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臨床分子栄養医学研究会

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宮澤賢史

今週の栄養療法ニュース

宮澤賢史 · 2026年3月16日 ·

テュレーン大学が英国バイオバンクの16万人超・12年追跡データで、超加工食品の摂取量が多いほど骨密度が下がり、1日あたり3.7サービング追加ごとに股関節骨折リスクが10.5%上昇することを示しました。65歳以下の若年層ほど影響が強く、低体重者は特にリスクが高い。

骨粗鬆症は「カルシウム不足」で語られがちですが、超加工食品が腸内環境を破壊し、ミネラル吸収を妨げ、慢性炎症で骨代謝を乱しているというのが実態です。

超加工食品(UPF)は、添加物や精製成分を用いて工業的に再構成された食品で、原材料が多く食材の原型をとどめないのが特徴です。具体的には、市販のおにぎりや弁当、冷凍食品、菓子パンやスナック菓子、ハム・ソーセージ、清涼飲料水、カップ麺、甘いシリアルやプロテインバーなどが含まれます。

外来でも「骨密度が下がっている」と言われながら食事の問題が見過ごされているケースが非常に多い。「何を食べないか」が「何を飲むか」より先の問題です。

出典:earth.com / medindia.net(2026年3月13日)
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41787934/

処方薬4種が腸内フローラを破壊している

抗生物質、PPI(胃薬)、SSRI(抗うつ薬)、ジゴキシン(強心薬)の4種が腸内細菌叢を乱すメカニズムを解説した記事です。

抗生物質は多様性を低下させ、PPIは胃酸低下により異常菌の侵入を招きます。SSRIは抗菌様作用により菌構成を変化させ、ジゴキシンも腸内環境に影響する可能性があります。

この論文では、実験的に評価された薬剤のうち約1/4が、細菌の増殖を抑制しました。つまり、薬剤全般が腸内環境に関与し得ることを考える必要があります。

出典:health.com(2026年3月10日)

毎日のマルチビタミンで生物学的老化が最大5か月遅くなる

ハーバード医大・Mass General BrighamのCOSMOS試験(958人のRCT)にて、マルチビタミン継続2年でエピジェネティクスクロック(生物学的年齢の指標)が2.7〜5.1か月若い値を示しました。

注目すべきは、実年齢よりも老化が進んでいる高齢者ほど効果が強かったということ。

老けてる人ほどサプリが効きます。

気になる方はマルチビタミン摂りましょう。

出典:aol.com(2026年3月10日)https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/41803341/

マイクロプラスチックがアルツハイマー・パーキンソン病のリスクを高める5つの経路

シドニー工科大学・デューク大学のシステマティックレビューとJournal of Clinical Investigation掲載の動物実験で、成人が年間推定250g(ディナー皿1枚分)のマイクロプラスチックを体内に取り込んでおり、α-シヌクレインと結合してパーキンソン病を誘発するメカニズムが特定されました。

免疫細胞の活性化、酸化ストレスの増加、ミトコンドリアへの干渉などに加えて、血液脳関門も破壊されるそうです。

出典:packaginginsights.com(2026年3月11〜14日)https://www.sciencedaily.com/releases/2026/03/260313002637.htm

RFK Jrの新「食品ピラミッド」──飽和脂肪を推奨する論争的ガイドライン(therepublic.com)

Robert F. Kennedy Jr.が提唱した新たな「食品ピラミッド」は、従来の炭水化物中心の構造を大きく転換し、タンパク質や健康的脂肪を上位に、全粒穀物を下位に位置づけた点が特徴です。

特に飽和脂肪の摂取を比較的肯定している点が議論を呼んでいます。一方で、超加工食品や精製糖質の制限を重視する姿勢は一定の支持がありますが、心血管リスクやエビデンスとの整合性を懸念する声も多く、賛否が分かれる内容となっています。

今週の注目記事|カテゴリー別

🦠 腸内環境・マイクロバイオーム

腸内細菌が脳に到達する──高脂肪食でリーキーガットになると生きた菌が脳内に(Emory大、scienceblog.com)
高脂肪食のマウスで腸内細菌が脳組織に侵入。食事改善で菌が20分の1に減少。

腸内マイクロバイオーム組成が将来の心血管リスクを予測できる(Amsterdam UMC、npj Biofilms、geneonline.com)
6.2年・2.5万人の追跡で腸内細菌の構成が将来の主要心血管イベントを予測。

