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臨床分子栄養医学研究会

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受講者の声

油と腸内細菌で変わる「漏れない腸」のつくり方

冨田のぞみ · 2026年6月24日 ·

こんにちは、宮澤です。

この前、子どもと一緒に映画を観ていて、ポップコーンをつまみながら「これ、身体の中でどう処理されてるんだろう?」なんて一人で考えてました。
職業病ですね。
で、ふと周りを見ると、みんな「糖質が…」「グルテンが…」って話はするのに、「脂の行き先」ってほとんど気にしてないんですよね。

でも実は、僕らが毎日なんとなく食べている油の質が、腸のバリア機能とかアレルギー反応、免疫の過敏さにまで直結している、っていう面白い論文を読んだんです。
Romilly Hodges, MS CNSによれば、「多価不飽和脂肪酸(PUFA)の代謝って、まず腸で起きていて、しかも腸内細菌と超ディープな会話をしている」と。
その中で紹介されていたのが、あるマウスの話。食物アレルギーには“なりやすい体質”なのに、口から食べてもアナフィラキシーを起こさない不思議なマウスがいて、その秘密を追いかけたら「DPEP1」という遺伝子と、アラキドン酸から作られるロイコトリエンという脂質メディエーターにたどり着いた、と。
ポイントはざっくり言うと、

– 腸の「漏れ」はタイトジャンクションだけじゃなくて、粘液を作るゴブレット細胞ルート(GAP)からも起きる
– アラキドン酸→ロイコトリエン(特にLTD4)が、このゴブレット細胞ルートを通じた“抗原の通過”をガンガン煽る
– そのロイコトリエンの量や動きは、「どんな脂を食べているか」と「どんな腸内細菌が棲んでいるか」でかなり変わる

という話。
つまり、油の質+腸内細菌=腸のバリア&免疫のテンションを決める大きなハンドル、ってことなんです。

—

僕のフランクな告白をすると、20代の頃は「油=太る原因」くらいにしか思っていませんでした。焼き肉行って、ラーメン食べて、「運動すればOKでしょ?」みたいなノリ。
でも栄養療法をやっていく中で、「油変えただけで鼻炎が軽くなった」「甘いものは前と同じなのに、関節が痛くなくなった」というケースを何度も見て、「あ、これカロリーの話じゃないな」と実感してきたんです。

たとえば、こんな頭の中の会話、ありません?

– 「検査すると“腸が弱ってますね”って言われるけど、じゃあ何を変えればいいの?」
– 「グルテン・乳製品・砂糖は一応気をつけてる。でも、まだ炎症っぽい…」
– 「サプリは増やしたくない。食事でなるべくなんとかしたい」

ここに今回の話を当てはめると、
→ 腸の“漏れ”は、小麦だけのせいじゃない
→ アラキドン酸の多い食生活+腸内細菌のバランス崩れ
→ その結果として、ゴブレット細胞ルート経由で「いらないもの」が血中に入りやすくなる
っていう別ルートが見えてくるんです。

—

私から見ると、この論文の一番のインパクトは「腸のバリアって、タイトジャンクション“だけ”をいじっても不十分だよね」というところです。
臨床経験から言うと、
・グルテンカット+プロバイオティクスだけで劇的に変わる人
よりも、
・油の質を変えた瞬間に、腸の症状と全身の炎症サインがスッと引く人
の方が、実はかなり多い。
だからこそ、
「腸の炎症=リーキーガット=タイトジャンクションの問題」
という単純な図ではなくて、
「PUFA(特にアラキドン酸)+ロイコトリエン+ゴブレット細胞+腸内細菌」
のセットで見ていく必要がある、というのが僕の結論です。

