こんにちは、宮澤です。
Orthomolecular Newsによれば、ビタミンDに関する2025年の主要論文を総まとめしたレビューが出ていて、「ビタミンDをどのくらい摂るべきか」というガイドラインは、これまでの“薬のルール”に縛られたRCT(ランダム化比較試験)だけじゃなく、観察研究(コホート、疫学研究)もちゃんと根拠として採用していくべきだ、という流れがはっきりしてきたそうです。25(OH)Dという血中ビタミンD指標が高いほど、がん、心疾患、脳卒中、糖尿病、アルツハイマー、腎疾患、呼吸器疾患など主要な死因の多くで「発症・死亡リスクが下がる」ことが次々と示されていて、「600〜800 IUで十分」という旧来のガイドラインよりも、むしろ2,000 IU以上、場合によっては4,000〜6,000 IUくらいまで上げて、血中濃度40〜70 ng/mLくらいを目標にした方が、全身的な病気予防には適しているんじゃないか、という話になっているんですね。
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僕、栄養の勉強を本気で始める前って、「ビタミンD=骨のビタミン」くらいのイメージしかなくて。映画でよくある、老人がカルシウムのサプリ飲んでるシーンあるじゃないですか。あの延長線上にビタミンDを置いてたんです。でも、臨床現場やデータを追いかけるようになってみると、全然イメージが変わった。
・冬になると毎年風邪をひきまくる人
・なぜか一年中だるい人
・「検査はどこも異常なし」なのに体調が安定しない人
こういう人の背景を調べると、「日光にほとんど当たっていない + ビタミンDがめちゃくちゃ低い」ってパターン、すごく多いんです。で、サプリと生活習慣を組み合わせて25(OH)Dを40ng/mL前後まで上げていくと、「あれ、冬でもけっこう元気なんですが」「そういえば最近風邪ひいてないですね」とか、じわじわ身体の“ベースライン”が変わっていく。この論文レビューが言ってることって、僕から見ると「現場感覚とかなり合ってるよね」って話なんです。
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臨床経験から言うと、ビタミンDの話って、だいたいこんな誤解からスタートします。
– 太陽に当たってるから足りてるはず
– 健康診断で何も言われなかったから大丈夫
– サプリは1,000 IUくらいで十分でしょ?
– 多く飲むと毒になるんじゃないの?
でも、実際のデータをのぞいてみると……
– 日本人の多くが「30 ng/mL以下」=国際的には“不足〜欠乏”ゾーン
– オフィスワーク+日焼け止め常用だと「10 ng/mL台」なんてザラ
– 1,000 IU/日だと、20→30 ng/mLに持ち上げるのがやっと、という人も多い
– 4,000 IU/日くらいでも毒性報告はほぼなく、安全域はかなり広い
ってことなんです。
つまり僕たちの頭の中にはこういうイメージがある。
> 「とりあえず“最低ライン”守れてればOKでしょ」
でも実際には、
> ・最低ライン(骨がギリ折れないレベル)
> と
> ・最適ライン(免疫・脳・血管まで守れるレベル)
>
> は、まったく別もの
ってこと。
今回の記事もまさにそこを数字で示していて、
– 600〜800 IU → 25(OH)Dを「欠乏からとりあえず脱出」レベル
– 2,000 IU → 30 ng/mLを超える人が増える
– 4,000〜6,000 IU → 40〜70 ng/mLに入り、全身的な病気リスク低下が見えてくる
ざっくりこういうイメージだと理解しやすいと思います。
で、太っている人(BMI高め)は、同じ量飲んでも血中濃度が上がりにくいので、さらに多めが必要になる、ってこと。
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僕から見ると、今回のOMNSの記事が一番大事だと思うポイントはここです。
**「薬と同じルールで栄養を評価したら、ほとんどの栄養は負け戦になる」**ってこと。
薬のRCTはこういう前提で設計されてます。
– 何も飲んでない人 vs 薬を飲んだ人
– できるだけ他の条件をそろえる
– それ以外は変えちゃダメ(生活指導も最小限)
でも、ビタミンDみたいな“土台の栄養”って、本来はこういう世界で働いてる。
– すでにみんな多少は体内に持っている
– 食事・日光・サプリ・生活で常に変動している
– カルシウム・マグネシウム・ビタミンK2など他の栄養とのチームプレー
だから「もともと25(OH)Dが30 ng/mLある人を集めて、1,000 IUだけ足しました → 差が出ませんでした → 効果なし」ってやっても、それは**“設計が悪いRCT”**であって、「ビタミンDが効かない」って意味じゃないんです。