低タンパク食+腸内細菌が白色脂肪をベージュ脂肪に変える(慶應義塾大+MIT、Nature誌、technologynetworks.com)
腸内4菌株で体脂肪の質を変換できることをNatureに掲載。

口腔細菌が肝炎症を示唆する──口腔・腸・肝軸の新メカニズム(U Foggia、Medscape)
自己免疫性肝疾患患者で口腔フローラ異常と炎症マーカー上昇の関連が判明。

腸と腎臓の双方向関係──腸内細菌が腎臓を守り・壊す(gutmicrobiotaforhealth.com)
腎機能低下→リーキーガット→TMAO上昇→心血管リスクという悪循環を解説。

ランニングすると腸内細菌がトリプトファン代謝を書き換える(University College Cork、eurekalert.org)
自発的運動でトリプトファン代謝が変化しセロトニン前駆体産生が増える。

腸内フローラを整えるシンプルな5つの方法(arcamax.com)
食物繊維・水分・発酵食品・ストレス管理・睡眠改善を科学的根拠とともに解説。

Expo West 2026:腸内健康とGLP-1副作用対策が最大トレンド(nutritioninsight.com)
ポストバイオティクス・GLP-1ユーザー向けプロバイオティクスが展示会のトレンドに。

🧠 精神・メンタル健康

気分障害を悪化させる「危険な食事の落とし穴」──腸内セロトニンとBビタミンが鍵(rollingout.com)
腸が全セロトニンの90%を産生し、加工食品がその産生を乱す。B12・葉酸・B6不足がうつ・不安を直接悪化させる。

果糖の消化不良が不安と全身炎症につながる(U Bordeaux、psypost.org)
果糖吸収不良者の腸内細菌叢が変化し脳への炎症シグナルが増加。現代の高果糖食の危険性を示す。

気分・エネルギーを変える4つの栄養素不足──鉄・VitD・Mg・Bビタミン(creators.yahoo.com)
4種の欠乏が気分・認知・エネルギーに与える具体的影響を解説。

腸内フローラが乱れると片頭痛が起きる?腸と頭痛の隠れたつながり(blogs.medindia.net)
腸内フローラ改善が片頭痛発作を減らす可能性と炎症経路を解説。

脳炎症とニューロプラスティシティ──リーキーガットが脳霧・気分変動の根本原因(emag.medicalexpo.com)
脳炎症の微妙な症状と腸-脳軸の機能医学的アプローチを解説。

神経系をサポートする8つの食品(health.com)
サーモン・ほうれん草・ヨーグルトなど神経系を守る食品リスト。

ストレスが食事・睡眠・感情を乱す悪循環(rollingout.com)
ジャンクフードが脳機能を悪化させ炎症を促進するメカニズムを解説。

⚡ 代謝・血糖・ファスティング

7時間18分が最適睡眠時間──インスリン抵抗性を防ぐゴールデンタイム(medindia.net、NHANES 2009-2023)
7時間18分が血糖管理に最適な睡眠時間と特定。週末の「寝だめ」は逆効果。

夕食後3時間ルール──血圧と血糖を同時に改善する(medindia.net)
就寝まで3時間空けるだけで概日リズムに沿った血糖・血圧改善効果が得られる。

夜5時以降にやるべき4つのこと──内分泌専門医が血糖管理のコツを解説(eatingwell.com)
夕食後の軽い運動・高繊維食・早めの夕食・12時間絶食を推奨。

血糖スパイクを引き起こす10の日常習慣(health.com)
タンパク質・野菜を先に食べると食後血糖が40%低下。座りっぱなし・睡眠不足の影響も解説。

唾液で糖尿病リスクを早期発見できる新検査法(UBC Okanagan、scitechdaily.com)
血糖値正常でも唾液中インスリン濃度が高ければ将来の代謝リスクがわかる。

インターミッテント・ファスティングはどこまで科学的に支持されるか(nationalgeographic.com)
Harvard研究でIFは従来のカロリー制限と同等の体重減少効果。相反するデータも提示。

ファスティングでがんを予防できる?古代の知恵と現代科学(alhakam.org)
IFによるインスリン・IGF-1低下が乳がん・大腸がん・前立腺がんリスクを低下させる可能性。

マンゴーを毎日食べると3か月で代謝が改善する(parade.com)
マンゴー100kcalで精製スナックを置き換えると血糖管理・炎症マーカーが改善。

低GIコメの開発に成功──糖尿病患者も白米を食べられる日が来た(India研究チーム)
GI値55以下の新品種米が開発され、主食を変えずに血糖スパイクを防げる可能性。

