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自閉症児が増えた本当の原因その2

宮澤賢史 · 2019年2月26日 ·

前回は、「遺伝的に弱い赤ちゃんは、生まれた後もフォローが必要」という話でした。

https://orthomolecularmedicine.tokyo/cause/

今回は、葉酸とがんの関係の話からはじめたいと思います。

葉酸とがんの関係

葉酸の乳がんの成長と進行に対する影響については以前から賛否両論があります。

乳がんに対する防御効果を持つという報告もありますが、一方で高用量の葉酸は乳がんの成長を促進するという報告もあります。

カナダ・トロント大学のキム博士ら研究グループは、2014年2月に「高用量の葉酸サプリメントの摂取が、ラットの乳腺組織にあるがん細胞の成長を促進する」と発表しました。

キム博士は、

このことは非常に重要な意味合いを持っています。
なぜなら、北米の乳がん患者は、葉酸強化食品やサプリメントによって大量の葉酸を摂取することが多いからです。
彼女らは、ビタミンをはじめとしたサプリメントを使うことが多く、その割合は乳がん患者がもっとも高いのです。

とコメントしています。

前回お話しした政府の政策によって、北米における葉酸の消費量は過去15年間にドラマチックに上昇しています。

PLOS ONE
Folic Acid Supplementation Promotes Mammary Tumor Progression in a Rat Mode
https://journals.plos.org/plosone/article?id=10.1371/journal.pone.0084635

なぜ、葉酸を補充するとだめなのか?

さてここで、ひとつ疑問が生じてきます。

前回お話ししたように、葉酸はDNAの合成に関わるビタミンです。

葉酸はプリンとピリミジンの生合成に必須の補酵素であり、DNA合成に重要な働きをしています。

だから、葉酸が欠乏したままでは細胞分裂がうまくいかなくなります。
理屈で考えれば、葉酸を補充することは正常な細胞分裂を助け、がんを予防するように思えます。

なのになぜ、葉酸サプリメントががんを増やしてしまうのでしょうか?

前回にご紹介したベン・リンチ博士がこの疑問に対しても明確に答えをだしています。

理由は、「(一部を除く)サプリメントの葉酸は未活性型の葉酸だから」です。

前回お話ししましたように葉酸には活性型と未活性型があります。

https://orthomolecularmedicine.tokyo/cause/

緑黄色野菜のサラダには、活性型と未活性型の両方の葉酸が含まれています。それに対してサプリメントの葉酸は、すべて未活性型です。未活性型の葉酸が活性化されるためには、いくつもの過程が必要です。

その活性化を行う酵素や補酵素が十分でなかったり、うまく働かない場合、活性型葉酸は十分つくられず、未活性の葉酸が体内にたまってしまいます。

また、活性化葉酸が働くのには、葉酸結合蛋白(FBP)が必要ですが、非活性型の葉酸サプリメントを摂った女性の体内の葉酸結合蛋白は激減することがわかっています。

Am J Clin Nutr. 2009 Jan;89(1):216-20.

