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宮澤賢史

「自分のトリセツの作り方」小胞体

宮澤賢史 · 2020年1月14日 ·

前の記事: 細胞膜

ここまで、ミトコンドリアと細胞膜と核について学んできました。

今回は小胞体についてです。

小胞体とは

小胞体というのは核の周りにある、うにゅうにゅした形の器官のことです。

核ではタンパク質を作れないので、小胞体の中のこの粒々したリボゾームというところでタンパク質を作ります。作ったタンパク質はそのままこの小胞体の中に保存します。

つまり小胞体はタンパク質の製造と倉庫の役割です。作ったタンパク質を、必要に応じて出荷します。

フォールディングがうまくいかないと小胞体ストレスになる

タンパク質を作るにはまず、核内の遺伝子をRNAでコピーして、リボゾームに持ってきます。

そこから転写(翻訳)して、設計図に沿ってアミノ酸を1つずつ紡いでいきます。

数珠状になったアミノ酸をタンパク質にするためには、これを折りたたんでいくことが必要です。折りたたむことをフォールディングといいます。

この折りたたみ方が雑だと正しいタンパク質ができません。折りたたみを助けてくれるのが分子シャペロンです。シャペロンというのは執事、という意味です。シャペロンが正しく機能すると、正しい折り目で折りたたまれて、正しいタンパク質ができます。

タンパク質は非常に精巧な作りをしていて(多少大丈夫な部分はありますが)、一点構造が変わってしまうと働かないポイントがあります。

特に酵素の場合は、構造が少し変わってしまうと全く働かなくなることがあります。ですから、フォールディングはとても重要です。

タンパク質が正しく作られると、必要に応じてどんどん出荷されていきますけれども、不良品だと出荷停止になります。小胞体の中に、不良在庫がどんどん積みあがっていきます。

すると、小胞体がせまくなってきてお手上げになってきて、小胞体の機能が低下します。これを小胞体ストレスといいます。

タンパク質が正しく作られない理由は様々です。

うまくDNAのコピーができなかったのかもしれないし、翻訳がうまくいかなかったのかもしれないし、フォールディングに問題があったのかもしれません。細胞膜が固すぎて出荷できなかったのかもしれません。

様々な要因でできそこないのタンパク質が増加すると、小胞体ストレスがどんどんたまってきます。

小胞体とミトコンドリアは一心同体なので、どちらかにストレスがあると両方とも機能しなくなります。ミトコンドリア対策をいくら頑張っても、小胞体ストレスがあるとうまくいきません。

