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臨床分子栄養医学研究会

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現在の場所:ホーム / アーカイブ冨田のぞみ

冨田のぞみ

「メンタル弱さ」は栄養不足のサインかもしれない

冨田のぞみ · 2026年3月11日 ·

こんにちは、宮澤です。

ATMC Teamによれば、Amanda さんは「怖くて、栄養失調で、心身ともにボロボロ」の状態で施設に入り、当初の自分の「計画」に固執していたけれど、途中で専門家チームの提案するケアプラン(とくに食事・栄養のプラン)に身をゆだねたことで、体も心も明らかに元気になっていったそうです。ATMCという場所の魅力は豪華な設備やセラピーのメニューそのものではなく、「その一つひとつを支えている人たち」と「そこで生まれるつながり」にあり、治療は一直線のゴールではなく、手術や挫折、進路変更を含めた“曲がりくねった旅”として受け入れることで、初めて本当の意味での回復が始まる──そんなメッセージが、Amanda さんの卒業スピーチから強く伝わってくる記事でした。

—

僕、この前ひさしぶりに昔好きだった映画を見返してたんです。
主人公が「心の問題」を抱えて療養する話なんだけど、描かれている食事が、まぁ見事にひどくて。

・真っ白なパンと甘いシリアル
・巨大なコーヒー
・カロリーだけはあるけど中身がスカスカなジャンク

それでいて、セリフの中では「心のケア」「トラウマ」「感情を表現しよう」といった“メンタルの話”ばかり出てくる。

見ながら僕はずっとこう思ってました。
「いや、その前にタンパク質入れようよ…」って。

日常でも同じで、
カウンセリングにはお金も時間もかけるのに、食事は

→ 朝はコーヒーだけ
→ 昼はパンかパスタかおにぎり一個
→ 夜は疲れすぎてコンビニかウーバー

みたいな人、多いんですよね。

で、「自分はメンタルが弱いから」とか「性格の問題だ」とか言い出す。
実際にカウンセリングや栄養相談をしていると、僕の頭の中ではこんな会話が起きています。

—

クライアントの頭の中:
「やる気が出ない」
「不安が強い」
「気分の波が激しい」

僕の頭の中:
「それ、本当に“性格”じゃなくて…」
「血糖値ジェットコースターになってない?」
「鉄・亜鉛・ビタミンB群、足りてる?」
「タンパク質、何グラムぐらい食べてるんだろう…」

—

ATMC の記事でも印象的だったのが、Amanda さんが
「お肉のこと、あなたたちに言われて、そのプランに従ったら、体がすごく健康になった」
とハッキリ書いていたところ。

ここ、すごく象徴的だと思うんです。

・自分の頭の中の「こうするべき」というプラン
 vs
・専門家から見た「身体が回復するプラン」

このギャップって、実はものすごく大きい。

—

私から見ると、Amanda さんの体験は「栄養療法の本質」をかなりよく表していて、

→ きれいな施設でも
→ 高度な心理療法でも
→ おしゃれなデトックスでもなく

「①きちんと栄養が入る
 ②それを支える人との安全なつながりがある
 ③自分のこだわりを一回手放して、身体の声に合わせる」

この3つがそろったときに、メンタルも初めて“底上げ”されるってことなんです。

臨床経験から言うと、
・栄養が足りないままカウンセリングだけ頑張る
・生活習慣ボロボロのまま薬だけ変える
このパターンで、遠回りしている人はものすごく多い印象があります。

栄養療法って、「サプリを山ほど飲むこと」じゃなくて、

→ 脳と心がちゃんと働く“材料”を、毎日のごはんで確保する
→ そのうえで、必要なところだけをピンポイントで補う

ってことなんです。

・朝にタンパク質を入れて血糖値のジェットコースターを止める
・鉄・亜鉛・ビタミンB群を整えて、神経伝達物質の“原料不足”を防ぐ
・脂質の質を整えて、脳の膜やホルモンをきちんと作る

