動きが悪くて胆汁が出せない人というのは毒素が溜まりやすくなります。

また、解毒をしても便秘などで排便できない場合には、胆汁で排出したものが再吸収されてしまい毒素が溜まりやすくなります。また、キレート後に毒素がしっかり排泄できないと、再び身体を巡って、脳のスフィンゴミエリンに溜まってしまう場合もあります。

恐怖麻痺反射

母体のストレスと恐怖麻痺反射

恐怖麻痺反射は、受精して5週目から12週目くらいのときに起こる反射です。受精後5週目は2㎜くらいの大きさのとき。この頃は妊娠したかどうかわからない、ぎりぎり妊娠反応の検査で出るくらいの時期です。12週目(3ヶ月)頃には6㎝くらいになります。5週目頃は、ダンゴムシよりも小さく身体をギュッと丸めています。このときにお母さんがストレスを感じたらどうなるしょうか。

例えば、DVを受けていたり、金銭的な問題があるといった外的なストレス。貧血や低血糖、副腎疲労が強いなどのストレスがあったとしても、赤ちゃんはそこから逃げられません。外からどんどんアドレナリンが来て、ここは危険だというサインだけが入ってきます。そこで、どうやって身体を守るかというと、ダンゴムシと同じく、身体をギュッと丸めて少しでも生き延びようとするのです。

【母体のストレス】
貧血、低血糖、カフェイン、ニコチン、痛み、炎症、怪我、家庭環境、社会環境など

母体のストレスが赤ちゃんにダイレクトに関わってくるので、お母さんがずっと交感神経刺激状態で、アドレナリンがどんどん出ている状態というのは良くありません。昔の言い伝えで、妊婦に火事を見せるなというのがあります。火事を見て何か起こるわけではありませんが、アドレナリンは出ます。ですから、妊婦さんにはそういった怖いものは見せてはいけないのですし、夫婦喧嘩もできるだけしない方がいいわけです。

アドレナリンが出る状態というのは、貧血、鉄欠乏、低血糖を起こしている状態。甘い物が欲しくなるとき、カフェイン、ニコチン。痛みが強い。炎症があるとき。怪我をしたとき。また、家庭環境からの影響もとても大きく、旦那さんが協力的でない、暴力をふるう、姑だけでなく実母ともうまくいかないときなどです。これは家族との相性が悪くてもそこから逃げられないからですが、一方、一人暮らしした場合には金銭的に生活が大変になると、この場合もストレスになります。また、妊娠していると会社の理解が得られないなどの社会的な環境も関わってきますので、これらがすべて、母体のストレスとなります。

お母さんのアドレナリンは、当然、赤ちゃんの身体の中に入っていきます。このアドレナリンは、外の世界は危ないよと教えることになるので、赤ちゃんは生まれた後に自分で自分を守ることへとつながっていきます。まったりした子が生まれてしまうと、周りのオオカミが平気で手を出してしまいますから、ある程度怯えやすい子どもにしたほうが、生き残り戦略としては有利になります。ただし問題になるのは、ストレスがずっとある場合です。この場合は、反射が残存してしまいます。ストレスがあるたびに、背中にグッと力を入れて叩かれても殴られてもいいように、身体をギュッと丸く小さくして耐えます。ダンゴムシそのものです。

背中を固めて身動きができない状態、これがフリーズです。フリーズすると自分は助かるらしいと身体が覚えていきます。ただ、逃げ場もなく、戦う相手もいない胎児のときにはこれで全然構いません。しかし、怖いことがあったら背中を丸めれば大丈夫…というのを、生まれてからずっと繰り返して大人になった場合、怖いことがあると固まり、声が出ず、動けなくなります。

家でははしゃぎ回るけれど、面接のときや、親や友達の前で話せなくなってしまうことを場面緘黙といいます。これがとても強く出る場合には精神科で安定剤が出されることもあります。つまり、少しのアドレナリンでこの反射が出てくる。逃げるとか殴るとかではなくて、これが一番効率がいい…と、今までの経験で覚えているということになります。