—

じゃあ、具体的に僕らが日常でどう変えればいいのか。
ここが一番知りたいところですよね。

ざっくり、腸バリアと免疫過敏を落ち着かせるための「PUFA・腸内細菌・生活」の整え方はこんなイメージです。

### 1. 「アラキドン酸をゼロ」にするんじゃなくて、「音量を下げる」

アラキドン酸は、
– 肉(特に脂身の多い部分)
– 鶏皮、鶏肉
– 卵黄
– 乳脂肪の多い乳製品
に多いです。

ここで大事なのは
→ 完全NGではなく「頻度と量を調整する」
ってこと。

目安としては、

– 毎日脂っこい肉・揚げ物・卵たっぷり → 一回リセット
– 肉は「脂少なめ」「グラスフェッドや放牧系」を選ぶ
– 卵は1日1個前後におさめて、その分魚(特に青魚)を増やす

みたいな感じ。

「唐揚げ+マヨネーズ+卵かけごはん+ラーメン」みたいな“アラキドン酸祭り”状態が続くと、腸のロイコトリエン回路に、ずっと燃料を注ぎ続けているイメージなんです。

### 2. オメガ3とポリフェノールで「炎症のスイッチ」を下げる

ロイコトリエンが暴れるには、「炎症シグナル」が必要です。
つまり、そのスイッチを下げればいい。

意識してほしいのは、

– オメガ3
– 青魚(サバ、イワシ、サンマ、サケ)を週3〜4回
– 良質なフィッシュオイル(必要なら)
– ポリフェノール(PLA2やLOXを抑える)
– ターメリック入りのスープ・カレー
– オリーブオイルを「ドレッシングとして」毎日
– 玉ねぎ、りんご、ベリー類、緑茶

こういう食材が増えてくると、
→ アラキドン酸はそこそこあっても、ロイコトリエン暴走モードになりにくい
という「環境」がつくれます。

### 3. 腸内細菌に「ゴブレット細胞のサポーター」を増やす

今回の論文で面白いのは、
→ 短鎖脂肪酸(酪酸など)が、ゴブレット細胞と粘液層を元気にする
→ 一部の乳酸菌やE.coli Nissle 1917が、アラキドン酸ルートを反らせたり、炎症を鎮める脂肪酸を作る
っていうところ。

ここから逆算すると、

– 食物繊維を増やす
– 野菜は1日両手3杯
– 海藻・きのこを「毎日どれか1品」
– 雑穀やオートミールを少量でもいいから習慣化
– 発酵食品を散らして入れる
– 納豆、味噌、ぬか漬け、キムチ、ヨーグルト、コンブチャなど
– 必要に応じて
– ビフィズス菌系・乳酸菌系のプロバイオティクス
– E.coli Nissleは日本では使いにくいですが、概念として「多様性を増やす」ことを意識

こうすると、
→ ゴブレット細胞がまともな粘液を作り
→ GAP(ゴブレット細胞ルート)の“サンプリング機能”が落ち着いて働く
つまり、「なんでもかんでも血中に通しちゃうモード」から抜けやすくなるんです。

—

まとめると、今日の話は、

– 腸のバリア=タイトジャンクションだけじゃない
– 油の質(特にアラキドン酸)+ロイコトリエン+腸内細菌が、腸の“別ルートの漏れ”を左右している
– だからこそ、
– アラキドン酸の“音量を下げる”
– オメガ3とポリフェノールで炎症スイッチを下げる
– 食物繊維と発酵食品で「ゴブレット細胞フレンドリーな腸内細菌」を育てる
という3本柱が、栄養療法のかなり大事な土台になる

ってことなんです。

「何を除去するか」だけじゃなくて、
「どんな油で、どんな腸内環境を育てるか」を学ぶべき時代に入っている、と僕は感じています。
いつものご飯の“油”と“菌”を見直すだけで、腸と免疫のストレスはかなり変えられるので、ぜひ今日の食事から一個だけでも変えてみてください。

また書きますね!