ですから、小胞体ストレスをなくすようにしなければなりません。

転写がうまくいくように活性酸素をなくすことも大事ですが、特に大事なのは、フォールディングを助ける分子シャペロンをちゃんと働かせることです。

小胞体ストレスを防ぐには

ではいったい、どうすれば小胞体ストレスを防げるのでしょうか。

1.動物性タンパク質の過剰摂取を制限する

肉は必要ですが、食べ過ぎはダメです。食べ過ぎるとタンパク質を作らなくていいのかな、と体が勘違いして在庫が増えてしまうそうです。

2.ミトコンドリア機能を上げる

小胞体の機能を上げるには、一心同体であるミトコンドリアの機能をあげてやるのもいい手です。

ミトコンドリア機能を上げるために、運動するのが良いでしょう。

3.ヒートショックプロテイン

先程出てきた分子シャペロンは、ヒートショックプロテインのことだと思って構いません。

ヒートショックプロテインとは、刺激によってつくられるタンパク質です。

どんな刺激かというと、朝日を浴びる、熱いお風呂に入る、息を1分間とめる、寒中水泳をする、高地トレーニング、断食をする、ということです。

ヒートショックプロテインを刺激すると、分子シャペロンがうまく働くようになって、フォールディングがうまくいきます。断食をした方がいい理由の一つはこれです。

時々短期の刺激を与えてあげることで、タンパク質の不良在庫を一掃してください。

寝る前にオメガ3脂肪酸やナイアシンを摂取する

細胞膜を柔らかくすることも必要ですから、オメガ3サプリメントを摂ることもいいと思います。

遺伝子の修復をする、ナイアシンを寝る前に摂ることもいいでしょう。

小胞体ストレスをなくして、小胞体とミトコンドリアの動きを良くしましょう。

最後に

ここまでで、細胞の4つの働きは終わりです。

イメージができてきたでしょうか?自分の細胞を動かすイメージがとても大切です。

自分の今の細胞はどうなっているかということをイメージして、根本治療ピラミッドを作ってみてください。

次の記事: ビタミン・ミネラルの考え方

「自分のトリセツの作り方」細胞膜

宮澤賢史 · 2020年1月10日 ·

前の記事: メチレーションプロフィール

ここまで細胞の中の、ミトコンドリア、核とお話ししてきました。

次は細胞膜です。

細胞膜の構造

細胞膜はご存知の方も多いかもしれませんが、脂質の2重層といって、リン脂質が集まって2層構造をなしています。

これはリン脂質の図です。グリセロールに脂肪酸2つとコリンがついています。これがたくさん集まって、細胞膜を形成しています。

脂肪といえば、普通は中性脂肪を連想しますね。中性脂肪はグリセロールに脂肪酸が3つくっついたものです。

リン脂質は、脂肪酸が2つで、中性脂肪にあったもう一つの脂肪酸の代わりに、コリンがくっついたものです。

脂肪酸の方が脂溶性で油に溶け、コリンの方が親水性で水に溶けます。

油に溶けやすいところ同士、しっぽ同士がくっついて2重層になっているので、内側と外側は親水性になっています。血液や細胞内の水分がうまく入るようになっていますが、中は油なので、いろんなものが通らないようになっています。特別なものしか通しません。それが細胞膜です。

細胞膜の3つの働き

細胞膜の働きは3つです。

  • 隔てる(選択的透過性)
  •   流動性(樹状突起、エクソサイトーシス)
  •   プロスタグランジン

ひとつずつ、詳しくみていきましょう。

細胞膜の働き1.隔てる(選択的透過性)

まずひとつは、隔てる壁の役割です。細胞というのは選択的透過性を持っています。限られたものだけを通して、他は通さないということです。

例:カルシウム

例えば、カルシウムの濃度差は細胞の外と内では10000:1なんです。

細胞の外に10000あれば、細胞内には1しかないんです。極端な濃度差ですね。

ATPを使って、細胞の中から外にポンプで組みだしているんです。

体内のATPの多くは、カルシウムをくみ出すことに使われています。何故そんなところに大事なエネルギーを使うかというと、カルシウムの濃度差を保つことが生命にとってとても大事だからです。

普段はカルシウムの濃度差を10000:1に保っておいて、何かしら刺激があった時に、カルシウムが外から中に一気に入ってきます。

これによって心臓が動いたり、インスリンが分泌されたり、神経が伝達されたりします。

人間はカルシウムをスイッチとして使っているので、カルシウムの濃度差がスイッチの敏感さにつながっています。ですから、この敏感さを保つために、カルシウムをどんどんくみ上げないといけません。

もしこのATPがなくなって、ポンプ機能が弱ってくると、10000:1が保てず、1000:1くらいになってしまったりして、スイッチが鈍感になっていきます。

するとインスリンがうまく分泌できなかったり、神経伝達物質がうまく働かなかったりします。だから、ここは鍵になるところです。

ミネラルを体内に吸収させる方法1.イオンチャンネルを通す

ミネラルは水溶性です。ミネラルを体内に吸収させようと思ったら、まず腸の粘膜の細胞の中に入れ込むことが必要です。細胞の外から中に入らないといけないんですが、入口はありません。

しかし、イオン化すると入ります。イオンチャンネルという穴があるんです。ですから、ミネラルはイオン化させなければなりません。そのためには胃酸が必須です。胃酸が出ていない人はミネラルを吸収できません。

ミネラルを体内に吸収させる方法2.キレート

ミネラルを体内に吸収させるもうひとつの方法は、キレートすることです。キレート、というのはアミノ酸で挟み込む方法です。

ミネラルは、アミノ酸で挟み込まれると、アミノ酸の入り口を通して細胞内に入り込むことができます。

アミノ酸で挟み込んだミネラルのことをキレートミネラルといい、サプリメントとしてたくさん発売されています。日本では食品のキレート加工が認められていないので、日本製のキレートサプリメントはありません。外国産のものを使うことになります。

そんな形で、少し工夫しないとミネラルは吸収するのが難しいです。

脂溶性ビタミンは細胞膜を通過する

それに比べて、脂溶性ビタミンは脂である細胞膜を自由に通過できます。

遺伝子の発現には、栄養が核に働きかけることが関係してきます。脂溶性のビタミンAやビタミンDは、摂取したらそのまま細胞の核に働きかけて遺伝子の発現に直接関与するので、作用がとても強力です。脂溶性ビタミンは非常によく効きますが、胆汁がしっかり出ていることが条件です。

これはステロイドホルモンの働きとまったく同じです。ステロイドホルモンとは、コルチゾールです。ステロイドがなぜあんなに強力かというと、細胞膜を通り抜けて核に直接働きかけるからです。

細胞膜の働き2.流動性

細胞膜は、その柔らかく流動性が高いことを通じて、神経伝達したり、ホルモンの分泌に関わったりしています。

流動性が高いというのは、形を自由に変えられるということです。

流動性を高くするために

リン脂質は不飽和脂肪酸が入っています。不飽和脂肪酸は結合部分が飽和していない脂肪酸のことです。

二重結合がある脂肪酸のことです。二重結合があるとそこが可動性が高くなるので、柔らかくなって、流動性が高まりますから、何にでも形を変えることができるようになります。

