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臨床分子栄養医学研究会

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宮澤賢史

鉄サプリのうまい使い方

宮澤賢史 · 2019年2月20日 ·

鉄と言えば、鉄欠乏性貧血です。日本人若年女性には貧血が多く、特に有月経女性、妊娠中女性、成長期の女性、乳児期では鉄不足が多く見られます。血中フェリチンは潜在性鉄欠乏を見つけるための検査として多くの方に知られるようになりましたが、その一方で炎症マーカーでもあり、検査の見方には注意が必要です。

また、鉄サプリメントは体に悪影響をきたす場合もあり、単純にフェリチンが低いからと言って大量に摂るのは危険です。ここでは、鉄の利点、欠点を知ってうまく使う方法についてご紹介します。

1.フェリチンは鉄欠乏と炎症の指標

血中フェリチンを測定すれば潜在性鉄欠乏貧血を見つける事が出来ます。フェリチンが一桁では多くの人が貧血症状(特に神経症状)を訴えます。

鉄欠乏の基準
ヘモグロビン > 12.0 g/dl  かつ フェリチン値 > 12 ng/mL
これを満たしていない場合、鉄欠乏の可能性があります。
(実際にはフェリチン値20でも欠乏症状が出ることがあります)

検査会社によってフェリチンの基準値はまちまちで、これは基準値を設定するための母集団に潜在性鉄欠乏が紛れ込んでいる可能性があります。フェリチンの基準値は参考程度に考えておいたほうが良いでしょう。また、体内に炎症があると炎症部位からフェリチンが血中に逸脱するため、血中フェリチンは上昇します。そのような場合に鉄サプリメントは無効であり、むしろ禁忌です。

2.鉄は少なすぎても多すぎてもよくない

鉄は赤血球内のヘモグロビンを構成し、酸素の運搬に関わっています。鉄欠乏は酸素欠乏を意味します。また、鉄はミトコンドリアの電子伝達系の要素でもあります。つまり、鉄欠乏貧血=酸素運搬能力低下+ミトコンドリア障害であり、慢性疲労、うつをはじめとして様々な症状を呈することになります。

その一方で、鉄は活性酸素の発生源であることも重要です。鉄はフェリチン、トランスフェリンなどタンパクと結合することによって、毒性が制御されています。つまり、鉄は多すぎても少なすぎてもよくないのです。血中フェリチンの低下に対して大量のヘム鉄サプリメントを摂取することはおすすめしません。

3.鉄欠乏性貧血にも2種類ある

ミトコンドリアを保護しつつ、活性酸素の害を避けたい場合はどうしたらいいのか?答えは、鉄欠乏性貧血の種類を見極めることです。鉄欠乏には、「体内の鉄が足りない場合」と「体内の鉄代謝が止まっている場合(代謝に使える鉄が欠乏しているという意味)」があります。鉄サプリを補給する意義があるのは、前者の方のみです。

4.鉄を調整するたんぱく質ヘプシジン

鉄の代謝を調整しているのはヘプシジンというタンパク質です。風邪をひいているとき、リウマチを患っている場合などは体内に炎症性物質が溢れています。このような時に、血中に大量の鉄があると活性酸素をさらに発生させてしまう要因となります。それを防止するために、炎症があると肝臓からヘプシジンが放出され、鉄代謝を止めます。

ヘプシジンは体内の鉄を網内系(リンパ節や脾臓など)を閉じ込め、血中に出られないようにします。腸からの鉄の吸収を止めます。炎症があり、ヘプシジンが分泌されている場合に鉄サプリを補給する意味合いは殆どありません。

5.鉄の摂取量を増やすのではなく、吸収を考えよう

一般的に1日に食事から摂取できる鉄は10mgで、そのうち吸収されるのは1mgです。しかし鉄欠乏が顕著な場合、鉄の取り込みたんぱくが多く合成されるため鉄の吸収は数倍に上昇します。食事から鉄が全く摂れない場合でも、理論上は5mgの鉄サプリメントが2錠もあれば十分鉄欠乏は改善していきます。

改善が悪い場合は、鉄の摂取量が足りないのではなく鉄の吸収を第一に考えるべきです。鉄は場合によっては危険なものですから、少ない鉄をいかに効率よく使うかがカギなのです。

