あなたは自分の免疫力に自信がありますか?免疫力を上げるにはまず、免疫力を低下させる原因を知る必要があります。
免疫力を低下させる大きな要因の一つに、水銀の蓄積があります。マグロなどの大型魚を週に何度も食べる方、歯に金属の詰め物がある方は、ご自身が持っている本来の免疫力を発揮できていないかもしれません。そこで行いたいのが、水銀デトックスです。体に溜まった水銀を体外に排泄することにより、免疫力を上げ、ウイルスに打ち勝つ体づくりができるのです。
1. 水銀デトックスは免疫の要
1-1. なぜ水銀デトックスが重要なのか?
抗生物質の一つであるヒドロキシクロロキンは、抗炎症効果があるため、自己免疫疾患の治療に使われていますが、体内に水銀が溜まっていると効きが悪くなります。なぜなら、水銀は細胞分裂の活発な部位に入りやすく、骨髄に蓄積すると多発性硬化症(MS)や白血病などの自己免疫疾患を誘発するからです。花粉症などのアレルギー症状にも水銀が影響しているケースがあります。
亜鉛には下気道感染の予防効果がありますが、亜鉛と水銀が同族元素なので、お互いに拮抗します。したがって、亜鉛の働きをよくするためには、水銀デトックスが欠かせません。
抗生物質のジスロマックは、リボゾームに作用するため、ウイルスへの効果が期待されています。日本では約20年前から最も使われている薬のうちの1つですが、あまりにも使われすぎて、薬剤耐性が問題になっています。水銀は耐性菌を誘導することが知られており、水銀が体内に蓄積しているとますます抗生物質が効きにくい体になってしまいます。
このように、いざというときに備えて薬が効く体にしておくためには、水銀デトックスは不可欠ということがお分かりいただけたかと思います。
1-2. 解毒の3フェーズと水銀の関連性
人間の解毒の仕組みは、3つのフェーズに別れています。フェーズ1は活性化、フェーズ2は抱合、フェーズ3は輸送です。解毒がうまくいっていない人は、フェーズ1、 2、3のどこに原因があるかを探らなければなりません。
フェーズ2は、毒素がグルタチオンやグルクロン酸により抱合されて水溶性になるプロセスです。細胞内に溜まった毒素は脂質に溶けて安定化しているため、細胞外に出るには水溶性の物質と結合する必要があります。
フェーズ3は、細胞内から細胞外に出る工程と、尿や便から排出されるプロセスです。細胞膜にあるMRP1(薬剤耐性タンパク1:Multidrug resistance-associated Protein 1)輸送体は、水銀の他に抗生物質などの薬剤も排出する働きがあります。したがって、MRP1輸送体が活性化している人は、水銀と一緒に抗生物質も排出してしまうので、当然抗生物質の効きは悪くなります。
また、水銀は多剤耐性関連タンパク質遺伝子を誘発することがわかっています。水銀をたくさん蓄積している人は、細胞外に排出しようとする働きが強まり、その過程で抗生物質も排出されてしまうのです。
Toxicol Lett. 2005 Jan 15;155(1):143-50.
Mercury induces multidrug resistance-associated protein gene through p38 mitogen-activated protein kinase
https://doi.org/10.1016/j.toxlet.2004.09.007
他にも、1993年の論文では、アマルガムが水銀耐性細菌や抗生物質耐性細菌の増加を引き起こすことが報告されています。
Antimicrob Agents Chemother. 1993 Apr;37(4):825-34.
Mercury released from dental “silver” fillings provokes an increase in mercury- and antibiotic-resistant bacteria in oral and intestinal floras of primates
https://doi.org/10.1128/AAC.37.4.825.