記事の中でも、ヒーニーが提案した“栄養RCTの条件”が紹介されていて、
– 低いビタミンD濃度の人だけを対象にする
– 25(OH)Dを十分高くできる量を投与する
– コファクター(他の栄養)も整える
– 結果は「飲んだかどうか」じゃなく「どこまで血中濃度が上がったか」で見る
こういう条件を満たさないと、そもそも“栄養の実力を測るテスト”になってないよね、ってことなんです。
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ここで、一歩引いて「読者の頭の中」を想像してみます。
多くの人の頭の中は、だいたいこんな感じになってることが多い。
– テレビの医者「ビタミンDは効果なしの研究も出ています」
→ 「あ、やっぱりサプリって怪しいんだな」と思う
– 別の本「ビタミンDでがんも感染症も予防できる!」
→ 「どっちなんだよ」と混乱する
– 結果 → 「よくわからないから、とりあえず何もしない」
これを整理すると、
> 「研究の質がバラバラ」+「栄養のテスト方法がそもそもズレてる」
>
> → 見かけ上“結果がバラバラ”に見える
> → メディアが都合のいいところだけ切り取る
> → 一般の人はますます混乱する
ってことなんです。
だから、僕たちがやるべき思考は、
– ① 「研究デザインは妥当か?」
– ② 「どのくらいの量を、どのくらいの期間、どのレベルの人に使ったのか?」
– ③ 「血中濃度はどこまで上がったのか?」
– ④ 「観察研究で一貫した傾向は出ているか?」
ここを押さえないと、「結論だけつまみ食い」になってしまうんですね。
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臨床経験から言うと、現実世界ではこんな“流れ”で変化していく人が多いです。
1. 検査してみる → 25(OH)Dが「20 ng/mL前後」しかない
2. 2,000〜4,000 IU/日+日光+食事で、3ヶ月〜半年かけて40 ng/mL前後へ
3. 風邪をひきにくくなる、花粉症が軽くなる、気分の落ち込みがマイルドになる
4. 「なんか、ベースの体力が上がった感じがする」と自覚してくる
もちろん個人差はあります。でも、“土台のエネルギー”や“炎症レベル”がじわじわ改善していく感じを訴える人はすごく多い。
今回紹介されていたNHANESやUKバイオバンクのデータも、まさにそれを裏づけていて、
– 25(OH)Dが30 ng/mL以上の人
→ 心疾患、がん、呼吸器疾患、腎疾患などの死亡率が有意に低い
– 75 nmol/L(30 ng/mL)を超えるような人
→ 糖尿病や脂質異常症、甲状腺や副甲状腺のトラブルのリスクも下がる
っていう流れになっているんです。
つまり、現場感覚でいうと、
> 「ビタミンDは、“特定の病気の薬”じゃなくて、“身体全体のOSアップデート”に近い」
ってこと。
これを理解していると、
「RCTで○○に有意差が出なかったから効果なし!」
という見出しを見ても、簡単には揺さぶられなくなります。
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栄養療法的にまとめると、僕が大事だと思うポイントはこうです。
– ビタミンDは「骨のビタミン」ではなく、「全身の調整役」
– ガイドラインの“最低量”と、健康維持の“最適量”は別物
– 薬のルールで作られたRCTだけを見ていると、栄養の価値は過小評価される
– 観察研究+メカニズム+(条件を満たした)RCTを組み合わせて読む必要がある
– 自分の25(OH)Dを一度測ってみて、「どのゾーンにいるか」を知るのがスタートライン
栄養療法って、
「このサプリ飲めばOKですよ」
っていう世界じゃないんです。
– 自分の状態を数字で知る
– ライフスタイルと栄養の“土台”を整える
– 必要ならサプリで「最適ゾーン」に押し上げる
こういう“設計”を学ぶことなんですね。
だから、今回のビタミンDの話も、
> 「ビタミンDってすごいらしいよ!」
> で終わらせる話じゃなくて、
>
> 「自分の身体のOSを、科学的に整えるための考え方を学ぼう」
っていう話なんです。
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僕としては、
・なぜビタミンDだけじゃなくマグネシウムやビタミンK2も一緒に見るべきなのか
・日本人の生活で、どうやって安全かつ効率よくビタミンDを上げるか
・検査値を見ながら、どこまでを目標にするか
こういうところを、また別の回で具体的に分解していきたいなと思っています。
また書きますね!