こういう地味なことの積み重ねが、
「不安がおさまってきた」
「前より落ち込みにくい」
「イライラの波が小さくなった」
みたいな“感情の底力”になっていく。

Amanda さんが「自分のプラン」を一度横に置いて、
「肉をちゃんと食べる」という提案に乗ったことは、

→ 頭の中の理想よりも
→ いまの身体が何を必要としているか

にフォーカスを移した、すごく実践的な一歩だったと思います。

だから僕としては、
「心の問題だから、心だけを見ればいい」
「メンタルはメンタル、体は体」
という古い分け方は、もうそろそろ卒業していいと思っていて、

・メンタルがしんどいときこそ
 → 睡眠
 → 血糖値
 → タンパク質・鉄・亜鉛・ビタミンB
このあたりを“土台”として学ぶべき、というのが僕の結論です。

また書きますね!

参考にした記事:
[Amanda’s Amazing Journey to Mental Health Freedom](https://www.alternativetomeds.com/blog/amandas-amazing-journey-to-mental-health-freedom/)

イルカが教える老化ブレーキ栄養C15:0

冨田のぞみ · 2026年3月2日 ·

こんにちは、宮澤です。

Guest Authorによれば…アメリカ海軍の“ドルフィン部隊”の高齢イルカを調べていた獣医チームが、「人間と同じようにコレステロール高値・脂肪肝・慢性炎症を起こすイルカ」と「年をとっても元気なイルカ」の違いを解析したところ、血液中の“C15:0(ペンタデカン酸)”という「奇数鎖脂肪酸」の量が決定的に違っていた、というお話でした。C15:0が多いイルカほど赤血球や代謝、心血管の状態が良く、エサの魚に含まれるC15:0を増やすと健康状態が改善した。そこから人間の研究が一気に進み、C15:0は「90年ぶりに見つかった新しい必須脂肪酸候補」であり、細胞膜を強くしてミトコンドリア機能・免疫・心血管・肝機能など“老化のカギ”になる経路(AMPK活性化・mTOR抑制など)に働く「ジェロプロテクター(老化防御因子)」として注目されている、という内容です。

—

僕、昔からSF映画の「不老長寿もの」が大好きで。
でも、現実の外来では「老化を止める魔法の薬」なんて当然なくて、みんな仕事や家事でヘトヘトになりながら、「せめて10歳若く見られたい」「検診の数値だけでもマシにしたい」っていう、すごく人間くさい願いを抱えて来られます。

・夜ふと鏡を見たら、肌のハリが「あれ、急に落ちた?」
・健康診断の結果表を開くと、赤や黄色マーカーが年々増えていく
・SNSには元気な同年代が映っていて、「私だけ老けていってない?」と焦る

頭の中はだいたいこんな感じですよね。
→「老化を止めたい」よりも、「これ以上ガタガタになりたくない」ってこと。

そこで栄養療法の僕らがやることは、
「年齢そのもの(暦年齢)をいじる」のではなく、
「細胞レベルの老化スピード(生物学的年齢)をゆっくりにする」ことなんです。

—

僕から見ると、この記事のC15:0の話は「脂質=悪者」という単純な図式をひっくり返してくれる、かなり重要なピースです。

僕らは長年、
・飽和脂肪酸=悪
・不飽和脂肪酸(オメガ3など)=善
みたいなザックリ構図で語られてきたけれど、C15:0みたいな“奇数鎖”の脂肪酸は、
→「細胞膜を丈夫にして寿命を伸ばす側」に回っている可能性が高いんです。

ポイントを整理すると、

– C15:0は
→ 酸化されにくく、細胞膜を“シールド”みたいに強化
→ AMPKオン・mTORオフで、「長寿スイッチ」に近い経路を調整
→ ミトコンドリア、免疫、炎症、血管、肝臓など“生活習慣病の集合体”に広く効いている
– 人の大規模コホートでも
→ 血中C15:0が高い人ほど、代謝・心血管リスクが低い
→ 生物学的年齢が若い(エピゲノム指標で)
– 低C15:0状態では「細胞がもろくなる・鉄依存性の細胞死(フェロトーシス)が進む」という“栄養欠乏症候群”のような像まで描かれている