もう少し動ける場合は、泣き叫んでその場で動かない子がいますが、これも恐怖麻痺反射のバリエーションの一つです。いつもアドレナリンにさらされてる中、お腹の中で赤ちゃんが成長してくると、副腎ができて自分でもアドレナリンやコルチゾールを出すようになります。つまり、生まれる前からずっと副腎疲労なのです。

ですから、生まれてからどんなにかわいがったとしてもこれから抜けるのが難しく、すごく過敏な、すぐに泣いてしまう赤ちゃんになります。副腎疲労になっているので、当然、血糖値の維持もできないため、ミルクを少し飲んでは泣き、少し飲んでは泣き・・・という子どもになるのです。

筋肉と筋膜と恐怖麻痺反射

焼くとパリッとするソーセージ。真ん中に肉があって、その周りを包んでいる膜があります。筋膜というのは、このソーセージの膜に似ています。膜がパンパンに張っていると、中の肉がフワフワでも、筋肉全体としては張った状態になります。この膜が硬ければ、動きが悪くなりますし、柔らかければ筋肉自体も柔らかくなります。

人間にも筋膜があります。筋肉の周りを包んでいる膜です。この膜は一つひとつではバラバラな筋肉と筋肉をつなげていて、この膜があることで1本のラインとして身体の中に存在しています。足の指ー足の裏ーかかとーふくらはぎー膝ー太ももの裏ー尻尾の骨ー背中ー首の後ろー頭ーおでこ、という具合に足先からおでこまでがつながって1本のラインができます。これを「スーパーフィシャル・バック・ライン」というのですが、実は、これと恐怖麻痺反射には関係があります。

このラインを使って、真っ直ぐに立ちます。後ろ側の筋肉にはテンションが必要で、それを作るためにはある程度の筋肉量とリラックスが必要となります。この筋肉はしっかりと伸びていないといけないのですが、いつもガチガチに硬いと筋肉は伸びなくなります。赤ちゃんはもともと丸まっていますが、恐怖麻痺反射があると、さらに丸まってしまいます。この筋肉がしっかり伸びないと、最終的に立つことができません。だから、この反射を統合して発達させることがすごく大事になってきます。

赤ちゃんの発達と恐怖麻痺反射

赤ちゃんは発達してくると、背中を伸ばせるようになります。そして、首が上げられ、ハイハイができるようになります。背中の緊張が取れて前を見ることができるようになると、自然に”見る”ということが発達します。ずっと緊張してる人は眼の緊張が続くため、物を見ることができない、ピントが合わない、本を読むことができないことにもつながっていきます。

背中のラインの上のほうは首のところにもつながっています。首の奥のほうには細かい筋肉があって、その筋肉一つひとつの中に伸張受容器が多くあります。伸張受容器は、伸びた/縮んだというのを受け止める受容器で、筋紡錘がその仕事をしています。首の筋肉では、筋肉1g当たり36個もあり、とても感覚が過敏です。ここに手を当てて目玉を動かすと、筋肉が動くのがわかります。つまり、目の動きと首の後ろの筋肉は連動しているということです。

疲れ目に効くツボは頭のてっぺんや首の後ろ、肩のところにあります。頭のてっぺん部分はスーパー・フィシャル・バックラインが通るところですから、ここの筋肉を緩めると目の動きも楽になってきます。つまり、首が凝っていると目が痛くなる、疲れ目だと首が凝るというのは、この連動から起こるのです。

それは、なぜか?例えば、首を使わずに目だけを使って、視界の端のほうを見ようとしても、視野の範囲は限られます。一方、目の動きとともに、自動的に首もついていくと視野が広がります。敵が来ているのに、目だけではきちんと見ることができませんから、首も自動的に動くようにできている。これも反射です。

つまり、恐怖麻痺反射があると敵を見つけられない、首が動かせない、目が動かせない、人と目を合わせることもできなくなっていきます。

ストレートネックと眼球運動の低下

首がグーッと前に曲がってる状態をストレートネックといいます。本来、首は後ろ向きに反っているはずですが、首が真っ直ぐということは、後頭下筋(前述の目の動きと連動している筋肉)の可動性が低下して動きが悪くなっていきます。

