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臨床分子栄養医学研究会

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一般

脳の電池切れかノイズ過多か?ヤマブシタケ戦略

冨田のぞみ · 2026年6月8日 ·

こんにちは、宮澤です。

この前、夜中に仕事しながら昔の映画を流してたんですよ。
よくある「天才ハッカーが徹夜でエナドリかき込んでキーボード叩きまくる」みたいなやつ。
ああいうの見てると、「脳って、ガーッと瞬発力を出すこと」が全てみたいに描かれてるけど、現実の僕らって全然違いますよね。

朝起きた瞬間から頭がモヤ〜っとして
・やることは分かってるのに、手が動かない
・集中したいのに、なぜかSNSを開いてしまう
・夜寝る前になると、逆に頭がフル回転して眠れない

むしろ多くの人が抱えてるのはこういう「じわじわした脳のしんどさ」だったりします。
その「脳のお疲れモード」と「常にソワソワ・イライラして落ち着かないモード」、この2つを、ひとつのキノコでどう使い分けるか?というのが、今回紹介する記事のテーマなんです。

—

Guest Authorによれば、ヤマブシタケ(Lion’s Mane)はいわゆる「すぐ効く脳のサプリ」ではなく、数週間〜数ヶ月かけてじわじわ土台を整えるタイプの栄養療法で、主に①腸内環境・粘膜免疫を通じた“腸―脳軸”のサポート、②神経成長因子(NGF)などのニューロトロフィックシグナルのバックアップ、③エルゴチオネインによる細胞保護という3つの軸で働くとのこと。なので「頭をシャキッとさせたい人」と「ストレスで頭がうるさい人」は同じ“脳の悩み”でもアプローチを分けた方がよく、前者にはヤマブシタケ+コリン(Alpha-GPC)+エネルギーサポートのCordycepsで“集中・記憶・脳の構造と機能”を支えるFOCUS、後者にはヤマブシタケ+L-テアニン+レイシで“ストレス・睡眠・情緒の調律”を狙うCALMが合う、という設計になっている、と解説しています。また、市販品によくある「菌糸体+穀物(mycelium-fermented grain)」と、実際の子実体エキスとでは中身が全然違うので、エビデンスをなぞりたければ原料の質を見極めた方がいい、というのも重要なポイントでした。

—

僕から見ると、この話って「サプリの選び方」以前に、「そもそも自分はどっちタイプの悩みなのか」を言語化するところが、すごく大事なんです。クリニックでも、同じように「集中できない」と訴える人でも、頭の中をよくよく聞いていくと実は全然違っていて、
→ パターンA:電池切れタイプ(脳のエネルギー・栄養不足)
→ パターンB:ノイズ多すぎタイプ(ストレス過多・睡眠の質低下)
に分かれることが多い。前者は栄養(コリン不足・血糖不安定・ミトコンドリア疲労)を立て直すとグンと楽になるし、後者は「脳を強くする」より「脳に静かな環境を返してあげる」方向で整えると、自然と集中力が戻ってくるってこと。ヤマブシタケはその“共通の土台”を支える感じで効いてくるので、そこにどの栄養(コリンなのか、L-テアニン&レイシなのか)を組み合わせるかで、かなり戦略が変わるんですよね。だから、「なんとなく脳に良さそうだから」ではなく、「自分はいま、電池切れなのか?それともノイズまみれなのか?」を一度紙に書き出してみて、それに合わせて学ぶ・選ぶってことをしていくと、栄養療法はもっと“投資対効果”がよくなるはずなんです。