参考にした記事:
The PUFA-Microbiome Axis: Rethinking Intestinal Permeability Beyond Tight Junctions

The PUFA-Microbiome Axis: Rethinking Intestinal Permeability Beyond Tight Junctions

更年期は宿命じゃない、健康寿命を設計し直すチャンス

冨田のぞみ · 2026年6月23日 ·

こんにちは、宮澤です。

Kara Fitzgerald, NDによれば、今回紹介する「How Medicine Got Menopause Wrong | Dr. Kelly Casperson」では、更年期を「生理が止まるイベント」ではなく「卵巣ホルモンの欠乏=生理的な低ゴナド状態」として捉え直すべきだ、という大きなパラダイムシフトが語られています。WHI(Women’s Health Initiative)以来の誤解でエストロゲンが必要以上に悪者にされてきた歴史、膣エストロゲンのブラックボックス警告がいかに根拠乏しいもので、外すまでにどれだけの年月とデータと声が必要だったか。さらに「証拠に基づく医療」とはRCTだけではなく、エビデンス+臨床経験+患者の価値観の三つ巴だという原点、テストステロンが「男性専用ホルモン」どころか女性の脳・気分・ミトコンドリア機能にも深く関わること、そしてホルモン療法は単独の魔法ではなく、運動・睡眠・アルコール制限などのライフスタイル基盤があってこそ最大限に機能する…といったポイントが、具体的な研究と現場感覚を交えながら語られています。

—

僕、この前たまたま深夜に昔の邦画を見てたんですね。
50代の女性が、更年期のしんどさを「女の宿命だからさ」と笑い飛ばしながら、こっそりワインをあおるシーンがあって。
演出としては切なくて良いんだけど、栄養やホルモンの視点で見ると「うわ…それ逆方向に振り切ってるやつ…」って頭を抱えたくなりました。

日常の外来でも同じ構図をしょっちゅう見ます。

– ホットフラッシュ
– 夜中の覚醒
– 体重増加
– 脳の霧(思考のキレが鈍る感じ)
– 性欲低下と膣の違和感
– 謎のイライラ

こういう症状を抱えた方が
「年齢だから仕方ない」
「薬には頼りたくないから、とりあえずサプリで」
って自己完結してるケースが本当に多い。

頭の中のイメージはだいたいこんな感じです。

> 更年期=老化の始まり
> → もう“下り坂”なんだから、我慢するか、なんとなくサプリ飲んで様子見るしかない
> → 本気で立て直す対象だとは思っていない

でも、さっきのカラ・フィッツジェラルドとケリー・キャスパーソンの議論を前提にすると、見方がガラッと変わります。

> 更年期=卵巣ホルモンが足りなくなった、ある意味「臓器機能低下」
> → 甲状腺機能低下症とか糖尿病を放置しないのと同じで、ちゃんと評価して介入する対象
> → 「もう終わり」じゃなくて、「ここから先の健康寿命を設計し直すタイミング」

ってことなんです。

—

私から見ると、更年期の栄養療法って「ホルモン補充 vs. サプリ」みたいな二元論になりがちなんですが、本質はそこじゃないんですよね。
臨床経験から言うと、うまくいっている人ほど「ホルモン+栄養+生活習慣」をセットで組んでいます。どれか一つを神格化していない。

例えば、僕がよく頭の中で描いている設計図はこんな感じです。

1. ベース:土台づくり
– 食事:
– タンパク質 体重×1.0〜1.2g/日(できれば体重1kgあたり)
– 彩りのある野菜と果物 → 抗酸化+ポリフェノールで炎症と酸化ストレスを抑える
– 良質な脂質(オメガ3、オリーブオイル、ナッツ)
– 生活:
– 週2〜3回のレジスタンストレーニング(筋肉=代謝とホルモン感受性のインフラ)
– アルコールは「例外」にするくらいまで減らす
– 7時間前後の睡眠確保

2. 微調整:栄養療法(サプリ)
– ビタミンD(骨・免疫・筋肉)
– マグネシウム(睡眠・血管・神経)
– オメガ3脂肪酸(炎症・血管・脳)
– B群・葉酸・コリン(メチル化・脳・エネルギー産生)
→ ここは本当は検査しながら組み立てたいところ

3. 中核:ホルモン戦略(必要に応じて)
– エストロゲン:
– 経皮パッチ or ジェルが第一候補(血栓リスクを最小にしつつ、脳・骨・血管・膣を守る)
– 適切なタイミングで始めると、骨量低下や脳のエネルギー低下をかなり抑えられる
– プロゲステロン:
– 子宮がある人は子宮内膜保護として必須
– 経口ミクロ化プロゲステロンは睡眠改善にも役立つことが多い
– テストステロン:
– 「性欲の薬」というより、気分・エネルギー・集中力・筋肉・ミトコンドリアの燃料
– 血中濃度より「本人の体感+副作用の有無」で調整していくのが現実的

