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サプリメントの選び方と使用量

宮澤賢史 · 2019年2月21日 ·

もくじ

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  • はじめに
  • 栄養療法に必要な4つの考え方
  • ビタミンの定義
    • ビタミンの標準摂取量
    • ビタミンの最適量
    • ビタミンの最適量には個人差がある
  • サプリメントの最適量が人により異なる理由
  • ビタミン、ミネラルは補酵素として働く
    • 脳における補酵素の研究
  • 栄養素の局在
  • 栄養療法を邪魔する要因
  • 足し算よりも引き算
  • まずは腸からアプローチ

はじめに

分子栄養学は、サプリメントを用いて医学的な効果を得るための栄養療法の方法論です。
健康増進のためにサプリメントを摂るのと、栄養療法により病気を治す方法には大きな違いがあります。

それは、サプリメントの選び方と使用量です。

栄養療法は、様々な検査をして足りない栄養を見つけ出し、通常よりもかなり多い量の栄養を用いるのが特徴です。

ここでは、どのようにしてサプリメントの種類や量を決めるのかについて説明します。

栄養療法に必要な4つの考え方

サプリメントの種類と量を決めるためには、4つの考え方「ドーズレスポンス」「個体差」「栄養素の局在」「栄養療法を邪魔する要素」が必要です。

「栄養素の局在」とは、文字通り、体内で栄養素が均一でなく、偏って分布していることを意味しています。体内でビタミンC濃度が一番高いのは副腎です。

「ドーズレスポンス」とは、治療効果を得るためには最適量の栄養を使う必要があるという意味です。

体重70kgのヤギが1日あたり13gのビタミンCを体内で作れることから考えると、人間も体内の状態を最適化するためには数十g単位のビタミンCが必要なのかもしれません。

「個体差」とは、栄養素の必要量が人によって大きく異なるという意味です。

ビタミンC点滴後のビタミンC血中濃度が人によって大きく異なるのは、腫瘍や感染、炎症、ストレスなどによってビタミンCが大きく失われている人がいるからです。

「栄養療法を邪魔する要素」とは、栄養の吸収を邪魔する腸内環境悪化、ミネラルの効果を減弱し、弊害を及ぼす重金属の蓄積などです。

上記の4つの法則を知り、うまく使わなければ疾患を治すことはできません。
それぞれについてもう少し詳しく説明します。

ビタミンの定義

「ビタミン」とは何でしょうか?

ビタミンとは「体内では作れないので、必ずとらなくてはいけない栄養」のことです。

ヒトは体内でビタミンCを作れません。だから、ヒトにとってビタミンCはビタミンです。

ヤギは体内でビタミンCを作れます。だから、ヤギにとってはビタミンCはビタミンではありません。

では、ビタミンCは体内でどのような働きをしているでしょうか?
ビタミンCが足らなくなるとどのような事が起きるでしょうか?

ビタミンの標準摂取量

ビタミンCは体内で様々な働きをしています。

ビタミンCが欠乏するとおきるのが「壊血病」です。うつ状態になり、歯茎をはじめとした色々なところから出血します。

ビタミンCは新鮮な食物にしか含まれません。大航海時代、塩漬けの肉のみを積んだ船員が壊血病のために、数万人亡くなりました。

ビタミンCはコラーゲンをつくるのに欠かせない物質です。壊血病は、ビタミンC不足により血管の材料コラーゲンが作れない病気です。血管が弱くなるので全身から出血します。

この壊血病を予防するために、最低限摂らなくてはいけないビタミンCの量の事を、「標準摂取量」とか「所要量」などといいます。

「標準摂取量」は、国が定めた量で、栄養失調を防ぐ最低の量であり、それに対して「最適量」は、病気を治すための量です。

ビタミンの最適量

ところで、ビタミンCの働きはコラーゲンを作ることだけではありません。
ビタミンCにはざっと考えても以下の様な働きがあります。

  • 風邪などの感染症を予防する
  • ノルアドレナリンを合成する
  • カルニチンを合成する
  • 胆汁酸を合成する
  • 異物を代謝する
  • インターフェロンの合成
  • 鉄代謝に関与する
  • ヒスタミン遊離を抑制
  • がんの予防
  • メラニン産生の抑制(「美白効果」のことです)

これらの効果を得るために必要なビタミンCの量は様々です。

例えば、壊血病を予防する量は1日100mgですが、風邪を予防するためには1日1,000mg(1g)を3回飲まなくてはならないという報告がありますし、がんを治療するには1日100,000mg(100g)のビタミンCを点滴しなくてはなりません。