—

臨床経験から言うと、ヤマブシタケ系のサプリを飲んで「なんかよく分からないままやめちゃった」という人は、
・「1〜2週間でキレッキレになる」みたいな即効性を期待している
・本当は睡眠とストレスが問題なのに、“脳トレ”方向ばかり頑張っている
・そもそも原料の質(子実体 vs 菌糸体+穀物)をチェックしていない
この3つのどれかにハマってることが多いです。逆に、「3ヶ月くらいかけて、土台から脳を建て直そう」と覚悟を決めて、生活全体(睡眠・血糖・ストレスマネジメント)と一緒に組み込んだ人は、静かに、でも確実に「前よりラク」「気づいたらイライラしにくくなってる」という変化を感じやすい。ヤマブシタケは“魔法のキノコ”じゃなくて、“脳と腸をじっくり育てる肥料”なんです。だからこそ、僕らは「脳に何をさせたいか?」を明確にしてから学び、選んでいくべきで、そのプロセス自体が、自分の健康観をアップデートしていく栄養療法そのものだと考えています。

また書きますね!

—

参考にした記事:
[One Mushroom, Two Patients: A Practitioner’s Case for Targeted Lion’s Mane Formulation](https://www.drkarafitzgerald.com/2026/06/08/targeted-lions-mane-formulation-clinical-outcomes/)

新薬Caplytaとどう付き合う?薬と栄養でメンタルを守る術

冨田のぞみ · 2026年5月29日 ·

こんにちは、宮澤です。

この前、夜中にたまたま見た映画で、主人公が「薬を飲むか、やめるか」でずっと苦しんでいるシーンがあって、妙に胸がざわつきました。
仕事柄、精神科の薬を飲んでいる方の相談を受けることが多いんですが、みんなだいたい同じところで悩むんですよね。

「この薬、効いてる感じもするけど、体もしんどい」
「やめたいけど、また悪化したら怖い」

今回紹介する記事は、そんな“板挟み”になりやすい抗精神病薬のひとつ、Caplyta(ルマテペロン)について。
要点を一言でまとめると、

> 「Caplytaは“第3世代”と呼ばれる新しい抗精神病薬だけど、副作用の幅がかなり広く、場合によっては命に関わることもある。だから、安易に『新しいから安全』と思わず、リスクを理解したうえで、必要ならホリスティック(環境・栄養・生活全体)なアプローチも組み合わせていこう」

という内容です。

記事では、
・発売は2019年末で、主に統合失調症向け
・セロトニン・ドーパミン・グルタミンなど広範囲に作用するため、副作用も多岐にわたる
・死亡例、認知機能低下、運動障害、代謝異常(糖尿病など)、自殺念慮など重い副作用も報告
・高齢の認知症患者での死亡リスク増大
・中止や切り替えのときは「ドーパミン超感受性」によるリバウンド症状に注意
・根本原因にアプローチするために、栄養・環境・オーソモレキュラー(分子栄養学)などを含めた包括的ケアが有効
といった点が、かなり具体的に書かれています。

—

僕自身、昔から「薬だけで人の心は救えるのか?」というところに違和感があって。
もちろん、薬で救われる命もある。
でも、臨床で人と向き合っていると、こんな構図が見えてきます。

– きっかけ:
→ 睡眠不足、血糖値の乱高下、栄養不足、慢性炎症、トラウマ、環境ストレス

– 表に出る症状:
→ 不安、イライラ、幻聴、気分の波、集中できない

– 病院でつくラベル:
→ うつ病、統合失調症、双極性障害 など

– 出てくる処方:
→ 抗うつ薬・抗精神病薬・気分安定薬 …

で、多くの人の頭の中はこんな感じです。

> 「診断名=自分の正体」
> 「薬=その病気を抑える唯一の手段」

でも、僕から見ると実態はもっとシンプルで、

> 「脳と体のシステムが、食事・睡眠・ストレス・環境ダメージでオーバーヒートしてる」
> → その結果として“心の症状”が出ている

ってことなんです。

だから、いきなり強いブレーキ(抗精神病薬)を踏む前に、

– そもそも脳の材料(たんぱく質・鉄・亜鉛・ビタミンB群・オメガ3…)足りてる?
– 血糖ジェットコースター(甘い物 → 眠気・イライラ → また甘い物)になってない?
– 腸内環境ボロボロで、炎症+メンタル悪化のループ入ってない?
– カフェイン・アルコール・エナドリで自律神経を毎日ムチ打ってない?