🌿 老化・アンチエイジング

脳と身体を若く保つ7つのサプリメント(thetimes.com)
マルチビタミン・VitC・オメガ3・D・Mg・亜鉛・B12の7種を老化予防サプリとして解説。

60〜80代を人生最健康期にする食事法(health.yahoo.com、Queen’s University Belfast)
高齢期のタンパク質優先・野菜増加・超加工食品削減が数か月で改善をもたらす。

ウロリチンAは本当に筋肉老化に効くのか?ヒト試験の最新エビデンス(intelligentliving.co)
複数RCTで劇的効果は出ないものの、抗炎症・ミトコンドリアマーカー改善シグナルが一貫して確認。

🛡️ 免疫・自己免疫

「正常値なのに橋本病だった」──標準検査が見逃す甲状腺疾患の実話(womansworld.com)
43歳女性が数年間「異常なし」と言われ続け、精密検査でHashimoto病が判明。

なぜ免疫系は自分の組織を攻撃するのか──自己免疫疾患の複合的原因(medicaldaily.com)
遺伝・環境毒素・感染・食事・肥満の複合要因を整理。

🌙 睡眠・ホルモン

夕食の時間が深夜3時に目が覚める原因かもしれない(tomsguide.com)
夕食が遅いと夜中の血糖降下でコルチゾールが分泌されて目が覚めるメカニズムを解説。

朝スッキリ目覚める秘訣──UC Berkeley研究が判明した3要素(prevention.com)
睡眠の質・前日の運動量・低GI朝食の3要素が覚醒の質を決定。

⚠️ 食品・環境リスク

市販の魚油サプリは心臓・関節・うつに効かない──科学が示す現実(geneticliteracyproject.org)
OTCのフィッシュオイルは一般用途に効果不十分。精製EPA製剤(処方薬)は心血管リスク保有者には有効。

5つの食品が口腔がんリスクを高める(eatingwell.com)
加工肉・赤肉・アルコールがDNA修復を阻害し口腔がんリスクを上げる。

今週のトピックはこんな感じでしたね。

超加工食品の害・腸内細菌の新たな機能解明・マルチビタミンとエピジェネティクス・マイクロプラスチックと神経変性疾患と、臨床に直結する大きなテーマが揃った一週間でした。

来週もお楽しみに。

気分障害を悪化させる「危険な食事の落とし穴」──腸内セロトニンとBビタミンが鍵を握る

宮澤賢史 · 2026年3月16日 ·

米国の栄養・健康メディアRolling Out(2026年3月15日)が、「食事の誤りが気分障害をいかに悪化させるか」についての最新の栄養精神医学研究をまとめた記事を発表しました。加工食品・精製糖・トランス脂肪酸を多く含む現代食が、うつや不安症状のリスクを有意に高めるというエビデンスが積み重なっており、改めて「何を食べるか」が精神的健康と不可分であることが浮き彫りになっています。

腸内で作られるセロトニンの衝撃的な事実

多くの方が「セロトニンは脳内物質」とイメージしていますが、実は体内のセロトニンの約90%は腸内で産生されています。腸壁に存在する腸クロム親和性細胞が主な産生場所であり、腸内細菌叢の状態がそのセロトニン産生量を大きく左右します。

超加工食品や精製糖を日常的に摂取すると、有益な腸内細菌が減少し、腸内フローラのバランスが崩れます(腸内dysbiosis)。その結果、腸管の炎症が起きてリーキーガット(腸管透過性の亢進)が生じ、炎症性サイトカインが血液脳関門を越えて脳内炎症を引き起こします。この「腸脳軸(gut-brain axis)」の機能不全が、うつ・不安・意欲低下・慢性疲労として表れるのです。

Bビタミン不足が「幸福物質」の合成を止める

気分を安定させる神経伝達物質——セロトニン・ドーパミン・GABA——の合成には、ビタミンB6・B12・葉酸(B9)が補酵素として不可欠です。これらが不足すると、食事からトリプトファンやチロシンをどれだけ摂っても、神経伝達物質への変換が滞ります。

精製食品・インスタント食品が中心の食生活ではBビタミンが慢性的に欠乏しがちです。さらに、ストレス・アルコール・ピルの服用・腸内環境の悪化はBビタミンの需要を増大させる一方で、消化吸収の低下がその摂取量を実質的に減らします。「食べているのに足りない」という状態が知らず知らずのうちに積み重なっているのです。

