• Skip to primary navigation
  • Skip to main content

臨床分子栄養医学研究会

あなたのサプリが効かない理由教えます

  • コース一覧
  • もう一本読む?
    • 分子栄養学基礎マスターコース 食事とサプリメント編
    • 分子栄養学の基礎 検査と根本原因
    • 分子栄養学アドバンス・コース
    • まごめじゅんの栄養講座
  • サクセスパス
    • 治療方針を決める
    • 必要な治療と順番を決める
    • 検査を行って確認する
    • 治療の実際
  • ごあいさつ
  • 受講者の声
    • 医療関係者
    • 一般の方
  • クリニック紹介
    • 分子栄養学の検査・治療を受けられるクリニック
    • 指導認定医・認定医一覧
    • 認定指導カウンセラー
    • 認定カウンセラー
    • PNTトレーナー
  • 会員サイト
    • 総合案内
    • 研究会会員サイト
    • 第24期会員サイト
  • Show Search
Hide Search
現在の場所:ホーム / アーカイブ個人差と根本原因

個人差と根本原因

個体差から根本原因へ

宮澤賢史 · 2019年11月26日 ·

いきなり根本原因にアプローチと言われても戸惑う人も多いとお思います。栄養療法の考え方にはステップがあります。まずは食事が大前提。それができたらサプリを組み合わせます。その考え方が理解できたら個体差を学んでください。そして最後が栄養が足りなくなる原因へのアプローチです。順番に見て行きましょう。

1

1 前提 「良い食事をとる」

栄養療法ガイドラインの最も前提にあるのは、良い食事を摂ることです。普段の不摂生な生活で足りない栄養をサプリメントで補おう、というのは栄養療法とは違います。食事が8割くらいをしめます。

2 第1段階「サプリメントをうまく使う」

サプリメントは栄養が濃縮されているので、普段の食事ではとても摂れない量の栄養を摂ることができます。これが食事と異なる部分です。サプリメントは栄養の量の効率化の道具です。これをドーズとレスポンスの関係、ドーズレスポンスといいます。栄養は量によって臨床的な効果が違ってきます。

2-1ビタミンB1

例えば、ビタミンB1が不足するとなる病気で有名なものは「脚気」です。ビタミンB1はエネルギー代謝に不可欠のビタミンなので、欠乏すると心臓が浮腫んで、神経にも影響が出ます。膝の腱反射が起きなくなります。これを脚気と言います。ということは、ビタミンB1を摂るとエネルギーがわいてきて、ミトコンドリア機能を活性化することができます。

2-2ビタミンB3

ビタミンB3はナイアシンと呼ばれているビタミンです。ペラグラを予防するために使われますが、その用途であれば30mgもあれば充分なのです。しかしビタミンB3を3000mg摂ると、統合失調症に効果があるということがわかっています。分子栄養学の始祖と呼ばれるエイブラハム・ホッファー博士は、精神科医になる前に生化学者だったので、ビタミンの特性をよく理解されていて、ビタミンB3を統合失調症患者に使ったら、結構な割合でよくなりました。ただそれは、30mgでは効かず、最低でも1g以上投与する必要がありました。なぜナイアシンが統合失調症に効くかというメカニズムは結構おもしろいので、よかったら調べてみてくださいね。

2-3葉酸

葉酸サプリメントといえば、妊婦さんが二分脊椎症予防のために飲むものですね。二分脊椎とは、赤ちゃんが生まれてくる時に、脊髄や脊椎が癒合不全を起こしている症状です。症例は少ないと言われていますが、実際には統計に出てこないだけで、多く起こっていました。そこで、厚生労働省がビタミンB12と葉酸の摂取を推奨することによって、二分脊椎症はだいぶ減ってきました。ビタミンB12と葉酸は、DNAに働きかけて、神経の発達を促す働きを持っています。そんな葉酸ですが、10倍くらい摂るとメチレーション回路を動かすことができ、身体の解毒に役立ったり、がんを予防したりすることができます。

2-4ビタミンC

最も有名なのはビタミンCでしょう。ビタミンCはできるだけ大量にとって問題ないビタミンです。多く摂り過ぎたとしても副作用は下痢くらいです。100mgあれば、壊血病は十分予防できます。壊血病とはビタミンCが欠乏して、コラーゲンが作れなくなって、血管が弱くなって全身から出血する病気です。大航海時代、多くの船員が壊血病にかかりました。これはライムを食べるという対策によって治ったそうです。

一方、ビタミンCをグラム単位で摂ると風邪の予防になることがわかっています。10g摂ると、風邪の症状が80%程度減ります。さらに、50~100gを点滴すると、がん細胞を殺傷することがわかっています。壊血病、かぜ、がん。量を変えると、効果が変わってきます。

2-5ビタミンD

ビタミンDは昔から、「骨のビタミン」と呼ばれ、くる病に関係があることが知られていました。赤ちゃんの時から日光に当たらないで過ごすと、骨が曲がってしまいます。くる病は北欧に多い病気です。大人になってから起こると、骨軟化症になります。

しかし最近DNAの解析が進み、ビタミンDの受容体がほぼ全身の臓器にあることがわかりました。ビタミンDをより多く投与していると、特に乳がんと大腸がんをはじめとした、がんの予防に有効だということもわかってきました。ビタミンDは一般的には血中濃度で測りますが、ある一定の濃度を超えると明らかに、がんやリウマチの予防効果があると言われています。ビタミンDの受容体がうまく働く人とそうでない人で、ビタミンDの必要量は異なります。

まとめて書くと、この様な表になります。このように、ビタミンは至適量を使うと、通常の予防効果を越えた新たな効果を得ることができます。

3 第2段階「検査をして足りない栄養を知る」

検査して足りない栄養を摂ります。皆が同じ栄養を摂るわけではありません。自分にはこの栄養が足りないからこれを摂る、ということが大切です。栄養療法で1番失敗するパターンは、人に言われたことを鵜呑みにすることです。

「テレビや雑誌で言っていたら」や「権威のある人が言っていた」などのことでもそのまま鵜呑みにせず、自分の頭で咀嚼して、最終的にそれを取り入れるかどうかは自分で判断して決めてください。もし自己責任で失敗したとしても、自分の大きな教訓、知恵になりますから。

栄養療法を学びはじめの方は、血液検査の結果を見て、足りないものを補充していくというやり方を覚えることが良いでしょう。これから血液検査の結果の、LDLコレステロールの見方についてお話します。栄養療法的には、一般的な医療の観点だけではなく、何故この数値になっているのかという根本原因まで考える必要があります。

3-1LDLは胆汁とホルモンの材料

LDLというのは、Low density lipoprotein、つまりコレステロールを運ぶタンパク質のことです。健康診断でよく測りますよね。

HDLは、いわゆる善玉コレステロールです。全身の余ったコレステロールを回収する掃除屋なので、一般的にそう呼ばれています。一方で、LDLというのは、いわゆる悪玉コレステロールです。LDLは、肝臓から全身にコレステロールを配る役割を担っています。配る途中で、血管の壁について酸化されると、動脈硬化の因子になります。したがって、一般的にはLDLは低いほうが動脈硬化を起こしにくいので良いとされています。高ければ下げるのが一般的な医療方針です。そのための薬はたくさん発売されています。

しかし、分子栄養学的な解釈は少し違います。分子栄養学的には、LDLは胆汁とステロイドホルモンと細胞膜の原料として、とても重要な役割を担っています。コレステロールの80%が胆汁酸になり、20%がホルモンになります。

胆汁酸は肝臓から分泌されて、胆汁になり、脂肪の吸収に役立ちます。胆汁が出ない人は脂肪の吸収ができません。脂肪を分解するためには、肝臓から出る胆汁と、膵臓から出る脂肪分解酵素のリパーゼが必要です。脂肪は水に溶けませんので吸収するためには脂肪をを乳化させて、水に溶けるようにする必要があります。胆汁が出なければ脂肪が吸収できないので、便が白くなります。

それだけではありません。脂肪酸が足りない人は、脂溶性ビタミン(A、D、E、Kなど)の吸収ができず、見た目にカサカサしてきます。ビタミンAなどは体内では作れないので、大問題です。

LDLコレステロールの20%はステロイドホルモンになります。ステロイドホルモンというのは、化学的に言えばステロイド骨格を持ったホルモンのことです。いわゆるステロイドホルモンの他、性ホルモンもステロイドホルモンです。

3-2コレステロールが低いとどうなるか?

コレステロールが低いと、いったいどうなるのでしょうか。胆汁が出ないので脂溶性ビタミン不足になり、ストレスに弱くなり、コエンザイムQ10が作れないのでエネルギー不足になります。

また、コレステロールが低いと、コルチゾールが出にくくなります。コルチゾールは炎症時やストレスを受けたときに出るホルモンです。コルチゾールが出にくくなってくると、炎症が長引いたり、ストレスに弱くなったり、いったん引いた風邪が治りにくいといった症状が出てきます。

総コレステロールが140以下の人、LDLが100以下の人など、一般的にコレステロールが低い人はうつ傾向が強いことが多いです。また、コレステロールが低い人はコレステロールの合成系が弱いことが多いです。その場合、一緒に作られるコエンザイムQ10も作られなくなります。コエンザイムQ10はミトコンドリアを動かす重要な栄養素なので、足りなくなるとミトコンドリアが働かなくなります。

40歳以上になると製造力ががくっと落ちるので、サプリメントで補充する人が多いです。自分でコエンザイムQ10が作れているかどうかは、血中のコエンザイムQ10を見ればいいのですが、測りにくいです。そこで、血中のコレステロールで代用することができます。コレステロールはコエンザイムQ10と同じ経路で作られるからです。

3-3コレステロールが低い場合の対策

このようなわけで、分子栄養学的に言えば低コレステロールは大問題です。胆汁が出ないので脂溶性ビタミン不足になり、ストレスに弱くなり、コエンザイムQ10が作れなくなってミトコンドリアが働かなくなります。悪いことばかりですね。

対策は脂溶性ビタミン(ビタミンA・D・E・K)と、コエンザイムQ10と、ストレス対策として副腎サプリメントを摂ってあげればいいです。もちろんこれは個体差がありますが、LDLが低い人はこのようなサプリメントを摂るといいと思います。

3-4 MCVは赤血球の大きさ

MCVは、赤血球の大きさを表す血液検査の項目です。正確には平均赤血球容積と言います。赤血球というのは中に鉄が入っていますから、鉄が少ないと、赤血球の容積が少なくなるのです。反対に、赤血球の容積が大きくなる時は、ビタミンB12が足りない時です。ビタミンB12は赤血球の中の、DNAの合成に関わっています。ビタミンB12が足りないとDNAの合成がうまくいかなくて、結果的に赤血球が大きくなってしまいます。

MCVはだいたい90くらいが正常です。80くらいだと鉄欠乏性貧血、100くらいだと大球性貧血(ビタミンB12が足りないための貧血)です。栄養学的にはどう解釈するかと言うと、同じくMCVが高い場合は赤血球容積のことを表しています。しかしさらに、ビタミンB12と葉酸が関係してきます。ビタミンB12と葉酸は手を取り合って働くものですから、片方だけだとうまくいきません。