つまり、葉酸の活性化がうまくいかない人が、葉酸サプリメントを摂取すると、活性化葉酸の働きも邪魔されてしまう恐れがあるのです。

自閉症と葉酸とメチレーション

話は、自閉症に戻ります。

乳幼児が言葉を喋り始めるようになるために、葉酸は非常に重要な役割を担っています。

活性化葉酸が、様々な物質をメチル化することによって、

  • DNAが合成されたり
  • 神経伝達物質を作ったり
  • 炎症を抑えたり
  • 解毒をおこなったり

することができるようになるからです。

メチル化というのは、化学反応のひとつで、この一連の反応の事をメチル化経路、もしくはメチレーション回路と言います。

葉酸が活性化されないと、神経伝達物質が作られないので、脳の発達が十分進まず、言語の習得に困難が生じます。

自閉症の予防、治療には葉酸をうまく働かせ、メチレーション回路を回すことが大変重要です。

葉酸がうまく働いていない人

「葉酸がうまく働いていない人が、葉酸サプリメントを飲んだら悪化する可能性がある」

ということですが、葉酸サプリが悪影響を及ぼしそうな人は葉酸の活性化がうまくいかない人です。

だから、葉酸の活性化ができるかどうかというのは、非常に重要な話なのです。

そういうわけで前回の繰り返しになりますが、葉酸活性化酵素(MTHFR)の遺伝子を測定することが大切です。葉酸の活性化のカギを握る遺伝子であり、日本人の40%以上に変異が見られることがわかっています。

MTHFR遺伝子の型によって、血液中の活性化葉酸と未活性型葉酸の濃度に違いが出ることも報告されています。

J. Nutr. December 1, 2012 vol. 142 no. 12 2154-2160

2000年以降、遺伝子検査の価格崩壊が進みました。そのおかげで、この分野の研究はかなりすすみました。

今までお話しした

  • 実は、サプリメントの葉酸(folic acid)と食事中葉酸(folate)は異なるものである
  • サプリメントの葉酸は、食事の葉酸より活性化されにくく、蓄積されやすい
  • サプリメントの葉酸は、活性化葉酸の働きを弱める
  • MTHFRの遺伝子変異は多くの人に見られる(アジア人では40%以上)
  • 遺伝子変異があると最高70%活性化の働きが落ちる
  • 自閉症児の多くにMTHFR遺伝子の変異が見られる

という話は、ここ10年で明確になってきた、サプリメント業界の最新情報です。

自閉症がこれほどまでに増えた原因は、統計的にみるとおそらく化学物質による汚染が第1の原因かもしれません。

しかし、今回ご紹介した

葉酸摂取によって、本来は死産であった胎児が無事に生まれるようになったこと
しかし、出生後は遺伝的な弱さをカバーしてくれるしくみがないこと
葉酸サプリメントは実は葉酸の活性化を邪魔すること

という要素は現状に少なからぬ影響を与えているのは間違いのないところです。

まとめ

自閉症は、1990年以降、妊婦に対して世界各国が葉酸サプリメント摂取を推奨し始めてから劇的に増加しています。

皮肉なことに、「通常なら死産になる子供が葉酸のおかげでちゃんと生まれることができるようになったから」というのが理由の一つです。

神経管異常を起こす遺伝子と、自閉症を起こす遺伝子が一部共通していることが近年の研究でわかっています。

妊娠中に葉酸を投与する事で神経管異常のリスクは逃れることができるようになりました。

しかし、残念ながら現時点では、各国の対応は、出生時の神経異常の防止のみにとどまっており、生まれた後のフォロープログラムはありません。

また、神経系に問題を引き起こすMTHFR遺伝子変異はアジア系に多いという事がわかっています。

以上の事から考えて、今後もアジア圏における自閉症の発症頻度に注意する必要があります。

ただ「活性化葉酸サプリ」をとればいいという単純なものではありません。

サプリメントをとることでかえって問題が複雑になる場合もあります。

遺伝子検査のすすめ

今後出産を予定している方(特に高齢出産や流産の既往のある方、遺伝的に心配のある方)、お子さんが自閉症と診断された方に、私がお勧めするのは、MTHFRをはじめとした遺伝子検査を受けてみることです。

そこで遺伝子変異があるなら、まずは、この分野について勉強してみるのがよいと思います。

もちろんこの分野に詳しい医師に相談してみるのもよいでしょう。

さて、この葉酸活性化の問題ですが、解決手段の一つとして、すでに活性化されている葉酸サプリメントを使うという方法があります。

すでに活性化されているのでMTHFRの遺伝子変異があっても、その問題を回避することができます。

しかし、使い方を間違って問題を起こしている方が多数います。

 サプリメントが効かない、サプリメントで症状が悪化する
 爆発的行動、突然怒り出す

ということを経験された方は特に気を付けてください。

この分野に詳しいドクターの間では、活性型葉酸は全体の回路を整えた後に使うのが常識です。

自閉症児が増えた本当の原因

宮澤賢史 · 2019年2月26日 ·

自閉症の発症率は68人に1人

アメリカ疾病予防管理センターが発表した米国における自閉症の発症率です。

Centers for Disease Control & Prevention
米国における自閉症の発症率
https://www.cdc.gov/ncbddd/autism/data.html