つまり、眼球運動の協調性が低下します。下を向いて広いところを見れないままにしておくと、筋肉が固まってしまったり、廃用性萎縮が起こっていきます。この姿勢は緊張したときの姿勢でもあるので、ずっとスマホを見ていると身体はどんどん緊張していき、怖いことが起こっている…と身体が反応してしまいます。

ですから、首がきちんと伸びない人、背中が伸ばせない人というのは、結果的に眼球運動の協調性が低下し、視力の発達が遅れに繋がっていきます。いつも下だけ見ていると、目からの距離が短いところばかりを見ていて遠くが見れないであったり、目の動きが悪い=眼球運動が悪いために立体視ができなくなります。立体視ができなければ距離感がつかめない。

さらに、3Dで人の顔が覚えられないということにつながってきます。これを相貌失認といいます。3Dが見れないということは距離感がつかめないため、物にぶつかるだけでなく、人と視線を合わせられなくなったりします。

また、眼球運動が悪いため、動体視力が育ちません。ということは、キャッチボールやドッジボールができなかったり、極端な場合、動いてる先生が見えなかったりするため、先生を目で追いかけるよりも手元で落書きしていたほうが楽となってしまいます。

勉強をするとき、目を寄せて真ん中を見ています。ですから、目を寄せる力がない、首の後ろが凝ってる人は、がんばって無理に目を寄せているから目が疲れてしまい。恐怖麻痺反射が残っている人は勉強ができなくなっていきます。

不定愁訴の多い人、文句が非常に多い人、怖がるタイプの人、頭痛とか不眠とか交感神経優位な人は、目が真ん中に寄らない場合が多くあります。こういうタイプは、とても些細なことででも瞬時に副腎疲労を起こしてしまい、ものすごい身体の不調が出てしまうのです。

筋緊張と原始反射の残存

猫はどこから落としても、たいてい怪我をしません。落ちていくときに、いろいろなものを一瞬で見るという目への情報と、高さ・位置・速度の変化という内耳への情報が入ります。この情報を合わせて、反射で首を動かし、この反射で背骨を捻り、最終的に着地ができます。

このとき首と連動して背中曲げているのですが、これはアドレナリンで起こした反射です。この反射は必要なときにだけ起こることであって、ずっとこれがあるのは問題です。これが原始反射の残存です。猫は頑張って運動して体の連動が起きているのではなく、きちんと発達して反射が起こるからこれができるのです。

背中を丸めて身体を固めて首をすくめるのは、怖いことがあったときの反射です。普段からその姿勢になっているということは、いつもいつも怖いということ。ビックリして怖いと、首と頭の筋肉が収縮して固まるーこれが反射です。この反射がずっと起こっていると、常に緊張した姿勢のままになります。

首をすくめる=首と頭の筋の収縮でした。これは恐怖反応です。収縮という動き自体が恐怖反応であり、恐怖感があるとこの収縮が起こります。つまり、怖いときにはこの首の動きになると覚えているため、肩が凝ったとき、脳では「いつもと同じ、怖いことが起こっているな」と反応します。そうすると、肩が凝っているだけでコルチゾールが出ます。コルチゾールがずっと出ているので、アドレナリンも出てきます。それで、いつも怒りやすい、いつも副腎疲労を起こす、いつも疲れている人になるのです。

例えば、前屈みになると、脳が前屈みになったという信号を筋肉から受け取ります。すると、このパターンは怖いことがあったときだから、今は怖いんだと思います。それなら準備しなければと思い、コルチゾールをいっぱい出すのです。トラウマのある人は、怖いことを経験したときの筋肉の動きを覚えています。その動きが再現されると、怖い気持ちになります。これがフラッシュバックです。

フラッシュバックとかトラウマがある場合には、大きな刺激ではなくゆっくり手で触れることで筋肉が緩んでリラックスします。その状態で今まで辛かったことを話してもらうと、今度はその嫌だった記憶と体のリラックスがリンクするため、思い出してもパニックを起こさなくなってきます。