足りていないならビタミンB12と葉酸を摂ればいいんじゃないかとお思いかもしれませんが、それだけでは解決しない人がたくさんいます。メチコバールというビタミンB12の薬があります。末端神経障害、手足がしびれるという人に出されているんですが、効かないことで有名です。

なぜかというと、ビタミンB12の使い方が上手くないんですね。ひとつは、ビタミンB12だけでは効かないということです。葉酸の助けが必要です。もうひとつは、ビタミンB12は細胞の中に入り込まないと効かないからです。注射しても細胞の外にしか届きません。細胞の中に入るためにはリチウムが必要です。

だからMCVが高い場合は、栄養的には葉酸が活性化していないということが考えられます。一般的な解釈と栄養的な解釈は異なりますが、一般的な解釈でもメカニズムを突き詰めていけば、摂るべき栄養素が明らかになってきます。

4 第3段階「サプリメントが効かない理由をつぶす」

第3段階として、効かない理由を潰していきます。サプリメントは栄養が異常に大量に入っているので、体の中の錆びついた歯車を回す力を持っています。

もしサプリメントを摂って身体が軽くなった・目が見えるようになった、など調子が良くなったのなら、その栄養が媒介している回路に問題があるということです。人間の身体はブラックボックスですから、実際にサプリメントを採ってみて結果を見ることもあります。治療的診断といいます。

何故そこの回路が細くなっているのか、ボトルネックになっているのかを考えて改善していけば、回路がスムーズにまわるようになります。最終的には、たくさん必要だったサプリメントが不要になっていくはずです。最終目標はサプリメントのいらない身体になることです。

4-1 LDLが低くなる根本原因

LDLが下がっていた場合、対策としてはビタミンやコエンザイムQ10や副腎サプリを飲めばいいんですが、根本原因を考える必要があります。そもそも何故LDLがが低下しているんでしょうか?

原因1:タンパク質の代謝が悪い

LDLは、正確にはlow density lipoprotein(ロー デンシティ リポプロテイン)と言います。つまり、LDLは正確に言えばコレステロールではなく、タンパク質なんです。LDLが低くなるのは、タンパク質の代謝が悪い人です。

タンパク質は体の中でリサイクルを繰り返されていますが、外から摂らなければなりません。特に消化酵素や胆汁が出ていない人、胃酸の分泌が悪い人はタンパク質が消化吸収不良になり、その結果LDLが下がってきます。

原因2:ミトコンドリア機能の低下

もう一つは、ミトコンドリア機能の低下です。ミトコンドリアはエネルギーの産生工場です。ATPという体内のエネルギーをたくさん作っています。

コレステロールは糖質・脂質から合成されますが、その合成過程でエネルギーをたくさん使います。だから、エネルギー不足(ミトコンドリア機能低下)だと、コレステロールがうまく作られません。

だからつまるところは、ミトコンドリア機能を上げて消化吸収能力を上げてあげようということです。そうすると徐々にコレステロールが上がってきます。コレステロールが上がれば、ビタミンA・D・E・Kを飲まなくても良くなってきます。

4-2 GOTとGPTはビタミンB6を補酵素とする酵素

GOTとGPTは、肝臓の細胞の中に入っている酵素です。肝臓の炎症があると、肝臓の細胞が破壊されて血中に逸脱してきます。ですから、これらは逸脱酵素と呼ばれています。一般的な解釈としては、GOTとGPTは肝臓の炎症マーカーです。GOTが有意に高い場合はアルコール性肝炎です。GPTが有意に高い場合は脂肪肝のことが多いでしょう。

しかし、栄養的に言えば、高いことではなくて低いことが問題になります。なぜならば、これらは酵素だからです。体の中の代謝は酵素によって動いています。代謝を媒介してくれるのが酵素です。酵素がないと身体は動きません。

GOTとGPTは酵素ですが、動くのに補酵素としてビタミンB6が必要です。よって、GOTとGPTが低い人は酵素の活性が悪いと推測できます。おそらく補酵素であるビタミンB6不足で、酵素の活性が落ちています。

4-3ビタミンB6不足が意味すること

ビタミンB6が足りないということは、他のビタミンB6を補酵素とする酵素も動かないということです。例えば、下記のようなものです。

  • セロトニンをメラトニンにする酵素
  • ドーパミンを作る酵素
  • GABAを作る酵素
  • エストロゲンを代謝する酵素

こういった酵素がすべて働かなくなるので、こういった症状が出てきます

  • セロトニン、メラトニン、ドーパミン、GABA不足
  • エストロゲン代謝不良
  • 低血糖

ビタミンB6が足りないと低血糖を頻発するようになります。低血糖のケアは、栄養療法をやる上で一番最初にやらないといけないことですから覚えておいてください。対策としては、ビタミンB6、メラトニン、GABAなど、それぞれ足りない栄養素をサプリメントで摂っていくというのが基本的なアプローチです。

4-4GOTとGPT低下の根本原因はミトコンドリア

GOTとGPTが下がってしまう原因はビタミンB6不足でしたね。では何故、ビタミンB6、ビタミンB群が不足するのかという根本原因を考えます。ビタミンB6をはじめとするビタミンB群は、エネルギー代謝に深く関わっています。特に糖質、タンパク質に関わります。ビタミンB6はタンパク質を代謝する酵素の補酵素としてものすごく働いています。ビタミンB群が足りなくなる原因は、だいたい糖質の過剰摂取です。

特に脚気がひどいですね。現代の脚気の原因はビタミンB1を摂っていないことではなく、糖質の過剰摂取でビタミンB1が消耗してしまうことです。競合して働かなければならない栄養素の片方だけを摂ると、もう片方が消耗されてしまうので、注意が必要です。

ではなぜ糖質を過剰摂取してしまうのでしょうか。つい甘いものに手が伸びてしまう理由は何なのでしょうか。それは、ミトコンドリア機能が低下しているからです。「疲れやすい体質になってしまっているので、ついつい手っ取り早くエネルギーを補充できるものに手が伸びる」という状態です。ミトコンドリア機能が低下した結果、頻繁に低血糖を起こしているので、低血糖を補うための手段として糖質を摂りたくなるんです。

ですから、「糖質を摂るのを控えてください!」と言っても無理です。本能的なところで、身体の危機感から摂っているわけですから。だから、こんな状態の人に甘いものを摂るなと言うのは、息をするな、と言っているようなもので無理なのです。根本原因である、ミトコンドリア機能の低下にアプローチしていく必要があります。

4-4 MCVが大きい場合の根本原因

前述したようにMCVが大きかったら、ビタミンB12・葉酸不足です。それならビタミンB12・葉酸をサプリメントで摂れば良いのではと思うかもしれませんが、量が際限なく増えていってしまいます。

原因をもう一歩踏み込んで考えると、MCVが大きい場合は、普通の食べ物に含まれているビタミンB12と葉酸の吸収がうまくいっていないんです。ビタミンB12は、胃から出てくる内因子とくっついて、回腸末端から吸収されます。胃が悪くても腸が悪くても、ビタミンB12の吸収は落ちます。

特に胃酸分泌と関連しています。内因子を出す細胞と胃酸を出す細胞は同じです。そもそも胃の運動機能が低下している人というのは、やはり胃酸も内因子も出にくいんです。自律神経の緊張などが関係しています。緊張すると交感神経優位になって、副交感神経で動いている消化系が止まってしまうわけです。

いつも緊張している人は胃酸も出ないし、消化酵素も出ないし、腸の蠕動が弱くなります。自律神経の緊張が強い人は、まずこの緊張を解かないと栄養が入っていきません。腸内環境も悪化します。腸内環境が悪くなってくると、消化吸収が悪くなりますから、何事もうまく働かなくなってきます。

有機酸検査の読み方

宮澤賢史 · 2019年11月15日 ·

有機酸検査は、グレートプレインズ研究所のウィリアム・ショー博士が開発した検査です。彼は小児科病院で、自閉症の子供に適切な検査の研究を行っていました。たまたま尿中の物質のクロマトグラフィーという検査をしたら、正常人と自閉症のお子さんでは、全く異なる物質があることを発見したのです。

それがアラビノースというカンジダが生成する物質でした。細かく調べてみると、自閉症のお子さんと普通のお子さんで、いくつか違うものがあることに気が付いて、検査項目を増やしたそうです。

現在の有機酸検査はミトコンドリア機能や神経伝達物質など様々な要素が加わり、大人にも有益な検査項目を備えています。

近年、多くの会社が有機酸検査を提供するようになりましたが、今回はグレートプレーンズ社の検査を取り上げます。

有機酸検査の仕組み

有機酸検査では、腸内にあるもの、そのものをみるのではなく、腸内にあるものが産生している物質をみます。腸内にあるものの代謝産物が血液中に上がってきて、最終的に濾過されて尿中に排泄されます。ですから、血中よりも尿中の方が成分が濃縮されて、敏感な指標となります。血中ではわからないものが尿中に溜まってくるということです。そのものではなく、代謝産物を測定することで、間接的に機能を評価することができます。

これは、脚気の生化学的原因を示したエネルギーの代謝図です。

脂肪、炭水化物、タンパク質というエネルギー源は、体の細胞レベルでいえば、すべてアセチルCoAに変換され、アセチルCoAが TCA サイクルというエネルギーを作り出すサイクルに入ります。

炭水化物(ブドウ糖)が、ピルビン酸になり、それがアセチルCoAになりますが、ピルビン酸がアセチルCoAにならないと、このTCAサイクルに入れません。有機酸検査で、ピルビン酸が多くて、クエン酸が少なければ、ピルビン酸をアセチルCoAやクエン酸に転換する経路がどこかで詰まっているんだろう、と推測できます。ピルビン酸デヒドロゲナーゼというピルビン酸を変換する酵素の働きが悪いのか、もしくはその酵素の補酵素であるビタミン B 1が足りないのか、そのどちらかではないかと推測ができます。

車を運転しながら、ラジオを聴いていると、「首都高の代官町から浜崎橋まで5キロ渋滞です」と、流れてきたりしますが、どこのことかわかりますか? 首都高速に乗り慣れている人でないとわからないですよね? でも、首都高速に乗りなれていない人でも、この図をみれば、どこからどこまで渋滞しているか一目瞭然です。有機酸検査では、どこからどこまでが渋滞しているか、ということがわかります。

TCA サイクルの図で、何がどこで何に代謝されてどういう流れになって、というこの図が頭に浮かぶと、有機酸検査の結果から、どこが渋滞しているかがわかります。経路がストップされるので、代謝前の物質が溢れ出てきて、代謝後の物質の数値が下がるので、そこで代謝が止まっている、ということを見つけることができます。

有機酸検査の読み方

有機酸検査では70の項目から様々な情報を得ることができます。これらについて、セクションごとに解説していきます。

  • 腸内環境(カビ、酵母、クロストリジウム、SIBO)
  • シュウ酸(原発性、食事、カビによる):溜まっていると水銀が解毒できない、尿路結石の原因
  • ミトコンドリア機能(TCAサイクル)
  • 3大栄養素(糖質、たんぱく質、脂質)の代謝
  • ビタミンの過不足
  • メチレーション
  • 解毒

腸内環境と真菌

検査の1ページ目は、腸内環境についてです。上半分は特にイーストと真菌をみています。イースト、カビ、真菌の仲間です。酵母とカビは別物です。酵母の代表はカンジダで、カンジダは、単細胞の丸い形をしています。時々胞子みたいなものを出して根を出し侵襲して、腸の粘膜を突き破理、全身に毒素を撒き散らします。リーキーガット症候群の一番の原因です。カンジダは、リーキーガットと全身症状を起こします。