ここを見ずに薬だけ増やしていくと、

> 「症状は少しマシになった気もするけど、
> ・太る
> ・だるい
> ・頭が働かない
> ・性欲が消える
> ・何も感じない
> みたいな“別の人生の生きづらさ”が積み重なっていく」

という、別の地獄が待っていることが多い。

臨床経験から言うと、
「薬か栄養か」ではなくて、

> 「急性期は薬で命と安全を確保しつつ、
> 一方で“脳が安定して働ける土台”を栄養療法や生活改善で整えていく」

この二本立てが、一番現実的で、後悔の少ないルートです。

—

じゃあ、栄養療法で何をするのか。
専門っぽく聞こえるけど、イメージはかなり生活寄りです。

ざっくり書くと、

1. 「火消し」より「燃えにくい体」をつくる
2. 「ガソリン」じゃなく「いい燃料」を入れる
3. 「ブレーキ」と「アクセル」がちゃんと効く神経をつくる

ってこと。

もう少しだけ具体的にすると、たとえば:

—

### 1. 血糖ジェットコースターを止める

メンタル不調の人の多くがやっているのが、

– 朝:食べない or 菓子パンと甘いコーヒー
– 昼:ドカ食い → 午後だるい
– 夕方:お菓子・エナドリでつなぐ
– 夜:どか食い+アルコール

これをやっていると、

→ 集中力切れる
→ イライラ・不安が出る
→ 頭がぼーっとする
→ またカフェインや甘い物

という無限ループになる。

ここを整えるだけで、
「薬の量を増やさずに済む人」がかなりいます。

ポイントは、

– 3食とも「たんぱく質+脂質+少量の良質な炭水化物」
– 特に朝は「たんぱく質」をケチらない(卵・魚・肉・豆など)
– ジュース・砂糖入り飲料を日常から抜く

これだけでも、
「夕方のメンタル崩壊」が減る人は多いんです。

—

### 2. 脳の材料をちゃんと入れる

抗精神病薬を飲んでいる人ほど、実は栄養欠損が多い。
なぜかというと、

– 食欲の変化(過食or食欲低下)
– 胃腸機能の低下
– 動けない → 食事が適当になる

だからです。

「サプリ何飲めばいいですか?」とよく聞かれますが、
順番で言うと、

1. まずは食事の“質と回数”を見直す
2. そのうえで、足りなそうな栄養素をピンポイントで補う

が基本。

よく問題になりやすいのは、

– たんぱく質(アミノ酸)
– 鉄
– 亜鉛
– マグネシウム
– ビタミンB群
– オメガ3脂肪酸(EPA・DHA)

ここがごっそり抜けていることが多い。

栄養療法って、派手なテクニックじゃなくて、

> 「脳に必要なネジとボルトを、ちゃんと数そろえる」

みたいな地味な作業なんです。

—

### 3. デトックスと環境負荷を下げる

記事にもあったように、
Caplytaをはじめとした抗精神病薬って「強い薬」です。

– 肝臓
– 腎臓
– 脳の解毒システム

にそれなりの負担がかかる。

ここをサポートするのに役立つのが、

– 加工食品を減らす(添加物・トランス脂肪酸を減らす)
– アルコールを習慣から外してみる
– 水をしっかり飲む(甘くない飲み物で)
– 発汗(入浴・軽めの運動)で循環をよくする
– 必要に応じて、肝機能を血液検査でチェック

「薬をやめる前」に、こういう基盤を整えておくと、

→ 減薬の揺れ幅が小さくなる
→ 副作用が軽くなりやすい

というメリットが大きいです。

—

ここまで読んで、心の中でこんな声が出ていませんか?