この応用として、幼稚園や保育園で嫌な思いをした子どもへの接し方があります。お母さんに、「今日こんなことがあった」と訴えにきたとき、子どもの身体が緊張して、手も湿気っていたら、まず抱っこをしてあげます。お母さんに優しく抱っこされて、お腹や背中が触れた状態で筋肉を緩めてあげながら、嫌なことを全部話させます。そうすると、今日の嫌な記憶と、お母さんに抱っこされて温かいというものがリンクするので、思い出してもパニックになりません。つまり、筋肉が準備しなくてすみますので、恐怖麻痺反射が起こらなくなってきます。

ところが、子どもが訴えてきたときに、「あっち行ってなさい」「うるさい」「どっか行け」と言うと、この恐怖麻痺反射がドンドン強くなっていきます。そうすると抜けなくなってくるので、いつ敵が来てもいいように防御している状態になります。

スーパーフィシャル・バック・ラインの筋緊張

わたし達の頭もスーパーフィシャル・バック・ラインの一連の筋肉に囲まれているので、背中が緊張していると怖い思いをする、いつもストレスが溜まっている状態になります。頭を触ってみたときに、頭の皮が揺れずに固まっている人の場合には、恐怖麻痺反射が起こりやすくなっているかもしれません。

こういう時は、頭のてっぺんを緩めるのもよいですが、おでこと眉毛の上のところを触ってゆっくり緩めてあげる、首の後ろにゆっくり手を当てるといったことでリラックスできます。

このラインの延長にある太ももの後ろ、ハムストリングの部分がいつも緊張状態にあると、ハムストリングの低下が起こります。そして、メンタルの低下が起こる。

太ももの内側から外側が落ちているタイプの人、ずっと座りっぱなしの仕事をしている人、受験生はメンタルが危うくなってくる可能性があります。

そして、このハムストリングの部分の筋肉はとても大きいので、ここがずっと緊張して固定されていると脳にあまり刺激が行かないということになります。

背中の筋肉、いわゆる背筋のところは、本来であれば柔らかくヒレ肉のようなものが2本あるはずなのですが、ここをずっと緊張させていると2本の千歳飴のようになっていきます。

運動しても運動しても筋肉つかなくて、千歳飴が2本ある人は、恐怖麻痺反射の残存がある可能性があります。そして、そういう人は、すぐに怒ったり、泣いたり、喚いたりする傾向が強いので、クレーマーにもなりやすく、注意が必要です。

この連続した筋肉の一番下のところは、足の裏にあります。ここに筋緊張があると、足裏の前後からぎゅっと力が入って図のような屈み足になります。これは元々赤ちゃんの反射の一部なのですが、サンダルをはくと疲れるという人はこの反射が残っている可能性があります。

こういう人はいつも足を固めているので足の指が広がらない、はがすとみかんの房のように指の跡がつく“みかん足”になってきます。これはしっかりとマッサージをしてあげる必要があります。

この2枚の写真は、ある兄妹の足の写真です。左写真の足はそっくりですが、足指をぎゅっと握っている右の写真には違いがあることがわかります。これは筋の緊張、足の使い方に違いがあることを示しています。

そして、“根拠のない自信”をもっているのは、足が曲げられるほうの子ども。根拠のない自信があるなら、“根拠のない不安”も存在します。足の指をしっかり動かせない子には恐怖麻痺反射が残っているかもしれません。

その場合は、少し背中を触られただけでドキドキしたり、誰かに声をかけられば怒られると思ったり、お母さんがいなくなると捨てられたという発想になる。日常的にこれが続くと、社会生活が送れなくなっていってしまいます。

足の裏の筋肉が全体に縮むのでなく、アンバランスに縮むこともあります。親指側がぎゅっと縮んだ場合はハイアーチと言って無駄に甲高になり、偽物の土踏まずができます。逆に、小指側がぎゅっと縮んだ場合は親指側が上がるので、靴のかかとが減ってきます。そして、転びやすくなったり、かかとが痛くなる「足底腱鞘炎」になったりします。