カビで代表的なのは、アスペルギルスです。有機酸検査では非常に感度高くアスペルギルスを測ることができます。アスペルギルスとは、コウジカビみたいなものです。糸状に増殖して、その糸の先からたんぱく分解酵素を出し、有機物を分解して、味噌や醤油などを作るのが、アスペルギルスの良い面です。味噌や醤油を作るのは、アスペルギルス・オリゼーです。泡盛を発酵させるのは、アスペルギルス・アワモリです。

アスペルギルスの中には、悪玉もいて、アスペルギルス肺症を起こすものもあります。このカビの問題は、カビ毒、マイコトキシンを出すことです。体全体がだるくて、有機酸検査でアスペルギルスに問題があったら、カビ毒の検査をした方がいいです。

カビ
・アスペルギルス
コウジカビとも呼ばれ、自然界において最も普通に見られる。
アスペルギルス・オリゼー(Aspergillus oryzae)醸造に不可欠
アスペルギルス・ニガー(Aspergillus niger)
アスペルギルス・フラバス(Aspergillus flavus)発ガン性
・フモニシン
菌糸をだして増殖
毒素(マイコトキシン)放出

有機酸検査で、カンジダがいると数値が上がってくるのが、3番の3-オキソグルタル酸、6番の酒石酸、7番のアラビノースです。

酵母
・カンジダ・アルビカンス
仮根を出して侵襲性が高い 、LGSの原因
・サッカロマイセス

総合便検査をされた方もいらっしゃると思いますが、便検査のカンジダの検出率は高くありません。総合便検査は便を培養するのですが、腸内環境の菌のほとんどが嫌気性で、空気に触れると死滅してしまうため培養が難しく、感度という点では、有機酸検査の方が優れています。

ですから、私は最初に腸内環境検査をするんですけども、患者さんが良くなってきたら、良くなってきたことの確認に、有機酸検査を使うことが多いです。かなり感度が高いです。

例えばこの人の場合は、3-オキソグルタル酸とアラビノースが上がっていますよね。そんなに大した量ではないと思いますが、カンジダいるだろうと思います。

3番、6番、7番が上がっていたらカンジダ。2番、4番、5番が上がっていったらアスペルギルス。9番が上がっていたらフモニシン。これもカビの一種です。ですから、2番、4番、5番、9番が上がっていたら、マイコトキシンの検査した方がいいという指標となります。もちろん検査が全てではないですが、重要な手がかりになります。

カンジダのミトコンドリアへの影響についてですが、1番、6番はリンゴ酸、3番は2―オキソグルタル酸のアナログです。アナログというのは、模倣するものという意味です。形が似ているために、本来入るべき物質の代わりに、それらの物質がTCAサイクルに入り込んでしまいます。入り込みはしますが、働かないもで、TCA サイクルが止まってしまいます。カビが生えるとミトコンドリアの機能が落ちるということです。

菌種検査ミトコンドリア
1シトラマル酸リンゴ酸
2. 5-ヒドロキシメチルー2-フロインアスペルギルスマイコトキシン
3. 3-オキソグルタル酸カンジダ 2-オキソグルタル酸
4. フランー2,5-ジカルボキシ酸アスペルギルスマイコトキシン
5. フランカルボニルグリシンアスペルギルスマイコトキシン
6. 酒石酸カンジダリンゴ酸
7. アラビノース カンジダ
8. カルボキシクエン酸
9. トリカルバリル酸フモニシンマイコトキシン

ミトコンドリア機能が落ちている原因として、第一にカンジダ、カビの影響を考えたいです。どうしても疲れが取れない人は、これらも原因になっているかもしれません。大事なことは、カンジダの炎症が副腎疲労を起こすということです。カンジダは炎症を起こすので、その炎症が下垂体に飛び火して、それが副腎にストレスかけます。副腎疲労もカンジダを起こしますよね?

ミトコンドリア機能低下もカンジダを引き起こします。副腎疲労になったら低血糖になるので、どうしても甘いものを食べずにいられなくなり、ほとんどの人がカンジダを発症しています。ミトコンドリア機能が落ちるということは、エネルギーを作るために安易にエネルギーになる糖質に手が伸びるということです。自分の体調が、気付かないうちに自分の食習慣を変えていますから、その結果、ミトコンドリア機能低下と副腎疲労、カンジダ感染が三つ巴で起きている人がとても多いです。カンジダがなかなか治らないという方も、多分その三つ巴の悪循環から抜け出せない人だと思います。自分一人で治療するのは、難しいと思いますが、これを理解して一つ一つを並行して対処すれば、改善に向かうと思います。

カンジタの検査で一番敏感なのは、7番のアラビノースです。アラビノースが上がっていたらカンジダがいるということです。アラビノースはペントシジン(AGE)を作り出します。AGEは最終糖化産物で、体の中で糖化を引き起こす張本人です。

アラビノースの悪影響のもうひとつは、シュウ酸を作り、シュウ酸結石がたくさんできてしまうということです。

カンジダの影響
・IL-6が下垂体及び副腎皮質を刺激する
 Proc Natl Acad Sci U S A. 2000 Aug 1; 97(16): 9317–9322.
カンジダの炎症も副腎疲労を起こす
・ 酒石酸、シトラマル酸はリンゴ酸のアナログ(構造が似ておりTCAで置き換わる)
・ アラビノースはリシン、アルギニンと結合しペントシジン(AGE)を作り出す
・MSメチオニン合成酵素はアセトアルデヒドで阻害される
Ann Clin Lab Sci. 1988 May-Jun;18(3):181-9.
・アセトアルデヒド分解にはNADH、B2、鉄、モリブデンが必要

また、カンジダはアルコール発酵してアセトアルデヒドを出し、メチオニン合成酵素を阻害します。メチオニン合成酵素は、活性酸素に弱く、アセトアルデヒドにも水銀にも弱いです。ですから、メチレーションも止まってしまいます。カンジダのアセトアルデヒドの分解には、マグネシウムに加えて、NADH、B 2、モリブデンが必要ですので、カンジダ除菌の前には、ダイオフ防止のために、これらの栄養の摂取しておいた方がいいです。

有機酸検査では、ビタミン B 群の量も把握できますので、カンジダ感染があったら、ビタミン B 2の量も確認してください。もしかしたら、カンジダ感染によって慢性的にビタミン B 2不足が起きていて、他の代謝経路に影響しているかもしれません。

これは、ナイスタチンという抗真菌薬を使ったら、カビの量が60日で減ったという論文です。確かに薬を使うとアラビノースも酒石酸もかなり下がりますが、肝機能障害を中心とした副作用がかなり気になりますので、私はまめにデータを取るようにしています。副腎疲労が強く、食事制限がかなり難しい人は、短期間で治療できるので、ナイスタチンは選択肢としてはいいかもしれません。ですが、再発率も結構高いので、そうではない人は、自然に除菌をした方がいいと思います。

有機酸検査の1ページ目の左下半分はバクテリアマーカー、腸内細菌バランスです。これらの数値が上がっていたらディスバイオーシスであるということです。バクテリアマーカーと書かれた上半分が腸内細菌一般で、下半分がクロストリジウムのマーカーです。クロストリジウムだけ別枠に設けています。その理由は、クロストリジウムが 精神疾患に非常に関連するからです。

破傷風に感染する人は、今はそんなにいないと思いますが、クロストリジウムテタニと言います。破傷風を発症すると、光と音にかなり敏感になって、精神的におかしくなるので、冷暗所で一時的に隔離するという治療があります。なぜ、そのような症状が出るのかというと、クロストリジウムがドーパミン代謝を狂わせるからです。

クロストリジウムのマーカーの15番、16番、17番、この3つは DβH(ドーパミンβヒドロキシラーゼ)を阻害します。ドーパミンがノルエピネフリンに変換される時に使われる酵素で、補酵素は銅とビタミン Cです。

脳疾患でDβHが出てきますが、銅過剰の人はこの酵素が働きすぎて、ドーパミンからノルエピネフリンに過剰転換されています。ですが、クロストリジウム感染がある人は、逆にドーパミンからノルエピネフリンへの変換が阻害されてしまいます。その結果、ドーパミンが過剰に溜まります。

バクテリアマーカーは、腸内環境が悪ければ上がります。加えて、10番の馬尿酸は、トルエンやコーヒーなどの食品でも上がります。11番にピロール障害とありますが、ウォルシュ博士の分類にあるピロール障害、体の中でピロール(ヘモグロビンの副産物)がたくさん作られやすい体質のことです。ピロールは亜鉛とビタミン B 6との親和性が異常に高いため、ピロールが尿中に多い、ピロール障害タイプの人は、慢性的にビタミンB 6と亜鉛不足になります。朝が起きられない副腎疲労のタイプです。

私はピロール障害なのですが、ピロールを調べたら患者さんの中で、私の値が一番高かったんです。朝がとても大変なんです。亜鉛を毎日とかなり多く摂ってます。ビタミン B 6を摂ると、耳の聞こえ良くなります。ワーワーした中で、人の声がよく聞こえないのですが、ビタミン B 6を摂るとよく聞こえるようになります。

12番、13番、この2つはパラベンも指標です。シャンプーなどに入ってるものですが、多すぎると上がることがあります。ですので、これらの要素を除いて、腸内環境を把握することが大事です。14番は良性細菌でも上がります。ビフィズス菌や乳酸菌、大腸菌が多すぎても上がります。

ですから、腸内環境改善しても、バクテリアマーカーにある数字がすごく高い場合は、SIBOの疑いをかけることができます。SIBOとは、腹部膨満感を引き起こす、小腸内細菌異常増殖です。小腸内の細菌過剰増殖でも、これらの数値は上がります。

神経疾患と密接に特に関わるのは、このクロストリジアのマーカーです。クロストリジウムは、芽胞を作るので結構しつこいです。抗菌剤に抵抗がありますので、治療に時間がかかります。

これは、ドーパミンの代謝図です。ドーパミンはフェニルアラニンから作られます。フェニルアラニンが、チロシンになり、ドーパになり、ドーパミンになり、ノルエピネフリンになり、エピネフリンになります。ドーパミンからノルエピネフリンに変わるところに、DβH(ドーパミンβヒドロキシラーゼ)という酵素がありますが、これを阻害するのが、17番の4-クレソールと、16番のHPHPAです。

HPHPAとは、フェニルアラニンがクロストリジウムにより、悪玉のようなものに変化した物質です。これがDβHを阻害し、ドーパミンからノルエピネフリンへの変換を止めてしまいます。

実際、精神疾患の人は、一般人と比較して、大量の HPHPA を排泄するということが論文で証明されています。また自閉症、統合失調症の患者さんの尿中においても、HPHPAの排泄量が増加しているというデータもあります。

こちらにも似たようなこと書いてあります。これに関係してはかなり古い論文が多いのですが、この2013年のものは、マウス実験で、4-クレソールに構造が類似している、4 EPS が多く見られ、精神症状のようなものが現れたと書かれています。