例えば脳神経細胞です。樹状突起によって、たくさんつながっています。この樹状突起も、すべて細胞の膜でできています。不飽和脂肪酸がたくさん入っているからです。

マグロの目玉を食べると頭が良くなると言ったりしますね。マグロの目玉にはDHAがたくさん入っているからです。DHAは特に脳への移行性が高いので、脳の脂の原料になります。しかもDHAは二重結合が6個もあります。(EPAは5個です。)非常に柔らかいので、神経細胞の樹状突起の維持に役に立ちます。

赤ちゃんが飲んだら頭が良くなるし、ご老人が飲めば、痴呆防止の役に立ちます。

この逆の働きをするのがトランス脂肪酸です。最も固い油です。流動性が極めて乏しいうえに、脳にどんどん吸収されます。脳は細胞膜の塊みたいなものですから、最も影響を受けます。特に子供の場合は、脳の発達が4歳までに80%できてしまいます。人間の体は25歳くらいまでゆっくり成長しますが、脳は早いんです。ですから、子供の時にトランス脂肪酸を与えたら絶対ダメなんです。すべて脳にいってしまいますから。何を摂るかより、何を摂らないかを先に考えなければなりません。

リン脂質の不飽和脂肪酸濃度が高い方が、膜の流動性が高まって、頭が良くなっていくということです。

エキソサイトーシス

細胞はどうやって細胞内環境の中で神経伝達物質やヒスタミン等の細胞外環境適応物質を作るのか。

答えは、細胞の内側にさらに膜を隔てて、細胞外環境を確保するということです。

膜と膜をくっつければ、簡単に分泌することができます。逆に、受容体をくっつければ簡単に取り込むことができます。これがエキスサイトーシスです。

不飽和脂肪酸が少なくて膜が固いと、この出し入れがうまくいかないんです。

細胞膜の働き3.プロスタグランジン

細胞膜の一部がちぎれて生理活性物質になり、炎症や血栓に関わっています。プロスタグランジンといいます。

炎症を止めるのは、炎症の部位を治療します。しかし細胞レベルで言えば、細胞の部分の脂肪酸の組成を変えるということです。魚の脂を摂れ、ということです。それが細胞レベルで炎症を止めることになります。

エイコサノイド

細胞の膜というのは、ホスホリパーゼA2の刺激によってちぎれて、生理活性物質になります。

肉の脂、アラキドン酸の場合はプロスタグランジンE2、トロンボキサンA2、すなわち炎症を起こすプロスタグランジンという物質ができます。

魚に多いEPAの場合は炎症を抑えるプロスタグランジンE2というものができます。

ですから、細胞の膜の不飽和脂肪酸の組成が、炎症体質かそうでないかを決めるんです。

ふだん肉の脂を食べている人は、アラキドン酸が多い膜になりやすいので、刺激があった場合は炎症を起こすプロスタグランジンが出ます。魚の脂をたくさん食べる人は炎症を抑えるプロスタグランジンが出ます。この炎症を起こしやすいか起こしにくいかという比率のことを、EPA/AA比率といいます。AAは、アラキドン酸(Arachidonic acid)です。

アラキドン酸は必須脂肪酸です。体内になければならないもので、アラキドン酸のおかげで炎症を起こすことができます。短期の炎症は絶対に必要なものです。傷を素早く修復するために炎症物質を出し、そのおかげで傷が早く治ります。

ただ、EPAが少なすぎて、炎症を収束させることができず、慢性化してしまうのが問題なんです。

現代人はアラキドン酸を摂りすぎていて、理想的な比率3:1とは離れて、20:1ほどになってしまっています。

ですのでアラキドン酸を控えてEPAを増やすことで、炎症体質を抑えましょうということです。

EPAは血管で言えば、血小板の凝集を抑制するので、血液もサラサラにします。やはりEPA、DHAは重要です。

アトピー性皮膚炎の人は炎症体質なので、このあたりは絶対考えた方がいいと思います。

次の記事:小胞体

「自分のトリセツの作り方」メチレーションプロフィール

宮澤賢史 · 2020年1月10日 ·

前の記事:核

下記は「メチレーションプロフィール」の問診票です。

これはうつ病の問診なので、丸がつかない方もいるかもしれません。

メチレーションプロフィール

この問診票で、メチレーションの状態がわかります。

メチレーションは、普通なのか、低下しているか、亢進しているかの3通りです。

A:低メチル化タイプ

Aに〇が多くついた方はメチル化がうまくいっていない、低メチル化タイプの人です。

花粉症、完璧主義、競争心が強く、性欲が強いという特徴があります。低メチル、低セロトニン、低ドーパミンです。

セロトニン・ドーパミンの再取り込みたんぱくがたくさん作られるので、たくさん取り込まれて、結果セロトニン・ドーパミンが少なくなります。

SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)の薬が合うでしょう。セロトニンの再取り込みが阻害されるので、結果的にセロトニンが増えます。同じくらいに、メチル基を増やしてくれるサプリメント、SAMeも相性がいいです。