気分の問題は栄養の問題

うつや慢性疲労を訴えて来院される患者さんの多くに共通しているのは、腸内環境の悪化・Bビタミンの機能的欠乏・血糖調節の乱れの三つです。精神科や心療内科で抗うつ薬を処方されても改善しきれなかった患者さんが、食事とサプリメントで目に見えて変化していく様子を何百例と経験してきました。

今回紹介した記事でも触れられているように、地中海式食事(野菜・魚・良質な脂質・発酵食品を中心とした食事)は現時点でメンタルヘルスへの効果が最もエビデンスのある食事パターンです。日本の伝統的な食事——発酵食品(味噌・醤油・ぬか漬け)、青魚、旬の野菜——はこの地中海式に非常に近い構造を持っており、私たちの食文化の中に「答え」はすでに存在していると感じます。

問題は、この50〜60年で日本人の食卓がいかに超加工食品・精製糖・植物油脂に置き換えられてしまったかです。コンビニ飯・スナック菓子・清涼飲料水が「普通の食事」として定着した結果、腸内環境の悪化とBビタミン慢性欠乏が新常態となり、うつや発達障害、慢性疲労が増え続けているのではないかと、私は臨床の場で強く感じています。

今日からできる3つの実践

  • 朝食を「塩気のある食事」に変える:シリアル・ジャムトースト・フルーツヨーグルトといった甘い朝食は血糖スパイクと急落を引き起こし、午前中の気分・集中力を乱します。卵・納豆・みそ汁・魚といった塩気の食事への切り替えだけで、午前中のエネルギーと気分が安定します。
  • 発酵食品を毎食プラスする:味噌汁・ぬか漬け・キムチ・ヨーグルトを毎日摂ることで腸内フローラの多様性が高まり、腸脳軸を通じた気分の安定化が期待できます。
  • Bビタミンを意識的に補う:血液検査でホモシステイン値・ビタミンB12・葉酸を測定し、機能的欠乏があれば活性型B群サプリメントで補充します。特にMTHFR遺伝子多型がある方は通常の葉酸ではなくメチル葉酸(5-MTHF)の使用が有効です。

おわりに

「気分が落ち込むのは性格や環境のせい」という思い込みが、栄養療法へのアクセスを遅らせています。腸内環境とBビタミンという「上流の原因」に目を向けることで、薬だけに頼らない根本的な改善への道が開けます。

臨床分子栄養医学研究会では、こうした栄養療法の最新エビデンスと実践方法を医師・栄養士・カウンセラーに向けて体系的にお伝えしています

トラウマ前提で組み直す、新しい栄養・健康戦略

宮澤賢史 · 2026年2月13日 ·

こんにちは、宮澤です。

Kara Fitzgerald, NDによれば、最新の「Epstein Files」をきっかけに、機能性医学の世界でも「倫理・トラウマ・権力構造」を真正面から語らざるを得ない状況になっているそうです。

Sara Szal医師とBrad Jacobs医師は、エプスタイン事件に名前が挙がった医師たちを単に糾弾するのではなく、「影響力の大きさに見合う説明責任」「トラウマが健康と寿命に与えるダメージ」「医療者が虐待のサインを見逃してきた構造的な問題」などを語り、ACEスコア(小児期逆境体験)を含むトラウマ・インフォームドな診療の必要性を訴えています。

要するに、「セクシャルアビューズ=心の問題」で終わらせず、「慢性疾患・加速老化・ホルモン・代謝・男性性/女性性のあり方」にまでつながる“健康の中核テーマ”として扱おう、という話です。

この前ひさびさにNetflixで医療ドラマを流し見してたんですね。
救急外来でガンガン検査して、手術して、「助かった…!」みたいなやつ。

でも、現場を知ってる人からすると

「いや、その前にこの人、絶対トラウマ抱えてるでしょ…」
「食事も睡眠もメンタルもボロボロなのに、そこスルーかい…」

ってツッコミどころ満載なんです。

現実の外来でも似たことが起こっていて、

– 血圧高い
– 血糖ちょっと危ない
– 腰痛・頭痛・PMSがつらい

→ とりあえず薬
→ ちょっと運動して、食事に気をつけましょうね

…で診察終了。

でも、その人の頭の中では実は

– 子どもの頃の家庭環境がかなりカオスだった
– 過去の性的被害を誰にも言ってない
– パートナーとの関係がずっと怖い or 支配的
– 仕事で「NO」と言えず、常にビクビクしている