「足底筋膜炎」の時、足の内部では腱がぎゅっと引っ張られて続けて、その結果として膜がはがれ、骨芽細胞が増え、余計な骨ができ上がってきます。この治し方は足裏マッサージだといわれていますが、全体の筋肉は1本の線でつながっているので、背中を撫でたり首を撫でたり、場合によってはおでこの上を撫でたりすると予防になってきます。さらには、痛みの原因となっている大元の緊張を緩めてあげる、緊張の原因を探して取り除いていってあげるということも必要になります。

赤ちゃんの恐怖麻痺反射がずっと残っていると、背中の筋肉にずっと力を入れている状態になるので、筋肉が育たず前かがみになります。また、背中の皮膚が過敏になるか、逆にわざと鈍くして感覚が入らないようにするかの両極端になります。

背中をきちんと反らせるようになると、背中の筋肉も骨も発達します。そして、恐怖麻痺反射が統合されてくると、その結果として赤丸の部分に凹みができてきます。もし大きくなっても反り腰だったり、猫背だったり、ストレートネックだったりといった状態がある場合は、恐怖麻痺反射が残っているという証拠になります。

アナトミートレインより引用

このスーパーフィシャル・バック・ラインは、何千年も前に中国でいわれていた膀胱経絡、太陽膀経絡といわれていたラインと同じです。ツボもほとんどが筋肉の付着部だったりトリガーポイントであることが多く、ここを刺激してあげるということは、筋紡錘とか腱紡錘への刺激になり、筋肉を育ててあげることにつながる。

栄養だけ入れても治らない人は、ヨガやピラティスをしたり、場合によっては筋トレをしたり、鍼灸などがすごく効いてくるのはこういったことと関連しています。

この話の延長で、足の指回しをすることで、めまいや頭痛、ひざ痛が治ることがあります。こういったことが起こる理由は、足の指を回すことでまず筋緊張が抜け、そこから筋膜の延長をずっと通って、他の部位の緊張も抜けるからです。

そして、筋緊張が抜けるだけで、副腎疲労が楽になり、例えばリバースT3を作らなくて済むようになる。その結果、甲状腺機能が上がる、間接的にコレステロールが下がってくる可能性があります。筋肉も増えてくるかもしれません。お腹も動いてきて胃酸が出てくると、ミネラル吸収もよくなるということも期待できます。

恐怖麻痺反射の残存と対処方法

恐怖麻痺反射が残っていると、先のような身体的特徴だけでなく、以下のようなことも起こってきます。

  • ストレス耐性が低い
  • 肌や音、視覚的な変化などの感覚過敏
  • 状況がかわったり、驚くようなことが嫌い
  • 柔軟に対応できない
  • 疲れやすい
  • すぐに息をつめる(止める)
  • 人前で恥をかくような状況が嫌い
  • 愛情を受け取るのも表現するのも苦手
  • 自己否定が強い
  • 極度な恐れ、被害的な妄想
  • 新しい活動を嫌う
    特に誰かと比較されたり、優劣が出るような活動
  • かんしゃくを起こす
  • ストレス状況で固まる(考えることと動くことが同時にできない)

では、このような人への対応、例えばカウンセリングをする際にはどのようにしたらいいでしょうか。
以下が大切なポイントになります。

  • いきなり前に立たない
    横に座る、少し斜めに座る、2人の間にお花やぬいぐるみなどを置くなどの工夫をする
  • いきなり目を合わせない
    もともと目の強調運動が悪いので目を合わせられない、これまでの合わせた経験がない
  • 人前で恥をかかせない、失敗させない
    できるだけ簡単なことから始めて、成功体験を積ませる、その人について笑わない
  • 予定は前もって知らせておく
    心の準備ができるようにしてあげるだけで、緊張が和らぐ
  • 居心地のいい部屋をつくって、くつろげるようにする
    空間的なガードをつくる、個室を用意する
  • 集会では、席を後ろやわきのほうにする
    一番前はプレッシャーが強い
  • 何か提案するときに、“No”の選択肢を入れる
    選択肢を自分で作ることができないので、提案を断ることのできる選択肢を入れる
  • 静かにやさしく話しかける
    できるだけ静かに、そーっと話しかけることが大事、ドアをノックするだけでも飛び上がる
  • 騒音を避ける
    騒音がひどいときには、イヤーマフやノイズキャンセリングのヘッドホンをつける