ってこと。

栄養療法的には、
「ビタミンやミネラルだけじゃなく、脂肪酸の“質とバランス”も立派な治療ターゲットなんだよ」
という流れが、また一段ギアを上げた感じなんです。

—

臨床経験から言うと、「C15:0だけ飲めば若返る」なんてことは当然なくて、いつも通り“土台”が優先です。

– 睡眠:夜更かし続きで交感神経ギンギン → どんなサプリも焼け石に水
– 食事:
→ 超加工食品+砂糖+質の悪い油まみれ
→ たんぱく不足&食物繊維不足
– ストレス:常にマルチタスク&気絶するように寝落ち

この状態で「C15:0が老化を防ぐらしい」と聞いても、
→ たぶん“微妙な効果”しか出ない、というのが僕の感覚です。

逆に、
・糖質・脂質のバランスをそこそこ整え
・オメガ3や食物繊維もある程度とれていて
・睡眠とストレスケアも「完璧じゃないけど、まあ頑張ってる」くらいの人が
そこに“最後のピース”として、C15:0のような「細胞膜&長寿経路に効く脂肪酸」を乗せてくると、
→ 血液データや体感の変化が数字以上にハッキリ出やすいんです。

なので、僕の立場としては、

– 「C15:0は、必須脂肪酸候補としてかなり有望」
– 「ジェロプロテクターとして“老化のスピード”を下げる一手になる可能性大」
– 「でも、これは“魔法の弾丸”じゃなく、生活全体を整えた土台の上でこそ活きる“仕上げのパーツ”」

という整理をしたうえで、
患者さんにも読者さんにも「脂質の学び直し」をおすすめしたい、というのが本音です。

—

じゃあ、具体的に僕らは何から学べばいいのか。

読者の頭の中はたぶん、

– 飽和脂肪酸は全部悪いんじゃないの?
– バターやチーズを増やしていいってこと?
– オメガ3・オメガ6とのバランスはどうなるの?
– サプリで取ったほうがいい?食事から?

こんな疑問でいっぱいのはずです。

これを雑にまとめると、

1. 「飽和脂肪酸=1つのグループ」じゃなくて
→ C15:0みたいに“むしろ保護的”に働くものがある
2. 「脂質の話=カロリーとコレステロール」じゃなくて
→ 細胞膜・ミトコンドリア・炎症・エピゲノムまで含めた“老化デザイン”の話
3. 「サプリでなんとかする」じゃなくて
→ 食事・生活の土台を整えたうえで、“必要なピースを的確に足す”のが栄養療法

ってことなんです。

だからこそ、
→ 僕らは「脂質と老化(ジェロプロテクション)」をちゃんと学ぶべきなんです。

C15:0は、その入り口としてすごくおもしろい題材。
イルカの話をきっかけに、「自分の細胞の老化とどう向き合うか」を考え直してみてほしいなと思います。

また書きますね!

参考にした記事:
「How Helping Older Dolphins Unlocked A Secret To Healthy Aging」

How Helping Older Dolphins Unlocked A Secret To Healthy Aging

薬より先に「脳の土台」を整える栄養メンタルケア

冨田のぞみ · 2026年3月1日 ·

こんにちは、宮澤です。

Diane Ridaeusによれば、三環系抗うつ薬アミトリプチリンは「どう効いているのか完全には分かっていない」のに、世界で年間8億件超も処方され、今後さらに増える見込みだそうです。うつ病が適応ですが、実際には頭痛・不眠・慢性痛などにもオフラベルで広く使われていて、その一方で、性機能障害(PSSD)、体重増加、心臓への負担、妊娠中の奇形リスクなど、長期的な副作用がかなりしつこく残ることがある。しかも、神経伝達物質を「ピンポイント」ではなく広くいじる“dirty drug”なので、他剤との併用リスクも多い。だからこそ「根本原因を探さずにまず薬」ではなく、栄養療法や他の非薬物アプローチを含めた代替策・補完策をもっと真剣に検討しよう、という内容です。