このような知見から、患者さんに抗生物質を処方する場合は、必要に応じて水銀のデトックスを行っています。
2. 検査の読み方と治療方針
2-1. 蓄積量・排泄力・対処法を適切に把握する
水銀デトックスをするためには、ご自身の水銀蓄積量と排泄力、そして自分に合った対処法を適切に把握することが大切です。今回は、水銀の排泄量を評価できる毛髪ミネラル検査に加え、重金属の蓄積量や対処法などの情報を与えてくれるオリゴスキャンを紹介します。
症例: 28歳男性 非淋菌性尿道炎と全身倦怠感
主訴
・尿道炎症状、発熱、下痢、食欲低下、倦怠感、手足のしびれ
・疹、手足のさかむけ、
・脱力感、手足の筋肉量低下
この男性は、尿道炎を何度も繰り返して泌尿器科を受診していましたが、全く改善がみられず、しまいには手足の痺れや脱力感、倦怠感が強くなり、宮澤医院に来院されました。舌にびらんがあり、筋力も低下していました。排尿時痛がずっと続いており、関節痛や微熱もあったため、マイコプラズマ感染の疑いがありました。マイコプラズマ・ファーメンタンス(尿道炎からくるマイコプラズマ)の検査をしたところ、陽性を示したので、マイコプラズマ感染による非淋菌性尿道炎と慢性疲労症候群と診断しました。
症状
・舌にびらん、上下肢の筋力低下、排尿時痛、
・頭のもやもや感、関節痛、微熱
・フェリチン152ng/ml, AST26,ALT27,γGTP21
・マイコプラズマによる非淋菌性尿道炎と慢性疲労症候群と診断
マイコプラズマ感染症は、関節リウマチや慢性疲労症候群、線維筋痛症など、さまざまな病気を引き起こすことがわかっており、微熱、発熱、筋肉痛、といった症状がある人には必ずマイコプラズマ検査を行っています。通常のマイコプラズマ検査ではなく、私はエムバイオテック社の抗原抗体検査を用いています。マイコプラズマ・ファーメンタンス検査は、尿道炎の原因菌となるマイコプラズマを検出できます。
最初は抗生物質であるミノマイシンを使って治療を行いましたが、なかなか改善しませんでした。抗生物質に対する耐性があると考え、水銀デトックスのDMPSと、鉛やカドミウムのデトックスに使うEDTAキレーション点滴を5クールにわたって行いました。かなり時間はかかりましたが、今はほとんどの症状が消失しています。慢性疲労症候群の患者さんで、マイコプラズマが陽性の場合、ミノマイシンを処方して1~ 2ヶ月で治る人はたったの1割程度です。先にデトックス治療を行うことにより、抗生物質の効きをよくすることができるのです。
症例の28歳男性の重金属蓄積量をオリゴスキャンで確認してみたところ、鉛は低下していましたが、僅かに増えている重金属もあり、重金属の蓄積量にほとんど変化がありませんでした。蓄積量が変わらないのに、なぜ症状が改善したのでしょうか?
2-2. オリゴスキャンの結果が教えてくれること
オリゴスキャンは、手のひらに光を照射し、体内の重金属の蓄積量を測定する装置です。蓄積量だけではなく、有害金属毒性、酸化ストレスなど、デトックスに関する様々な情報を与えてくれます。症例の男性の場合、重金属の蓄積量だけを見ると変化は少ないのですが、有害重金属のトータル毒性は減少していました。また、酸化ストレスが低下し、抗酸化力が向上していました。この辺りが影響し、症状が軽快したと推察されます。
有害金属毒性の項目に、「硫黄との結合が十分でないため有害金属の代謝不良」とありますが、これはフェーズ3(毒物の輸送)のことを指しています。硫黄と水銀は非常に親和性が高く、摂取した硫黄が水銀と結合して排出されているかという指標がここに現れます。赤から黄色に好転していますが、これが緑になるように硫黄をもう少し摂った方が良いということがわかります。硫黄を豊富に含むアブラナ科の植物や肉を積極的に摂るようにします。
2-3. 酸化ストレスは解毒力を低下させる
フェーズ2(抱合)の過程では、グルタチオンの活性化が重要になります。グルタチオンは抗酸化にも使わてしまうので、酸化ストレスが強い人はグルタチオンがうまく働きません。したがって、オリゴスキャンの酸化ストレスマーカーと、血液検査の肝臓機能マーカーを確認し、酸化ストレスが強い場合はそちらの対処をします。肝臓機能を確認する理由は、フェーズ1とフェーズ 2が主に肝臓で行われるからです。慢性の肝臓疲労や肝炎がある場合は、フェーズ2の力が落ちます。症例の男性の場合、フェリチンが152もありました。フェリチンが100以上ある場合は炎症と捉えます。抗炎症のアプローチ、もしくは肝臓のケアを行った方が良いでしょう。毛髪検査も行ったところ、ミネラル輸送障害に当てはまりました。まだ水銀の害が残っていることを示します。
以上のことから今後の治療では、ミネラルのバランスが整うように、抗炎症のアプローチと肝臓ケア、そしてもう少し水銀のデトックスが必要だと考えています。症状自体はだいぶ回復したので、メンテナンスをしながらゆっくりとしたペースで行っていきます。
2-4. 毛髪ミネラル検査とは
毛髪ミネラル検査とは、毛髪中のミネラルを測定し、重金属の排泄力を評価する検査です。髪は1ヶ月に1cm伸びるので、毛髪の根元から3cmの部分を測定すると、過去3ヶ月の平均の排泄量がわかります。毛髪は、細胞外液のミネラルの経時変化を表す記録紙と言えます。
2-5. 耐容量を超えなければ大丈夫?