これは、2000年の調査における150人に1人と比べて、2倍以上の数字です。ここ10数年、自閉症の発症率の伸びが止まりません。

1970年には1万人に1人だった自閉症発症率がここまで上昇した原因は一体なんなのでしょう?

  • 認知されたこと?
  • 自閉症の診断基準が変わったこと?
  • 環境が悪化したこと?
  • ワクチン接種?

など諸説ありますが、私は「妊娠期間中の母体にのみ葉酸サプリメント摂取が奨励されたこと」が大きな要因だと考えています。

今回と次回、2回にわたって葉酸と発達障害の関係について考察してみたいと思います。

葉酸摂取推奨の流れ

葉酸はビタミンBに分類される生理活性物質です。

DNAの合成に必要であり、欠乏するとお腹の中にいる時の赤ちゃんのように細胞分裂の盛んな場所に深刻な影響を与えます。

「二分脊椎」といのは、生まれつき脊椎の一部が形成されない状態で、運動麻痺、感覚障害などを引き起こしますが、このような発達異常もお腹の中にいる時の葉酸不足が大きく関わります。

そのような出生時障害を予防するために、厚労省が葉酸サプリメントの摂取を推奨したのは、平成12年のことです。

厚生労働省
妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取についてhttps://www.mhlw.go.jp/www1/houdou/1212/h1228-1_18.html

これによると、妊娠を計画している女性は、障害の発症リスクを減らすために、

  • 妊娠1ヶ月以上前から妊娠3ヶ月までの間、葉酸をはじめとした栄養のバランスのとれた食事をとること
  • 通常の食事からでは十分な葉酸摂取が困難なので、当面「食事に加えいわゆる栄養補助食品からの葉酸摂取」をすること

と勧告がなされています。

厚労省がこのような英断を行った背景には、日本における二分脊椎発症の増加と、諸外国における葉酸摂取推奨の流れがあります。

葉酸と神経管閉鎖障害の症例対照研究は1980年代に多く行われました。

その結果、英国、米国が1992年に、カナダ、アイルランド、ニュージランド、ノルウェーなどが1993年に強化食品、サプリメントによる1日0.4mgの葉酸摂取を勧告するに至りました。

その後、多くの国で二分脊椎の発症率の大幅な低下が報告されました。

活性型葉酸と不活性型葉酸

さて、先ほど「葉酸不足が二分脊椎の原因」と言いましたが、正確には、「体内で葉酸を活性化できない赤ちゃんの葉酸不足が原因」です。
葉酸には活性型と不活性型があり、働きをするのは活性化型のみです。

葉酸を活性化できない赤ちゃんには余計に葉酸を足してあげることで、本来の働きを助けてあげることができます。

1990年代当時、すでにこのことは動物実験で確認されていました。
このように酵素の働きを、栄養素の量で補ってあげるのは、まさに分子栄養学の考え方です。

葉酸の摂取量を多くすることで、遺伝的に弱い人でも活性化葉酸の体内量を確保できます。

この葉酸を活性化する酵素は、MTHFR酵素(メチレンテトラヒドロ葉酸還元酵素)と呼ばれています。

この酵素を作るための遺伝子に問題がある赤ちゃんが正しく成長するためには人より余計に葉酸が必要です。
というわけで、1990年代前半から始まった葉酸サプリメント摂取の推奨は、各国の二分脊椎の発症を減少させました。
その推移は、先ほどの厚労省のホームページにも記載されています。