みたいな「背景ストーリー」がぐるぐる回っていることが多い。

表に出ている症状は
→ 血圧とか血糖とかホルモンバランスの乱れ

でも根っこでは
→ トラウマ・ストレス・人間関係・自己否定

が、かなりの割合を占めているんです。

栄養療法や機能性医学は、トラウマを前提にした健康デザインにアップデートすべき」なのかもしれません。

臨床経験から言うと、同じ食事・同じサプリ・同じ運動をしても、

– 子どもの頃から比較的安全基地のある人
– ACEスコアが高く、慢性的な恐怖や支配の中で育った人

では、反応スピードも、結果も、続けられる力も、まったく違います。

例えば:

– 低糖質食を頑張っても、夜になるとドカ食いして自己嫌悪
→ 「意志が弱い」のではなく、“安心感不足”と“神経系の過覚醒”が原因だったり
– 睡眠衛生をどれだけ説明しても、「夜になると不安で寝付けない」
→ 生活指導より先に、「体が安全だと感じられる経験(呼吸・タッピング・人とのつながり)」が必要だったり
– ホルモン・自律神経が乱れまくりで、検査もサプリもキリがない
→ でも、ACEスコアを丁寧に聴いていくと、“身体がずっと戦闘モードで生きてきた”ことが見えてくる

だから、栄養療法だけをハードにやると

– うまくいかないとき、全部「自分のせい」にしがち
– 余計に自己否定が強くなって、もっと体調が崩れる

っていう悪循環が起こりやすい。

僕がやっていて「これは外せないな」と思うのは、ざっくり言うとこんな流れです:

1. まず「安全」をつくる
→ いきなり生活全部変えさせない
→ 小さくて達成感のある行動から始める
→ カウンセリングや信頼できる人間関係も“サプリと同じくらい大事な処方”と考える

2. ACEスコアや背景ストーリーを一緒に整理する
→ 点数そのものより、「どんな経験が今の体調とつながっているか」を一緒に言語化
→ 「あなたが弱いんじゃなくて、そうならざるを得ない歴史があった」ことを理解してもらう

3. 栄養・ライフスタイルを「自罰モード」ではなく「セルフケアモード」に変換する
NG:「痩せない自分はダメだから糖質カット」
OK:「過去の自分を守るために頑張ってきた体を、やっと休ませてあげる栄養を入れる」

この“意味付け”が変わるだけで、

– 同じプロテイン
– 同じビタミンD
– 同じオメガ3

を飲んでいても、続き方も、身体の受け取り方も、本当に変わります。

みなさんの頭の中って、もしかしたらこんな感じじゃないでしょうか。

– 「検査もサプリも頑張ってるのに、なんかスッキリしない」
– 「あのインフルエンサーのメニューを真似したのに、私はうまくいかない」
– 「生理前になると、どうしても甘いものとジャンクを止められない」
– 「パートナーや職場のストレスを“気のせい”にし続けてきた」

もし、ひとつでも「あ、これ私だな」と思ったら、頭の中でこう変換してみてください。

→ 私は“努力が足りない”んじゃなくて、
→ “トラウマやストレスをケアせずに、栄養療法だけで帳尻合わせしようとしてきた”だけかもしれない

ってことなんです。

だから、これから本気で健康を変えたい人ほど、

– ACEスコアに軽く触れてみる
– 安全な人に、自分のストーリーを少しだけ話してみる
– 呼吸・睡眠・人とのつながりを「治療」として扱ってみる

といった「トラウマ・インフォームドな視点」を、栄養・サプリ・運動と“セット”で学ぶべきだと僕は思っています。

栄養療法は強力なツールです。
でも、それを握っているのは「過去の経験を背負った、ひとりの人間の神経系」です。

その神経系が安心して、「もう戦わなくていいんだ」と感じ始めたとき、
はじめて食事もサプリも、本来の力を発揮しはじめます。

また書きますね!