モロー反射

モロー反射とは

恐怖麻痺反射は、スーパーフィシャル・バック・ラインと呼ばれる背中側の筋肉が緊張する、原始的だけれどもとても大切な反射でした。この反対側、つまりお腹側にあるのが「スーパーフィシャル・フロント・ライン」と呼ばれる筋肉で、ここで起きる緊張を「モロー反射」と呼びます。

赤ちゃんが寝ているときにドアをバタンと閉めると、ビクビクッとするーあれがモロー反射です。一回手足をバッと広げて、そのあとギュッと抱きかかえる感じです。これは、一回緊張してバッと開いたあとに、前のほうを緊張させてギューッと固める反射です。これには腹筋もはいっています。

特に小さい子に多いのですが、お腹をさわるとガチガチな子どもがいます。ガチガチなので腹筋があるように感じるのですが、背中の千歳飴のように緊張して固くなっているだけで、大抵、身体全体はグニャグニャです。こういった子は、割と小さめで、あまりミルクを飲まない、偏食がある、お腹をすぐに壊しやすい、夜泣きする、よく疳の虫を起こすといった傾向があります。

スーパーフィシャル・フロント・ラインの仲間で、首のところにある「胸鎖乳突筋」という筋肉があります。ここがいつも緊張していると、筋肉が発達せず短いままなので、顎が引っ張られて口が開くようになる、口がきちんと閉まらない、口の周りの筋肉が落ちてくるということが起こります。

そうすると、噛む力もなくなり、話し方がもぞもぞする、口呼吸になる、上咽頭炎を起こすといったことになり、「アデノイド顔貌」といって横から見ると首が前傾した顎ラインのない顔立ちになります。

そして、この過緊張が続くと、呼吸が苦しくなり、息をするたびに方が肩が上がることになります。こういう人は、胸の前の筋肉もガチガチになっているので、胸郭が開かない。だから呼吸補助筋を使って呼吸をする。さらに、肺がふくらまないから副交感神経に信号が入らないし、横隔膜も働かないので胃腸の動きも落ちてきます。

モロー反射が残存すると起こること

モロー反射が成長とともに統合されていかないと、突然の音や光などの刺激によって感覚過敏が起こります。いつもびっくりしてしまうので、嫌がって泣いたり暴れたり、新しい状況や活動への対応も難しくなる。

少し何かあるだけでびっくりして手足がびくっと動いてしまうので、隣にいる人を叩いてしまったりすることもあります。これは反射なので止めることができません。勝手に身体が動くので、思考や注意もそれやすく、一つのことを集中して考えることができなくなります。

また、いつもビックリして交感神経優位になっているので、不安、特に予期不安、「こんなことが起こったらどうしよう」ということで不安になっています。いつも怯えているので感情的になったりしますし、社会的にも未熟で、社会に溶け込むことができません。

さらに、口の中に入ってくる違和感をすごく嫌います。偏食が多くなるし、食べるのも嫌だし、目で見て怖がったりもするので食わず嫌いも多い。モロー反射が統合されている子は、食べてからそれが好きか嫌いかをいいますが、統合されれていない子の場合は見ただけで泣いてしまう、触っているだけでもいやということが起こります。

ハイパーアクティビィティ、動きすぎる傾向もあります。モロー反射自体で動きが激しいということもありますし、背中の筋肉もお腹側の筋肉もいつも緊張して発達していないために、じっとしていられない、動いているしかない。元気に見えますが、実は止まるだけの体力がありません。けれども、身体からではなく、チェックリストから診断するADHDやアスペルガーなどの検査では、当てはまると診断されてしまうこともあります。これに低血糖、鉄欠乏、カフェイン摂取が加わるとその可能性はますます高くなります。

いつもおびえているので、副腎疲労にもなります。その結果、コルチゾールが足りなくなって、アレルギーを発症する。ぜんそくや慢性的な病気をもっている子も多い。そうなると、お母さんも過緊張から神経質になるので、お互いに緊張させ合ってしまいます。こんな時は、お母さんがゆったりすると、調子がよくなることがあります。