– 「そんなの、わかってるけどできないんだよ」
– 「料理する気力もないし」
– 「まずこのしんどさを何とかしてほしい」

その気持ち、すごくよくわかります。
だから僕がいつも提案するスタートラインは、かなり低めです。

例えば、

– いきなり全部変えない
– まず「朝だけ」変えてみる
– もしくは「甘い飲み物だけ」やめてみる
– 「1日1回だけ、たんぱく質を意識する」

栄養療法って、
「完璧な食事をしないと意味がない」わけじゃなくて、

> 「今よりマシな選択を、毎日1つだけ積み上げる」

ってことなんです。

—

だから僕は、
精神科の薬と付き合うときにこそ、

> 「栄養と生活の基礎を学ぶべき」

だと思っています。

・副作用に振り回されないために
・減薬・離脱症状を軽くするために
・薬の“その先の人生”を自分で選べるようにするために

薬は、あくまで道具。
あなたの人生は、薬のためにあるわけじゃない。

その前提に立つと、
栄養療法って「健康オタクの趣味」じゃなく、

> 「自分の意思でメンタルを守るためのリテラシー」

になるんです。

また書きますね!

—

参考にした記事:
Caplytaの副作用と回復・治療についての詳細は、こちらの英語記事がとてもよくまとまっています。
→ [Caplyta Side Effects, Guidance on Recovery Treatment](https://www.alternativetomeds.com/blog/caplyta-side-effects-guidance-on-recovery-treatment/)

食後スパイクを味方にする「代謝デザイン」のすすめ

冨田のぞみ · 2026年5月29日 ·

こんにちは、宮澤です。

Kara Fitzgerald, NDによれば、現代の食環境では食後の血糖値や中性脂肪の急上昇(ポストプランドリアルのスパイク)が、糖尿病予備軍・インスリン抵抗性・心血管疾患の大きなドライバーになっていて、食事や運動、さらにはGLP-1製剤(いわゆる痩せる注射)だけでは埋めきれない「メタボリック・ギャップ」がある。そこで、SiPore®というメソポーラスシリカ(多孔質シリカ)が消化酵素を物理的に“捕まえて”、炭水化物と脂肪の吸収スピードをゆるやかにし、その結果としてHbA1c・内臓脂肪・LDLコレステロールを下げつつ、筋肉量は守ることができた、という臨床データ(SHINE試験)を紹介しながら、「食事のたびに起こる代謝ストレスを、腸の中で直接コントロールする」という新しい選択肢を、GLP-1からの離脱やプレ糖尿病・体重管理のプロトコルとセットで解説するウェビナーの案内記事になっています。

—

僕、休日にふらっと映画館に行くのが好きなんですけど
映画終わったあとって、ついポップコーンとコーラを引きずったままファストフードに流れちゃう時、ありません?

「今日はリフレッシュだから、まあいいか」って。

で、夜になってから
なんとなく頭がぼーっとするとか、
妙に甘いものがまた欲しくなるとか、
翌朝なぜかむくんでるとか。

多くの人はそこを
「歳のせいかな」とか「疲れてるだけかな」で片付けちゃう。

でも栄養療法の現場で検査データを見ていると、
その「まあいいか」の後ろで毎回起こっているのが

→ 食後の血糖スパイク
→ 食後のトリグリセライド(中性脂肪)のスパイク

なんです。

つまり
「1回1回の食事が、静かに将来の病気貯金になっている」
ってこと。

ここをどうにかしないといけない。
でも、ガチガチの食事制限だけで一生やっていくのは、現実的じゃない。

だからこそ
「食べる現場=腸の中」で、どれだけうまくブレーキを踏めるか?
これが、これからの栄養療法の超・実践的なテーマだと僕は思っています。

—

私から見ると、このSiPore®の話は「魔法のサプリ」の話じゃなくて、「代謝ストレスを“時間”で分散させるテクノロジー」の話なんですね。食後スパイクの怖いところは「ピークの高さ」と「頻度」で、同じカロリーでも“ドーンと上がる”か“なだらかに吸収されるか”で、血管の炎症やインスリン抵抗性の進み方がまったく違う。従来のGLP-1製剤は、脳や膵臓に働きかけて食欲や血糖コントロールを整える一方で、「今この一食で起きるスパイク」を物理的にいじるわけじゃない。ここに、生活者目線だとすごくリアルなギャップがあって——忙しいビジネスパーソン、外食が避けられない人、子育て中で理想どおりに料理できない人の頭の中は、