—

僕、昔から「薬に頼らずに何とかしたいタイプ」なんですけど、同時に、睡眠が一気に崩れたときのあの絶望感とか、頭痛が毎日続くしんどさもよく分かる。映画で、主人公が眠れなくて夜中に冷蔵庫を開けて牛乳をそのまま飲むシーン、ありますよね。あれって、まさに「何でもいいから、今この苦しさを止めたい」っていう心の叫び。現実でも、そこに「じゃあ、とりあえずこの薬で様子みましょうか」と抗うつ薬や睡眠薬がスッと差し出される。
その瞬間、頭の中ではこんな感じになりがちです。

– 今のつらさ → 今すぐ止めたい
– 医者が出してくれる薬 → 効きそう、早そう
– 副作用・長期リスク → よく分からない、でも「まあ大丈夫でしょ?」

でも、体の中で起きていることをざっくり言うと、

「脳の配線やホルモンをかなり強引にいじる」
→ その結果として、
「気分・睡眠は少しマシになるかもしれない」けど
「性機能・体重・心臓・肝臓・妊娠への影響など、別のツケがじわじわ出てくる」

ってことなんです。

ここで、栄養療法の話が出てきます。

—

### 薬と栄養療法、役割がぜんぜん違う

顧客の頭の中って、だいたいこうなりがちです。

– 抗うつ薬 → 「気分を上げるスイッチ」
– サプリや栄養療法 → 「効くかどうかよく分からない補助的な何か」

でも、僕から見ると実際は逆で、

– 抗うつ薬 → 「一時的に症状の音量を絞るリモコン」
– 栄養療法 → 「そもそもスピーカーや配線を修理する作業」

って感じなんです。

たとえば、うつっぽさ・不安・慢性疲労・頭痛の裏側に、こんなサインが隠れていることは本当に多い。

– 亜鉛・鉄・ビタミンB群不足
– 血糖値がジェットコースターみたいに乱高下
– 腸内環境がボロボロ(便秘・下痢・ガス・膨満感)
– 睡眠の質が悪い(深い眠りが足りない)
– 慢性的な炎症(関節痛、肌荒れ、アレルギー体質など)

これらが全部、

→ 神経伝達物質の材料不足
→ ホルモン(セロトニン、ドーパミン、メラトニン等)のバランス崩壊
→ 結果として「気分が落ちる」「眠れない」「体が痛い」

に直結している。

ここを治さずに、いきなりアミトリプチリンでセロトニンやノルアドレナリンの「行き先」だけいじっても、
土台はボロいままなんです。

—

### 「dirty drug」vs「クリーンな栄養」のイメージ

アミトリプチリンは、神経科学者の間で“dirty drug”と呼ばれています。
理由はシンプルで、

– セロトニン
– ノルアドレナリン
– ドーパミン
– ヒスタミン
– アセチルコリン
– イオンチャネル(Na・Ca・K など)

みたいな、全然別のレシーバーを一気にいじってしまうから。

イメージとしては、

– ラジオの「ボリュームだけ」いじりたいのに
– つまみを回したら、音量もチャンネルも、電源も、スピーカーの配線も、
ぜんぶ同時にガチャガチャ動いてしまう

→ そりゃ、副作用も多くなりますよね、って話なんです。

一方、栄養療法はもっとシンプル。

– タンパク質 → セロトニンやドーパミンの「材料」
– 鉄・亜鉛・マグネシウム → それらを合成・代謝するための「工具」
– ビタミンB群 → エネルギー産生と神経の「潤滑油」
– オメガ3 → 脳細胞の「膜」の質そのものを良くする