つまり、ビタミンの「標準摂取量」は100mgで、これによりビタミンC欠乏である「壊血病」を予防することができます。

その一方で、抗がん剤としてビタミンCを使う場合の必要量は100gであり、これががんに対するビタミンCの「最適量」となります。

この場合、「最適量」は「標準摂取量」の1000倍となります。

このように、目的によって必要な量が異なる事を量と反応の関係(ドーズレスポンス)と呼んでいます。

ビタミンC100gはレモン5000個分にもなります。この栄養素の量はサプリメントなしには達成できません。

つまりサプリメントは栄養を凝縮した「効率の道具」ということができます。この栄養の効率化によって医学効果を発揮させるのが「分子栄養学」というわけです。

ビタミンの最適量には個人差がある

ビタミンの必要量はヒトによって異なります。

タバコを吸う人、糖尿病の人は血中のビタミンC濃度が低いことがわかっています。このような人は他の人にくらべて、余計にビタミンCを摂る必要があります。

このような個人差は、酵素と基質の親和性で説明できます。
体内の化学反応は基質と酵素が結合して起きますが、両者の結合を助けるのが補酵素です。

問題は酵素の形が人によって多少なりとも異なることです。
酵素はタンパク質の一種であり、設計図であるDNAを元に作られます。

ヒトのDNAは99.9%同じですが、0.1%の違いが個性を生みます。酵素の形が悪いと基質との結合が弱く、余計に補酵素を必要とします。

「酵素の個人差によって必要な補酵素の量が異なること」これを個体差といっています。

サプリメントの最適量が人により異なる理由

タンパク質の働きにはいろいろありますが、一番重要なものは酵素としての働きです。
酵素は、体内で働く化学反応を調整(触媒作用といいます)しています。

人間は食べ物を体内で燃やしてエネルギーを作っています。実際には体温は36.5度で、物が反応するには非常に低い温度です。

しかし、酵素の触媒作用によって、食物は、確実に血や肉になり、エネルギーになります。だから、人は酵素が無ければ、生きられません。

酵素によって化学反応を触媒される物質を「基質」と言います。体内の化学反応は「酵素」と「基質」が組み合わさって進んでいきます。

ビタミン、ミネラルは補酵素として働く

酵素の働きを助けるものを「補酵素」といいます。

アミラーゼ、リパーゼ、リゾチームなどは酵素だけの力で反応を触媒しますが、酸化還元反応やアミノ基転移反応などは、補酵素の力を借りないと反応が進みません。

基質と酵素は鍵と鍵穴の関係に例えられます。形がぴったり合わないと反応が進まないのですが、それを助けるのが補酵素の役目です。

分子栄養学の世界で出てくる「個体差」とは、酵素の設計図である遺伝子の「個体差」なのです。

DNA配列に微妙な違いがあるために、それを設計図として作られる酵素たん白質にも若干の形の違いが生まれます。

基質と酵素と補酵素は、鍵と鍵穴とグリース(潤滑剤)に例えられます。

カギが鍵穴に入りやすい人と入りにくい人がいるわけで、このような人は補酵素(グリース)を余計に使うことで、化学反応の扉を開けることができます。

この補酵素として使われるのがビタミンやミネラルなのです。

補酵素として使われるビタミンの量は時には標準摂取量の100倍に達することもあります。

以上の理由により、栄養素の最適量は人によって異なるため、必要なサプリメントの種類と量を決める際に、その人の酵素活性を検査で測定する事が有用なのです。

脳における補酵素の研究

1950年代末、ライナス・ポーリング博士は、精神疾患の原因の一つに酵素の機能障害があるのではないかと疑い、脳機能における酵素の役割を研究しました。

彼が、ビタミンが欠乏症予防以外に重要な生化学的効果を持つ可能性に気が付いたのは、ポーリング博士が1965年にエーブラム・ホッファー著「精神医学におけるナイアシン療法」を読んだ時のことです。

これにヒントを得て、1968年、ポーリングはサイエンス誌に「分子整合精神医学」
(Orthomolecular psychiatry)と題した簡単な論文を書き、ビタミン大量療法運動の原理を発表しました。

ビタミンには酵素を助ける補酵素としての働きがあります。
ポーリング博士は、そこで、酵素、補酵素の不足が病気を引き起こすので、それを充分量補充することで病態の改善が見込めるのではないかと提案したのです。