DβHを阻害するものは意外とたくさんあるということが、最近知られてきて、この有機酸検査で調べられるものの他に、このフェノール類が、DβHを阻害するのではないかと言われています。フェノールとは、芳香族炭化水素に、ヒドロキシ基(OH基)が付いているものです。エストロゲン、セロトニン、ドーパミン、チロシン、みんなフェノールです。OH基がたくさんあるとポリフェノールと呼ばれ、OH基のところに抗酸化作用があるので、良性の物質なのですが、このフェノールに過敏性がある人がいます。フェノール過敏症といいます。エイミーヤスコ博士の本や、自閉症の本に出てきますね?フェノールが多く含まれる食品を摂ると過敏になってしまう人、その理由はフェノールがDβHを阻害するからです。フェノールはフェノールイオン転移酵素で代謝されるのですが、特に子供の場合は、肝臓が未発達であるために、クロストリジウムが増殖すると症状が出てしまいます。

フェノール過敏症の人は、フェノールが多く含まれる食品を摂った時に、耳や頰が赤くなったり、多動になったり、睡眠障害になったりという症状が出るのですが、これらはドーパミン過剰の症状ですよね。ですから、自閉症のお子さんの場合は、腸内環境改善に加えて、特に低フェノール食が必要になることがあります。

クロストリジウムは、精神疾患に大きく影響するので、腸内環境を調べるに当たり、悪性菌の中でもクロストリジウムだけは、特別に調べた方がいいかもしれません。

クロストリジウムは、ミトコンドリアにも悪影響を及ぼします。このクロストリジウムは TCA サイクルに、短路を形成してATP 産生を低下させます。コハク酸の所が TCA サイクルと電子伝達系の両方で使われる酵素なので、すごく大事で、ここがうまく働かないとエネルギーがきちんと作れないのですが、ここに短路ができてしまい、ATP産生が低下してしまいます。

この論文は、自閉症のお子さんの論文ですが、ストレス環境要因が、腸内環境とミトコンドリアに大きく影響しているという結果を示した論文です。ミトコンドリア機能と消化機能の低下の2つが共通している自閉症のお子さんが非常に多いそうです。その原因として、ストレスとクロストリジウムが上げられています。クロストリジウム感染は、腸内環境を悪化させ、ミトコンドリア機能も低下させるということです。

ミトコンドリア機能が落ちていること自体も、やはり腸の蠕動や腸の消化吸収に影響するので、腸の消化吸収が上がらない人は、ミトコンドリアビタミンを摂っても上手く行きません。それ以外の方法で、ミトコンドリアを上げる必要があるので難しいです。

以上、ミトコンドリア機能を低下させる原因として、カンジタやカビ、クロストリジウムがあるという話でした。腸内環境とミトコンドリア機能を一緒に治していくことが重要です。

シュウ酸代謝

次は2ページ目です。これはシュウ酸を調べることができるシュウ酸塩の代謝物の検査です。19番、20番、21番とあって、21番がシュウ酸です。19番と20番はシュウ酸になる前の物質、前駆物質ですが、これらが高ければ、遺伝性原発性の高シュウ酸結晶を起こす引き起こす原因になるだろうと言われています。

シュウ酸が上がる原因は、遺伝、食べ物、カンジダです。シュウ酸はカルシウムと結びついて、カルシウムシュウ酸結石を作り、尿路結石の原因となります。それよりも問題なのは、シュウ酸が水銀と結びついて、シュウ酸水銀を形成し体内に溜まり、なかなか体外に排出されないことです。シュウ酸がもし高ければ、まずは食べ物をやめてみる、そしてカンジダ除菌をしてみて、シュウ酸が減ってくるかどうかをみるのがいいと思います。

シュウ酸代謝を示したのが下の図です。カンジダから来る経路がひとつあり、シュウ酸の前駆体がビタミンB6で代謝されるため、ビタミン B6が不足しているとシュウ酸ができやすくなります。ですから、原発性のシュウ酸代謝異常でも、ビタミンB6やマグネシウムを摂ることで、シュウ酸の量をある程度減らすことができます。

これはビタミンB6が関係している体の中の代謝を示しています。ビタミンB6はヒスチジンをヒスタミンに変えることができます。GOT と GPT の補酵素として働きます。トリプトファンがキノリン酸になるためには、ビタミンB6が必要です。ドーパミン、セロトニン 、GABA の生成にもビタミンB6が必要です。ビタミンB6は、基本的にたんぱく質の代謝に関わっています。大まかには、B1は糖質、B2は脂質、B6はタンパク質の代謝に関わっています。

アミノ酸系の神経伝達物質にビタミンB6は広く関わっています。脱炭酸酵素の補酵素としてビタミンB6が関わっているからです。その他にCOMT、ドーパミンやカテコラミンの代謝にも関わっていますし、CBSというアンモニアを作る酵素にも関わっていますので、ビタミンB6は結構複雑です。少なすぎても多すぎてもダメです。多すぎるとアンモニアがたくさんできてしまうし、キノリン酸も過剰に作られてしまいます。

カンジタ感染するとエストロゲンの代謝が狂ってPMS が強くなります。カンジダ感染する、シュウ酸ができる、ビタミンB 6が消費される、COMTがうまく働かなくなる、エストロゲンが相対的過剰になる、 PMS が強くなるという流れです。

これカルシウムシュウ酸結石です。実際に体の中も、pH 7.4だと、(COO-)2として遊離しているそうです。血中では2価のミネラルと特に塩を作って結びつきやすいです。2価といえば、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、水銀です。

シュウ酸結石は、体のどこにでも行くそうです。尿管結石だけではなくて、筋肉の中にも入り込んで線維筋痛様症状が出るそうです。筋肉痛、線維筋痛症の症状を、シュウ酸を下げることで軽減できるというデータもあるみたいです。体の痛みがある場合、シュウ酸を考えたいですね。頭痛、排尿痛、慢性外陰膣炎に、シュウ酸が関係しているかもしれません。確かに、カンジダ膣炎の患者さんの中には、ヒリヒリする痛みがなかなか取れないとおっしゃる方も多いので、もしかしたらシュウ酸の影響なのかもしれません。

右下の数値は、解離定数、溶解度積というものですが、この数字が小さければ小さいほどシュウ酸との結びつきが強いということを示しています。カルシウムは10のマイナス8乗、

水銀は10のマイナス13乗ですので、10の6乗(5乗?)違います。つまり水銀は、カルシウムの100万倍(10万倍?)、シュウ酸と結びつきやすいということです。ですから、シュウ酸を何とかしないと水銀のデトックスが難しいです。解毒が上手くいかない人も、シュウ酸を考えてもいいかもしれません。シュウ酸が問題になっている人は結構多いと思います。

シュウ酸カルシウム結石が尿管結石のアメリカ人の場合は7割だそうです。日本人もカルシウム結石の人は結構いると思います。尿酸結石の人もいるのですが。結石ができるということは、塊が血管の中にできるということなので、大きいものは、結石として見つかるのですが、小さくて微細血管に詰まるものは結石として認識されません。でも確実にクレアチニンは上がってきます。クレアチニンが高いということは、筋肉量が多いということだと理解されていると思いますが、腎不全でも当然上がってきます。

クレアチニンの数値は、大体0.5から1ぐらいですが、2とか3になったら慢性腎不全です。8とか9になったら透析導入となります。クレアチニンが上がっている人は潜在的な結石の可能性も考えた方がいいと思います。その犯人はシュウ酸か尿酸、もしくは肝臓のフィブリノゲンではないかと、私は考えています。それらをチェックした方がいいです。潜在性副腎機能低下症の人は多いと、皆さんも感じていると思いますが、潜在性の肝臓機能低下症の人も、とても多いと思います。潜在性の肝機能低下は、慢性炎症であるので、フィブリノゲンなどが上がってきます。

エネルギー代謝

次は、エネルギー代謝についてです。

糖質と脂質、タンパク質は、どれもエネルギーになるのですが、生理的に考えて、人のメインのエネルギーは糖質だと思います。解糖系とは、2分子のブドウ糖がピルビン酸になる反応です。

ピルビン酸がアセチルCoAになって、 TCA サイクルの中で回るのですが、酸素がなかったり、ピルビン酸をアセチルCoAに転換する酵素もしくは補酵素がうまく働かなかったりすれば、ピルビン酸はアセチルCoAに転換されず、TCA サイクルは回りません。

それを見分けるのが、この乳酸とピルビン酸の量です。

これらの数値が高ければ、数字が赤く表示されるのですが、酸素が足りないのか、ビタミン B 群かCoQ10が不足しているのか、もしくはインスリン抵抗性があってブドウ糖が細胞の中に入れないのか、のどれかです。ある程度の原因は、ここまでわかれば絞れますので、見つけた原因に対処してあげることが大事です。

次は、ミトコンドリア機能を見るところです。このミトコンドリアマーカーで、上にある24番から29番の6つが TCA サイクルを評価する物質です。頭にある24番などの番号が、右の図の赤いところにある番号に対応しています。さっきの乳酸、ピルビン酸のところは、上にある炭水化物がアセチルCoAに入ってくるところです。

脂肪の代謝に関しては42番から49番、たんぱく質の代謝に関しては62番から74番がそれぞれ対応しています。

ピルビン酸がアセチルCoAになって、クエン酸、アコニチン酸、α-ケトグルタル酸、これらは27番、28番、29番と、逆に並んでいます。そして、コハク酸、フマル酸、リンゴ酸、これらは時計回りに同じ順番に並んでいます。ですから、有機酸検査見る時には、29番、28番、27番、24番、25番、26番、という風に回っているということを意識してみてください。

例えばこの人の場合は、クエン酸は正常なのに、アコニチン酸が下がっているので、クエン酸とアコニチン酸の間の回路がうまく回っていないということになります。クエン酸がアコニチン酸に行くところは、とても活性酸素に弱く、多くの方でこのような数字の変化が見られます。それは、酸化ストレスが強いのか、グルタチオンが足りないのか、もしくはフッ素や水銀の蓄積が多いのか、ということを示します。有機酸検査で圧倒的に多いのは、このパターンと、コハク酸の数字が上がっているパターンです。コハク酸だけ上がってしまうということは、コハク酸からフマル酸、リンゴ酸への代謝がうまくいない、つまり、コハク酸からフマル酸への転換酵素の補酵素であるビタミン B 2やCoQ10が足りないのかもしれません。ビタミンB 2は53番、CoQ10は55番ですので、これらも一緒に参照されたらいいと思います。

コハク酸が上がっている場合は、ビタミン B 2やCoQ10不足になりますが、その他にコハク酸が単独で上がることがあります。それは金属と非金属による毒性が強い時です。コハク酸は TCA サイクルと電子伝達系の両者に関わっていますから、非常にその毒素の影響を受けやすいです。体に水銀が溜まっても、ドライクリーニングのような有機溶剤が溜まっても、どちらでもコハク酸が上がりますから、この数字が上がる場合は、重金属や環境毒素の検査をした方がいいかもしれません。検査項目が非常に多いので、有機酸検査をすると、色々なことのスクリーニングができます。絶対とは限りませんが、とても参考になります。

フマル酸は、カンジダがあると上がります。フマル酸からリンゴ酸に行きにくくなるからです。カンジダでやられるからカンジダで上がることがあります。α-ケトグルタル酸の指標の2-オキソグルタル酸も、カンジタ感染でやられる場所です。α-ケトグルタル酸はグルタミン酸の親戚です。