参考にした記事:
[Epstein Files: A Functional Medicine Response]

薬だけに頼らず脳を守るための栄養ライフデザイン

宮澤賢史 · 2026年2月13日 ·

こんにちは、宮澤です。

Diane Ridaeusによれば、抗精神病薬Saphris(アセナピン)は、統合失調症や双極性障害の躁・混合エピソードに使われる薬だけど、短期的にも長期的にもかなり幅広い副作用リスクがあって、特に「運動障害(遅発性ジスキネジア)」「肝機能障害」「心臓への負担」「白血球減少による免疫低下」「体重増加・糖尿病・高プロラクチン血症」など to be continued… という感じで、決して軽い薬ではないとのことです。

さらに、長期連用が本当に全員に必要かどうかにはエビデンス上も議論があり、「やめ方」(急断ではなく、慎重な漸減)と、薬に依存しすぎない代替アプローチ(栄養・環境・生活習慣を整えること)の重要性が強調されています。

—

この前ふと夜中に昔の映画を見返していたんです。
若い主人公が、薬に頼りながらも「本当の自分で生きたい」ともがくようなストーリーで、観終わってから考えました。

「もしこの主人公が、最初から睡眠・血糖・栄養・ストレスケアをガッチリ整えた環境で育ってたら、薬の量も、飲む期間も、だいぶ違ったんじゃないかな」と。

日常でも同じような場面をよく見ます。
・朝はパンとコーヒーだけ
・寝るのは1時過ぎ
・日中はカフェインでブースト
・夜はアルコールでクールダウン
・野菜は“とりあえずサラダ”でごまかす
この状態でメンタルが崩れて「じゃあ薬を増やしましょう」となっている人が、本当に多い。

でも、身体の燃料がこれだけ乱れていたら、
脳(=超精密コンピュータ)が誤作動を起こすのは、ある意味あたりまえなんです。

ここから、栄養療法の話に自然とつながっていきます。

—

僕から見ると、Saphrisみたいな強力な薬は「火事場で使う消火器」みたいなもので、必要な場面ではものすごく助けになる一方で、「常に握りしめて暮らす」ような使い方をすると、さっきの記事で挙げられていたような長期副作用がジワジワ積み上がっていく――そんなイメージなんです。

じゃあ、栄養療法の役割って何か?

ざっくり言うと、

– 脳と身体の「燃料」と「配線」を整えて
– 薬に頼らざるを得ない状態から
– 「薬+身体の自己調整力」でバランスをとれる状態へ
– そして人によっては、少しずつ薬を減らしても崩れにくい土台をつくる

こういう“下地づくり”の役割です。

具体的には、こんな感じで考えます。

—

栄養療法でまず見るべき4つの土台

頭の中で、読者の方の状況をこんなふうに想像しています。

「薬は飲んでるけど、 頭がボーッとする、体重がどんどん増える、だるくて何もやる気が出ない、この先ずっと飲み続けるのかな…って不安が消えない」

この“モヤモヤ”に対して、栄養療法的にはこう整理していきます。

—

1. 血糖のジェットコースターを止める

メンタルに一番効く栄養介入って、派手なサプリじゃなくて「血糖安定」だったりします。

よくあるパターン
– 朝:菓子パン+コーヒー
→ 血糖ドカン→インスリンドーン→午前中だるい・イライラ
– 昼:丼もの・パスタ大盛り
→ 食後眠い・頭働かない
– 夕方:お菓子 or 甘いカフェラテ
→ 一瞬スッキリ→すぐガス欠→不安・焦燥感
– 夜:炭水化物+アルコール
→ 睡眠が浅い→翌朝からすでにフラフラ

これ、
「脳が勝手に情緒不安定にならざるを得ない食べ方」なんです。

まずやることはすごくシンプルで、

– 主食だけでなく「タンパク質+脂質」を毎食に入れる
– 白い炭水化物(白米・パン・麺)の量を、いきなりゼロじゃなくて“半分”にしてみる
– 甘い飲み物を「週◯回まで」に決める

→ これだけで、
「意味もなく不安」「意味もなくイライラ」「集中が続かない」がかなりマシになる人が多いです。

—

 2. タンパク質と鉄:脳の“部品”を補充する

抗精神病薬を飲んでいる方を見ていて感じるのが、
・タンパク質不足
・鉄不足(特に女性)
がめちゃくちゃ多いこと。

– 神経伝達物質(セロトニン・ドーパミンなど)の材料 → アミノ酸(タンパク質)
– それを作る工場の電力 → 鉄・亜鉛・ビタミンB群

これが足りないと、
「薬でスイッチをいじっているのに、そもそも流す電気も部品もない」状態になります。

意識したいのは、

– 体重×1.0〜1.2gくらいのタンパク質/日(病状・腎機能で調整)
例:体重50kgなら50〜60g/日を“平均して”とる
– 肉・魚・卵・豆を「毎食どれか必ず」入れる
– 貧血気味・フラつき・息切れがある人は、鉄欠乏を一度はチェックしてもらう