→ 栄養療法だけでこの「ホルモンの穴」を全部埋めようとすると、正直かなり苦しいです。
一方、ホルモンだけ入れておいて食事と運動がグダグダだと、せっかくのホルモンが持つ「健康寿命を伸ばす力」を取りこぼしてしまう。

だから、僕の結論はすごくシンプルで、

> 更年期を「我慢の季節」にするのか、
> 「これから30〜40年の健康寿命をデザインし直すプロジェクト」にするのかは、
> ・ホルモン
> ・栄養
> ・生活習慣
> この3つをどれだけ“本気で組み合わせるか”で決まる

ってことなんです。

「自然だから放っておく」よりも
「自然に起こる変化を理解して、医学と栄養の力でうまく付き合う」方が、よっぽど“自然体”じゃない?
と僕は思っています。

だから、栄養療法を学ぶ時も、
・ホルモンの生理学
・更年期のエビデンス(エストロゲン・プロゲステロン・テストステロン)
・運動と睡眠のデータ
を一緒に押さえておくべきなんです。
サプリの名前だけ覚えても、更年期の本当のポテンシャルは引き出せないから。

また書きますね!

参考にした記事:
How Medicine Got Menopause Wrong | Dr. Kelly Casperson

How Medicine Got Menopause Wrong | Dr. Kelly Casperson

脳の電池切れかノイズ過多か?ヤマブシタケ戦略

冨田のぞみ · 2026年6月8日 ·

こんにちは、宮澤です。

この前、夜中に仕事しながら昔の映画を流してたんですよ。
よくある「天才ハッカーが徹夜でエナドリかき込んでキーボード叩きまくる」みたいなやつ。
ああいうの見てると、「脳って、ガーッと瞬発力を出すこと」が全てみたいに描かれてるけど、現実の僕らって全然違いますよね。

朝起きた瞬間から頭がモヤ〜っとして
・やることは分かってるのに、手が動かない
・集中したいのに、なぜかSNSを開いてしまう
・夜寝る前になると、逆に頭がフル回転して眠れない

むしろ多くの人が抱えてるのはこういう「じわじわした脳のしんどさ」だったりします。
その「脳のお疲れモード」と「常にソワソワ・イライラして落ち着かないモード」、この2つを、ひとつのキノコでどう使い分けるか?というのが、今回紹介する記事のテーマなんです。

—

Guest Authorによれば、ヤマブシタケ(Lion’s Mane)はいわゆる「すぐ効く脳のサプリ」ではなく、数週間〜数ヶ月かけてじわじわ土台を整えるタイプの栄養療法で、主に①腸内環境・粘膜免疫を通じた“腸―脳軸”のサポート、②神経成長因子(NGF)などのニューロトロフィックシグナルのバックアップ、③エルゴチオネインによる細胞保護という3つの軸で働くとのこと。なので「頭をシャキッとさせたい人」と「ストレスで頭がうるさい人」は同じ“脳の悩み”でもアプローチを分けた方がよく、前者にはヤマブシタケ+コリン(Alpha-GPC)+エネルギーサポートのCordycepsで“集中・記憶・脳の構造と機能”を支えるFOCUS、後者にはヤマブシタケ+L-テアニン+レイシで“ストレス・睡眠・情緒の調律”を狙うCALMが合う、という設計になっている、と解説しています。また、市販品によくある「菌糸体+穀物(mycelium-fermented grain)」と、実際の子実体エキスとでは中身が全然違うので、エビデンスをなぞりたければ原料の質を見極めた方がいい、というのも重要なポイントでした。