6.鉄の吸収をよくする方法

鉄は酸性化(PHを下げる)したり、還元したり、錯体を作ると溶けやすくなり吸収が良くなります。

6-1.イオン化する

鉄元素はイオン化されてはじめて細胞膜のイオンチャンネルを通過できるようになります。鉄は通常Fe3+(酸化型)をとっています。還元してFe2+(還元型)にすると、鉄がイオン化しやすくなります。もしくは、pHを下げると、鉄がイオン化しやすくなります。還元するためにはビタミンCなどの抗酸化剤、pHを下げるためには胃酸が重要です。

6-2.キレート化する

キレートアイアン、もしくは天然のキレート鉄であるヘム鉄を使用することで、吸収率は格段によくなります。ヘム鉄にさらにビタミンCを加えることで吸収が良くなるようです。

6-3.炎症を抑える

炎症下では、ヘプシジンにより鉄吸収が抑制されます。そのような時は、鉄サプリを中止し、抗炎症治療を行いましょう。腸や上咽頭炎、脂肪肝などは特に見逃されやすい炎症です。

6-4.カンジタを治療する

鉄の投与がカンジタ増殖を引き起こす可能性があります。カンジタなどの真菌類は、ヒトと同じ真核生物であり、類似点が多く指摘されています。鉄はヒト細胞の代謝や、ミトコンドリア機能の維持に重要な働きを担っていますが、同様に真菌細胞においても不可欠な存在です。

真菌は、免疫低下時(抗がん剤治療時など)に、消化管から血管に移動して増殖する事が知られています。真菌の生育において、消化管内の遊離鉄濃度は充分なのに対して、血中の遊離鉄濃度は、フェリチン、トランスフェリンなどのタンパクに捕捉されるため非常に低くなっています。

そのため、真菌は血中の赤血球、トランスフェリンやフェリチンから鉄を奪取するという取込機構を持っています。

参考:カンジタと鉄代謝

鉄サプリメントの摂取がカンジタ感染の危険を増大するという報告もあります。遊離鉄に結合する働きのあるラクトフェリンをうまく使うのがよいようです。

副腎疲労と心のエネルギーの関係

宮澤賢史 · 2019年2月18日 ·

実際のセミナーの様子

PCM(Process Communication Model)の入口のセミナーである「Key To Me」というコミュニケーション講座を再受講しました。

家族や社内など一緒にいる人同士で受けると効果倍増だと聞いて、実践講座の仲間内での団体再受講を申し込んだのです。同じ講義でも再受講すると本当理解が深まります。

コミュニケーション・スキルも大変勉強になりましたが、個人的に一番刺さったのは「心の満たし方には個人差がある」という話でした。

非常に分子栄養学脳をくすぐられる話ですが、この考え方が「副腎疲労回復のカギ」になるかもしれません。

ストレスが継続していると副腎疲労は治りにくい

副腎疲労が治りにくい人は、ストレスが継続している人です。

そのような人は、暴言を吐いたり異常な落ち込みがみられたりとネガティブな振る舞いが見られますが、それは心のエネルギー不足のサインでもあるのです。

食欲、睡眠欲など生理的欲求は満たされないとわかりやすいけれども、心のエネルギーである心理的欲求はわかりにくいので放置されがちです。

しかし、心理的欲求が満たされなければ、治療のモチベーションが落ちてしまいます。栄養療法は食事なども含め結構モチベーションが必要な事が多いので、問題になります。

自分を最優先

これを維持するために重要なのは、第一に自分を最優先する事です。

副腎疲労の人は「私さえ我慢すれば・・」と自分の心理的欲求を放置して、相手を満たすことをしてしまいがちです。でも自分のパフォーマンスが落ちるので、結局相手にも満足してもらう事はできません。

まずは、自分を満たす事が最重要で、満たされたら次に周りの人たちのために役に立ってあげればよいのです。この順番を絶対に間違えてはなりません。

もう一つは「自分の心の満たし方」を知るということです。

心の満たし方にも個人差があります。

私の場合は、「自分の仕事の成果を褒めてもらう事」で心が満たされますが、うちのスタッフのほとんどは「いつもありがとうと言われる事」でした。

「自分に合うサプリや食事療法が他人にも合うとは限らない」という事を知ってる分子栄養学人なら「自分にとって良いことが他人にとって良いとは限らない」という考え方もスッと頭に入ってくるでしょう。