→ 「あ、頭が少しクリアになった」「午前中から動けるようになった」と感じる人、多いです。

—

 3. 肝臓と腸をいたわる:薬の“出口”を確保

Saphrisの長期リスクの中でも、「肝臓」「白血球」「心臓」はかなり重要ポイントでしたよね。

薬は
– 肝臓で分解されて
– 腸や腎臓などから出ていく

この「出口」が詰まっていると、
・薬の負担が増える
・血中濃度が乱高下しやすい
・副作用が出やすくなる
ということが起きます。

栄養療法的にできることは、

– アルコールを“ゼロにできないなら、量と頻度を決めて管理”
– 甘いもの・揚げ物・トランス脂肪(菓子パン・スナック)を“日常食”から“ご褒美枠”へ
– 食物繊維(野菜・海藻・豆・雑穀)と水分を増やして、便通を毎日〜2日に1回くらいに整える

こういう地味なことの積み重ねが、
→ 「肝臓の負担を減らす」
→ 「炎症を下げる」
→ 「薬の代謝をスムーズにする」
ことにつながります。

—

4. 「やめたい・減らしたい」の前に、「耐えられる身体」をつくる

臨床経験から言うと、
抗精神病薬の減薬や中止で一番問題になるのは、「脳の準備ができていないのにペースだけ早い」ケースです。

よくある流れは、

1. 副作用がつらくなってくる
2. 「もう飲みたくない」と思う
3. 自己判断 or サポート薄いまま減らす・やめる
4. 反動(離脱+リバウンド)が強く出る
5. 周りから「やっぱり薬が必要なんだね」と言われる
6. 本人も「自分は一生飲まないとダメなんだ」と信じ込む

ここで栄養療法が入るとどうなるかというと、

– まず睡眠・食事・血糖・栄養状態を調えて「耐性」を上げる
– 同時に環境(ストレス源・人間関係・刺激物:カフェイン・アルコール・THCなど)を整理する
– そこから、主治医と相談しつつ“本当にゆっくり”減らしていく

→ この順番を守ると、
「減らしてもガタッと崩れない人」が一気に増えるんです。

—

まとめ:だからこそ「栄養」という土台を学ぶべき

Saphrisのような薬は、確かに命を救うこともあります。
一方で、記事にもあったように、長期的な副作用や薬物相互作用のリスクも決して小さくありません。

ここで僕が強調したいのは、

– 「薬が悪い」でも
– 「栄養だけで全部なんとかなる」でもなくて、

→ 「薬だけにメンタルを丸投げしない」という発想なんです。

– 血糖を安定させる食べ方
– タンパク質・鉄・ビタミンの“最低限ライン”
– 肝臓・腸を守る日常の工夫
– カフェイン・アルコール・THCとの付き合い方

こうした“身体の土台”を理解しているかどうかで、
同じ薬を飲んでいても、
・効き方
・副作用の出方
・将来の選択肢
がまったく別物になります。

だからこそ、
「自分の脳と身体を守るための、栄養の基本」
これは、薬を飲んでいる人こそ真っ先に学ぶべきだと僕は思っています。

また書きますね!

—

参考にした記事:
[Saphris Long-Term Effects: In-Depth Look at Risks/Benefits](https://www.alternativetomeds.com/blog/saphris-long-term-effects-in-depth-look-at-risks-benefits/)

HPA軸機能低下は「副腎疲労」ではなくストレス適応の再構築障害である

宮澤賢史 · 2026年2月5日 ·

1. HPA軸異常に共通してみられる所見

慢性疲労症候群(CFS / ME)、感染後疲労、長期ストレス後の不調を訴える患者では、以下のような所見が多く報告されている。

  • ベースラインのコルチゾールがやや低い
  • コルチゾールの日内変動が平坦化している
  • ストレス負荷に対するACTH/コルチゾール反応が弱い
  • 負のフィードバックが効きすぎている