栄養素の局在

疾患に対してのサプリメントの選び方は、『栄養素の局在を考えること』 がポイントです。

「ある栄養素がある疾患に対して有効かどうかは、疾患の存在する部位にその栄養素が存在するかどうかを考えればよい」

栄養素が、体のどの部位で濃度が高いかを知ることは、その栄養素がどこの疾患で有用なのかを知ることなのです。

なぜなら、栄養素は体が長年の歴史で必要とされる部位に運ばれるシステムが確立しているからです。

ビタミンCの場合血中濃度を1とすると、脳には20倍、白血球には80倍、副腎には150倍のビタミンCが存在します。

ビタミンCが存在する所には、それだけ需要があると考えられます。

風邪の予防と治療にビタミンCが効果的であるというエビデンスが多く存在しますが、これはビタミンCによる白血球の活性化作用が一因と考えられます。

また、副腎疲労症候群の治療に最優先すべき栄養素がビタミンCであることも、このビタミンCの分布から推測されます。

一般に、栄養素が高濃度に存在するところほど需要量が高く、栄養素を摂取した場合に、優先的に使用されます。

「美白のためには、どの位のビタミンCを摂ればいいのですか」というご質問をよく頂きますが、答えは「人によって大きく異なります」 となるわけです。

副腎や白血球での需要量が多い場合は、そちらでまず使われてしまうからです。

ビタミンCが足りているかを調べるためには、ビタミンC血中濃度を測定すると参考になります。

栄養療法を邪魔する要因

分子栄養学の多くの書籍には上記3つの事に関してはよく書かれています。

ストレス回避の仕方、ドーズレスポンス、個体差を考慮したサプリメント処方などです。

これらをちゃんと行えば、ある程度の病期なら回復してしまいます。

しかし、それだけではうまくいかない人もいます。4番目の邪魔する要因の影響が強い人たちです。

私の外来に来る人で、まったくサプリを摂っていない人は10人に1人もいません。

4番目の要素がひっかかっているために、病期が治らずに来る人が半分以上を占めます。

そういうわけで、私の仕事はだんだんと

「サプリメントの処方」から「疾患を起こしている根本原因をみつけること」

にシフトしてきました。

宮澤医院には、多くの人が副腎疲労の症状でやってきます。

疲れているのは、副腎疲労が原因だと思ってくる人が多いのですが、多くの場合副腎疲労は「原因」でなく「結果」です。

つまり、副腎疲労を起こしている「根本原因」が他にあります。

副腎だけを見ていては、副腎疲労は治らないのです。

足し算よりも引き算

言い換えれば、副腎疲労は全身疾患のバロメーターという事もできると思います。

体内に何か異常があれば、副腎にストレスがかかるのですから、副腎ホルモン値に影響します。

最近は、健康診断の項目として全国民が受けるべきではないかと思っています。

私が習った分子栄養学講座のテキストは、どちらかというと生化学の式が満載でした。

今見るとエッセンスの塊ですが、最初は理解するのに相当時間を要しました。

実践講座を始めた時は、私もそれをならって各ビタミンの構造式、特徴などの話をさせていただく事が多かったのですが、ニーズに合わせてどんどん進化していき、今では4つ目の要「邪魔する要因とその対処」についての話が7割です。

なぜなら、臨床応用しやすく、結果が出やすいからです。

結果が出て患者様に喜んでもらえれば、それが自信につながるし、多くの患者様を呼ぶことになり、それでもっと研修しようと意欲がわいてくるという、好循環が生まれやすいです。

だから、これから分子栄養学を勉強する方には特に、一通り足りない栄養素を見つける方法を身に付けたら、次は邪魔する要因とその対処について考えることをお勧めいたします。

「足りない栄養素を足すという方法でうまくいく患者さんは2~3割」です。

まずは腸からアプローチ

邪魔する要因とその対処ですが、具体的には、まず腸内環境改善をして、栄養素が消化吸収されやすい素地を作ることからはじめるとよいです。

悪玉菌やカンジタなどが増殖している場合は、単純に乳酸菌を摂るだけではうまくいかないことも多いです。

腸内環境検査を行い、炎症や免疫、消化酵素の調整なども同時に行っていきます。重金属の蓄積評価と対処法に関して、治療の初期に行うのは難しいです。炎症や感染が存在すれば、体内の解毒機構が低下するため、毛髪分析などに影響が出ます。また、腸内環境が整っていない時にデトックスを行うと非常に副作用が出やすいです。

「副腎疲労は、どのレベルになったら治療の専門家に相談するべきでしょうか?」

というご質問をよく頂きますが、上記3つの対処をしても難しいなら4番目の要素を疑い、ご相談いただいた方がよいと思います。

この領域は思いつきで治療すると、逆効果になることもあるので、早めにプロの治療家に任せる方がよいでしょう。

栄養療法外来のやり方

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