PCMセミナーは受講前に行われるアンケートに答えることで「自分の心の満たし方」がわかりますので、副腎疲労の方(と副腎疲労を治す治療家)皆さんに受けて頂くことをお勧めします。

ストレス回避は治療の最優先事項ですからね。これから受ける方はできれば家族や仲間と受けてください。コミュニケーションが楽になります。副腎疲労の人にありがちな人間関係のストレスも少し減るかもしれません。

増田トレーナー、ありがとうございました。各地でオープンセミナーを行っているようなので、ご興味あればぜひ。

ケーラー コミュニケーションズ ジャパン
https://www.kcj-pcm.com/

保護中: 11期講座の様子

宮澤賢史 · 2019年1月24日 ·

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栄養療法にエビデンスがないと言われる件

宮澤賢史 · 2019年1月9日 ·

「栄養療法なんてエビデンスないからダメでしょ。」と言われて困った事がある人のために書きました。

1. ビタミンCの論文は6万件

エビデンスとは科学的な根拠、裏付けの事で、医学の世界では臨床結果などを報告した論文がエビデンスとほぼイコールの意味で使われます。よく「栄養療法にはエビデンスがない」と言われますが、実はけっこうあります。例えば、医学分野のデータベースMEDLINEで「ビタミンC」を検索すると、61,916件もの論文がヒットします。但し、その多くを「専門家の意見」や「まとめ」などが占めています。

ビタミンCは免疫レベルを上昇させる
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/29099763
ビタミンCの生理作用のまとめ
https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4959991/

これらの論文はエビデンスレベルでいえば、レベル5に相当します。

2. エビデンスレベルとは

エビデンスのレベルは、患者さんごとにコインを投げて表裏で治療するかどうかを決めるランダム化比較試験と呼ばれる形式の研究が一番高く(レベル1)、根拠がない専門家の意見は一番低い(レベル5)とされています。

エビデンスレベル
レベル1 ランダム化比較試験
レベル2 ランダム化しない比較試験
レベル3 後ろ向き(過去の事象について調査する)研究
レベル4 症例報告
レベル5 専門家個人の意見

ランダム化試験には膨大な費用がかかります。製法特許を取得できない天然の栄養成分(ビタミン、ミネラルとか)を使った試験に資金を出したがる人はいませんよね。

だから、栄養療法のエビデンスの半数以上はレベル5なのです。「エビデンス・レベルが低いものが数多く存在する事」が栄養療法のエビデンスの特徴といっていいでしょう。

3. 治療の推奨グレードはエビデンスレベルで決まる

病院で行われる治療は基本的に「治療ガイドライン」に基づいています。そこに載っている各治療のお勧め度を「推奨グレード」といいます。「推奨グレード」は、主にエビデンスの質によって決まります。例えば、レベル1のエビデンスがいくつかあれば、グレードAです。

一般的なグレード分類
グレードA かなり推奨できる
グレードB 勧められる
グレードC 根拠はないが考慮してもよい
グレードD 行わない方がいい

グレードを決めるのはエビデンスの「量」よりも「質」だというところがポイントで、レベル5のエビデンスでも数がたくさんあれば、グレードが上がるかというとそうはいきません。グレードAをとるためにはレベル1のエビデンスが最低一つ必要です。

現行の推奨グレードの決定法では、10,000個の「レベル5エビデンス」は1個の「レベル1エビデンス」に勝てないのです。

この「ランダム化比較試験」至上主義の状況において、栄養療法はレベルの高いエビデンスが乏しいため、必然的に推奨グレードも低くなってしまっているのです。

4. エビデンスの質を追及すると困ること

しかし、エビデンスの質にこだわり過ぎると治療の選択肢は狭まるのも事実です。例えば、自閉症代替治療の第一人者ダン・ロシニョール医師によると、自閉症に対するグレードA(強く推奨できる)のサプリメントはメラトニンのみです。このエビデンスは睡眠時間、神経過敏などの症状の改善に関するもので、自閉症の治癒成績を表すものではありません。それに、米国で自閉症の薬として承認されているのは非定型抗精神病薬のリスペリドンのみです。これでは根本的解決は期待できません。