—

僕から見ると、この話って「サプリの選び方」以前に、「そもそも自分はどっちタイプの悩みなのか」を言語化するところが、すごく大事なんです。クリニックでも、同じように「集中できない」と訴える人でも、頭の中をよくよく聞いていくと実は全然違っていて、
→ パターンA:電池切れタイプ(脳のエネルギー・栄養不足)
→ パターンB:ノイズ多すぎタイプ(ストレス過多・睡眠の質低下)
に分かれることが多い。前者は栄養(コリン不足・血糖不安定・ミトコンドリア疲労)を立て直すとグンと楽になるし、後者は「脳を強くする」より「脳に静かな環境を返してあげる」方向で整えると、自然と集中力が戻ってくるってこと。ヤマブシタケはその“共通の土台”を支える感じで効いてくるので、そこにどの栄養(コリンなのか、L-テアニン&レイシなのか)を組み合わせるかで、かなり戦略が変わるんですよね。だから、「なんとなく脳に良さそうだから」ではなく、「自分はいま、電池切れなのか?それともノイズまみれなのか?」を一度紙に書き出してみて、それに合わせて学ぶ・選ぶってことをしていくと、栄養療法はもっと“投資対効果”がよくなるはずなんです。

—

臨床経験から言うと、ヤマブシタケ系のサプリを飲んで「なんかよく分からないままやめちゃった」という人は、
・「1〜2週間でキレッキレになる」みたいな即効性を期待している
・本当は睡眠とストレスが問題なのに、“脳トレ”方向ばかり頑張っている
・そもそも原料の質(子実体 vs 菌糸体+穀物)をチェックしていない
この3つのどれかにハマってることが多いです。逆に、「3ヶ月くらいかけて、土台から脳を建て直そう」と覚悟を決めて、生活全体(睡眠・血糖・ストレスマネジメント)と一緒に組み込んだ人は、静かに、でも確実に「前よりラク」「気づいたらイライラしにくくなってる」という変化を感じやすい。ヤマブシタケは“魔法のキノコ”じゃなくて、“脳と腸をじっくり育てる肥料”なんです。だからこそ、僕らは「脳に何をさせたいか?」を明確にしてから学び、選んでいくべきで、そのプロセス自体が、自分の健康観をアップデートしていく栄養療法そのものだと考えています。

また書きますね!

—

参考にした記事:
[One Mushroom, Two Patients: A Practitioner’s Case for Targeted Lion’s Mane Formulation](https://www.drkarafitzgerald.com/2026/06/08/targeted-lions-mane-formulation-clinical-outcomes/)

新薬Caplytaとどう付き合う?薬と栄養でメンタルを守る術

冨田のぞみ · 2026年5月29日 ·

こんにちは、宮澤です。

この前、夜中にたまたま見た映画で、主人公が「薬を飲むか、やめるか」でずっと苦しんでいるシーンがあって、妙に胸がざわつきました。
仕事柄、精神科の薬を飲んでいる方の相談を受けることが多いんですが、みんなだいたい同じところで悩むんですよね。

「この薬、効いてる感じもするけど、体もしんどい」
「やめたいけど、また悪化したら怖い」

今回紹介する記事は、そんな“板挟み”になりやすい抗精神病薬のひとつ、Caplyta(ルマテペロン)について。
要点を一言でまとめると、

> 「Caplytaは“第3世代”と呼ばれる新しい抗精神病薬だけど、副作用の幅がかなり広く、場合によっては命に関わることもある。だから、安易に『新しいから安全』と思わず、リスクを理解したうえで、必要ならホリスティック(環境・栄養・生活全体)なアプローチも組み合わせていこう」

という内容です。

記事では、
・発売は2019年末で、主に統合失調症向け
・セロトニン・ドーパミン・グルタミンなど広範囲に作用するため、副作用も多岐にわたる
・死亡例、認知機能低下、運動障害、代謝異常(糖尿病など)、自殺念慮など重い副作用も報告
・高齢の認知症患者での死亡リスク増大
・中止や切り替えのときは「ドーパミン超感受性」によるリバウンド症状に注意
・根本原因にアプローチするために、栄養・環境・オーソモレキュラー(分子栄養学)などを含めた包括的ケアが有効
といった点が、かなり具体的に書かれています。