– 完全にはヘルシーにできない現実
– でも病気は絶対いや
– できれば、好きなものも“たまには”食べたい

この三つでぐるぐるしている。
栄養療法って、本当はこの「ぐるぐるしている頭の中」に対するデザインなんです。

だから戦略としては、

– ベース:
 → 食物繊維とタンパク質を増やす
 → 精製糖質と質の悪い油を減らす

– プラスα:
 → 食後スパイクをゆるやかにする工夫
  (食べる順番、食後の軽い運動、酢・食物繊維・場合によってはSiPore®のような“時間を稼ぐ”ツール)

– モニタリング:
 → HbA1cだけじゃなく、食後血糖、トリグリセライド、内臓脂肪をちゃんと追う

こういう「階層構造」で考えると、サプリや新しい素材は“最後に乗せるアプリ”みたいな位置づけになる。
OS(生活習慣・食事パターン)がボロボロなのに、高級アプリだけ入れても動かない。

臨床経験から言うと、うまくいく人は

1. 食べ方のルールをシンプルに決める
 (「炭水化物は手のひら1枚分まで」「夜は白い主食は2/3にする」みたいなレベル)
2. 自分の“ヤバいパターン”を自覚する
 (例:会食の翌朝は必ず甘いものが欲しくなる → そこだけ死守ルールを決める)
3. 必要なら、ポイントでテクノロジーを使う
 (血糖モニター、サプリ、医薬品など)

この3セットを、自分の生活に合う形で回してるんです。

つまり、
「我慢だけでなんとかする時代」じゃなくて、
「代謝のしくみを理解して、うまくズラしながら生きる時代」になってきている。

だから、僕らが本当に学ぶべきなのは
・何が血糖と脂質のスパイクを起こしやすいのか
・どうやったらそのピークを“時間で薄める”ことができるのか
・自分の体がどれくらいそのストレスに弱い/強いのか

この3つなんです。

栄養療法は、食材のウンチクを暗記することじゃなくて、
「自分の代謝のクセと、現実の生活をどう折り合いをつけるか」の技術。

その意味で、今回のSiPore®みたいなアプローチは
“現場で本当に使える新しい道具”がまた一つ出てきたな、という感覚で見ています。
道具に振り回されるのではなく、自分のOSを整えた上で「必要な人に、必要なタイミングで」うまく使う。
それが、これからの栄養療法のスタンダードになっていくと僕は思っています。

また書きますね!

参考にした記事:
[Slowing Down Fast Food: The Metabolic Gap GLP-1s Can’t Reach & the Mechanism That Finally Closes It](https://www.drkarafitzgerald.com/2026/05/28/webinar-metabolic-gap-glp1s/)

「なんかずっとしんどい」の正体を分解するMSIDSモデル

冨田のぞみ · 2026年5月27日 ·

こんにちは、宮澤です。

最近、久しぶりに学生時代の友人と飲みに行ったんですね。
昔は「徹夜→カップラーメン→朝マック」という謎ムーブでも元気だったのに、今は一晩飲んだだけで3日ぐらい疲れが抜けない。
その友人がポロッと、「検査はいつも正常なのに、ずっとだるくて頭も回らないんだよね…歳かな?」と言ったんです。

この「検査は正常。でもずっとしんどい」というグレーゾーン。
栄養療法をやっていると、同じ悩みを抱えた人が本当に多い。
で、このモヤモヤにかなり切り込んでくれているのが、Kara Fitzgerald, NDによれば…と紹介されていた、リチャード・ホロウィッツMDのインタビュー記事「The Infection Driving Chronic Illness | Dr. Richard Horowitz」(慢性疾患を動かしている“見えない感染症”の話)なんです。