5. そんな理由もあって

多くの子供(74%)が適応外の治療、推奨グレードの低い治療を行っています。母親に対するアンケート調査では、食事療法を除く自閉症の補完代替医療で効果があった治療の1位はキレーション(74%の改善)でしたが、この治療の推奨グレードはCです。ちなみに2位はビタミンB12の注射治療で、推奨グレードはDです。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/19917212

このように、栄養療法を含む代替治療にはエビデンスレベルが低いものも多いのですが、これは自閉症に限った事ではありません。医療で行われていることの50%以上が有効性が確認されずに実施されているそうです。
https://bestpractice.bmj.com/

これらの事実は、エビデンスのレベルと治療効果は必ずしも一致しない事を示唆しています。

6. どんな治療でもよいわけではない

だから、レベルの高いエビデンスや推奨グレードAの治療で効果がない場合は、患者と医師が双方納得したうえで不十分なエビデンスの治療を試す機会が与えられるべきです。ただし、ここで注意したいことは、証明されていない治療にも2種類あるということです。つまり、「無害または低リスクである可能性が高いもの」か、「副作用が強く、高リスクである可能性が高いもの」です。後者の治療はなるべく避けなくてはなりません。

サプリメントを使った治療は一般的に前者であることが多いですが、特に高用量を使用する場合は注意が必要です。副作用がほとんどないビタミンCも摂りすぎれば下痢を起こします。

7. エビデンスが少ないもう一つの理由

それは、エビデンスのデザインが栄養素の効き方にあっていないからです。

・精神疾患患者567名の個別化治療で半数以上が著明改善

・アルツハイマー病100名の個別化医療改善報告

これら2つの論文は個別化治療の結果、多くの改善が認められたという症例報告です(エビデンスレベルは4)。栄養素は競合して働き、人によって必要な栄養が異なります。だから個別化治療が必須です。アルツハイマーの薬剤開発に関わっていたデール・プレデセン博士は、あらゆる原因を一つの薬で治療するのは不適当と判断し、運動、サプリメントなどを含めた包括的な試験を提案したのですがことごとく却下されました。個別化治療は「一つの薬剤に開発予算を絞る」という製薬メーカーの利益構造とはマッチしないのです。

8. 個別化医療のエビデンスを作る方法

しかし彼はめげずに、その治療をプロトコル化した結果、多くの医師が追随し、前述の素晴らしい成果を得ました。(アルツハイマー治療の詳細はこちら)彼らのように症例報告を多く積み上げる事で、今後、エビデンスレベルの判断基準が個別化医療に対応していくことは十分に考えられます。多変量解析がコンピュータの発展により容易になった現在、それは非現実的な事ではありません。栄養療法のエビデンスの行方は、日々の改善例の積み上げにかかっています。

9. 治療ガイドラインはあくまで仮説

医学というものは、仮説の集まりだという事を知っておいてください。ネット上の健康論だけでなく、厚労省の推奨している治療も含めて全て仮説です。最近の例を見ても、厚生労働省は2015年、日本人の食事摂取基準からコレステロールの上限値を撤廃しましたし、米国医学研究所は2010年、1日のビタミンD消費量を3倍の600国際単位に引き上げました。

70年前には精神疾患に対して脳の手術をすることが標準治療でした(治療の開発者は1949年にノーベル賞を受賞しています)。治療ガイドラインなんてどんどん変わっていくもので、決して絶対的な基準ではありません。仮説だからこそ根本原因を考えることが重要です。惑わされないためにメカニズム、機序を学んでください。

栄養が足りないと言われたら、サプリで補う前に、なぜ足りなくなるのかを考えましょう。人は栄養がないと生きられない従属栄養生物だからこそ、足りない栄養に着目すると体調不良の原因を見つけやすいのです。

10. まとめ

今のエビデンスの基準は栄養療法には合っていないので、「エビデンスがない=治療効果がない」とは言い切れません。エビデンスレベルが低くとも、患者と治療家が相談を重ねる事でリスクの低い治療を選択することができます。全ての医学は仮説だからこそ、治療ガイドラインを過信せずに自分の治療は自分で決める勇気を持ちましょう。

 

マイコトキシン(カビ毒)が慢性疾患の原因?含有食品と対策

宮澤賢史 · 2018年12月18日 ·

体の慢性的な疾患の原因はマイコトキシン(カビ毒)のせいかもしれません。

マイコトキシン(Mycotoxin)はまだ一般的に知られていなく、知らず知らずのうちに体内で蔓延している可能性があります。慢性的な疾患に悩んでいても、マイコトキシンが原因であることは、なかなか結びつけが難しいのが現状です。