水銀は、下垂体からのACTH分泌や副腎からのコルチゾール分泌をブロックします。したがって、体内に水銀が溜まっている人はだいたい副腎疲労になります。
症例: 45歳女性、副腎疲労
この症例の女性は、歯にアマルガムが9本もありましたが、毛髪ミネラル検査を行ったところ、水銀は1.1ppmしか検出されませんでした。
厚生労働省の国立水俣病総合研究センターのWEBサイトを見ると、毛髪中の水銀量が重症度を全て表しているという考えで、耐容許容量5ppmを超えなければ問題ないとされています。耐容許容量は十分な安全性を考慮して決められた値で、これを超えない限り影響はないと書かれています。症例の方に当てはめると、全く問題ないとみなされてしまいますが、果たしてそうでしょうか?
私が強く言いたいのは、「検出されない=問題ない」は間違いということです。むしろ、水銀の曝露量が多いにも関わらず、毛髪検査で検出されないケースの方が重症なのです。
2-6. 自閉症児の毛髪分析
ここで、自閉症児の毛髪分析結果の報告を見てみましょう。自閉症児の母親は、対照児の母親に比べて、明らかに水銀曝露歴が高かったにも関わらず、子供の毛髪からの排泄パターンは少なかったそうです。毛髪の水銀レベルが少ないほど、自閉症の重症度が高かったという結果も出ています。
Int J Toxicol. 2003 Jul-Aug;22(4):277-85.
Reduced levels of mercury in first baby haircuts of autistic children.
https://doi.org/10.1080/10915810305120.
- 94人の自閉症児と、年齢、性別をマッチさせた45人の対照児の毛髪分析を行った
- 自閉症児の母親は、対照児の母親に比べて免疫グロブリン注射や歯科アマルガムなど顕著に高レベルの水銀曝露歴があったにもかかわらず、自閉症児の毛髪からの排泄パターンは対照児に比べて明らかに少なかった
- 対照児の毛髪水銀レベルは、母親のアマルガムの個数と魚の摂取量、そして幼少期のワクチン接種と優位に相関していたが、自閉症児には相関が見られなかった
- 自閉症児は、症状の重症度が高いほど毛髪の水銀レベルが少なかった
毛髪は水銀の排泄器官です。したがって、水銀の排泄障害が重度であるほど、症状も重篤になると言えます。
2-7. 毛髪ミネラル検査からわかること
毛髪ミネラルの結果は、有害金属の排泄力を表しています。アマルガムの詰め物がたくさんある人でも、毛髪検査の水銀レベルが高い人は比較的軽症です。曝露量と排泄量が一致しているからです。
もう1つ、毛髪ミネラル検査で得られる重要な情報が、ミネラルバランスです。ミネラルバランスを見れば、水銀の排泄能力をある程度推測できます。水銀が体内に溜まっていないから排泄量が少ないのか、それともたくさん溜まってるのに排泄できていないのか、一見しただけでは区別がつきません。その場合はミネラルバランスを確認します。検査結果で、左右のミネラルバランスが整っている場合、水銀の排泄量=水銀の蓄積量とみなしてよいでしょう。一方、ミネラルバランスが崩れている場合は、重金属排泄不良を起こしており、水銀が蓄積していると考えます。
2-8. 毛髪レベルとオリゴスキャンを比較する
水銀が体内にないのか、排出できていないのかを知る上でより確実な方法は、毛髪レベルとオリゴスキャンを比較することです。比較することで、どのぐらい排泄できていないのか、どのぐらい蓄積しているのかがはっきりわかります。オリゴスキャンと毛髪ミネラル検査を同時に行うことで、的確なデトックスの治療方針を立てられるようになるのです。
症例: 48歳女性、慢性疲労
- 原発性アルドステロン症にて左副腎摘出
- 摘出後から疲労感増強、歩行不可能
- 3ヶ月経過も改善が見られないため、副腎機能低下を疑い来院