B:高メチル化タイプ

Bが多かった方はメチル化が亢進している人です。高メチル化、ハイパーメチレーションタイプです。

メチル基がたくさんついている人はタンパク合成ができません。ということはセロトニンの再取り込みタンパク質が合成できないので、取り込めません。だから、高メチル・高ドーパミン・高セロトニンになります。

ですから、メチレーションを減らすナイアシンが良いでしょう。

C:銅が過剰なタイプ

Cが多かった方は、銅が過剰なタイプです。

D:ピロールタイプ

D が多かった方はピロールタイプです。

ピロール障害といいます。

E:重金属タイプ

E が多かった方は重金属タイプです。

名前だけ覚えておいてもらって、後ほどご説明します。

僕がうつ病の人を見たら、最初にこのアンケートをやってもらって、どの傾向が一番強いかを見ることから始めます。

メチレーション状態を見極めることとの重要性

Aタイプの、メチル基がいっぱいある人は、タンパク合成が盛んなのですが、逆にBタイプの人はメチル基が余っています。

ヒストンにメチル基がいっぱいくっついて、その結果ヒストンの間隔が小さくなって、タンパクの合成が止まっています。セロトニン再取り込みタンパクの合成もできず、セロトニンが増えてしまいます。

だから、メチレーションを減らすナイアシンを入れてあげるといいんです。アセチル基を活性化する作用があるのがナイアシンだからです。ナイアシンサプリメントを30㎎ではなく3000㎎摂ると、アセチル基が活性化されて、ヒストンの間隔が伸びて、ドーパミンが減ってきます。

セロトニン

うつはセロトニンが足りない病気だ、と一般的に思われているので、セロトニンを増やすための薬が処方されます。

しかし、セロトニンが多いこのタイプのうつ病の人に、セロトニンを増やす薬を処方すると、どうなるでしょうか。

不安が強くなります。セロトニン症候群といいます。副作用としても記載があります。

本当は、うつ病の人にSSRIをだすのではなくて、セロトニンが多いのか少ないかを見極める必要があります。それに役立つのがこの問診表です。

ドーパミン

これと同様に、統合失調症はドーパミンがたくさん出過ぎて幻聴が起きる疾患として捉えられがちですが、実際にはドーパミンが増加している人と低下している人がいます。

ドーパミンが低下している人のドーパミンを下げるのは、やはりよくありません。

大事なのは病名ではなく病態

大事なのは病名ではなく病態です。

病態とは、脳内の神経伝達物質のバランスです。

脳機能の改善には神経伝達物質のバランスが多いのか少ないのかを見極めて、メチル化を調節してあげる必要があります。まずメチレーションが中心です。

次の記事:細胞膜

「自分のトリセツの作り方」核

宮澤賢史 · 2020年1月7日 ·

前の記事: ミトコンドリア

細胞の核についてです。

細胞の核の中にはDNAが入っています。すべて解析されていますが、その結果、チンパンジーとヒトのDNAの違いは1.4%しかないことがわかりました。DNAは設計図ではないんです。どのように読み取るかによって、遺伝子の発現がまったく違ってきます。

同じ楽譜でも、演奏家が違うとまったく違うように聞こえますよね。それと同じようなかんじです。

核のタンパク質の発現は、脳機能、セロトニンとかドーパミンなど神経伝達物質のコントロールに役立ちます。一番の目的はそこです。

細胞があって、核があって、その核の中には染色体が23対入っています。この染色体をひもとくとどうなっているかというと、長さ2mのDNAになっています。塩基が向かい合ってはしごを作っています。

遺伝子の発現に重要なヒストン

DNAはそのままではなく、ヒストンという糸巻き上のものにくるまって入っています。長いDNAを巻き取ってコンパクトに収納する役割を持っています。

遺伝子を発現するとき、ヒストンは外れたり位置がずれたりして、遺伝子の情報が読み取られ、たんぱく質が作られます。

ヒストンというのは、DNAが細胞核の中で絡まらないようにするために巻き取るだけの役割だと思われてきましたが、今はヒストンが遺伝子の発現に重要な役割を持っているということが分かってきました。

タンパク質が作られる仕組み

タンパク質が作られる仕組みというのは非常に大切です。

タンパク質はすべて細胞の核の中にある遺伝子の設計図情報をもとに作られます。図書館です。タンパク質はその場で作れないので、この設計図をRNAにコピーして、RNAとして持ち出さないといけません。このコピーすることを一般的に転写といいます。

転写された鋳型のRNAは、タンパク質の製造工場・倉庫である小胞体のリボゾームに持ち込まれます。

RNAがリボゾームに設計図を持ち込み、その設計図通りにアミノ酸をつなげていく翻訳作業が行われます。だから、たんぱく質が作られるためにはまずDNAがRNAに転写される必要があります。