その他の原始反射

  • 緊張性迷路反射
    赤ちゃんの首を後ろに向けると手足がバッと広がる、前に倒すとギュッと前に曲がるという反射です。これが残っていると、頭を動かしただけで姿勢が保てなくなる。三半規管がうまく働かないため、いつもふらふらしていたり、バランス感覚が悪くてでんぐり返しができなかったり、ボール投げができなかったり、姿勢が悪かったり、保てなかったりします。この反射だけが残っているということはないので、複合的な影響も出てきます。机に座って勉強できない、気が付くと頬杖をついている、突っ伏しているなどということもあります。この反射が残っているスポーツ選手の場合は、本番にパフォーマンスを発揮できなくなります。

  • 吸啜(きゅうてつ)反射
    赤ちゃんの口に指を入れるとチュッチュ吸う、ほっぺをツンツンとするとそっちを向くといった反応です。これは、おっぱいを自分で飲めるようにするための反射で、生まれてから3、4ヶ月目でなくなっていきます。これが残っていると口の周りに感覚過敏があって、口紅がぬれないなどということも起こります。そのほか、舌が前に突き出ていたり、食べるのが苦手ですぐこぼしたりなどします。口の周りの筋肉ができていない、顎が発達しない、歯が全部生え揃わなくて矯正が必要になる、ホルモンバランスが悪いといったことも起こります。

  • 脊椎ガラント反射
    背骨の横を触るとお尻がピュッとそちらに向くという反応です。これは、狭いところで背中に刺激が当たってお尻が動くと産道を下りてこられるので、そのためにある反射です。背中を触ると、悲鳴を上げて「きゃあ」という人はこれが残っている状態です。背中の感覚がすごく過敏なので、背もたれのあるイスに座れない、背中のタグが当たるのをすごく嫌がるなどがあるので、落ち着いて勉強できないことがあります。

  • 対称性筋緊張性頚反射
    腹ばいのところからハイハイするまでの途中の反射です。頭を上げると手が伸びる、頭を下げるとお尻が上がる、ハイハイの少し前のお尻を上げてゆらゆら揺れているときの動きはこの反射です。これがきちんとできるようになると、目の運動がだいぶできるようになってきます。上を向いたり下を向いたりをすごくしますので、いろんな距離が見られるようになるというわけです。

  • 非対称性緊張性反射
    顔を向けると、向けた側の手を曲げて反対側を伸ばす、顔を右側に乗せると左側の手足が伸びるといった、右と左を作っていく反射です。これができるようになると、それまで両手で何かを持つ、両手で同じことをするといったことが多かったことものが、右手と左手の動きをバラバラに動かすことができるようになります。

  • 足底反射
    刺激に対して足指をぎゅっと握ってしまう、もしくは反対にパッと開いてしまうといった足の反射です。握ってしまう反射が残っていると、毎日足の指で鉛筆を握ったまま歩いているようなものなのでとても疲れます。逆に、バビンスキー反射のように足の裏に嫌なものが当たると足の指が開いてしまう反射が残ると、濡れたプールの床を歩けないということも起こります。

最後に

これまでの一連の情報は、筋膜とか腱をつなげる『アナトミー・トレイン』という本に載っています。また、原始反射の本で一番わかりやすいのは、『人間脳を育てる』という本。それぞれは全く別の分野の本ですが、理解できてくるとそのつながりが感動的にわかると思います。

アナトミー・トレイン [Web動画付] 第3版: 徒手運動療法のための筋筋膜経線 https://amzn.to/3sRVYLI 
人間脳を育てる https://amzn.to/3vc8VS2

そして、ここに、副腎疲労や栄養、筋トレ、お灸や鍼などといった情報を入れていくと、もっとグングン理解があがると思います。

栄養療法のカウンセリングというのは、「栄養で治す」のではなく、「栄養を武器にする」もの。ですから、それにだけこだわらないようにしてください。

最終目的は、元気になって幸せになることです。そのためにこういった情報が、問診や指針で使えるといいなと思っています。

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