つまり、

「壊れた部品を交換して、道具を揃えて、油をさしてあげる」
→ システムそのものが静かに、じわっと復活してくる

っていうアプローチなんです。

—

### 臨床経験から言うと、薬だけで解決しようとするほど泥沼化しやすい

臨床経験から言うと、
「とりあえず薬で抑えておこう」とスタートしたケースほど、

– 用量が増える
– 薬の種類が増える
– 副作用対策の薬がさらに増える

→ 気づいたら、毎日数種類の向精神薬+睡眠薬+整腸剤+胃薬
みたいな状態になっていることが珍しくありません。

しかも、本人の感覚はこうなりがちです。

– 前よりマシなところもある
– でも、だるさ・性機能障害・体重増加・頭のモヤモヤは増えた気もする
– どれが自分で、どれが薬の影響なのか分からない

ここで、血液検査や尿検査、食事・睡眠・生活習慣を細かく見ていくと、

– たんぱく質・鉄・亜鉛・ビタミンDがバツグンに不足
– 糖質過多+カフェイン依存
– 腸内環境が荒れまくっていて、栄養がそもそも吸収されていない

みたいな「見落とされていた根本要因」がボロボロ出てくるんです。

薬を全否定するつもりはまったくありません。
命を救う場面も、もちろんある。
ただ、僕は、

– 「薬だけで何とかしよう」とする
→ 結果として、長期的なツケを払う人が多すぎる

と感じています。

だから僕のスタンスは、

1. 今の症状のつらさはちゃんと認める
2. でも、「脳が薬不足」なんじゃなくて「栄養・環境・生活が崩れている」可能性を徹底的に探す
3. 必要なら薬と併用しつつ、できるだけ「クリーンな栄養」と「生活習慣」で土台を立て直す
4. 土台が整ってきたら、主治医と相談しながら、最低限の薬にしていく(あるいは減薬を目指す)

という順番を、大事にしたいと思っています。

栄養療法を学ぶっていうのは、

「サプリオタクになる」ってことじゃなくて、
「自分の脳と心のメカニズムを、薬任せにしないで理解しにいく」

ってことなんです。

—

だから僕は、
アミトリプチリンみたいな強い薬を「飲む/飲まない」の白黒だけじゃなくて、

– なぜ今の症状が出ているのか
– それを支えている栄養・生活習慣のパターンは何か
– 自分の体質に合った、長期的に続けられる栄養戦略は何か

ここを一緒に考えられる人が増えてほしいと思っています。
そのためにも、「栄養療法」という視点は、これからのメンタルケアにとって必須の教養になっていくはずです。

また書きますね!

—

参考にした記事:
[Amitriptyline: Revisiting the Long-Term Effects 60 Years On](https://www.alternativetomeds.com/blog/amitriptyline-revisiting-the-long-term-effects-60-years-on/)

細胞のゴミ掃除で若返るミトコンドリア健康術

冨田のぞみ · 2026年2月28日 ·

こんにちは、宮澤です。

この前、子どもと一緒に久しぶりに「バック・トゥ・ザ・フューチャー」を見たんです。デロリアンが時間を飛び越えるあのシーン。
「この車、なんでこんなエネルギーあるんだろう?」って子どもが聞くから、「中に小さな発電所が入ってると思えばいいよ」と答えながら、ふと頭に浮かんだのがミトコンドリア。
僕らの体も、実は同じで。
見た目は同じでも、中にある“発電所”=ミトコンドリアの元気さで、疲れやすさも、回復力も、将来の老け方もぜんぜん変わってくるんですよね。