グルタミン酸は、アンモニアのシャトルで、体に溜まったアンモニアを外に運び出します。グルタミン酸がアンモニアをもうひとつ付けてグルタミンになり、アンモニアを離してグルタミン酸になって戻るという動きをシャトルと言います。アンモニアの処理にグルタミン酸が使われるということで、α-ケトグルタル酸からグルタミン酸を持って行かれてしまうので、その結果、2-オキソグルタル酸が下がることになります。この数字が低い場合には、アンモニアの過剰を考えたいです。アンモニアが過剰になる一番の原因は便秘です。

下半分も、ミトコンドリアマーカーですけども、上がっている人がたまにいます。これらは電子伝達系にも関わると言われています。上半分がどちらかと言うと TCA サイクル、下半分が電子伝達系のマーカーなのかもしれません。対処法は、電子伝達系を動かすB 群、CoQ10、カルニチン、鉄の摂取です。

神経伝達物質代謝

次に、神経伝達物質の代謝についてです。

ドーパミン、ノルエピネフリン、そしてドーパミンとノルエピネフリンの比率がこの検査で出ています。

ドーパミンはチロシンから作られますので、ドーパミンが不足している人は、多分チロシンがうまく作れていないと思います。この例の人がそうです。ドーパミンは適正であるといいです。意欲や喜びをもたらしてくれる神経伝達物質ですので。上がりすぎると興奮して多動になるので、問題ですが、低ければ低いで問題です。やる気がなくなってしまい、依存症状が出ます。アルコールやギャンブルなどの依存症の人は、ドーパミンが低めだと言われています。

ドーパミンが低いと辛いので、症状としてはドーパミンを増やすような行動を取りがちです。いつも怒っているとか、運転が荒いとかです。そうすることで、ドーパミンを増やそうとしています。

無意識にカテコラミンを上げるような行動を取るのが、ドーパミンが低い人の特徴です。手っ取り早く治すには、チロシンの補給がいいです。ドーパミンが高ければ高いで不安やパニックになりますから、この場合は、クロストリジウム対策です。

ドーパミンの状態がわかるといいと思いませんか?

でも、絶対正しい、という訳ではないので、気を付けてください。ドーパミンはドーパミンを測っているわけではありません。

実際に測っているのはホモバニリン酸です。ドーパミンはこのCOMTやMAOなどのカテコラミン代謝の酵素によってホモバニリン酸に代謝されるので、その代謝産物を測っています。ですから、もしこれらの酵素がうまく働いてない場合は、多すぎたり少なすぎたりするかもしれないので、見る時に注意が必要です。

ただ、それを言い始めるときりがないので、まずは基本的なところを理解して、そこから考察を進めていくといいと思います。実際には検査と症状が違うことはいくらでもあります。でも原則はこういうことです。

ノルエピネフリンを反映するのが、バニリルマンデル酸(VMA)です。褐色細胞腫というカテコラミンをたくさん産生する、がんみたいな腫瘍の病気があり、この数値がものすごく上がってしまいます。その場合だけ、普通の病院では検査をしますが、こういう微量なものを普通の病院では検査はしません。ですから、そういう意味でこの検査は貴重です。

ノルアドレナリンを反映しますから、低いとうつ症状、高いとイライラします。集中に必要な神経伝達物質ですので、ADHD で注意力が散漫だったり、過集中だったりするのは、ノルアドレナリンのバランスが、非常に悪いことが原因です。過食症には、色々な原因がありますが、過食症の人には、大体トラウマがあります。痩せるために無理なダイエットして栄養不良になり、その反動で過食になる、という上下を繰り返す人が多いです。

ですが、前頭葉の働きがうまくいかなくて、自分の食事を律せず過食になっている人も結構います。そういう人は、ドーパミンとノルアドレナリンのバランスが悪いのですが、腸内環境改善すると、完璧に治ることがあります。そういう人は、大体ステラトラなどのノルアドレナリン再取り込み阻害薬などを飲んでいたりします。

ドーパミンとノルアドレナリンの比率を反映しているのが、この35番ですから、この比率が高ければドーパミン過剰、逆に低ければドーパミンからノルアドレナリンへの過剰転換が起きているということです。つまり、銅過剰であるはずなのですが、銅過剰の人でこの尿中のドーパミンとノルアドレナリンの比率が一致することはほとんどないので、銅過剰の診断には使えません。これが参考にできるのはクロストリジウムとの対比です。そう考えると、腸内環境は全部に影響するので、やっぱり腸ファーストが大事だと思います。

トリプトファン代謝

トリプトファン代謝についてです。

トリプトファンがセロトニン、メラトニンの方向に行く経路と、キヌレニン経路を通ってNADが作られる経路があります。トリプトファンからセロトニンに行くのは、普段から5〜10%ぐらいですが、炎症やストレスがあると、セロトニン経路が完全に止まってしまいます。それでセロトニン、メラトニンが作れなくなり不眠になります。

このトリプトファン代謝は、トリプトファンがキヌレニン経路に何パーセント行って、セロトニン経路に何パーセント行くかというのを教えてくれるインジケーターです。ですからセロトニンの量、実際には代謝産物の5-HIAA を調べていますが、キノリン酸の量も調べています。

ビタミンB6はグルタミン代謝に関わっています。

グルタミンがグルタミン酸になってGABAに変換されますが、そのグルタミン酸のGABAへの変換がうまくいかない人がとても多いです。

ビタミンB6の大量療法をするとそこがうまくいくのですが、ビタミンB6を大量に入れてしまうと、キノリン酸がたくさん作られてしまうというのが問題です。キノリン酸は、同じようにグルタミン酸の受容体を刺激するので、お子さんの場合、返って暴れ方がひどくなってしまうことがあります。

キノリン酸経路が働く理由は、最終的にこのNAD、ナイアシンを作って、ミトコンドリアを動かそうという体の防御反応なので、炎症が起きている場合は、まず一番に、炎症をとらなければいけないし、キノリン酸が溜まっている場合は、キノリン酸をうまく NAD まで流してあげることが必要です。

キノリン酸が溜まりすぎていてNADが作れないのは、マグネシウム不足がひとつの原因です。もうひとつの原因は、フタル酸です。プラスチックに入っている物質です。ですからこの検査でキノリン酸などが上がっていたら、体の中に感染や炎症が起きているということです。体内でこのインターフェロンガンマという炎症性のサイトカイン、炎症性物質が暴れているということがこれを見ると分かります。

このキノリン酸の比率が狂っている人はとても多いです。異常に敏感な炎症マーカーで、これもミトコンドリア機能に直結しますから、ミトコンドリア機能が上がらないと感じている人、疲れが取りきれないとか、手足の冷えが完全に治らない、と感じている人は、この比率を見てください。体の中に炎症が残っているのかもしれません。

筋炎、感染、炎症、脳のミクログリア活性化が起きています。もしかしたら、ピロリ菌なのかもしれないし、上咽頭炎や根尖病変があるのかもしれないです。炎症を徹底的にチェックして下さい。

NMDA というのは、グルタミン酸受容体のことです。 キノリン酸がNMDA型グルタミン酸受容体のアゴニストというのは、キノリン酸がそこを刺激するという意味です。まずは炎症の元を見つけること、そしてそれに対処すること、抗酸化アプローチが必要です。そして、ナイアシンが多分足りなくなっていますから、ナイアシンを摂るといいでしょう。

ここで言いたいことは、さっきの図と同じです。炎症が影響して、キヌレニン経路への流れをどんどん促進させるということを表しています。

右側がグルタミン酸受容体の図です。グルタミン酸受容体が興奮すると、カルシウムが一気にグルタミン酸受容体を通して入り、細胞死を引き起こします。それが炎症の元です。自閉症のお子さんは、脳の中でそのグルタミン酸神経が異常興奮して、慢性の炎症を起こしています。ですから、この悪循環を何とかして止める必要があり、このNMDA受容体を抑制するのが、亜鉛とマグネシウム、リチウムです。だからまずマグネシウムを入れることが大事です。右側を見ると、受容体を亢進させるものに、グルタミン酸とカルシウムがありますが、そこにキノリン酸も入っています。この図には入っていませんが、低血糖も受容体を亢進させます。低血糖を避けること、キノリン酸を避けるために体の炎症を取ることが、とても大事になります。

サプリメントよりも食事の方が100倍難しい

サプリメントよりも食事の方が100倍難しいです。

サプリメントはラベルに容量や何を抽出したものかも書いてあるので、テスター的に使えますよね?例えば、B3が足りないと検査からわかれば、ビタミン B3のラベルの付いたサプリメントを投与すればいいというすごく簡単なことですが、食品というのは、色々なものの相互作用が集まっているので、食事の方が難しいです。

サプリメントを大量に投与しすぎると、全体のバランスを狂わせてしまうので、大量に投与していい場合とダメな場合とがあります。ビタミン Bは典型例です。

炎症

炎症です。

炎症を見つけて炎症を止めることが、ミトコンドリア機能の回復にとても大事です。炎症マーカーのCRPはあまり感度が良くないです。高感度 CRPでさえ炎症のマーカーとしてはあまり良くないので、炎症を起こしている各部位を調べることも大事です。多分、フェリチンが慢性肝機能障害のマーカーになっていますし、フィブリノゲンも。有機酸検査のキノリン酸が微妙な炎症のマーカーになっていると思います。ミトコンドリア機能が上がりきらない人は、これらをチェックしてみてください。

炎症があると、トリプトファンが全部キノリン酸の方に行くので、セロトニンやメラトニンの方に全く行かなくなってしまいます。

では、どうやって脳の中にトリプトファンを取り込むのでしょうか?

食事からのトリプトファンは、脳血液関門(BBB)において、他の大型中性アミノ酸と競合します。ですから、もしトリプトファンを脳内に取り込みたいのであれば、大型中性アミノ酸を減らせばいいです。この BBB に関しては、酸性アミノ酸同士や中性アミノ酸同士が競合します。

酸性とか中性とかってわかりますか? 