転写の仕組み

DNAの長い鎖は、全体が設計図なわけではありません。

設計図の場所と、設計をコントロールする場所にわかれています。設計図の場所を構造遺伝子、それ以外を転写調節領域といいます。

転写調節領域の中で、特にエンハンサーというところにRNAがくっつくと転写が始まります。

プロモーターというのは、タンパク質の構造遺伝子がどこから始まるかを示しています。ここから読み取れば良いんだ、という目印になります。

エンハンサーであるRNAポリメラーゼというタンパク質がくっつくと、転写が始まって、タンパク質が作られます。(実際にはこの構造遺伝子が切り取られると、その中からイントロンという要らない遺伝子が切り落とされます。これをスプライシングといいます。)

重要なのは、エンハンサー領域にタンパク質がくっつくと転写が起こるということです。

クロマチン構造が変化して転写を司る

ヒストンにDNAが巻き付いたものをクロマチン構造と言います。

クロマチン構造が変化することによって、転写が起こったり起こらなかったりします。

ヒストンとヒストンの間が空くと、間に転写遺伝子が入ってこれるので、転写が始まります。逆にヒストンとヒストンの間が狭くなると、転写因子が入ってこれず、タンパク質の合成が起こりません。だから、合成がおこるかどうかはヒストンの間の距離次第です。

ヒストンの間の距離は、ヒストンにアセチル基がつくか、メチル基がつくかで決まります。

メチレーションという概念があります。

メチレーションが亢進しているときはメチル基がたくさんあるので、遺伝子の発現が止まります。がん遺伝子の発現もこれで阻止しています。

メチレーションがうまくいかない人はがん遺伝子の発現を止めることができずにがん化する、という説があります。

メチル基がつく→転写が起こらない

身体がメチル化状態だとヒストンの間が狭くなり、転写が起こりません。

アセチル基がつく→転写が起こる

メチル基の反対はアセチル基です。体内ではアセチルCoAというものがたくさんあって、くっついてきます。アセチル基がつくとヒストンの間が広くなり、遺伝子の発現が起きます。

メチル基がたくさんつくと、ヒストンとヒストンの間が短くなって、遺伝子の発現が起きない。ここだけ頭に入れておいてください。

ナイアシンは転写因子を活性化する

ナイアシンは、転写因子を活性化させることでタンパク質をたくさん作らせます。その結果、ドーパミンが下がってきます。これが、統合失調症に効く理由です。

反対に、SAMeというメチル基をたくさん持ったサプリメントは、遺伝子の発現を阻害して、結果的にセロトニンを増やします。

重要なのは、ヒストン間の距離によって、たんぱく質の合成が動いたり止まったりするということです。

遺伝子の発現には栄養が重要

細胞の核に関しては、遺伝子の発現に関係する、遺伝子の発現には栄養がすごく絡んでいる、ということを覚えておいてください。

遺伝子の設計図ではなく、発現が大事です。最も重要な遺伝子の発現は、栄養と環境でいくらでもコントロールすることができます。

ですから、一卵性双生児でも環境と食事が違うと、遺伝子の発現が違うので、まったく違った人間になるということです。

次の記事:メチレーションプロフィール

ミトコンドリアへのサプリメントケア

宮澤賢史 · 2020年1月3日 ·

人間は約37兆個の細胞でできています。

その細胞ひとつひとつが元気であることが健康状態を保つ上で必須で、その中は細胞内器官という中身がつまっていて、重要なのはこの4つです。

  • ミトコンドリア
  • 核
  • 細胞膜
  • 小胞体

他にもゴルジ体などもありますが、さしあたってこの4つを抑えておけば、栄養療法を考える上では事足ります。

重要なのは、「細胞の どの部位の どんな働きのために どの栄養素が必要か」ということを、関連付けて頭に入れておくことです。

例えば、ミトコンドリアならビタミンB群が必要ですよ、といったことです。

また、「毒性物質が 細胞のどの部位の働きを損なうか」も重要です。

例えば、ミトコンドリアは重金属でやられますし、トランス脂肪酸が入ってくると細胞膜の働きが失われます。トランス脂肪酸は直鎖状で、油の塊である細胞膜を固めてしまう働きがあります。

その細胞内器官4つを、これから1つずつ解説していきます。

今回は、ミトコンドリアの話です。

ミトコンドリアとは

ミトコンドリアは数ある細胞内小器官のうちのひとつで、すべてのエネルギーをATPという形で産生しています。

各細胞に300から数千個存在していて、人間全体では1京個存在します。なんと、人間の体重の10%はミトコンドリアです。

血球や皮膚細胞にはほとんど存在しません。もし赤血球にミトコンドリアがあれば、酸素を運搬するのではなく、酸素を自分で使ってしまうからです。

卵子には10万個あるので、ミトコンドリアが受精・着床に影響を及ぼします。

ミトコンドリアの祖先は細菌である、という話は最近有名になりました。もともとは別の生物だったのが、20億年ほど前に寄生したんです。リケッチアという細胞とウイルスの間のようなものが細胞内に寄生したのをきっかけに、エネルギーをたくさん作れるようになって進化した、という話です。