—

僕自身、昔から「薬だけで人の心は救えるのか?」というところに違和感があって。
もちろん、薬で救われる命もある。
でも、臨床で人と向き合っていると、こんな構図が見えてきます。

– きっかけ:
→ 睡眠不足、血糖値の乱高下、栄養不足、慢性炎症、トラウマ、環境ストレス

– 表に出る症状:
→ 不安、イライラ、幻聴、気分の波、集中できない

– 病院でつくラベル:
→ うつ病、統合失調症、双極性障害 など

– 出てくる処方:
→ 抗うつ薬・抗精神病薬・気分安定薬 …

で、多くの人の頭の中はこんな感じです。

> 「診断名=自分の正体」
> 「薬=その病気を抑える唯一の手段」

でも、僕から見ると実態はもっとシンプルで、

> 「脳と体のシステムが、食事・睡眠・ストレス・環境ダメージでオーバーヒートしてる」
> → その結果として“心の症状”が出ている

ってことなんです。

だから、いきなり強いブレーキ(抗精神病薬)を踏む前に、

– そもそも脳の材料(たんぱく質・鉄・亜鉛・ビタミンB群・オメガ3…)足りてる?
– 血糖ジェットコースター(甘い物 → 眠気・イライラ → また甘い物)になってない?
– 腸内環境ボロボロで、炎症+メンタル悪化のループ入ってない?
– カフェイン・アルコール・エナドリで自律神経を毎日ムチ打ってない?

ここを見ずに薬だけ増やしていくと、

> 「症状は少しマシになった気もするけど、
> ・太る
> ・だるい
> ・頭が働かない
> ・性欲が消える
> ・何も感じない
> みたいな“別の人生の生きづらさ”が積み重なっていく」

という、別の地獄が待っていることが多い。

臨床経験から言うと、
「薬か栄養か」ではなくて、

> 「急性期は薬で命と安全を確保しつつ、
> 一方で“脳が安定して働ける土台”を栄養療法や生活改善で整えていく」

この二本立てが、一番現実的で、後悔の少ないルートです。

—

じゃあ、栄養療法で何をするのか。
専門っぽく聞こえるけど、イメージはかなり生活寄りです。

ざっくり書くと、

1. 「火消し」より「燃えにくい体」をつくる
2. 「ガソリン」じゃなく「いい燃料」を入れる
3. 「ブレーキ」と「アクセル」がちゃんと効く神経をつくる

ってこと。

もう少しだけ具体的にすると、たとえば:

—

### 1. 血糖ジェットコースターを止める

メンタル不調の人の多くがやっているのが、

– 朝:食べない or 菓子パンと甘いコーヒー
– 昼:ドカ食い → 午後だるい
– 夕方:お菓子・エナドリでつなぐ
– 夜:どか食い+アルコール

これをやっていると、

→ 集中力切れる
→ イライラ・不安が出る
→ 頭がぼーっとする
→ またカフェインや甘い物

という無限ループになる。

ここを整えるだけで、
「薬の量を増やさずに済む人」がかなりいます。

ポイントは、

– 3食とも「たんぱく質+脂質+少量の良質な炭水化物」
– 特に朝は「たんぱく質」をケチらない(卵・魚・肉・豆など)
– ジュース・砂糖入り飲料を日常から抜く

これだけでも、
「夕方のメンタル崩壊」が減る人は多いんです。

—

### 2. 脳の材料をちゃんと入れる

抗精神病薬を飲んでいる人ほど、実は栄養欠損が多い。
なぜかというと、

– 食欲の変化(過食or食欲低下)
– 胃腸機能の低下
– 動けない → 食事が適当になる

だからです。

「サプリ何飲めばいいですか?」とよく聞かれますが、
順番で言うと、

1. まずは食事の“質と回数”を見直す
2. そのうえで、足りなそうな栄養素をピンポイントで補う

が基本。

よく問題になりやすいのは、

– たんぱく質(アミノ酸)
– 鉄
– 亜鉛
– マグネシウム
– ビタミンB群
– オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)