—

Kara Fitzgerald, NDによれば、加齢の根本ドライバーの一つは「ミトコンドリアの機能低下」で、これが疲労感、筋肉量の低下、回復力の遅さ、全身のレジリエンス低下につながるとのことです。そして、そのカギになるのが「ミトファジー(傷んだミトコンドリアを入れ替える細胞のリサイクル機構)」と、それをサポートする「ウロリチンA」というポストバイオティクス。ざっくり言うと、腸内細菌が一部の人だけ作れる特殊な代謝産物で、食事だけで十分な量をまかなうのは難しい。最近のヒト臨床試験では、ウロリチンAがミトコンドリアの質管理を改善し、加齢に伴う筋力低下や疲労感に良い影響を出す可能性が示されてきていて、「どんな人に役立ちそうか」「臨床でどう使うか」といった実践的なポイントまで議論されている、という内容なんです。

—

僕から見ると、これは「アンチエイジングの新成分の話」じゃなくて、「細胞のゴミ掃除をどうデザインするか」の話。
日常でよくあるパターンって、

– 朝起きても疲れが抜けない
– ちょっと運動すると翌日までぐったり
– 検査は“正常”だけど、とにかくパワー不足

こういう人の頭の中って、たぶんこんな感じなんですよね。

「サプリ増やせば元気になるはず → ビタミンもプロテインも飲んでる → でも体感がイマイチ → もう歳だから仕方ないのかも」

でも、ミトコンドリア視点で見ると、

– 新しい栄養を入れる(インプット)だけじゃなく
– 古くて壊れたミトコンドリアを捨てて入れ替える(メンテナンス)

この2つがセットじゃないとエネルギーは上がらない、ってことなんです。

だから、栄養療法で本当に考えるべきなのは、

→ 何を足すか(栄養素・サプリ)
だけじゃなくて
→ どうやって古いものを手放して、細胞を若返らせるか(ミトファジー・オートファジー)

ここに食事・睡眠・運動・腸内環境・ポストバイオティクス(ウロリチンAみたいなやつ)をどう組み合わせるか、という“設計”が必要なんです。

臨床経験から言うと、「疲れやすい」「なんとなく老けた気がする」という人ほど、
・血糖コントロール
・たんぱく質とミネラル不足
・腸内環境の乱れ
このあたりを整えるだけでも、ミトコンドリアがけっこう元気になっていきます。そこに、ミトファジーを促す要素(軽い空腹時間をつくる、質の良い睡眠、適度な筋トレ、そして必要ならポストバイオティクスなど)を足していくと、「エネルギーが戻ってきた」「回復が早くなった」と感じる人が増えてくるんですよね。

つまり、
「老化=見た目のしわ」じゃなくて
「老化=ミトコンドリアのメンテナンス不足」ってこと。

だからこそ、これからの栄養療法では
・エネルギーを“足す”栄養学だけじゃなく
・細胞の“入れ替え”を促す栄養学とライフスタイル
この両方を学ぶべきだし、その一つのピースとしてウロリチンAのようなポストバイオティクスをどう活用するかを考える価値がある、と僕は思っています。

また書きますね!

参考にした記事:
[Strategies to Restore Mitochondrial Function and Support Healthy Aging: The Role of Urolithin A](https://www.drkarafitzgerald.com/2026/02/27/webinar-timeline-urolithin-a-mitochondrial-function/)

腸から守る、更年期の骨と未来

冨田のぞみ · 2026年2月25日 ·

こんにちは、宮澤です。

Kara Fitzgerald, NDによれば、更年期前後の骨密度低下は「ホルモンだけの問題」ではなく、腸内環境と慢性炎症が大きく関与しているそうです。今回紹介されていたSōlaria biōの研究では、野菜や果物の内部に住む「エンドファイト」と呼ばれる微生物を利用したシンバイオティクス(プレ+プロバイオティクス)を使い、閉経後早期の女性で骨密度の減少を最大85%も抑え、骨吸収マーカーCTXも有意に下げた臨床試験データが出ています。要点としては、①骨量は30代でピークを迎え、その後は静かに減っていく「サイレントクライシス」であること、②骨を壊す「破骨細胞」は炎症シグナルで活性化される免疫細胞の一種であること、③腸内環境と腸管バリア・炎症・免疫の状態が骨代謝に直結していること、④従来の「とりあえずカルシウムとビタミンD」では不十分で、腸―免疫―骨の軸を意識した介入が必要、という話です。