つまりもともとは別の生き物ですから、細胞の核とは別に、独自のDNAを持っています。

ミトコンドリアはエネルギー産生装置

ミトコンドリアはエネルギーを産生する装置です。

これは、糖質(グルコース)からエネルギーがどのように産生されるかという経路の図です。

前に出てきたクエン酸回路が、この中に入っています。

ミトコンドリアの外側にあるのが解糖系という、ブドウ糖をピルビン酸に変える経路です。酸素を使わないので無酸素代謝と言われます。

ミトコンドリアの中は酸素をたくさん使う、有酸素代謝です。

この無酸素代謝では、1分子のグルコースから2分子のピルビン酸ができます。

その間に、ATPを使って、ATPが作られます。つまり、1分子のグルコースから、差し引き2つのATPが作られます。

※ATPができるほど、エネルギーが産生されているという意味です。

できたピルビン酸はミトコンドリアの中に入ってきて、TCAサイクル、クエン酸回路に入ってぐるぐる回ります。ここでも2ATPが作られます。

クエン酸回路はNADをNADHにして、次の電子伝達系に水素を渡す役割をしています。

NADというのはビタミンB3、ナイアシンのことです。つまり、ナイアシンは水素を奪っているんですね。この水素を奪う箇所が、3か所あります。

クエン酸回路は確かにATPも作っていますが、一番大事なエネルギー回路である電子伝達系に水素を渡すのが一番の役割です。水素の運び役になっているのがこのNAD、すなわちナイアシンなんです。

このクエン酸回路で得られた水素は電子伝達系に行来ます。電子伝達系では、NAD・コエンザイムQ10・鉄などが電子や水素を受け渡して、細胞の外にどんどん水素を出すんですね。そして水素が外から中に入っていく過程で、水車が回って、その水車を回す力でATPが作られるという仕組みです。

本当はもっと複雑ですが、初めての場合はこういった理解でいいと思います。大事なのは、電子伝達系で他と比べても格段に多い、34個のATPができるということです。

解糖系とTCAサイクルは前段階の準備をしてくれるところ、というふうに考えたらいいと思います。

もちろんすべての回路が回らないとエネルギーは作れません。エネルギーがつくれない、ミトコンドリア機能が低下しているという場合は、これらの回路のうちのどこが止まっているのかを考えてください。

一般的にはミトコンドリアサプリメントはナイアシン(NAD)・コエンザイムQ10、鉄などが含まれます。

ミトコンドリアのDNA

ミトコンドリアは細胞の核にあるDNAとは別に、独自のDNAを持っています。

ミトコンドリアのDNAは、核のDNAと比べて、活性酸素の害を受けやすいのが特徴です。

ミトコンドリアでは中で電子を受け渡していますから、酸化還元反応が活発に行われているということです。

ミトコンドリアは酸化反応の宝庫ですから、不完全燃焼のすすが2%くらい出るといわれています。

ですから、年をとればとるほど、ミトコンドリアをきちんと動かすには抗酸化対策が必要です。

抗酸化対策が不十分だと、ミトコンドリアのDNAが傷つきやすいです。ただでさえ活性酸素が多いのに、ミトコンドリアの遺伝子は核のDNAと違って、DNAを守るヒストンがなく、環状で丸裸です。損傷を受けやすいうえ、修復能力もとても劣ります。

さらに活性酸素・重金属・有機溶剤の影響で、DNAが直接障害されます。活性酸素の発生源でありながら、活性酸素に弱いという非常にデリケートなものです。抗酸化対策は必須です。

ミトコンドリアへのアプローチ1:必要な栄養を取る

ミトコンドリアを駆動する栄養素を摂ると、ミトコンドリアが動きやすくなりそうですね。

コエンザイムQ10、NADH(還元型のNAD)、鉄などです。

特に、電子伝達系で働くコエンザイムQ10、NADH(還元型のNAD)は積極的に摂っていくと良いと思います。

マグネシウム・亜鉛も、ミトコンドリアの基本的な動きに重要なので、摂った方がいいですが、ミネラルは吸収が悪いので摂り方に工夫が大事です。

鉄はとても重要な栄養素ですが、酸化されやすく活性酸素の発生源になりやすいので、取り扱いに注意が必要です。鉄が足りないからと鉄サプリメントをたくさん摂るのは、害が大きいです。ヘム鉄の多い赤身肉をたくさん食べると、がんになりやすいという相関性についての論文はたくさんあります。

アメリカの論文なので日本人とは少し体質が違いますけれど。

ミトコンドリアを動かすためには、必要な栄養素と抗酸化対策が必要です。

ミトコンドリアへのアプローチ2:抗酸化対策

これは抗酸化物質として有名な、ビタミンCの構造式です。

抗酸化、というのは相手を還元してあげるということです。還元するということは、水素をあげること、電子をあげることです。つまり抗酸化力が強いということは、電子を離しやすいということです。