これらの特徴は、近年の総説でも一貫して整理されている
(例:Frontiers in Endocrinology, 2024)。

重要なのは、これらが副腎皮質そのものの不可逆的な疲弊を示す所見ではないという点である。

「低コルチゾール=副腎疲労」という理解の限界

臨床現場では、

  • 副腎が疲れてコルチゾールを出せなくなっている
  • だから外から補えばよい

という説明が、今も使われることがある。

しかし研究データを整理すると、実際に起きているのは

副腎そのものの問題というより、
HPA軸全体の制御の仕方が変化している状態

と考えた方が自然である。

実際、

  • 副腎予備能は保たれている症例が多い
  • ACTH刺激試験では正常反応を示す例も少なくない
  • それでも日常的なストレスには反応しにくい

というケースがしばしば観察される。

これは、中枢側のブレーキが強くなっていることを示唆している。


3. なぜ負のフィードバックが過敏になるのか

① 慢性炎症とグルココルチコイド受容体

炎症性サイトカイン(IL-6、TNF-α、IL-1βなど)は、

  • 急性期にはHPA軸を刺激し
  • 慢性化するとブレーキを強める

という二面的な作用を持つ。

慢性の低度炎症が続くと、
少量のコルチゾールでCRHやACTHが強く抑制される状態
が固定化しやすくなる。


② 長期ストレスとアロスタティック負荷

長期にわたる心理的・身体的ストレス、睡眠障害、低血糖、感染後ストレスなどが続くと、HPA軸は

「コルチゾールを出し続けること自体が
生体にとって負担が大きい」

と学習する。

その結果、

  • ベースラインは低め
  • 反応は短時間
  • フィードバックは過敏

という省エネ型のHPA軸制御が形成される。

これは異常というより、
過剰なストレス環境への適応と捉える方が理解しやすい。


③ 発達期ストレスの影響(全例ではない)

一部の症例では、幼少期の強いストレス体験により、

  • 海馬や視床下部でのGR発現増加
  • エピジェネティックな制御変化

が生じ、成人後もブレーキが強い設定のまま維持される可能性がある。

ただし、これはすべての症例に当てはまるわけではない。


4. 臨床でよくみられる症状との整合性

このようなHPA軸制御の変化は、以下の臨床像とよく一致する。

  • 一時的には動けるが、反動が大きい
  • 夜に覚醒しやすく、寝つきが悪い
  • 朝の覚醒がつらい
  • ストレス後に急激な疲労や低血糖様症状が出る

これは、

コルチゾールが出ないのではなく、出たあとに強く抑え込まれてしまう

ことで説明できる。


5. なぜ「副腎を刺激する治療」がうまくいかないのか

以下のような介入は、一時的に調子が上がっても、その後悪化する例が少なくない。

  • 高用量のアダプトゲン
  • DHEAなどのホルモン補充
  • 強い運動負荷
  • 断食や過度な糖質制限

これらはHPA軸にとって、

「やはりコルチゾールを出すと危険だった」

という学習を強め、
ブレーキをさらに強化してしまう可能性がある。


6. 治療の考え方:HPA軸を“戻す”とは何か

HPA軸への介入は、

ホルモン量を無理に操作することではなく、
制御の仕方を少しずつ元に戻すこと

と考える方が現実的である。

そのために重要なのは、以下の4点である。


① 低血糖を起こさせない

低血糖はHPA軸にとって最も強い緊急刺激であり、
再学習を妨げる。

→ 食事間隔や夜間の血糖安定が重要


② 炎症負荷を下げる

慢性炎症はブレーキ過敏を固定化する。

→ 腸管、感染、睡眠不足などの評価と調整


③ 睡眠による日内リズムの再構築

夜間にしっかり抑制されることで、
朝に反応できる余地が生まれる。

→ まず夜を整える


④ 安全なストレス体験を積む

完全に避けるのではなく、

「反応しても大きく崩れなかった」

という経験を積み重ねることが重要。


7. サプリメントの位置づけ

サプリメントは
HPA軸を刺激するものではなく、環境を整える補助として使う。

  • マグネシウム、テアニン、グリシン:神経過緊張の緩和
  • EPA/DHA、低用量クルクミン:炎症負荷の低減
  • ビタミンB群:合成の材料不足を防ぐ
  • 低用量アシュワガンダ:過敏なブレーキの緩和

※ DHEAや刺激系サプリは慎重に扱う。


8. おわりに

慢性疲労や不眠を伴うHPA軸異常は、

  • 副腎の故障ではなく
  • 心理的な問題だけでもなく

長期ストレスへの中枢適応の結果と考えると、多くの症状が説明できる。

治療とは、

HPA軸に
「反応しても大丈夫だった」
という経験を、
もう一度積み直すプロセス

である。

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