アミノ酸とは、アミノ基を持ったカルボン酸のことです。

アミノ基がややアルカリ性でカルボン酸が酸性です。だからアミノ基とカルボン酸の量が同じであれば、それは中性アミノ酸といいます。アミノ基が多かったら塩基性アミノ酸、カルボン酸が多ければ酸性アミノ酸です。人間の体の中で酸性アミノ酸とはグルタミン酸とアスパラギン酸の2つで、アミノ基とカルボキシル基の数が同じだから中性アミノ酸です。中性アミノ酸は、脳内に行く時の経路が一緒なので、これらを一度に取ると競合するということです。

BCAA、バリン、ロイシン、イソロイシンは、特にトリプトファンを阻害します。目が冴えるので、寝る前に BCAA 取ると眠れなくなります。逆に炭水化物を摂るとインスリンが上がりBCAA が取り込まれるので、その結果、トリプトファンが脳内に入り、リラックスした気持ちになります。トリプトファン代謝が上手くいってない場合は、そういうことも対処としては必要です。トリプトファンサプリメントではなく、5 HTPから摂ってもいいと思います。

ピリミジン代謝

次はピリミジン代謝です。

ウラシルとチミンが載っています。チミンはウラシルにメチル基が付いたものです。つまり、ウラシルとチミンはメチル化が、メチレーションが上手くいっているかどうかの指標になります。

この脂質代謝マーカーはなかなか使えます。項目がたくさんありますが、この右下の図は幹細胞の中のミトコンドリアの図です。

脂肪が入ってきて、この脂肪酸がミトコンドリアの中で使われればいいですが、使われない場合はスベリン酸やアジピン酸になってしまいます。45、47、48が特に脂肪が上手く使えないと上がってきます。では、どういう時に脂肪が上手く使えないかというと、それはカルニチンが足りない時です。脂肪酸はそのままではミトコンドリアの膜を通過できません。カルニチンはリジンやメチオニン、鉄、ビタミン C から生合成されていますから、もしかしたらこれらの栄養が足りないのかもしれません。

糖質制限をしようと思ったらどうしても脂質代謝がメインになりますので、糖質制限が上手くいかない人は、特にこの脂肪代謝マーカーを調べてみたらいいと思います。マーカーが上がっていたら、カルニチンを補給したり、食事を中鎖脂肪酸にシフトしたり、比較的カルニチンがなくても代謝される脂肪酸を上手く摂ったりするといいでしょう。

栄養素マーカー

その下は栄養素マーカーです。

有機酸検査は5万円くらいしますが、70何項目も調べられるので、血液データよりももしかしたらコストパフォーマンスが良いかもしれません。ビタミンB群、CoQ10、グルタチオンが調べられます。気を付けておきたいのは、このアスタリスク(*)が付いているものは、高いと逆に低いということで、高いと逆に足りないということなので、見誤らないようにしてください。

項目が多いので、総合作用を見比べられます。

例えば、ビタミンB6とシュウ酸ですが、もしかしたら、シュウ酸が高ければ、ビタミンB6が低いかもしれません。もちろん、他の要因でもビタミンB6は下がりますが。また、カンジダの代謝には、ビタミンB2が必要ですから、カンジダが高ければ、このグルタル酸が高いかもしれません。ビタミンB2が足りないと高くなるマーカーですから。

ビタミンCは、サプリメントで摂っていてれば、こんな風に上がりますが、その一方で、たくさん摂っていても、ゼロになる人がいます。これはアメリカへの輸送の関係で、ビタミンCがすぐ酸化されて、いくら取ってもダメな人がいます。特に夏に検査する場合は、ゼロになっている人が多いですから、そこは気にしないでください。

CoQ10とグルタチオンのマーカーです。基本的には、CoQ10のマーカーとして使えますが、HMG還元酵素阻害剤(スタチン)を摂ることによって、この数字は上がることがあります。グルタチオンは解毒物質のマーカーです。毒物が溜まれば、 N- アセチルシステインが消費されて下がります。

解毒

イオウ経路、硫酸経路、解毒の指標です。

グルタチオンは体の細胞の脂肪の中から水銀を取り出します。グルタチオンは、水銀を抱合、つまり水溶性に近いものにして、解毒するために、体にとって絶対に不可欠な物質です。

このピログルタミン酸と2-ヒドロキシ酪酸というのは、アスタリスク(*)が付いていますので、グルタチオンが欠乏すると上昇します。これらは硫酸経路に関係しています。硫酸経路は、ぐるぐる回っていますが、何か毒物があると、下の硫酸を作る方に経路が流れて、グルタチオンが作られます。このグルタチオンの副産物が、2-ヒドロキシ酪酸などだと考えてください。ですから、これらの数字が上がっている時は、グルタチオンがいっぱい作られています。つまり解毒の必然性があると体が判断しているということです。毒に暴露されたらこれら2つが上がると考えてください。

グルタチオンが足りなければ、サプリメントとしては、グルタチオンの前駆物質であるN-アセチルシステイン(NAC)や、もしくは僕が使っているのはリポゾーマルグルタチオンを摂ることです。グルタチオンは、トリペプチドで、アミノ酸が3つ繋がった構造をしていて、消化酵素に極めて弱く、摂っても上手く働かないことがあります。ですから、リポゾーマルタイプで、直接細胞の中に入るものを使うのか、もしくは消化酵素の影響を受けないクリームのようなものを使うのか、点滴で入れるのか、など、色々な方法があります。いずれにしても大事なことはグルタチオンが異常に消費されている原因検索をすることです。

これをしないと、いくら解毒しても毒が溜まっていったら意味がないので、ほとんど効果がありません。解毒しなければいけないほど、毒素が溜まっていたら、多分先ほど出てきたコハク酸のマーカーが上がっているでしょうから、それも一緒に調べておくことが重要です。コハク酸上がっているということは、金属か非金属の毒性に曝されている可能性があるということです。このように、有機酸検査は、交互に色々と見るところがありますので、検査をやっていない人はやりたくなってきたのではないでしょうか?

グルタチオンの下は、過剰アンモニアのマーカー、オロチン酸です。アンモニア毒性がある場合、尿素回路が上手く働いていない可能性があります。アルギニンやシトルリンを摂って回路を動かしてあげるといいでしょう。もうひとつの可能性は、便秘です。便秘の解消が必要です。

一番下は、サリチル酸やアセトアミノフェンです。解熱剤など、お子さんが使う場合、これらは解毒のシステムを止めてしまいますので、使っている場合、この数値が上がってきます。

アミノ酸代謝物

62番から74番までは、アミノ酸代謝物です。ミトコンドリアに入る脂質やタンパク質、炭水化物が全部わかります。ですが、このアミノ酸マーカーは、ちょっと私にはよくわかりませんが、先天性代謝異常で上がるマーカーも結構多いので、あまり上がっている人はいないです。強いて言えば、ほとんどの人のマーカーが左に寄っていますが、ビタミン B 群が足りない人は、少し上がる傾向があると思います。ビタミンB 群がないので、アミノ酸の代謝が少し詰まっている感じです。こういったところを参考にして、是非やってみてください。

毒性のマーカーが上がっていたら、もしくは毒物が溜まっているような症状があったら、解毒の検査もした方がいいと思います。毒が溜まっていそうだから、解毒をと考える人が結構たくさんいますが、もしそれが環境毒素だったり、自分が知らないうちに摂っている食物の中に含まれているものだったりしたら、いくら解毒をしても出ないです。ですから、本当にあるのかどうか調べて、その原因を特定することがとても大事です。

カビ毒はこれらの病気の原因になっていることがあります。

特定のカビによって生成される毒性化合物で、 NK 活性や、免疫グロブリンの分泌、グルタチオンを低下させます。ミトコンドリアを標的としていますから、疲れの原因として重要です。ミトコンドリアに影響するのがとても問題で、このマイコトキシンは、熱しても分解されにくく、環境の変化でも分解されにくく、除去が困難なことがとても問題です。さらに、このカビ毒は親油性ですから、脳に行きやすくて脳神経症状を起こしやすいです。子供だったら学習障害、大人だったら計算ができなくなったり、記憶力が低下したり、物事が考えにくくなったり、集中力が低下したり。これは何度も出てきている3型アルツハイマー病の原因です。副腎疲労でブレインフォグなんですと言ってきた人の中で、数名カビ毒の人がいました。

カビ毒は色々なものに入っています。多いのはアフラトキシンやオクラトキシンなどで、このオクラトキシンはカビ毒検査をすると、ほとんどの人に入っています。よっぽど汚染されているようです。

このカビ毒の検査は、マイコトックスといいますが、やらなければいけない人は正直そんなに多くないです。

本当にやるべき人は、輸入のピスタチオなどや、ちゃんと乾燥していないものをたくさん食べる人、食べていた人、10年前のものでも残っています。また、家が古い人、古い家に住んでいた人、10年前でも。カビ毒というのは、食べ物か空気で吸入するかどちらかですから、エアコンや空気清浄機、一度台風で水に浸かった家、元々湿っぽい家に住んでいる人は、やっぱり怪しいかもしれません。

症状としては、とにかくブレインフォグと慢性疲労、ミトコンドリア機能障害です。頭痛やめまいがする人も結構います。消化器症状、胃食道逆流症状が出る人も結構います。

さっき言ったように、2、4、5、9が有機酸検査で上がっている人。こういう人もカビ毒を調べた方がいいかもしれません。もしくはさっきのコハク酸(24番)が上がっている人は、毛髪水銀検査とカビ毒の検査の両方をされたらいいと思います。

43歳の女性、慢性疲労の方。

シトラマル酸が上がっています。3-オキソグルタル酸とアラビノースが上がっているので、カンジダ感染です。ですから、カビ毒マーカーの2、4、5は上がっていないですがカビ毒の検査をしたいと希望されたので行いました。

上がっていたのは、オクラトキシンとペニシリウムでした。検査の結果は、緑と赤で表示されるのですが、赤なのでかなりまずいと思うかもしれませんが、基準値が20までで、45ありますし。でも何か症状が出ているかというと、全く出ていません。オクラトキシンは多くの人が持っています。もちろん解毒をお勧めしました。これくらいだと、ほとんど症状としては出ません。すごく敏感な人は分かりますが。

出てはいけないのはアフラトキシンです。この人は、アフラトキシンは出ていません。アフラトキシンは、肝臓がんの発がんの原因と昔から言われています。これもアスペルギルスから出ます。こちらはほとんど出ませんが、オクラトキシンは9割くらいの人にみられます。どちらも発がん性がありますが、アフラトキシンの方が圧倒的に悪いみたいです。穀物、ぶどうジュース、ワインに入っています。

その他で多いのは、ゼアラレノンというものです。これは肝臓毒性と女性化ホルモン作用が強いので、男性更年期の原因になります。これが出ていたら、テストステロンを補充してもあまり上手くいかないです。

湿っぽい部屋に住んでいる場合、古い家に住んでいる場合は、このベルカリンを調べてください。これは免疫抑制効果があるそうです。ちょっと怪しいなと思って検査をする方が気を付けるのは、毛髪ミネラル水銀と同じですが、重症な人ほど出ません。毛髪ミネラル検査で、水銀レベルが低い人は、別に水銀が溜まっていない訳ではなくて、水銀を排泄する力が悪いかもしれません。これも全く同じで、マイコトキシンは親油性で脂肪細胞の中に入っていますから、グルタチオンがうまく使えない人、解毒能が悪い人は、検査をしても尿中に排泄されません。

水銀もそうですが、尿中検査の場合は、普通に出る人もいますけども、チャレンジテスト、実際にグルタチオンを飲んでもらってから検査をすることをお勧めします。 N -アセチルシステインを500mg ぐらい、1週間摂って、解毒体質にしてから出します。脂肪の中に入っているという事は、断食すると脂肪が分解されるので、できるだけ絶食時間を長く、12時間以上取って、次の日の朝や昼に検査をすると、結構今まで出なかった人が出るようになります。私も最初やってみたら全く出ませんでした。私も少し出ましたから解毒しました。

水銀暴露の原因は魚と歯

宮澤賢史 · 2019年2月26日 ·

様々な環境毒素への暴露は現代人の慢性疲労の大きな原因です。その中でも重金属の影響は大きく、特に、WHOが懸念される主要化学物質のトップに水銀をあげています。ここでは、水銀の歯の詰め物アマルガムと毛髪ミネラルの関係について説明します。