—

この記事の要点を、栄養療法目線でギュッと1段落にするとこんな感じです。

ホロウィッツ医師は、慢性ライム病をはじめとした「よくわからないけどずっと具合が悪い人」を4万年以上診てきて、16個の要因が重なって慢性炎症を起こす「MSIDSモデル(Multiple Systemic Infectious Disease Syndrome)」を提唱しています。中心にあるのは、ライム病やバルトネラ、バベシアなどの慢性感染+カビ毒や重金属といった毒素。ここから→腸の炎症(リーキーガット)→免疫異常→ミトコンドリア機能低下→ホルモンバランス崩壊→脳の炎症…と、連鎖的に不調が広がっていく、というイメージです。さらに、こうした感染がアルツハイマー病のような認知症の病理(アミロイドやpTau)まで動かしている可能性がある、というデータまで出てきている。だから彼は、病名ベースではなく、「感染・毒素・腸・ミトコンドリア・ホルモン・トラウマ」などを総ざらいしながら治療していく必要があると話しています。

—

僕から見ると、このMSIDSモデルって「ハイレベルな機能性医学+感染症学」をガッチャンコしたフレームなんですよね。
臨床経験から言うと、

– 血液検査はほぼ正常
– だけど
– 朝起きられない
– ずっと頭がモヤモヤする
– 関節が日によってあちこち痛む(移動する痛み)
– 気圧で一気に悪化する
– ちょっと夜更かしすると2〜3日戻れない

こういう人って、
「栄養だけ」「腸だけ」「メンタルだけ」では説明がつかないことが多いんです。

感覚的には、頭の中でこんな図が常に回っています。

– ベースにあるもの
– ビタミン・ミネラル不足
– タンパク不足
– 血糖コントロールの乱れ

この上に、

– さらに重なっている“見えない負荷”
– 慢性ウイルス(EBウイルスなど)の再活性化
– カビ・カビ毒(家の構造+気候の変化)
– 軽いけど続く腸内細菌の乱れ
– 睡眠の質低下とストレス

で、場合によっては、

– 刺激イベント
– 予防接種
– 大きなストレス
– 大きな感染症(コロナなど)

→ これらが「最後の一押し」になって、一気に崩れる

ってこと。

ホロウィッツ医師が言っている
「感染と毒素を頂点にした16個の炎症要因」
は、僕らが現場で見ている
「なんか全部がちょっとずつ悪い人」の裏側を、かなりうまく構造化してくれている感じがします。

—

じゃあ栄養療法的には、どう考えるか?

僕が普段イメージしている“顧客の頭の中”はこんな感じです。

– 「血液検査で異常って言われてないし…」
– 「サプリも食事も一応気をつけてるのに、なんで良くならないの?」
– 「また新しい検査や治療って、お金も時間もかかるし…外したくない」

この悩みって、突き詰めると、

→ 自分の不調が「どのレイヤーの問題か」わかってない不安

なんです。

もっと噛み砕くと、

1. 体の“土台”レベルの問題か
 (栄養不足・睡眠不足・腸の軽い炎症・ストレス)

2. それとも“上の階”にある問題か
 (慢性感染・カビ毒・重金属・ホルモン軸・ミトコンドリア)

3. さらに“屋上”にある問題か
 (過去のトラウマ・神経系の過敏化=リミック系)

これをごちゃ混ぜにしたまま、
– とりあえずマルチビタミン
– とりあえずプロバイオティクス
– とりあえず漢方
みたいにやっても、正直、届くところと届かないところがはっきり分かれるんです。

だから僕の結論としては、

– 「まずは土台(栄養・腸・睡眠・ストレス)を整える」
– それで良くなるなら、そこでOK
– それでもダメなら、
→ 感染・毒素・ホルモン・ミトコンドリア・トラウマなど“上の階”を疑う

という二段階・三段階の見立てを、ちゃんと学ぶべきだと思っています。

ホロウィッツ医師のMSIDSモデルは、
まさにこの“上の階”をどう評価し、どう組み立てるかの一つの答え方。

栄養療法だけでは届かないケースを見たとき、
「これはMSIDS的なケースかも?」
と一度立ち止まって、

– 感染(過去のダニ・ペット・渡航歴など)
– カビ(住環境・水害・結露・古い家)
– トラウマ(体の過敏化を起こしていそうか)