—

僕、昔から医療ドラマが好きで、救急でおばあちゃんが転倒して大腿骨を折るシーンを見るたびに、「あれって一瞬の不注意で起こる不運な事故」くらいに思ってました。
でも実際に外来で患者さんを診るようになると、階段をちょっと踏み外しただけ、椅子から立ち上がろうとしただけ、くしゃみをしただけ…そんな“小さなきっかけ”で骨折して、その後の生活がガラッと変わってしまうケースを何人も見るわけです。

ここで、多くの人の頭の中はこんな感じになっています。

– 骨折した
 → 骨が弱っていたらしい
 → 年だからしょうがないよね
 → とりあえずカルシウムと薬かな

でも、実際の順番はかなり違っていて、

– 20〜30代:ピーク骨量が十分に作れていない
– 30〜40代:ゆるやかな骨量低下(本人は無自覚)
– 更年期前後:腸と炎症の問題+ホルモン変化で、一気にカーブが急になる
– 60代以降:やっとDEXA(骨密度検査)を受ける頃には
 → もう「結果」が出てしまっている

ってことなんです。
ドラマで骨折する“その日”は、「何十年も前から続いていたプロセスのゴール」にすぎない。

—

僕から見ると、この記事のいちばん面白いところは、骨の話をしているようで、実は「腸と免疫と炎症の話」をしている点です。

栄養療法の現場でよく見るパターンをざっくり書くと、

– 腸の状態が悪い
 → 透過性アップ(リーキーガット傾向)
 → 免疫が常に軽く“警報モード”
 → 慢性炎症(低レベルだけど常にオン)
 → 破骨細胞がじわじわ優位
 → 気づいた頃には骨がスカスカ

っていう流れ。
これ、血液検査でCRPとかIL-6がそんなに高く出ていなくても、骨レベルや組織レベルでは起きていることがある、というのがポイントです。

臨床経験から言うと、「骨の悩みのある人=カルシウム不足の人」とは限りません。
むしろ、
– 便秘や下痢をくり返す
– お腹が張りやすい
– 食後に強い眠気やだるさ
– 皮膚トラブルや関節痛が地味に続く

こういう“日常のちょっとした不調”の積み重ねがある人は、骨のリスクも高めに見ておいた方がいい印象があります。

つまり、
「骨はカルシウムの問題」じゃなくて
「骨は、“炎症と腸”が映し出された結果」
ってこと。

だからこそ、栄養療法で学ぶべきは、

– 腸内環境(マイクロバイオーム)をどう整えるか
– 腸管バリアをどう守るか
– 食事とサプリで炎症シグナルをどう下げるか
– 骨のマーカー(CTXやP1NP)をどうモニタリングするか

みたいな「システムとしての身体の見方」なんです。

今回の記事で紹介されていたBōndiaのような、植物由来のシンバイオティクス(プレ+プロバイオティクス)を使った骨アプローチは、まさにこの発想の延長線上にあって、
– HRT(ホルモン補充療法)
– ビスフォスフォネートなどの薬物療法
– 食事・運動・ビタミンD/K、ミネラル補充

と「競合」するんじゃなくて、「土台の炎症と腸」を支える“下地作りのツール”として位置づけるとしっくりきます。

要するに、
骨の話をするときに、**腸と炎症をセットで考えないのは、かなりもったいない**というのが僕の結論です。
だからこそ、栄養療法では「カルシウムを足す」だけじゃなく、腸―免疫―骨のつながりを理解して学んでいく価値がある、と強く感じています。

また書きますね!

参考にした記事:
Why Bone Loss Accelerates With Aging: The Gut–Bone Connection

Why Bone Loss Accelerates With Aging: The Gut–Bone Connection

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