ここがごっそり抜けていることが多い。

栄養療法って、派手なテクニックじゃなくて、

> 「脳に必要なネジとボルトを、ちゃんと数そろえる」

みたいな地味な作業なんです。

—

### 3. デトックスと環境負荷を下げる

記事にもあったように、
Caplytaをはじめとした抗精神病薬って「強い薬」です。

– 肝臓
– 腎臓
– 脳の解毒システム

にそれなりの負担がかかる。

ここをサポートするのに役立つのが、

– 加工食品を減らす(添加物・トランス脂肪酸を減らす)
– アルコールを習慣から外してみる
– 水をしっかり飲む(甘くない飲み物で)
– 発汗(入浴・軽めの運動)で循環をよくする
– 必要に応じて、肝機能を血液検査でチェック

「薬をやめる前」に、こういう基盤を整えておくと、

→ 減薬の揺れ幅が小さくなる
→ 副作用が軽くなりやすい

というメリットが大きいです。

—

ここまで読んで、心の中でこんな声が出ていませんか?

– 「そんなの、わかってるけどできないんだよ」
– 「料理する気力もないし」
– 「まずこのしんどさを何とかしてほしい」

その気持ち、すごくよくわかります。
だから僕がいつも提案するスタートラインは、かなり低めです。

例えば、

– いきなり全部変えない
– まず「朝だけ」変えてみる
– もしくは「甘い飲み物だけ」やめてみる
– 「1日1回だけ、たんぱく質を意識する」

栄養療法って、
「完璧な食事をしないと意味がない」わけじゃなくて、

> 「今よりマシな選択を、毎日1つだけ積み上げる」

ってことなんです。

—

だから僕は、
精神科の薬と付き合うときにこそ、

> 「栄養と生活の基礎を学ぶべき」

だと思っています。

・副作用に振り回されないために
・減薬・離脱症状を軽くするために
・薬の“その先の人生”を自分で選べるようにするために

薬は、あくまで道具。
あなたの人生は、薬のためにあるわけじゃない。

その前提に立つと、
栄養療法って「健康オタクの趣味」じゃなく、

> 「自分の意思でメンタルを守るためのリテラシー」

になるんです。

また書きますね!

—

参考にした記事:
Caplytaの副作用と回復・治療についての詳細は、こちらの英語記事がとてもよくまとまっています。
→ [Caplyta Side Effects, Guidance on Recovery Treatment](https://www.alternativetomeds.com/blog/caplyta-side-effects-guidance-on-recovery-treatment/)

食後スパイクを味方にする「代謝デザイン」のすすめ

冨田のぞみ · 2026年5月29日 ·

こんにちは、宮澤です。

Kara Fitzgerald, NDによれば、現代の食環境では食後の血糖値や中性脂肪の急上昇(ポストプランドリアルのスパイク)が、糖尿病予備軍・インスリン抵抗性・心血管疾患の大きなドライバーになっていて、食事や運動、さらにはGLP-1製剤(いわゆる痩せる注射)だけでは埋めきれない「メタボリック・ギャップ」がある。そこで、SiPore®というメソポーラスシリカ(多孔質シリカ)が消化酵素を物理的に“捕まえて”、炭水化物と脂肪の吸収スピードをゆるやかにし、その結果としてHbA1c・内臓脂肪・LDLコレステロールを下げつつ、筋肉量は守ることができた、という臨床データ(SHINE試験)を紹介しながら、「食事のたびに起こる代謝ストレスを、腸の中で直接コントロールする」という新しい選択肢を、GLP-1からの離脱やプレ糖尿病・体重管理のプロトコルとセットで解説するウェビナーの案内記事になっています。

—

僕、休日にふらっと映画館に行くのが好きなんですけど
映画終わったあとって、ついポップコーンとコーラを引きずったままファストフードに流れちゃう時、ありません?