を整理してみると、
治療の優先順位やアプローチの深さがかなり変わってきます。

だから、僕らが栄養療法を学ぶときも、
「ビタミン・ミネラルを増やす」だけじゃなくて、

– どのレイヤーに問題がありそうかを見極める“目”
– そのレイヤーごとに必要な道具(検査・サプリ・生活改善・時に薬)

をセットで学ぶべきなんです。

また書きますね!

参考にした記事:
The Infection Driving Chronic Illness | Dr. Richard Horowitz

The Infection Driving Chronic Illness | Dr. Richard Horowitz

「卵子の質」はからだ全体の健康通知表

冨田のぞみ · 2026年5月20日 ·

こんにちは、宮澤です。

最近、30代の友人たちが集まると、話題がやたら「卵子凍結」とか「いつまで妊娠できるのか問題」に寄っていくんですよね。
映画でも「40歳目前で焦ってクリニックに駆け込むキャリアウーマン」みたいな描写がすっかり定番。
でも僕の外来で実際に会うのは、「卵子凍結すべきか?」って悩みつつも、本音ではこう思っている人たちです。

「できれば、できるだけ自然に妊娠したい」
「そもそも自分の“身体の状態”をよくする方法が知りたい」

そんな中で読んで面白かったのが、Ann Shippy MD がまとめていた記事。
ざっくり言うと、

– 卵子の「数」だけじゃなくて、「育つ環境=卵子の質」が超重要
– その質は
 → ミトコンドリア(細胞のエネルギー工場)
 → 代謝・インスリン抵抗性
 → 有害物質(農薬、プラスチック、重金属…)
 → 腸内環境・免疫
 → 慢性炎症・自己免疫
みたいな“全身の状態”にめちゃくちゃ左右される、しかも多くは「変えられる」
– 加齢だけの話じゃなくて、「どういう生活・環境で数ヶ月過ごしたか」が卵子・精子の質を決めてしまう
– だから、卵子凍結やIVF(体外受精)も否定はしないけれど、その前に「体の土台づくり」を3〜6ヶ月ちゃんとやると、
 → 自然妊娠もしやすくなるし
 → もしARTをするにしても“成功率アップ”の土台になる
という「システムとしての妊娠」の話でした。

—

僕から見ると、この話って「卵子の質=体全体の“栄養と毒素バランス”の通知表だよね」という感覚にすごく近いです。臨床経験から言うと、検査で「卵巣年齢」が悪いと言われた人でも、3〜6ヶ月かけて栄養療法+毒素ケア+腸の立て直しをやると、基礎体温が整ったり、生理痛が軽くなったり、肌が変わったり、「明らかに別の体」になっていく。その延長線上で、自然妊娠したり、IVFの採卵数や受精卵の質が良くなったりするケースを何度も見ています。つまり「卵子のタイムリミット」に一喜一憂するより、「今から数ヶ月、自分の体を“妊娠しやすい仕様”に育て直す」と決めた人の方が、メンタル的にも結果的にも報われやすい、これが僕の実感なんです。

—

ここで、読んでいるあなたの頭の中を、かなり雑に言語化してみると…

– 「卵子凍結、高いし怖いけど、何もしないのも怖い」
– 「でも、何からやったらいいの?サプリ?ジム?断捨離?」
– 「そもそも私の体って、妊娠に向いてるの?向いてないの?」

多分、こんなグルグルが起きてると思うんですよね。

このモヤモヤを「栄養療法の目線」で分解すると、だいたいこうなります。

—

### 1. 「妊娠しやすい体」=「ミトコンドリアが元気な体」

– 卵子は体の中でいちばんミトコンドリアが多い細胞
– つまり、エネルギー不足 →
 → 排卵の質が落ちる
 → 受精しても分裂がうまくいかない
 → 初期流産リスクも上がる