歯科医師ハル・ハギンス(Hal A. Huggins, D.D.S.)は、アマルガムが全身に及ぼす影響に関する第一人者です。彼が初めて見たのは、歯にアマルガムを詰めてから、胸痛、過呼吸、ニキビが出た17歳の少女でした。心臓専門医などからすべて問題なしといわれ、最終的に精神科に入院させられそうになったのです。彼女の母親の要請でアマルガムを除去した後、彼女は劇的に良くなり、博士のもとに1ヶ月5000件ものアマルガムの相談の電話がかかってくるようになったそうです。

アマルガムとは

歯科アマルガムは、金に変わる材料として150年前に開発された歯の詰め物の材料で、水銀を高度に含んでいます。

アマルガムは、一般的には、安定して合金であると考えられており、日本でも2016年までは保険適用の材料として使用されていました。

しかし、様々な研究から、アマルガム中の水銀が絶えず蒸発して体内に吸収されていることがわかってきています。

アマルガムは簡単な刺激で蒸発する

アマルガムの水銀は温度変化(例えばコーヒーを飲む)や簡単な刺激(例えば、ガムをかむ)によって容易に蒸発をおこします。

体温と同程度の加温や消しゴムでこすっただけでも、このように水銀が蒸気化します。

アマルガムの歴史

1820年代にアマルガムがフランスで用いられたのが初めといわれています。

アマルガムは1840年にアメリカ歯科医師会から危険性を指摘され、いったんは使用禁止になりました。

しかし、現在、アメリカ歯科医師会は逆にアマルガムの使用を指示し続けています。

歯科医師は特に危険です

1998年、34名歯科医が対象の調査では、不眠症、食欲不振、イライラ、興味減退などの訴えが多くみられた。

1992年、98名の歯科医師に対する調査では、健常者と比較して、運動速度、視覚運動強調、集中力などが損なわれていた。

1982年 歯科医師による水銀吸収により神経生理学的傷害の危険性が示唆された。

体内動態

歯に入った詰め物のうち最大80%が10年以内に腐食し、体内に吸収されます。

口腔内にはガルバニー電流とよばれる電流が流れており、唾液が電解質液として作用する。

また、酸性食品なども影響すると言われています

ガルバニー電流について

カエルの足の筋肉に電気を通じると筋肉が活動することを発見した解剖学者ルイージ・ガルヴァニの名前を取ったのガルバニ電池です。

ガルバニ電池は2種類の金属が電解質溶液の中にあり、電気の流れをつくっています。

同様の事が口内でおきています。

口腔内の金属と唾液が、ガルバニ電池の様な環境を作り出すためです。

これを口内ガルバニ電流と呼びます。

口内で起きる電流は大きなストレス源になりますが、それだけにとどまりません。

ガルバニ電池の電解質液に金属が析出してくるのと同様に、口内のアマルガムからは水銀が析出してくるのです。

有機水銀と無機水銀

無機水銀にメチル基がついたものをメチル水銀といいます。
水俣病で有名なメチル水銀は無機水銀の100倍の毒性があります。

有毒なのはメチル水銀をはじめとして有機水銀です。なぜなら、メチル水銀は、脂溶性であり、細胞膜を通過し、細胞内に蓄積しやすい。

しかし、アマルガムが無機から有機に変わる可能性についてはあまり触れられていません。

歯科のアマルガムに使用されているのは無機水銀だから安全だという主張がありますが、本当にそうでしょうか。

スウェーデン、ルンド大学のハインツ博士によると、

「多くの人の口腔内に存在するストレプトコッカス・ミュータンス菌が水銀をメチル化する」

と報告しています。

また、口腔内電流が多いほど、メチル化は加速するという報告もあります。

高銅型アマルガム

高銅型アマルガムは安定しているといわれます。
しかし、銅が多いということは電流を良く通すということでもあります

ハル・ハギンス博士は、水銀の放電量は混合される金属の割合によって影響を受けるといっています。

また、ある研究によると、銅が多いアマルガムは旧来の(3~6%)アマルガムに比べて水銀を50倍早く放出するそうです。

中毒の治療

アマルガムを除去し、場合によってはキレーション(解毒治療)を行います。
ただし、アマルガム除去にはかなり危険が伴う事があります。

除去時にアマルガムが流出し、体内に大量に入る可能性があるからです。

免疫にも影響する

ハルハギンス博士によると、3500人以上に対して二重盲検試験を行った結果、多くの歯科材料に対して免疫反応が見られたとのこと。

しかもその確率は極めて高いものです。

銅 95.29% 亜鉛94.04% 水銀90.02% 銀66.86% すず 62.51%

歯科材料は人間の免疫にかなり影響していると考えなくてはなりません。

毛髪から水銀が出ました!私は水銀中毒ですか?

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: woman-with-flying-hair-PZBX9RP.jpg

こんな質問を頂きましたので、今回は毛髪からの排泄量と水銀中毒の関係について考えてみます。

国立水俣病総合研究センターでは、このような資料を出して、多くの人に毛髪検査を呼びかけています。

画像に alt 属性が指定されていません。ファイル名: 国立水俣病総合研究センター-1.jpg

この図では、日本人男性の平均値が2.5ppm、女性が1.6ppm、胎児影響が疑われる母親の最小値が11ppm、成人で神経症状が疑われる最小値が50ppmになっています。

これで見ると、毛髪中の水銀量が高いほど重症という印象を受けますね。

「毛髪中の水銀量が高いほど、水銀中毒も重症である」

一元的にこのように考えてよいのでしょうか?

毛髪から水銀を排泄できない子供こそ重症

自閉症と毛髪中の水銀蓄積量の関係を調べた論文があります。自閉症とそうでない子供の毛髪中の水銀レベルを見たものです。

それによると、結果はなんと、自閉症の子供の毛髪からの排泄はそうでない子供に比べて明らかに少なかったのです。

しかも、毛髪の水銀レベルが低いほど、自閉症が重症だとわかりました。

これからわかることは、毛髪は水銀の排泄器官だということです。排泄が出来ない子供ほど、水銀がたまって症状が出ているわけです。

ですから、毛髪検査では、2つの事を読み取らなければなりません。

1 水銀の排泄能力
2 水銀の蓄積量

1が正常でも大量の水銀が体内に入ってきている場合は2が増えて水銀中毒になります。(水俣病パターン)

1に異常があれば、、水銀の暴露が決して多くなくとも2が多くなり、水銀中毒になります。(発達障害に多く見られるパターン)

水銀関係の事故が起きない限り、圧倒的に多いのは後者のパターンです。
水銀の排泄能力がない人が水銀中毒に苦しんでいるのです。

〈毛髪から水銀がたくさん出ている人〉
毛髪から水銀がたくさん出ている人は、排泄量が多いほど暴露量も多いということです。
暴露源をみつけて、侵入経路をシャットアウトしてください。
症状により、デトックス治療を検討してください。

〈毛髪から水銀が出ていない人〉
毛髪から水銀が出ていない人は、水銀排泄障害の可能性があります。
症状とあわせて考え、デトックス治療を検討してください。
一般的に治療も長期間かかることが予想されます。

毛髪検査の結果だけで全てを決めることはできません。

  • どのくらいの排泄量だったら、どうするのか。
  • 今あるどの症状が重金属と関連しているのか。
  • 他にどのような検査をするのか。

この答えは、この場ではかけません。

なぜなら、一人ひとり対応はまったく異なるからです。

お勧め書籍の紹介です。
★の数はおすすめ度です。

★★★本当に怖い歯の詰め物―誰も知らなかった病気の原因

アマルガムの危険性について世界で初めて言及し、様々な研究、診療、講演活動を行ったハル・ハギンス氏の著書。

アマルガムが体内にどのように害を及ぼすか、理論的な説明に加えて、独自のエビデンスも豊富。

また、アマルガムの危険性を世に知られては困るアメリカ歯科医師学会との確執に関してもつづられています。

必須本。翻訳もよいです。
https://rcm-fe.amazon-adsystem.com/e/cm?ref=qf_sp_asin_til&t=doctorproduce-22&m=amazon&o=9&p=8&l=as1&IS1=1&detail=1&asins=4884933419&linkId=8d446ecfcca2bfb35fd057f710fda049&bc1=ffffff&lt1=_top&fc1=333333&lc1=0066c0&bg1=ffffff&f=ifr

[sen]

★★その銀歯がメタボと心臓病の原因だった―口の中に水銀があった!!

アマルガムが心機能障害、メタボリックシンドロームなどを引き起こすことがよくわかります。
https://rcm-fe.amazon-adsystem.com/e/cm?ref=qf_sp_asin_til&t=doctorproduce-22&m=amazon&o=9&p=8&l=as1&IS1=1&detail=1&asins=4884933435&linkId=5b7b595373905b3748815edd25d43566&bc1=ffffff&lt1=_top&fc1=333333&lc1=0066c0&bg1=ffffff&f=ifr

[sen]

★★口の中に潜む恐怖―アマルガム水銀中毒からの生還

誤ったアマルガム除去を行うと、どのように具合が悪くなるかがわかる。
著者の体験をつづった本。
安全なアマルガム除去法についても記述あり。

https://rcm-fe.amazon-adsystem.com/e/cm?ref=qf_sp_asin_til&t=doctorproduce-22&m=amazon&o=9&p=8&l=as1&IS1=1&detail=1&asins=4837670067&linkId=d0d5609885f80f9f9428c43dc5592466&bc1=ffffff&lt1=_top&fc1=333333&lc1=0066c0&bg1=ffffff&f=ifr

[sen]

★★ハーブでガンの完全治癒

がん対策の本ですが、歯科的な毒を取り去ることについて非常に細かく書かれた本です。
https://rcm-fe.amazon-adsystem.com/e/cm?ref=qf_sp_asin_til&t=doctorproduce-22&m=amazon&o=9&p=8&l=as1&IS1=1&detail=1&asins=4894510073&linkId=185fe1c8e50cdeaf135be0348686906f&bc1=ffffff&lt1=_top&fc1=333333&lc1=0066c0&bg1=ffffff&f=ifr

[sen]

★歯科治療に潜む致命的な危険性
ハルA.ハギンズ , トーマスE.レビー

アマゾンのレビューにもあるが、翻訳が最低レベル。
しかし、それを補っても余りある非常に濃い内容です。いっそのこと英語版を買うのもあり。

https://rcm-fe.amazon-adsystem.com/e/cm?ref=qf_sp_asin_til&t=doctorproduce-22&m=amazon&o=9&p=8&l=as1&IS1=1&detail=1&asins=486347072X&linkId=666d2bfa31777205c4fa1efe7525f55d&bc1=ffffff&lt1=_top&fc1=333333&lc1=0066c0&bg1=ffffff&f=ifr

遅延型アレルギーは食べ物を制限するための検査ではない

宮澤賢史 · 2019年2月26日 ·

先日、次のようなご質問を頂きました。

遅延型アレルギーについてなのですが、欧米や米国のアレルギー学会では、遅延型アレルギーの科学的根拠は乏しいとする声明が上がってきており、同様に日本でも、日本小児アレルギー学会が推奨しないとの声明を発表した、というニュースを拝見しました。

また、免疫寛容が成立してくる過程で、IgG4が上がってくるという意見もありますよね。私の勤務先でも、遅延型アレルギーを実施しておりますが、このニュースを拝見して以降、この検査の是非について自分自身も混乱しております。