- 血中ACTH 27.4pg/mL, コルチゾール 11.3μg/dL(基準範囲内)
- フェリチン 17.5 ng/mL, AST 25, ALT 17, γ-GTP 11
- 唾液中コルチゾールが顕著に低下
- 歯科アマルガムあり
この女性は、原発性アルドステロン症という副腎の癌を発症し、左副腎を摘出していました。この疾患は、もう片方の副腎が萎縮するため、オペ後に副腎疲労の症状が強く出るケースが多くみられます。副腎摘出後から疲労感が増し、歩行も困難になりました。3ヶ月しても改善が見られず、副腎疲労を疑い来院されました。血中のACTHとコルチゾールは基準値内でしたが、唾液中コルチゾールが顕著に低下していました。この方も歯にアマルガムがありました。治療は、腸と副腎ケア、デトックスを行い、歯科受診を勧めました。
治療前後の毛髪ミネラル検査の結果です。治療前はミネラルバランスが左に寄っていましたが、治療後は左右のバランスがとれています。この結果は、デトックスで水銀をある程度出してあげると、ミネラル輸送が回復することを示しています。ここまで回復すれば、あとは自然デトックス(サウナや運動など)で水銀を排泄できるようになります。この方は治療に4年かかりましたが、歩行が可能になり、仕事復帰し、通常の生活に戻ることができました。
ミネラル輸送が回復した時のオリゴスキャンと毛髪ミネラル検査を比較すると、アルミやカドミウムは、蓄積量が多く、排出量は少なくなっています。ヒ素の蓄積は標準レベルですが、排泄量はかなり多くなっています。
このように、ミネラル輸送障害がなければ、蓄積量(オリゴスキャン)と排泄量(毛髪ミネラル検査)は反比例する傾向があります。今後の治療方針としては、オリゴスキャンでフェーズ3がNGとなっているため、食事やα-リポ酸などのサプリメントで硫黄を補給します。また、抗酸化力が黄色なので、抗酸化アプローチも行います。フェリチンは17.5で、強い炎症がみられないため、ビタミンCを足す程度で良いと考えています。
毛髪検査の下にあるのは有機酸検査の結果です。有機酸検査では、グルタチオンレベルを確認することができます。58番のピログルタミン酸はグルタチオンが不足すると数値が上がります。この女性の場合は値が低いため、グルタチオンは足りていると判断します。2-ヒドロキシ酪酸は、グルタチオンが作られる経路(硫酸経路)の生成物です。この数値が上がっていれば、体内で解毒が活性化されていることを意味します。
2-9. 自己免疫疾患と水銀デトックス
症例: 51歳女性、線維筋痛症
- 5年半にわたり、線維筋痛症治療を継続
- 副腎疲労の症状に当てはまることが多数あり来院
- 歯科アマルガム多数
- 時々熱が出る。CRP 0.1 ng/dL
- フェリチン51.4 mg/mL, AST 20, ALT 17, γ-GTP 11
この女性は、5年半にわたって線維筋痛症の治療を継続しており、副腎疲労の疑いもあって来院されました。歯科アマルガムも多数確認できました。時々微熱が出るということなので、マイコプラズマ検査を行ったところ陽性でした。したがって、副腎ケア、ミノマイシン、デトックスを行いました。
抗生物質が効かない人や効きにくい人には、多くのケースでデトックス治療を行っています。『Overcoming Arthritis』(David Brownstein著)には、リウマチに対してミノマイシンを投与したところ改善がみられたと書かれています。関節リウマチもマイコプラズマ感染が原因であることを示しています。
関節リウマチ患者に対して、48週間にわたる二重盲試験でミノサイクリン200mgを投与した群(109名)は、しない群(110名)に比べて優位に関節の腫張(54%, 39%)、関節の圧痛(56%, 41%)の改善がみられた。
Ann Intern Med. 1995 Jan 15;122(2):147-8.