ここで効いてくるのが、

– 血糖コントロール(甘いもの・小麦・ジュースをダラダラ摂らない)
– 良質な脂質(魚、オリーブオイル、アボカド、ナッツなど)
– ミトコンドリアを支える栄養素
 → CoQ10
 → カルニチン
 → B群
 → マグネシウム
 → 亜鉛

みたいな、すごくベーシックだけど「ちゃんとやると地味に効く」栄養療法なんです。

—

### 2. 「加工食品まみれ」の生活は、そのまま「卵子いじめ」

記事にも出てきますが、
超加工食品+環境ホルモン(プラスチック、農薬、PFAS…)は、

– ホルモンバランスを崩す
– 酸化ストレスを増やす
– 卵子・精子のDNAを傷つける

→ 要するに「静かに妊娠力を削っていく」存在。

でも逆も真で、

– ペットボトルを減らしてガラス or ステンレスのボトルにする
– ラップ・プラスチック容器をなるべくガラスに変える
– できる範囲でオーガニック食材を増やす
– 市販のお惣菜・スナックを“毎日習慣”から“たまのお楽しみ”に格下げする

こういう小さな選択の積み重ねで、

→ 体内の農薬・プラスチック代謝物がガクッと下がる
ってデータがちゃんと出ているんです。

「全部オーガニックじゃないとダメ」じゃなくて、
・家で作る“ベースのごはん”をちゃんとする
・外食とコンビニは“足し算”じゃなくて“例外”にする
このくらいの切り替えだけでも、卵子にとってはかなりの環境改善になります。

—

### 3. 腸と免疫をなめると、妊娠もうまくいかない

お腹の調子が悪い人、多いですよね。
便秘、下痢、ガス、お腹の張り…

「まあ、体質でしょ」ってスルーされがちだけど、妊娠の観点から見ると、

– 腸で栄養(葉酸、亜鉛、鉄、オメガ3など)が吸えない
– 腸から炎症シグナルがダダ漏れ
– 免疫が過敏になって“着床・維持”を邪魔する

こんなルートで、がっつり妊娠に絡んできます。

僕の感覚だと、

腸がボロボロ
→ 肌が荒れる
→ 生理も乱れがち
→ メンタルも落ちやすい
→ 授かりにくい・流産しやすい

って一連のパターンが、かなりの頻度でセットになっていることが多いです。

だから、

– まずは「毎日ちゃんと出るか」をチェック
– グルテン・乳製品・アルコールを一度リセットしてみる
– プロバイオティクス・プレバイオティクスを“合う形で”使う

このあたりを、妊活の前提条件として整えるのが、栄養療法的には“王道の一手”なんです。

—

### 4. 「不調のパズル」を栄養で読み解く

ここまでをひとことで言うと、

– 卵子凍結=「将来のための保険」
– 栄養療法=「そもそも保険がいらないレベルまで、今の体を底上げする投資」

みたいなイメージに近いです。

もちろん、
・年齢的なタイミング
・仕事やパートナーの事情
・持病
いろんな要素が絡むので、「凍結する/しない」は人それぞれでOK。

でも、どっちにせよ共通しているのは、

→ 「自分の体を“妊娠しやすい仕様”にしておくことは、絶対に無駄にならない」

ってこと。

– 将来妊娠したい人
– 今まさに妊活中の人
– IVFを控えている人
– いつか子どもが欲しいかも…と考えている20代の人

誰にとっても、

「栄養と毒素と腸と炎症のことを、自分の言葉で理解しておく」

これは、これからの時代の“リテラシー”に近いと思っています。

だから僕は、
「卵子凍結すべきか?」より前に、
「自分の体を、ちゃんと“妊娠モード”に整える方法を学ぶべき」
だと伝えたいんです。

また書きますね!

—

参考にした記事:
[Fertility Preservation Beyond Egg Freezing](https://www.drkarafitzgerald.com/2026/05/19/fertility-preservation-egg-freezing/)

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