マイコトキシンとはいわゆる「カビ毒」の事で汚染された食品の中に含まれていたり、カビが異常繁殖した環境下で発生します。カビにも多くの種類があり、人体に影響のある強い毒性をもつカビの事を「マイコトキシン」と呼んでいます。

日本は湿気が強いのでカビが生えやすい状況下にあります。また身近にある食品に、毒カビを含んでいる可能性があります。マイコトキシンを得ると体に様々な症状をきたします。食事にも気を遣って世間では「健康に良い」と言われている食べ物を積極的に摂っていても、また無理はしておらずストレス環境下にいなくても、体調が優れない方。原因不明の病気で苦しんでいる方。

この記事を読むことで、マイコトキシンとは何か。どのような食品に含まれるのか。対策は何なのかを知って頂き、排除と再発防止にむけてのお役にたてたら幸いです。

マイコトキシンの特徴

マイコトキシンは大変厄介なうえに、私達の生活の近くに潜んでいます。通常の食品カビは肉眼で発見できますから、見つけたらすぐに廃棄しますよね。ですがマイコトキシンは食品中で発生するので「カビ毒」を目で確認できません。また熱で完全死滅しないので、調理で加熱をしても残ってしまうのです。

マイコトキシンの症状

引き起こす病気は深刻で、時には死に至る事もあります。特にマイコトキシンの一つであるアフラトキシンは発がん性をもっているとも言われており、なるべく取込みを避けていくに越したことはありません。

慢性疾患は要因が多岐に渡るので、マイコトキシンが原因であると結び合わせするのが難しい状態です。また、体質や遺伝、身体の状態によっても身体への影響が大きく変わってきます。

疾患の原因がカビ毒による可能性がある人

  • カビ毒を含む食品をよく食べている(下記参照)
  • 腸内環境が悪化していて、免疫・抵抗性が低い

腸の炎症を促進する食品を摂っている方・ストレス環境下にいる方・その他様々な要因によって悪化します。

遺伝的要素がある
「カビ毒を受けやすい」遺伝体質ということでなく、体内に入ってきたカビ毒を解毒できない遺伝体質をもつ人もいます。

抗生物質・ホルモン剤を長期間服用している、またはしていた
抗生物質、ホルモン剤は菌を死滅させる為、腸内にいる乳酸菌などの良い菌も殺してしまいます。よって長い期間抗生物質を服用していた方は、腸内環境が良くない方が多く免疫が低下しています。

上記が当てはまる方で原因が不明の疾患をお持ちの方は、マイコトキシンによる影響を疑ってみてもよいかもしれません。

下記がカビ毒が誘発する症状の一部です。

症状
疲労・頭痛・集中力低下・下痢、腹痛・光過敏 など
疾患
肝障害・肝臓、食道がん・呼吸器障害・腎障害 など

このような方で、症状に自覚があれば、検査にいかれてもよいかもしれません。

マイコトキシンが原因かどうかを判断するには

マイコトキシンを疑ったら、まず検査をしましょう。検査内容はクリニックにて確認できます。

マイコトキシンの種類

先ほどお伝えしたとおり、カビにも多くの種類があり、その種類は300種以上に遡りますが、中での毒性のあるマイコトキシン(カビ毒)も種類があり、多くが食品の中にも含まれています。

主には穀物、ナッツなどの乾燥食品に多く、また豚などが食べている飼料がカビ毒を含んでいる事もあります。日本産・外国からの輸入品でもカビの検査は行ってますが、現在に至りカビ毒による被害が報告されている以上、精査が万全とは言えないのかもしれません。

以下が毒カビと言われる主なカビの種類と含む食品の一部です。

アフラトキシン:ナッツ類、穀類、落花生、トウモロコシ、乾燥果実、牛乳(飼料に含む)
オクラトキシン:穀類、豆類、乾燥果実、コーヒー豆、カカオ
トリコテセン類:麦類・豆類
フモニシン:トウモロコシ加工品など
パツリン:りんご加工品
ゼアラレノン:肉類(飼料に含む)