厚生労働省
妊娠可能な年齢の女性等に対する葉酸の摂取についてhttps://www.mhlw.go.jp/www1/houdou/1212/h1228-1_18.html

この成果は素晴らしいものです。

しかし、その時各国政府はまだ気が付いていなかったのかもしれません。
同時期から、自閉症の発症率が増加し始めることに・・・

このグラフを見てください。

様々な国、年代で行われた自閉症の発症率調査をまとめたものです。
これを見て頂くと、1990年ころから劇的な増加(!)を示しているのがお分かり頂けるでしょう。
葉酸サプリ摂取が、「二分脊椎発症率の低下」と「自閉症の発症率の上昇」を同時に起こした?
なぜ、神経の発達に必要な葉酸の摂取で、自閉症の発症率があがるのでしょうか?

葉酸活性化のできない赤ちゃんの出生率が上がった

MTHFR遺伝子研究の世界的な権威、ベン・リンチ博士は、こう言います。

妊娠期間中に母親が多量の葉酸を摂取した事で、MTHFR遺伝子変異を持つ幼児の流産の減少をひきおこし、自然淘汰の在り方を変えたという説がある。
これは、神経が発達する重要な時期に、より多量の葉酸を必要とする幼児の出生率が増加したことを意味している。
発達期により多くの葉酸を必要とする幼児が増えているのだとすれば、 子宮内にいた時と同等の葉酸濃度を維持することができない幼児の絶対数も増えているということ。
故に、自閉症のような発達障害を生じるケースは増加していると考えられる。

つまり、自閉症が1990年以降増加している理由の一つは、皮肉なことに、「通常なら死産や神経管異常で生まれてくる赤ちゃんが葉酸のおかげでちゃんと生まれることができるようになったから」なのです。

確かに妊娠中の葉酸によって、神経管異常のリスクは逃れることができるようになりました。
しかし、残念ながら現時点では、各国の対応は、出生時の神経異常の防止のみにとどまっており、生まれた後のフォロープログラムはありません。

葉酸摂取の推奨は、妊娠1ヶ月前~3ヶ月のみで、出生後のガイドラインはありません。

MTHFR遺伝子検査のすすめ

神経管異常を起こすMTHFR遺伝子変異は、自閉症の発症にもかかわりが深いことが近年の研究でわかっています。

しかし、新生児マススクリーニング検査(病気を早期発見するため赤ちゃん全員に対して、公費で行なわれる検査)には、MTHFR遺伝子検査はまだ入っていません。

以上の事から、我々の行うべき対応は、はっきりしています。

まずは、自分で検査をしてみましょう!

最近の技術発達のおかげで、MTHFR遺伝子は10,000円くらいで検査ができるようになりました。

この遺伝子変異はアジア系に多いという事もすでにわかっています。(日本人は40%以上)

生まれる前だけでなく、生まれた後も葉酸が必要

もう一つ重要な事は、生まれた後も葉酸のフォローが必要だということです。特に遺伝子変異がある幼児には葉酸の確保が欠かせません。

但し、葉酸サプリならなんでもいいというわけではありません。
ここが非常に重要な点です。

先ほどの厚労省のデータによると日本の神経管障害の発症率は70年代には10,000人に15人ほどでしたが、現在では、10,000人に5人ほどです。

仮に10,000人中、10人が神経管障害を逃れて、全員が自閉症になったとしても、爆発的な自閉症の発症率である68人に1人(10,000人中、147人)という数字とはかけ離れているように思えます。

実は、各国政府の行った葉酸政策の問題点は、今回お話しした「出生後の赤ちゃんのためのフォロー・プログラムがないこと」だけではありません。

「葉酸量の確保のためにサプリメントを推奨した」ということも非常に関係があることなのです。

次回に続きます。

https://orthomolecularmedicine.tokyo/cause2/

保護中: 11期講座の様子

宮澤賢史 · 2019年1月24日 ·

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