先生は、遅延型アレルギーについてどのようなお考えをお持ちですか?是非、ご意見を聞かせていただければと思います。

こちらについて回答させて頂きます。

 1 アレルギー学会はIgG抗体を否定

平成26年11月19日に、日本小児アレルギー学会が「食物アレルギーの原因食品の診断法としてIgG抗体を用いることを推奨しない」という声明を出しました。

内容を見ると、

  • IgG抗体の結果を信じて除去食を行っている患者がたくさんいる
  • IgG抗体は健常人でも上昇するので診断価値はない
  • IgG抗体の結果に基づく除去食のエビデンスは存在しない
  • この検査結果に基づく除去食は意味がないし、むしろ栄養失調になるので問題

という事のようです。

彼らは、IgGの上昇は免疫寛容の進行だと主張しています。

2 免疫寛容とアレルギーの違い

免疫寛容とは、特定の者に対して免疫を抑える仕組みのことです。肉はたんぱく質のかたまりで、人にとっては異物ですが、免疫寛容が起こることで食べ物として取り込むことができます。免疫寛容に異常をきたし、本来は異物とは認識されない飲食物を異物として攻撃するために起こるのが食物アレルギーです。

消化管には免疫を抑制する制御性T細胞が多く分布しています。この細胞の働きにより、経口摂取したものには免疫寛容が生じます「食物アレルギーが疑われても、免疫寛容を促すために、症状を誘発しない範囲で食物の摂取を進めるべき」だというのが、最新の食物アレルギーに関する考え方です。

これら一連の学会の主張は、一部を除いて非常に理にかなっていると思いますし、「食物アレルギーの原因食品の診断法としてIgG抗体を用いることを推奨しないこと」「アレルギーの根本治療として免疫寛容を促すこと」には私も賛成です。

しかし、私は「症状がなくてもIgG抗体が上昇する」「エビデンスがない」という2点については疑問を感じます。

3 食物アレルギーが精神症状を起こす事は認識されていない

IgG検査と症状の発現について、

「食物アレルギーIgG4検査は成人の慢性じんましんや他のアレルギー性皮膚疾患症状に対して診断価値がない」
(Int Arch Allergy Immunol. 2011;155(1):52-6)

など、典型的アレルギー症状とIgG検査の関連の論文は散見されますが、その一方で、精神症状とIgG検査の関連に言及した論文は見受けられないようです。

以下に示すのは、メイヨークリニックのホームページからとった、食物アレルギーの症状リストです。

  • 口内がひりひりする、うずく
  • じんましん、湿疹
  • 唇、顔、舌、のど、その他の部位が腫れる
  • 喘鳴、鼻づまり、または呼吸困難
  • 腹痛、下痢、吐き気または嘔吐
  • めまい、 もうろう状態または元気がなくなること
  • その他アナフィラキシー

この中には、「多動」とか「気分の落ち込み」、「疲労感」などはないですよね。

そう、一般的な医師の通念として、「精神症状は、食物アレルギーの症状としてとらえられていない」のです。

もともと、IgG検査は分子栄養学の世界で、特に精神症状を捉える指標として発達してきたものです。それが、いつのまにか一番大切な精神症状の把握が抜け落ちて、エビデンスの十分な蓄積がないまま簡便な臨床症状のマーカーとして商業ベースにのって広まってしまったのが実情でしょう。アレルギー症状とIgG抗体の上昇の関連については、精神症状を含めて再度評価しなおす必要があると思います。

もう一つの問題はIgG検査が単独で一人歩きしているということです。

4 食事とIgG抗体の関連性

私の調べる限りでは、IBS(過敏性腸症候群)患者において、食事とIgG抗体の関連性を認める報告があります。

IBS患者では対象に比べて、小麦や牛肉、豚肉やラム肉などのIgG抗体が上昇
(American Journal of Gastroenterology, Vol. 100, pp. 1558‐9.)

IgG抗体をもとにした食事の除去でIBSの症状が減弱
(Gut, Vol. 53, pp.1459‐64.)

また、その一方で精神疾患と腸内環境(リーキーガット症候群)に関する報告も多く認めます。

うつ病患者で、腸のグラム陰性桿菌に対する免疫グロブリンが上昇している
(J Affect Disord. 2007 Apr;99(1-3):237-40. Epub 2006 Sep 27.)

腸漏出症候群を治療することで慢性疲労症候群の臨床症状も改善する
(Neuro Endocrinol Lett. 2008 Dec;29(6):902-10.)

うつ病は脳の慢性炎症であることが最近の研究で明らかになっていますが、その炎症の元として腸は非常に有力視されているのです。
(So depression is an inflammatory disease, but where does the
inflammation come from?:BMC Medicine 2013, 11:200)

5 IgG検査は腸管バリア機能を評価するためにある

また、ポーランド、ルブリン大学の精神科医 Karakuła氏は、「ゾヌリンなどにより、何らかの形で腸粘膜のタイトジャンクションが開いてしまうと、腸管の透過性が亢進する(俗にいうリーキーガットの状態)。これによってより大きな分子が腸管バリアを潜り抜け血流に達するので、それが遅延型食物アレルギーを引き起こす。この状態は免疫反応を亢進させ、炎症性サイトカインを放出させ、それがうつ症状を引き起こす。だからうつ病患者において、腸の透過性とIgGレベルを測定するのは有用ではないかと思われる。」と報告しています。(Nutr Neurosci. 2014 Sep 30.)

この考え方は、至極当然であり、そもそも、IgG検査は食物を制限するための検査ではなく、腸管バリア機能を評価するための検査です。IgGと腸管は切っても切り離せない関係なんです!IgGと腸管免疫の関係を一切考慮せず、IgGだけをみて「エビデンスが不十分」とするのはそれこそ考慮がないと思います。

以上から、私は「IgG抗体上昇に伴うアレルギー症状としての精神症状が見逃されている可能性がある」「IgG単独のエビデンスは少ないが、腸内環境と精神疾患の関係を示すエビデンスは豊富であり、これらをまとめて総合的にとらえるべき」だと考えています。

6 問題は検査だけが独り歩きする事

そもそも、前出の日本小児アレルギー学会の主張の元になっているこのカナダアレルギー臨床免疫学会の見解(Allergy Asthma Clin Immunol. 2012; 8(1): 12.)を見て頂きたいのですが、彼らが心配しているのは、

  • 十分な説明がないまま、キットだけが業者から直接消費者に売られていること
  • 十分な知識のない医師や薬剤師のいるクリニックの待合室、薬局などにおいてあること
  • その結果が間違って理解され、食物制限をした子供が発育障害を起こすこと

なのです。

IgG食物アレルギー検査は、その検査の有用性と欠点を合わせて知っている経験のある分子栄養学医にとっては、貴重な情報です。問題は検査の使い方であり、検査だけが独り歩きすることがないようにしてほしいものです。

7 検査をうまく使いこなすために

もちろん、IgG検査の欠点もたくさんあります。やってみた人はわかると思いますが、検査会社ごとに結果のばらつきが非常にあります。特に、各食物に対するアレルギーを鵜呑みにしないことが大切です。栄養療法においては、IgG検査に限らず、いかに腸内環境を把握するかが治療の成否を分けます。なぜなら、栄養サプリメントは腸管から吸収されるからです。

  • 腸内環境を把握しないまま、サプリメントを大量摂取して、腹部の膨満感が続くばかりで症状改善がない人
  • 腹部症状が改善していないのに、カンジタの除菌や、重金属デトックス治療を行い、副作用が多くて失敗した人

がとても多いです。

毛髪ミネラル検査について

宮澤賢史 · 2019年2月26日 ·

毛髪ミネラル分析検査は、その名の通り毛髪からのミネラルの排泄量とバランスを見る検査です。髪は最も早く成長する体組織であり、1か月で1cm伸びます。細胞外液に浸かっている毛包中の毛細胞が成長する際、システインがミネラルを巻き込むため、毛髪は細胞外液のミネラル濃度の経時変化の記録紙である、ということができます。

血液検査はミネラルの評価に向いていない

尿や毛髪検査を用いて重金属の蓄積やミネラルのアンバランスを測定する事は分子栄養学の処方を決めるうえで重要事項です。血液検査でもミネラルを測定する事は可能です。しかし、体内のミネラルの過不足を診断するためには、血液検査は不適当です。例えばカルシウムやマグネシウムなどは、血中濃度が狂わないように厳重に微調整がされているからです。

血液は、常に補正されているので、検査のタイミングで結構数値が変わります。しかし、毛髪検査は毛根から3cmの毛髪をすべて検体として提出することで、3か月の平均値を求めることができます。だから、基準値の設定が細かく、ミネラルのわずかな過不足を判定できるのです。

血液検査

採血した瞬間のミネラル濃度を測定するため、タイミングによって大きく値が変化する。そのため基準値を広くとる必要がある

毛髪検査

3ヶ月間のミネラル濃度の経時変化の平均を測定できるため、基準値をより細かく設定できる。だから、わずかな過不足を判定できる

また、マグロをはじめとした大型魚に含まれる水銀は、体内に入ると血中濃度が上がりますが、それはすぐに組織に吸収されてしまいます。水銀の血中濃度が上がるのはマグロを食べてから3時間の間だけです。だから、経時変化に影響を受けにくく、安定した値が得られる尿検査や毛髪検査を行うのです。

日本人は重金属まみれ

数多くの毛髪ミネラル結果を見てきましたが、重金属の全くたまっていない日本人はいません。水銀、鉛、ヒ素、カドミウムをはじめとして多彩な重金属レベルが高いのがごく普通です。いかに日本人が重金属汚染にまみれているかということがわかります。

検査会社で結果は大きく違う

髪ミネラル検査を行っている検査会社にはいくつかあります。しかし、日本人と欧米人では重金属の蓄積量が違いますので、各検査会社の重金属検査の基準値にも影響しています。これは、同一人物の毛髪を同時に2社にオーダーしたものです。

ドクターズデータ社(米国)
ら・べるびい社(日本)(以下、ら社)

このように、各ミネラルの値に関しては両社でほぼ同じですが、基準値が大きく違うため、同じ検査の値でも「 一方では正常範囲なのにもう一方ではかなり足りない 」という検査結果の解釈の違いが生じます。

例えば、21歳から40歳における、ド社の水銀の基準値は400ppb以下ですが、ら社のそれは、2183~6946ppbと、かなりかけ離れています。私の水銀値は、ら社の検査結果では基準値よりやや高い程度ですが、ド社では、飛びぬけて高くでていました。同様に、リチウムの基準値は、ド社は7~23ppb、ら社は0.32~8.4ppbです。私のリチウム結果は、ら社では、基準範囲の真ん中ですが、ド社では、最低値までグラフが振り切れています。

これらの差異は、両国に住む人の食習慣だけでなく、生活環境や、両社の測定器のセッティング等様々な要素に左右されます。これらの差異を頭に入れてデータを読んでいかないと、思わぬ落とし穴に引っかかる事があります。

  • « Go to Previous Page
  • ページ 1
  • Interim pages omitted …
  • ページ 4
  • ページ 5
  • ページ 6
  • ページ 7
  • Go to Next Page »

臨床分子栄養医学研究会

Copyright © 2025 臨床分子栄養医学研究会

  • プライバシーポリシー
  • 会員規約および会員規定
  • 利用規約
  • 特定商取引法に基づく表記