Minocycline treatment of rheumatoid arthritis
https://doi.org/10.7326/0003-4819-122-2-199501150-00012
この女性のデトックスで注意すべきことが、硫黄に対する過敏反応があるということでした。通常のデトックス治療で使用する、DMSA、モリブデン、グルタチオン、タウリンが使えなかったため、毒物に拮抗するミネラルを多めに摂ってもらい、自然デトックスから始めました。幸いなことに、ミネラル輸送障害は見られず、重金属の排泄は良好でした。
オリゴスキャンの結果から抗酸化力が低いことがわかったため、ビタミンCを摂取してもらいました。フェーズ3も赤色ですが、硫黄系のサプリメントが使えないため、一旦保留にしています。良くなったり悪くなったりを繰り返していましたが、甲状腺機能を上げると一気に症状が軽快しました。
症例: 38歳男性、慢性疲労
- 性行為後にインフルエンザ症状が出現
- その後、尿道炎を繰り返し、抗生剤治療で軽快するも再発。関節炎や皮膚湿疹も出現したため当院を受診
- 湿疹、関節痛、咽頭痛、口内違和感あり
- 口腔内アマルガム多数
- フェリチン 71ng/mL, AST 48, ALT 54, γ-GTP 34
この男性は、性行為後にインフルエンザ症状が出現し、尿道炎を繰り返していました。典型的なマイコプラズマ感染症です。肝機能を示す数値がかなり高い状態でした。
アマルガムが多数あるにも関わらず、水銀レベルが低いため、水銀の排泄障害があると考えられました。DMPSとEDTAのキレーションを行ったところ、多くの有害金属の排出が確認できました。キレーションに効果があると確信し、DMPSとEDTAのキレーション治療を3クール行いました。その結果、ミネラルバランスは概ね整いましたが、アルミニウムの蓄積は持続していました。
この方は、3年目あたりから急に良くなって、今は慢性疲労の症状はほとんど消失しました。ただ、問題は肝機能の数値が上がってしまうことです。肝機能の数値が上がるということは、肝臓の解毒力が低下していることを意味します。オリゴスキャンの結果では、フェーズ3とフェーズ2がNGになっています。化学物質過敏症の症状が出るようになったため、ウルソやミルクシツルを使って肝臓ケアを行っています。
症例: 71歳男性、掌蹠膿疱症
5年間、掌蹠膿疱症の緩解、増悪を繰り返している方です。関節リウマチと掌蹠膿疱症の症状があり、ミネラルバランスも大きく崩れていたため、デトックスを行いました。水銀レベルがかなり高かったのですが、チオラとウラリットによるキレーションを徹底的に行ったところ、ある程度ミネラルバランスが整うようになりました。現在は、関節痛も掌蹠膿疱症もほぼ改善しています。
オリゴスキャンの結果を見ると、有害金属の代謝不良、抗酸化力の低下がみられました。関節リウマチがあったため、CRPがなかなか下がりませんでした。肝臓の数値が少し高いため、グルタチオンやビタミンCを用いて、フェーズ2, 3へのアプローチを集中的に行っています。
3. まとめ
解毒には、フェーズ1(活性化), 2(抱合), 3(輸送)の3つのステップがあります。フェーズ1にはチトクロームP450が関わっており、SNPを調べることにより評価はできますが、治療の介入が難しい部分です。一方、フェーズ2と3は治療による改善が可能です。
解毒の要素 | オリゴスキャン | 毛髪ミネラル | その他の評価法 |
---|---|---|---|
フェーズ1 (活性化) | チトクロームP450のSNP | ||
フェーズ2 (抱合) | ◯ (抗酸化) | 肝機能、フェリチン、有機酸検査 | |
フェーズ3 (輸送) | ◯ (硫黄結合) | ||
蓄積量 | ◯ | ||
排泄力 | ◯ | ||
水銀の影響 | ◯ |
フェーズ2はオリゴスキャンで確認できます。その他にも、肝機能やフェリチン値、有機酸検査のグルタチオンレベルを調べることで評価できます。フェーズ3は、オリゴスキャンの硫黄結合の項目で評価することができます。毛髪ミネラル検査では、重金属の排泄力と水銀の影響、ミネラル輸送障害の有無を評価することができます。
重症度と重金属の蓄積量は必ずしも相関しません。複数の検査と合わせて総合的に体内を理解する必要性があります。毛髪ミネラル検査、オリゴスキャン、血液検査、これら3つの検査結果を総合的に判断することで、治療方針が立てやすくなるでしょう。
- 症状の重症度と重金属蓄積量は必ずしも相関しない
- 他の検査と合わせて総合的に体内を理解する必要がある
- オリゴスキャンは重金属蓄積量に加えて、 デトックスのフェーズ2、3を評価できる
- 毛髪ミネラル検査は重金属の排泄力、水銀によるミネラル輸送障害を評価できる
- オリゴスキャンを読み解く鍵は重金属蓄積量以外にある