ビタミンCは非常に抗酸化力が強いというのは、エンジオール基の水素のひとつが構造上、非常に離れやすいからです。

一般的に、ヒドロキシ基(-OH)・フェノール基は抗酸化力を持っています。化学式を見ると、抗酸化力が強いかどうかがわかります。

クルクミン、レスベラトロール、カテキンなどのポリフェノールは、この離れやすいOH基がたくさんついているから、抗酸化力が強いということになります。だから、ミトコンドリアを動かすためにはこういったポリフェノールを一緒に入れてあげるといいんです。

ミトコンドリアサプリの具体例1

実際に、ミトコンドリアサプリの例を見てみましょう。

これはPure Encapsulations社という有名なサプリメントメーカーの、mitcondria-ATPというミトコンドリアサプリです。Pure encapsulationsはアメリカの代替療法医の中で、人気ナンバー2です。(ナンバー1は Metagenics 社)

ミトコンドリアサプリメントの成分

何が入っているかというと、上からチアミン、リボフラビン、ナイアシンです。そして抗酸化のビタミンCとE、マグネシウムが入っています。理屈にかなっていますよね。

ビタミンCとEはあわせて入れておくといいです。ビタミンCは、還元した時に自分自身は酸化されますから、ビタミンEに還元してもらうんです。ビタミンEは酸化されますから、グルタチオンに還元してもらうんです。次々つながっていまして、抗酸化ネットワークといいます。抗酸化ネットワークに入っている栄養素を組み合わせて摂ると、抗酸化能力が非常に高まります。

カルニチン

カルニチンも入っています。カルニチンは脂肪酸をミトコンドリアの中に入れるのに必要な栄養素です。痩せる、と言われていたりしますが、脂肪を燃やすためのものです。

エネルギー代謝に関しては、脂質と糖質がとても重要です。ふだん、脂質もたんぱく質も糖質も、すべてエネルギーにすることができます。しかしエネルギー代謝の柱はやはり、脂質と糖質です。

たんぱく質はアミノ基を持っているので、代謝の中でできる窒素は有害で、排泄するのにアンモニアを経由したりして手間がかかります。エネルギーとしては向いていません。

できればCとHしか使いたくないので、炭水化物か脂質をエネルギーとして使いたいんです。糖質制限をしている人は脂質がエネルギーのメインになってきますね。

しかし、エネルギーの性質で比べると、脂質と糖質ではエネルギー供給のパイプの太さが違います。

糖質はパイプが太く、エネルギーの効率がとても良いです。

脂質は脂肪細胞にあるものを一回たんぱく質の単体に載せて、細胞内まで運んでこないとエネルギーとして使えないので、エネルギーの供給パイプが非常に細いです。

そこが一番違うところです。

ふだん私たちがぼーっと座っていたなら、脂質のエネルギーの方が使われています。

歩いたりすると、だんだん糖質の割合が増えてきます。マラソンは42キロ走りますが、42キロすべてを糖質では賄えないんです。糖質からできるグリコーゲンはせいぜい1500カロリーしか貯められないので、脂質エネルギーもうまく入れるんです。それがペース配分です。うまく走れる時は脂質エネルギーを使って走って、スパートの時に糖質を使うんですね。だから、それまでに糖質を使い果たしていると最後のスパートがうまくできないんです。

脂質はエネルギー源としてとても重要なのですが、その脂質を細胞内に入れるのに重要なのが、カルニチンです。

その他抗酸化物質

その下が、トランスレスベラトロール、グレープエクストラクト、このあたりも抗酸化です。

N-アセチルシステインとかαリポ酸とかがあります。αリポ酸は解毒と抗酸化に役立ちます。

αリポ酸は脂の抗酸化も水の抗酸化もできます。ビタミンCとEの両方の特性を持っています。

カネカ・ユビキノール

あとはカネカ・ユビキノールが入っています。

カネカ、というのはコエンザイムQ10の有名なメーカーです。鐘淵化学工業というところで開発されたのがコエンザイムQ10で、ユビキノールというんですが、1日30mgではまったく効きませんでしたが、200mg使うと心不全に効果があるとアメリカで火がついて、逆輸入されたような栄養素です。抗酸化とエネルギーの療法に効果があり、ミトコンドリアには必須です。

ミトコンドリアを動かすにはこんな栄養素が必要だ、という見本のようなものですね。

ミトコンドリアサプリの具体例2

もうひとつ、Seeking Health社のサプリメントをご紹介します。

これは非常にシンプルですね。コエンザイムQ10とNADHだけ。これだけでも効くぐらいですから、コエンザイムQ10とNADHの重要性がわかりますよね。

疲れやすい人は、こういったサプリメントから始めてください。ただし、それはあくまで対症療法なので、その下に何があるかということが大事です。

ミトコンドリアはがんにも関わる

これはミトコンドリアサプリの話の続きですが、がんは遺伝疾患か代謝疾患かという議論が昔からあります。がんは遺伝子に傷がついて、そこから発症します。傷がついた遺伝子が分裂して増えていく、という仕組みなんです。

だから、アンジェリーナ・ジョリーさんは遺伝的に、変異型のBRCAという乳がんの因子があったので、予防的に乳房をとってしまいました。これはがんが遺伝疾患だという発想に基づいた行動だと思います。

しかし、本当にがんは遺伝疾患なのでしょうか?