「今日はリフレッシュだから、まあいいか」って。

で、夜になってから
なんとなく頭がぼーっとするとか、
妙に甘いものがまた欲しくなるとか、
翌朝なぜかむくんでるとか。

多くの人はそこを
「歳のせいかな」とか「疲れてるだけかな」で片付けちゃう。

でも栄養療法の現場で検査データを見ていると、
その「まあいいか」の後ろで毎回起こっているのが

→ 食後の血糖スパイク
→ 食後のトリグリセライド(中性脂肪)のスパイク

なんです。

つまり
「1回1回の食事が、静かに将来の病気貯金になっている」
ってこと。

ここをどうにかしないといけない。
でも、ガチガチの食事制限だけで一生やっていくのは、現実的じゃない。

だからこそ
「食べる現場=腸の中」で、どれだけうまくブレーキを踏めるか?
これが、これからの栄養療法の超・実践的なテーマだと僕は思っています。

—

私から見ると、このSiPore®の話は「魔法のサプリ」の話じゃなくて、「代謝ストレスを“時間”で分散させるテクノロジー」の話なんですね。食後スパイクの怖いところは「ピークの高さ」と「頻度」で、同じカロリーでも“ドーンと上がる”か“なだらかに吸収されるか”で、血管の炎症やインスリン抵抗性の進み方がまったく違う。従来のGLP-1製剤は、脳や膵臓に働きかけて食欲や血糖コントロールを整える一方で、「今この一食で起きるスパイク」を物理的にいじるわけじゃない。ここに、生活者目線だとすごくリアルなギャップがあって——忙しいビジネスパーソン、外食が避けられない人、子育て中で理想どおりに料理できない人の頭の中は、

– 完全にはヘルシーにできない現実
– でも病気は絶対いや
– できれば、好きなものも“たまには”食べたい

この三つでぐるぐるしている。
栄養療法って、本当はこの「ぐるぐるしている頭の中」に対するデザインなんです。

だから戦略としては、

– ベース:
 → 食物繊維とタンパク質を増やす
 → 精製糖質と質の悪い油を減らす

– プラスα:
 → 食後スパイクをゆるやかにする工夫
  (食べる順番、食後の軽い運動、酢・食物繊維・場合によってはSiPore®のような“時間を稼ぐ”ツール)

– モニタリング:
 → HbA1cだけじゃなく、食後血糖、トリグリセライド、内臓脂肪をちゃんと追う

こういう「階層構造」で考えると、サプリや新しい素材は“最後に乗せるアプリ”みたいな位置づけになる。
OS(生活習慣・食事パターン)がボロボロなのに、高級アプリだけ入れても動かない。

臨床経験から言うと、うまくいく人は

1. 食べ方のルールをシンプルに決める
 (「炭水化物は手のひら1枚分まで」「夜は白い主食は2/3にする」みたいなレベル)
2. 自分の“ヤバいパターン”を自覚する
 (例:会食の翌朝は必ず甘いものが欲しくなる → そこだけ死守ルールを決める)
3. 必要なら、ポイントでテクノロジーを使う
 (血糖モニター、サプリ、医薬品など)

この3セットを、自分の生活に合う形で回してるんです。

つまり、
「我慢だけでなんとかする時代」じゃなくて、
「代謝のしくみを理解して、うまくズラしながら生きる時代」になってきている。

だから、僕らが本当に学ぶべきなのは
・何が血糖と脂質のスパイクを起こしやすいのか
・どうやったらそのピークを“時間で薄める”ことができるのか
・自分の体がどれくらいそのストレスに弱い/強いのか

この3つなんです。

栄養療法は、食材のウンチクを暗記することじゃなくて、
「自分の代謝のクセと、現実の生活をどう折り合いをつけるか」の技術。

その意味で、今回のSiPore®みたいなアプローチは
“現場で本当に使える新しい道具”がまた一つ出てきたな、という感覚で見ています。
道具に振り回されるのではなく、自分のOSを整えた上で「必要な人に、必要なタイミングで」うまく使う。
それが、これからの栄養療法のスタンダードになっていくと僕は思っています。

また書きますね!

参考にした記事:
[Slowing Down Fast Food: The Metabolic Gap GLP-1s Can’t Reach & the Mechanism That Finally Closes It](https://www.drkarafitzgerald.com/2026/05/28/webinar-metabolic-gap-glp1s/)

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