広く注目されているのはアフラトキシンとオクラトキシンですが、中でもアフラトキシンはカビ毒の中でももっとも発がん性が強いといわれています。

他にカビ毒が含まれる食品として、ビール・干しぶどう・ワイン・香辛料(ナツメグ、胡椒等)

マイコトキシン(カビ毒)対策でできること

見た目で判断出来ないので対策が難しいマイコトキシンですが、意識して行えることもあります。

注意①肉料理はしっかりと加熱

加熱によってカビ毒は100%消せませんが減らすことはできます。また牛乳も火を通して飲む方が安全です。そして期限を守って使い切りましょう。良く火を通して食べる事がカビだけでなくあらゆる菌を死滅することにも繋がります。

https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24915313

注意②調理・管理

たとえオーガニックの食品を使っていても、防腐剤等が入っていない分、管理に気をつけなければなりません。

湿気の多い場所での保管は避け、長期間保存することは避けましょう。カビの発生源で多いのは輸入品です。怖いのは目に見えないことなのです。食品の選び方に気をつけましょう。腸内環境の悪化はカビ毒を受けやすい

どのような病気でも、自己免疫が低下している人の方がそうでない人に比べて発症率は高くなります。マイコトキシンは、解毒し、カビを体外へ排出していくことが治療手段となります。治療には薬で解毒していく方法がありますが、検査で陽性がでたら、毒を外に排出できる身体作りをしなければなりません。

体内に炎症が多く、免疫が低下している人の身体は、上手く解毒ができないので、体内で問題が発生しているのです。腸環境に問題があると、身体に入った有害なものを振り分けてくれる排除の関門組織が崩れ、身体に悪いものを取り込んでいってしまいます。

腸内環境を悪化させる食品

①加工食品・添加物

ハム、カニかま、コンビニの出来合いのお惣菜、冷凍食品、カップ麺

裏の食品表示をみると、添加物の有無が載っていますね。あちらは身体に有害なもので、腸内環境も悪化します。

②グルテン・カゼインが含まれた食品

グルテン:パン、パスタ、うどんなどの小麦を使った商品に含まれます。
カゼイン:牛乳、ヨーグルト、チーズなどの乳製品に含まれます

この2つは構造が複雑で消化に時間がかかり、腸に負担をかけます。よって、未消化のまま腸を荒らしてしまうのです。

③精製された砂糖を始めとする糖:砂糖、はちみつ

砂糖類は「カンジタ菌」の増殖を著しく促進させます。カンジタは常在菌として普段は体内にいるものですが、腸内環境が悪化した状態だと、増殖し体調不良の原因となります。詳しくはカンジタの食事をご覧下さい。

抗炎症作用の強い食ベもの・解毒作用の強い食べ物
身体の免疫を強くしておくことは、免疫をあげることです。免疫をしっかりと持っていればある程度の耐久性のある身体にすることができます。

言うまでもなく、抗炎症作用・解毒作用の強い食べ物は積極的に取り入れていきたいです。

抗炎症作用のある食品

腸に炎症がある場合、炎症を食品から止めていくことも効果の一つです。

人間は身体はPHによって酸性とアルカリ性でバランスを保っていますが、酸性に傾くと体内で炎症が起きやすくなってきます。

  • ココナッツオイル
  • ハーブ、スパイス(オレガノ・ローズマリー、にんにく、生姜、ターメリックなど)
  • オメガ3系の油(DHA.EPAが含まれる青魚

こちらは代表的な抗炎症作用の強い食品です。ただし青魚は食べすぎは注意です。(水銀が含まれるので)

解毒作用のある食品

カビ毒を外に出すにはデトックスして毒を排出しなければなりません。下記にデトックス作用のある食材をまとめました。イオン化合物を含む食材は有害物質を硫黄がキャッチし、外に押し出してくれます。主には野菜に含まれています。

食材:ニンニク・ニラ・玉ねぎ・長ネギ・パクチー

水分を普段あまり摂らない方は、水分補給も意識して行いましょう。カビ毒を受けないようにするにはまず身体の調子を普段から整えておくことが大切です。日本は湿度が高く、私達が普段頻繁に食す食材にカビ毒は多く含まれます。

原因不明の慢性疾患が、カビ毒が要因となっていることは可能性として十分考えられますので、不調がある方は是非検査をされてみてくださいね。

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