がんは100年前にはほとんどありませんでした。もし遺伝疾患なら、昔からもっとあったはずです。

<h3>がんは遺伝子が原因ではないはず</h3>

これは、「Cancer as a Metabolic Disease」がんは代謝疾患である、という内容の本にあった図です。

正常細胞が分裂すると、正常細胞になります。腫瘍細胞が分裂すれば、当然腫瘍細胞になります。しかしそれは、何が原因なのでしょうか。

正常細胞に腫瘍核を入れても、正常細胞になりました。逆に、腫瘍細胞に正常な核を入れ込んでも、腫瘍細胞ができたんです。ということは、核内の遺伝子に起因するものではないはずです。

<h3>がんの腫瘍抑制因子はミトコンドリア</h3>

がんの究極の主要抑制因子はミトコンドリアです。だから、ミトコンドリアの機能が低下するとがんになりやすいです。

ミトコンドリア機能の低い人、疲れやすい人、低体温の人はがんを発症しやすいです。

がんを治すためには、ミトコンドリア機能を上げて、身体を暖めるといいという話があります。

これはミトコンドリアだけではなく、もう一つの細胞機関である小胞体と重ね合わせて考えると理解が進むと思います。

このあたりはとても大事な話です。

<h3>エネルギー産生の低下=アポトーシスコントロールの低下</h3>

人間には、古くなったり傷ついた細胞に自殺してもらう機能があります。この作用をアポトーシスといいます。

ミトコンドリアはエネルギーの産生がメインの仕事ですが、アポトーシスのコントロールにも一役買っています。エネルギーの低下とアポトーシスコントロールの低下は同時に起こります。だから、エネルギーの低下は発がんやアルツハイマーにも関係してきます。

アポトーシスは、ミトコンドリアと小胞体が協同してシグナルを出すことによってはじめて行われます。だから、ミトコンドリアと小胞体のどちらかの機能が低下するとアポトーシスが行われなくなって、不要な細胞が出ていかず、デトックスできなくなってしまいます。よって、腫瘍細胞が生き残ってしまうわけです。

もともと外部から来たミトコンドリアと、正常な細胞を結びつけているのは小胞体です。小胞体は、たんぱく質の製造工場です。

<h2>疲労系疾患はミトコンドリア機能を改善させるのが重要</h2>

大事なのは、疲労系疾患はミトコンドリア機能を改善させることが大事だということです。

俯瞰的に、ズームを変えて、同時に考えていってください。代謝のどこが止まっているのかも同時に考えます。

<h3>副腎疲労はミトコンドリア低下</h3>

副腎疲労もミトコンドリア機能低下です。全身症状としては、疲れやすい。臓器レベルとしては副腎機能低下。細胞の状態としてはミトコンドリア機能低下です。

<h3>甲状腺機能低下症</h3>

甲状腺機能低下症も、臓器レベルで言えば甲状腺機能の低下ですが、細胞の状態としてはミトコンドリアの低下です。甲状腺ホルモンにはミトコンドリアの数を増やし、機能を高めることがわかっています。

<h3>鉄欠乏性貧血</h3>

鉄欠乏性貧血も同じです。臓器レベルでは、赤血球数低下、質の悪化ですが、やはりミトコンドリア機能低下です。鉄には、赤血球の中で酸素を運ぶ働きと、ミトコンドリアの中での働きがあります。酸素を運ぶのも、ミトコンドリアの中での働きもエネルギーに関係するので、鉄欠乏性貧血はものすごくエネルギー不足になります。

鉄はエネルギー源ですから絶対に必要ですが、多すぎると活性酸素発生のもとになります。コツは、少量使って、利用効率を最大限まで上げることです。

<h2>サプリメントを使わないミトコンドリアアプローチ</h2>

ミトコンドリアの働きを良くする方法は、サプリメントを使うか使わないかで大きく2通りに分けられます。

<h3>運動</h3>

サプリメント以外では、運動が重要です。運動刺激によってミトコンドリアは増えます。

<h3>断食</h3>

新しいミトコンドリアを作り出すために重要なのは、断食です。

空腹時間を作ると、脂肪が燃えるようになります。脂肪が燃える時に、ナイアシンが体内で作られます。実はナイアシンがミトコンドリアを新生するスイッチになっています。

DNAの修復もナイアシンです。DNAの修復は寝ている間に行われるので、寝る前に少量飲むといいです。

多すぎると肝機能障害やナイアシンフラッシュを起こしたりします。ナイアシンは量によって効果が変わる、とても興味深いビタミンです。

<h3>小胞体ストレスの解消</h3>

小胞体ストレスを解消すること、については、また次回の小胞体のところで詳しくご説明します。

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